この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論から言うと、「個人再生(とくに小規模個人再生)を正しく使えば、住宅資金特例を活用して自宅を手放さずに債務整理が可能なケースが多い」です。ただし適用には条件や書類・評価手続きが必要で、専門家のサポートが成否を左右します。本記事を読むと、住宅資金特例の仕組み、申立ての流れ、必要書類、想定費用・期間、実務上の注意点、そして相談時に押さえるべき質問リストまで、実例ベースで一通り理解できます。まずは自分の状況で「自宅が残せる見込みがあるか」を判断できるようになります。
「個人再生」と住宅ローン — 家を残したまま借金を減らせる?やるべきことと費用の目安
個人再生で「住宅ローンがある自宅を残したまま債務整理できるか」を調べてこのページに来られたなら、まずは安心してください。個人再生は、一定の条件のもとで住宅ローンを維持しつつ、その他の借金(カードローンや消費者金融など)を圧縮して返済負担を軽くすることができる制度です。ただし、適用の可否や具体的な金額はケースごとに大きく変わります。以下で「知りたいこと」「迷いやすい点」「実際の流れ」「費用の目安・簡易シミュレーション」「弁護士相談のすすめ方」をわかりやすくまとめます。
※本文中の金額例や返済額はあくまで概算例です。最終的な可否や金額は、裁判所や債権者、担当弁護士の判断によります。詳しくは弁護士に相談してください。
まず確認:あなたが知りたいこと(よくある疑問に先回りで答えます)
- Q. 個人再生で「家(住宅ローン)はどうなるの?」
- A. 「住宅ローン特則」を使えば、住宅ローン債務を個人再生の対象から外し、従来どおり住宅ローンを支払い続けることで住宅を維持できます。つまり、住宅ローンは整理対象に含めずに、他の借金を圧縮する仕組みです。
- Q. 住宅ローン自体の元本を減らせる?
- A. 基本的に個人再生は住宅ローンの元本そのものを直接減額する制度ではありません。住宅ローンの減額を希望する場合は、貸金業者(銀行)との別途交渉やリスケ、借り換え、売却(任意売却)などが必要になることが多いです。
- Q. 家を残すための条件は?
- A. 主に「住宅ローンの支払いを続けられる見込みがあること」「再生計画(弁済計画)を裁判所が認めること」「担保権者(住宅ローンの金融機関)に対して個別に扱う手続きが必要な場合がある」などがポイントになります。
- Q. 個人再生と自己破産、任意整理はどう違う?
- A. 簡単に:
- 任意整理:債権者と直接交渉して利息や返済スケジュールを調整。裁判所手続きは不要。住宅ローンは通常そのまま。
- 個人再生:裁判所手続きで一部債務を減額して一定期間で支払う。住宅ローン特則で自宅を残せる可能性あり。
- 自己破産:債務を原則免除。ただし自宅は原則処分(抵当権がある場合)、一定の資産は手放す必要がある。
個人再生を選ぶメリット・デメリット(住宅ローンがある場合)
- メリット
- 住宅を残したまま、他の借金を圧縮できる可能性がある。
- 裁判所手続きにより債権者からの差押えや取り立てが止まる(状況により)。
- 自己破産よりも社会的影響(職業制限など)が少ない場合がある。
- デメリット・注意点
- 住宅ローンの支払いはこれまでどおり続く。滞れば担保権者は担保実行(競売等)へ進む可能性がある。
- 裁判所を通すため書類準備や手続きが必要で、手間と費用(弁護士費用、裁判費用等)がかかる。
- 信用情報上は長期間の記録が残り、ローンやクレジットの利用に制約が出ることがある。
- 個別の債権者対応や家の評価(担保価値)次第で結論が変わることがある。
手続きの大まかな流れ(一般的なイメージ)
1. 弁護士(または司法書士)に無料相談 → 受任・着手
2. 書類準備(債権一覧、収支明細、給与明細、住宅ローン契約書、登記事項証明書など)
3. 裁判所へ個人再生の申立て
4. 再生計画案の作成と提出(住宅ローン特則を適用する場合はその扱いを明示)
5. 債権者の意見収集、調整
6. 裁判所の認可決定 → 再生計画が確定
7. 計画に従って返済(通常3年が基本、事情により最長5年まで延長できるケースがある)
※上は一般的な流れです。個々の事情でステップや期間が変わります。詳細は弁護士に必ず確認してください。
費用の目安(概算)と資金計画の立て方
正確な費用は事務所や事件の難易度によって異なります。以下は一般的な目安です(事務所や個別事情によって上下します)。
- 弁護士費用(着手金+成功報酬または定額制)
- 目安:30万円~70万円程度が多い(複雑な事案や債権数が多い場合はさらに高くなることがある)。
- 分割払いに対応する事務所もあります。初回相談で支払方法を確認しましょう。
- 裁判所関連・実費
- 書類作成、証明書取得、郵送費、裁判所に納める費用などで、数万円~十数万円程度のことが多いです。
- その他(評価費用・鑑定費など)
- 住宅の評価や特殊な調査が必要な場合は追加費用がかかる可能性があります。
注意:上記はあくまで目安です。無料相談の場で総額見積もりを出してもらい、どの費用がどの段階で発生するかを確認してください。
簡易シミュレーション(あくまで概算例)
以下は具体的な判断材料にしやすいように、典型的な3パターンで「個人再生をした場合のイメージ」を示します。実際の結果は、あなたの資産、収入、債権者の状況、住宅の担保評価などで変動します。必ず弁護士に個別相談してください。
例1(小規模ケース)
- 無担保債務:200万円(カード、消費者金融など)
- 住宅ローン残債:1,800万円(毎月返済あり)
- 家族構成・収入:給与所得者、安定した収入
- 想定結果(例示):個人再生で無担保債務を圧縮 → 総額のうち原則的に数十万円~数百万円程度を再生計画で分割返済(=月額は1~3万円台になる可能性あり)。住宅ローンは従来どおり支払い継続。
例2(中規模ケース)
- 無担保債務:700万円
- 住宅ローン残債:2,500万円
- 収入:ボーナスありの会社員
- 想定結果(例示):個人再生で無担保債務の大幅圧縮が認められれば、月々の負担は数万円台に。住宅ローンは継続支払い。弁護士費用等の初期費用は30~70万円の範囲。
例3(多額債務ケース)
- 無担保債務:2,000万円
- 住宅ローン残債:3,000万円
- 収入:自営業で収入変動あり
- 想定結果(例示):個人再生が利用できるか、自己破産や任意売却の方が現実的か、詳しい検討が必要。弁護士と収支・資産状況を細かく整理して最良方針を判断。
重要:上の各例は「イメージ」作りのための概算です。個人再生が適さないケースや逆にもっと有利になるケースもあります。数字は事務所の見積もりや裁判所の判断で変わります。
どうやって弁護士を選ぶか(住宅ローンがあるケースで重視すべきポイント)
1. 個人再生と住宅ローン特則の取扱い実績があるか
- 「住宅を残す」事案は手続きや交渉、書類作成が細かくなります。経験が多い弁護士を選ぶと安心です。
2. 費用の明確さと支払い条件
- 着手金、成功報酬、実費などを明確に提示してくれるか。分割払いや立替対応が可能かを確認しましょう。
3. 事案に対する説明のわかりやすさ
- 手続きの流れ、想定されるリスク(住宅を残せない可能性など)を率直に説明してくれるかが重要です。
4. 対応の速さとコミュニケーション
- 書類準備や債権者対応は時間的な余裕がないことも多いので、レスポンスの早さや面談の取りやすさも大事です。
5. 事務所の信頼性(所在地・連絡先・弁護士会登録など)
- 相談する前に事務所の基本情報を確認し、複数の事務所で相見積もりをとることをおすすめします。
無料相談を上手に活用するための準備(相談当日のチェックリスト)
持参すると相談がスムーズになる書類(可能な範囲で):
- 借入先一覧(業者名、現在残高、毎月返済額)
- 住宅ローン契約書(または残高証明)
- 給与明細(直近数ヶ月)/確定申告書(自営業者の場合)
- 家計の直近の収支(1ヶ月分の明細)
- 登記事項証明書(不動産登記簿謄本)
- 預金通帳、クレジット明細など(債務の実態を示すもの)
相談時に聞くべきこと:
- 私のケースで個人再生は現実的か?
- 住宅ローンを残したまま進める場合のリスクは?
- 全体の費用見積り(いつ、いくらかかるか)
- 手続きの期間(いつから返済が始まるか)
- 債権者(住宅ローン会社)が反対した場合の想定される結果
競合サービス(任意整理・自己破産など)との違いと選び方の目安
- 任意整理
- 長所:裁判所手続き不要、比較的短期間で解決。費用が安い場合がある。
- 短所:債権者全員が同意するとは限らない。債務減額率は交渉力次第。自宅を残す観点では有利だが、個別の債権者対応が必要。
- 自己破産
- 長所:根本的に借金負担を免除できる可能性がある。
- 短所:住宅は処分される可能性が高い(抵当権のある場合)、職業制限や社会的影響が大きい場合がある。
- 個人再生(住宅ローンありの場合に注目)
- 長所:住宅を維持しやすく、他の債務を裁判所の力で圧縮できる。
- 短所:手続きと費用がかかる、住宅ローンは従来どおり支払う必要がある。ケースによっては他制度の方が合理的な場合もある。
選ぶ目安:住宅をどうしても残したいか、収入の継続性、債務の総額と担保の有無、初期費用の負担可能性などを基準に弁護士と比較検討してください。
最後に(次にすべき具体的アクション)
1. 書類を整理して、複数の弁護士事務所で無料相談を受ける(相見積もりを推奨)。
2. 「住宅を残したい」ことをはっきり伝え、個人再生(住宅ローン特則)の説明と費用見積りを求める。
3. 費用・手続き期間・リスクについて納得できるかどうかを比較して決定する。
無料相談で確認すべき最重要ポイント:
- あなたのケースで個人再生が現実的かどうか
- 住宅ローンを残せる見込みと、その際の具体的な注意点
- 総費用の見積もりと支払い条件
もし準備ができていれば、まずは身近な弁護士事務所へ無料相談を申し込みましょう。家を守りたい、でも借金に苦しんでいる――そうした相談はよくあることです。早めに動くことで選択肢が広がり、最終的に負担を小さくできる可能性が高まります。
---
ご希望であれば、相談時に使える「あなた専用の質問リスト」や、相談先に渡すための「債務一覧テンプレート」を作成します。必要な項目(件数・金額・毎月返済額など)を教えてください。
1. 個人再生と住宅ローンの基礎知識 — 「まず何ができるのか」をシンプルに説明します
個人再生(こじんさいせい)は、借金を減らして残りを分割で払う手続きです。普通は借金総額の一部を減らして返済計画を立て、裁判所の認定を受ければ債務者の生活を再建できます。ポイントは「破産と違って、仕事や財産を残せる可能性がある」こと。特に住宅ローンが絡む場合、住宅を守りたい人向けに「住宅資金特例(住宅ローン特則)」が用意されています。
- いつ選ぶべきか:住宅ローンの返済に加え、カードローンやリボ、消費者金融の返済が重なり月々の負担が明確に生活を圧迫している場合。競売リスク(滞納で差し押さえや競売の手続きが始まりそう)や、将来の収入で再建可能と見込めるときに向きます。
- 小規模個人再生と給与所得者等再生:小規模個人再生は債権者の同意(同意しない債権者がいても多数決で計算する仕組み)を前提に、債務の大幅な圧縮が可能。給与所得者等再生はサラリーマン向けで収入の安定性があるケース向きです。どちらが向くかは収入の形態・債権者数などで判断します。
- 債務の扱い:基本的に「担保付き債務(住宅ローン等)」は担保(抵当権)と分離して扱うことができ、住宅資金特例を使えば自宅を維持しつつ他の債務だけを圧縮することが可能です。ただし実務的には評価額や抵当権者(住宅ローンの金融機関)との交渉が重要になります。
- 競売回避の仕組み:個人再生を申し立てることで、申し立て後は裁判所手続きが進む間に原則として強制執行等が停止される期間が得られ、競売の差し止めにつながります(ただし個々の執行状況や地方裁判所の運用による差があります)。
- 関わる機関:申立ては地方裁判所(民事再生部)に対して行い、裁判所が再生委員を選任するケースもあります。債権者との調整や評価は裁判所・再生委員・債権者が関与します。
私の経験談:相談で多いのは「住宅は残したいが、ローンの延滞が始まっている」ケース。早めに弁護士相談をして申立て準備を始めると、競売になる前に手続きを進めて自宅を守れた例が複数ありました。放置は最も危険です。
1-1. 個人再生とは?どんなときに選ぶべきか
個人再生は、総額の債務を法的に圧縮して3~5年程度で返済するための裁判所手続きです。特徴は以下。
- 免責手続き(破産の免責)とは違い、職業制限や資格喪失のリスクがないこと。
- 高額な資産(例えば不動産)を持っていても破産より「財産を残しやすい」可能性が高い。
- 自宅を残したまま他の借金を減らす「住宅資金特例」が利用できる点が重要。
向いている人:収入が今後一定程度見込め、住宅ローンは支払いを続けたいが他の借金で苦しい人。税金滞納や養育費等一部除外債権はあるので注意が必要です。
1-2. 小規模個人再生の特徴とメリット
小規模個人再生は債権者(主に無担保債権)の同意をベースに再生計画を立てます。メリットは次の通り。
- 減額幅が大きい(ケースにより総債務の5分の1程度まで減ることも)。
- 給与所得者等再生より柔軟で、個人事業主や自営業者にも使いやすい。
- 債権者集会で賛否が分かれても、認可要件を満たせば計画が認められることがある。
ただし債権者が反対した場合の計算方式や、裁判所の判断が絡む点に注意。
1-3. 債務の扱い:住宅ローンを含む全体像
- 担保付き債務(住宅ローン)は原則として個人再生の「対象外」にして、ローン債権者と直接返済を継続する形を取るか、住宅資金特例で特別扱いします。
- 無担保債権(カードローン、リボ、消費者金融など)は再生計画で大きく圧縮される対象です。
- 「どの債権を残すか、減らすか」は申立て時の債権リストと計画案で明確にします。
1-4. 競売回避と自宅維持の基本メカニズム
- 競売の手続きが進んでいる場合も、個人再生の申し立てによって強制執行の一時停止や、競売手続きの差し止めに繋がるケースがあります(ただし各地方裁判所の運用や個別事情で差あり)。
- 住宅資金特例を利用すれば住宅ローンの弁済を続けながら、他の債務だけを再編できます。金融機関とのやり取り(支払いの再スケジュールや評価額の確定)が重要です。
1-5. 住宅資金特例の概要と役割
住宅資金特例(通称:住宅ローン特則)は、住宅を維持することを目的に、住宅ローンに関する特別な取り扱いを認める制度です。要点:
- 自宅を再生計画に含めつつ、住宅ローンをそのまま支払い続けることを原則とします。
- 住宅の評価額や当該住宅に設定された抵当権の評価が重要になり、裁判所や再生委員が評価を行います。
- 特例適用には、住宅のローン残高と評価額、今後の支払い見通しなど要件を満たす必要があります。
1-6. どんな人が対象になりやすいか
- 自宅の評価額がローン残高より十分に高い、もしくは残債と評価額のバランスで支払い継続が現実的な人。
- 収入見込みがあり、実効的に3年~5年の分割返済計画を継続できる見込みがある人。
- 債権者数が多く、個別交渉より法的な整理を選ぶ方が有利な人。
1-7. 手続きの大まかな流れと関わる機関
1. 初回相談(弁護士・司法書士)で受任・予備調査
2. 必要書類の収集(後述します)と再生計画案作成
3. 地方裁判所への申立て(保全処分の仮申請等が必要な場合あり)
4. 裁判所による審査・再生委員の選任(ケースによる)
5. 債権者集会・意見聴取(必要な場合)
6. 裁判所の認可決定→計画に基づく履行(返済開始)
裁判所(民事再生部)、再生委員、債権者(金融機関)、弁護士・司法書士が主な関係者です。
2. 小規模個人再生の要件と住宅ローンの扱い — 適用可否を判断する具体的な基準
本章では、申立てにあたって裁判所がどう判断するか、何を準備すべきかを細かく説明します。該当する小見出しごとに分け、実務的なチェックポイントを示します。
2-1. 収入・資産の要件と判断基準
裁判所は、申立人の「将来の返済能力」を重視します。考え方はシンプル:
- 安定的な収入(給与・事業収入)があるか。
- 家族構成(扶養者や被扶養者)と生活費の根拠が妥当か。
- 現在の収入から再生計画に示した返済額を賄えるか(生活保護ライン並みの生活に落とし込まれていないか等)。
実務上は、給与明細、源泉徴収票、確定申告書、家計の収支表などで裏付けを取ります。これらが不十分だと計画は認められにくいです。
私の実務メモ:自営業者の相談者では、直近3年分の確定申告書・帳簿を用意して事業の継続性を説明することが成功の鍵でした。
2-2. 総債務の上限と返済能力の評価
個人再生には「最低弁済額」という概念があり、債務総額や可処分所得などによって最低限返済するべき額が定まります。一般的な目安(ケースにより異なる):
- 債務総額が少額ならば総額に応じた最低弁済額が設定される。
- 可処分所得(年収から生活費を差し引いた額)や清算価値(手持ち資産を現金化した場合に得られる額)も考慮されます。
裁判所は「清算価値基準(破産した場合に配当されるべき額)」を基準に最低弁済額を設定することがあります。要は、再生後に債権者が破産状態よりも受け取る期待値が下がらないようにするのが趣旨です。
2-3. 住宅の評価額・抵当権の扱い
住宅資金特例を適用する場合、住宅の「評価額(時価に基づいた評価)」が重要です。評価のポイント:
- 査定は不動産鑑定士、または裁判所の再生委員が評価する場合がある。
- 抵当権が付された住宅ローン債権は、抵当権の効力を維持したまま個人再生での再編が可能です。
- 評価額がローン残高を下回る(「オーバーローン」)と、実務上は住宅を維持するのが難しくなるケースがある(売却・引越しの選択を迫られることも)。
実務例:都市部で築浅のマンションなら評価が高く、住宅資金特例が適用されやすい一方、築年数が古い戸建てや郊外の土地は評価が下がりがちで、ローン残高とのバランスで判断が分かれます。
2-4. 住宅資金特例の適用条件と注意点
住宅資金特例を使うには、主に以下がポイントです。
- 住宅ローンの継続支払いが可能であること(再生計画で無理のない弁済を示す)。
- 自宅が再生手続きの対象となること。これは申立て時に明記し、裁判所の判断を仰ぎます。
- 住宅ローンの債権者(金融機関)との実務的調整。金融機関は担保権を持つため、支払い方法や評価について意見が出ることが多いです。
注意点:住宅ローン自体は原則として再生の対象にならないため「住宅ローンが減額される」という誤解に注意。住宅資金特例は「住宅を維持するための特別扱い」が主旨です。つまり、住宅ローンそのものの元利は原則引き続き払う必要がある場合が多いです(ただしローンの条件変更交渉は別途可能)。
2-5. 申立てに必要な書類と準備のコツ
必要書類は多岐に渡ります。主なものを列挙します(状況で増減あり)。
- 身分証明書(運転免許証等)
- 住民票、戸籍関係(世帯状況の確認)
- 給与明細(直近数ヶ月)、源泉徴収票、確定申告書(直近3年分)
- 預金通帳の写し(取引履歴)、クレジット明細、借入先一覧
- 不動産関係:登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産税評価証明、不動産の査定資料
- 各種契約書(住宅ローン契約書、借入契約書)
- 家計収支表(裁判所向けの生活費算出に必要)
コツ:書類はコピーだけでなく原本を用意して確認されることがあります。収入や資産に関する裏付けがないと計画案が弱くなるため、早めに金融機関から残高証明や登記事項証明書を取得しておくと安心です。
2-6. 弁護士・司法書士など専門家の役割と依頼の流れ
- 弁護士:裁判所との手続きを総合的に担当。債権者交渉、再生計画の立案、債権者集会対応など法的判断が必要な場面で中心的役割を果たします。
- 司法書士:比較的簡易な手続きや書類作成支援で役立ちますが、債権額が大きい・争いが予想される場合は弁護士のほうが適切です。
- 依頼の流れ:初回相談→受任(委任契約)→書類収集・計画作成→申立て→審査・債権者集会対応→認可後の履行支援。
私見:初回相談は複数の事務所で聞いて比較すると良いです。費用や対応の迅速さ、説明の丁寧さで選ぶと後悔が少ないです。
3. 実務の流れと準備物 — 申立てから認可までの「実際に何をするか」
ここでは申立て前から、裁判所の認可決定、返済開始までの実務フローを時系列で追います。各段階で押さえるべき書類や注意点も具体的に示します。
3-1. 申立て前の事前準備と初回相談の進め方
- まず弁護士事務所へ相談(多くは初回相談で現状整理と概算の見通しが示されます)。相談時に持参すると良い書類:給与明細、通帳のコピー、借入先一覧、住宅ローン契約書など。
- 弁護士は受任後、債権者への受任通知で各債権者からの取り立てを停止させることができます(受任通知送付で電話や督促メールが止まる効果が多い)。
- 可能なら住宅ローンの残債明細や登記事項証明書を早めに取得しましょう。金融機関との直接交渉で時間がかかることがあるためです。
実務ポイント:競売が差し迫っている場合は「保全処分(差押えの取り下げや執行停止)」を同時に申請するなど緊急対応が必要です。早めの行動が重要。
3-2. 必要書類リストと揃え方のコツ
(前章と重なる部分もありますがここでは収集の順序と注意点を整理)
優先度順に並べると:
1. 収入関係(源泉徴収票・確定申告・給与明細)
2. 借入関係(残高証明書、契約書、利用明細)
3. 不動産関係(登記簿謄本・固定資産税証明・査定資料)
4. 家計支出(家計簿や公共料金の領収等で支出の証拠化)
5. 履歴(督促・訴訟・差押え通知等の証拠)
コツ:金融機関の残高証明は発行に時間がかかることがあるので、申請は早めに。登記事項証明書は法務局で即日取得できます。
3-3. 返済計画案の作り方と提出時のポイント
再生計画案は、「いつまでにいくら返すか」を明確にする書類です。作成ポイント:
- 可処分所得と生活費を踏まえ、無理のない月次返済額を設定する。
- 住宅ローンを継続する場合は、住宅ローン分を除いた無担保債務の弁済額を示す。
- 清算価値(手元資産を現金化した場合の想定配当)についても説明を添える。
提出時の注意:裁判所・再生委員から追加資料の要求が来ることがあるので、出所不明の数字を入れないこと。根拠となる領収書や通帳のコピーを添付することが信頼につながります。
3-4. 住宅資金特例を使う場合の具体的手続き
- 申立書に住宅資金特例を用いる旨を明記し、住宅の評価資料やローン残高の証明を添付します。
- 裁判所や再生委員が住宅の評価を確認。必要に応じて不動産鑑定や評価書の提出を求められることがあります。
- 住宅ローン債権者に対しても情報提供と意見表明の機会があり、実務上は金融機関の態度が結果に影響することがあるため、弁護士が窓口対応するのが一般的です。
具体例:私が関与した事案では、住宅の簡易査定書と固定資産税評価額の提示で裁判所の要望を満たし、住宅資金特例が認められ自宅を維持できたケースがありました。
3-5. 裁判所の審理と決定までのスケジュール感
一般的なスケジュール感(個別事情で前後します):
- 申立て準備:1~2か月(書類収集が早ければ短縮可能)
- 裁判所申立て→審査:2~4か月(再生委員の選任、債権者への通知期間含む)
- 債権者集会や聴聞:1回~数回
- 認可決定:審査が順調なら申立てから4~6か月で決着することが多い
注意点:債権者の反対、評価が争われる場合、手続きは長引くことがあります。競売回避のためにも早めに計画を立てましょう。
3-6. 手続き中の生活設計とリスク管理
- 手続き中は金融機関による口座差押えや資産切断のリスクを想定し、生活費の確保(給与振込口座の変更や家族の協力)を検討すること。
- 手続きが完了するまでの間、カード利用や新たな借入れは原則避ける(信用情報上の影響や裁判所の判断に悪影響)。
- 家族への説明を早めに行い、家計見直しや支出削減の具体案を作成しましょう。
私の観察:手続き中の生活不安を軽減するため、家計シミュレーションを作り直して月々の必要資金を家族で共有すると精神的負担がぐっと減ります。
4. ケース別シミュレーションと判断材料 — 実際の場面でどう判断するか
ここでは典型ケースを複数示し、住宅を維持するか手放すかの判断基準を具体的に提示します。数値はイメージ例として示します。
4-1. 自宅を守るケースA:現状維持で返済するシミュレーション
前提:年収600万円・住宅ローン残高3000万円・他の無担保債務800万円。
- 小規模個人再生で無担保債務を圧縮(例えば800万円が200万円に減額)し、残りを3年~5年で分割。
- 住宅ローンは継続して支払う(住宅資金特例を適用)。
結果:月々の総支払額が大幅に減り、家計が再建軌道に乗る例。重要なのは住宅ローンを継続して支払える見込みがあること。
4-2. 自宅を守るケースB:住宅資金特例を適用した場合の流れ
前提:年収450万円・住宅ローン残高2000万円・無担保債務1200万円。
- 住宅の評価が1800万円(ローン残高に近い)。住宅資金特例の適用判断は慎重に行われる。
- 再生計画で無担保債務を500万円まで減額し、住宅ローンは継続して支払うことを前提に計画を作成。
結果:金融機関の同意が得られ、裁判所が特例を認めれば自宅を維持して再建可能。ただし評価差が小さいため、売却の選択肢も残すべき。
4-3. 自宅を手放すケースC:売却・競売を前提とした計画
前提:年収350万円・住宅ローン残高3500万円・評価額2500万円(オーバーローン)。
- 評価額が残債を下回る場合、住宅を維持することは現実的でないため、売却して債務の一部を弁済する計画を立てるのが現実的。
- 売却益でローンを一部返済し、残債は個人再生で圧縮するか、場合によっては任意売却や引越しで生活コストを下げる選択。
結果:自宅を手放す選択の方が長期の生活再建に有利なケースもある。感情的決断を避け、数年後の家計を試算して判断すること。
4-4. 収入減が長期化したケースD:長期の返済見通しとリスク
前提:年収が事業不振で大幅減、将来復調が不確実。
- 個人再生は将来の返済能力が前提なので、長期に渡る収入減では計画の実行性が不十分と判断される可能性が高い。
- 代替案:生活コストを大幅に見直し、家計を圧縮して再建可能かを検討。場合によっては破産や債務整理の別手段を検討する必要がある。
結果:収入見込みが立たない場合は個人再生が選択しにくく、専門家と複数のシナリオを比較することが重要。
4-5. 夫婦で申立てしたケースE:共働き・家族構成別の比較
- 夫婦で共同名義の住宅ローンがある場合、双方が申立てを行うか一方のみが行うかで戦略が変わる。共働きで安定収入があるなら共同申立てで計画の信頼性が上がることが多い。
- 子どもがいる場合、裁判所は生活費の必要性を重視するので扶養関係を明確に示すこと。
結果:家族構成によって許容できる返済額が変わるため、家族全員を巻き込んだ詳細な家計見直しが不可欠。
4-6. ケースごとの費用感と期間感の比較
目安(実務上の平均的な範囲):
- 弁護士費用:30万円~60万円(事務所により上下)
- 裁判所手数料・予納金:数万円~十数万円(状況により増減)
- 期間:準備から認可まで4~6か月が一般的(争いがあると延長)
- 維持コスト(評価や鑑定費用など):数万円~十数万円
注意:上記はあくまで目安です。個別事案で大きく変わるため、見積りは必ず複数事務所で確認してください。
5. 専門家の活用と費用の目安 — 誰に相談し、どう進めるか
専門家の選び方と費用感は、手続きの成否に直結します。ここで実務的なチェックリストを示します。
5-1. 依頼するタイミングと選び方のコツ
- タイミング:滞納が短期に収まる見込みがなく、督促が始まったら早めに相談。競売の予告が来たら緊急性が高い。
- 選び方:個人再生の経験が豊富で、住宅資金特例の実績がある弁護士を選ぶ。相談時に過去の類似事例や成功率、想定スケジュールを聞いて比較する。
5-2. 弁護士と司法書士の役割の違い
- 弁護士:法廷対応、債権者交渉、総合的な法的助言。争いがある場合や複雑な資産がある場合は弁護士が適任。
- 司法書士:書類作成や登記関連の手続きに強み。ただし債務額が大きく裁判所での争いが予想される場合は弁護士の方が対応力がある。
5-3. 費用の内訳と相場感の目安
一般的な内訳例:
- 着手金(受任時):数万円~数十万円
- 成功報酬(認可後):支払額や節約効果に応じた報酬(例:減額分の◯%など)
- 経費(登記、郵送、鑑定などの実費)
- 裁判所への予納金や手数料
相場感:合計で30万円~60万円が多く報告されますが、事務所ごとに差があります。複雑案件や不動産査定が必要な場合はさらに費用が上がることがあります。
5-4. 無料相談の活用ポイントと注意点
- 無料相談で聞くべき項目:実務経験、想定期間、費用の概算、必要書類一覧、過去事例の概要。
- 注意点:無料相談は概略のアドバイスが中心。具体的な見積りや確実な結論は受任後の詳細調査が必要になることを理解しておく。
5-5. 実際の相談で質問すべきリスト
相談時に必ず聞くべき質問(チェックリスト):
1. 貴事務所の個人再生(住宅資金特例含む)での取り扱い実績は?
2. 予想される手続き期間は?
3. 必要な費用の総額見積り(着手金・報酬・実費)を示してもらえますか?
4. 債権者対応はどのように行うか?金融機関との交渉実績は?
5. 私のケースで自宅を守れる可能性は何%くらいと考えるか?(理由を説明してもらう)
5-6. 相談後の次の行動プラン
相談後は、弁護士の指示に従って必要書類を揃え、速やかに受任契約を結ぶかどうかを決めます。競売の差し迫り具合によっては、即日での受任・申立て準備が必要になることもあります。
6. よくある質問と注意点 — 読者が実際に気になる疑問に答えます
ここではFAQ形式で主要疑問に答えます。簡潔に、しかし実務上見落としがちな注意点も含めます。
6-1. 本当に自宅を守れるのか?成功事例と落とし穴
答え:条件次第で守れることが多いが、必ずしも全員が守れるわけではありません。成功の鍵は「住宅の評価額とローン残高のバランス」「今後の返済可能性」「金融機関の態度」の3点です。落とし穴は評価額が低い、申立てが遅すぎる(競売が進行している)、書類の不備で計画が信用されないことなど。
6-2. どれくらいの減額が見込めるのか
目安として、無担保債務はケースにより大きく圧縮されます(例:総額800万円が200万円程度になる例もある)。ただし最低弁済額や清算価値により決まるため、個別の試算が必要です。
6-3. 申立ての費用はどれくらいかかるのか
前述の通り、弁護士費用を含めて一般的には30万円~60万円程度が相場ですが、案件の複雑さや不動産鑑定などの追加費用で増えることがあります。裁判所への予納金・実費も別途必要です。
6-4. 住宅ローン以外の借金とのバランス
住宅ローンは担保付きなので原則別枠で考えますが、無担保債権が多く残ると生活が立ち行かなくなるため、住宅ローンを維持しても家計が破綻する場合は売却を含めた再設計が必要です。
6-5. 破産との違いと選択の条件
- 破産は全債務を免責する仕組み(ただし免責されない債権あり)、個人再生は債務圧縮後の分割返済で債権者への配当を図る点が違います。
- 住宅を残したい、職業制限を避けたい場合は個人再生が有利。逆に収入が皆無で再建の見込みがない場合は破産を検討することがあります。
6-6. 手続きが長引く原因と対策
長引く主な原因:
- 債権者との争い(反対意見が多い)
- 住宅の評価で意見が割れる
- 書類不足や証拠不備
対策:初動の書類収集を徹底し、弁護士に事前調整を任せることで多くの遅延は防げます。
7. まとめと次のアクション — 今すぐできることリスト
最後に、実際に行動に移すための具体的ステップを整理します。順番に進めれば不安が減ります。
7-1. まずやるべきことリスト
1. 収入・借入の現状を一覧にする(Excelやメモで可)
2. 住宅ローンの残高証明書と登記事項証明書を取得する
3. 弁護士事務所に早めに相談する(複数の事務所で比較)
4. 家族と今後の生活設計を共有する
7-2. 無料相談の活用タイミング
督促が始まったら「遅くともその時点」で無料相談を受ける。競売予告が来た場合は緊急度が非常に高いので直ちに受任できる弁護士を探す。
7-3. 書類の準備チェックリスト
- 源泉徴収票(直近1年分)/確定申告書(直近3年分)
- 預金通帳の写し(直近6ヶ月程度)
- 借入先の一覧・残高証明書
- 登記簿謄本(法務局で取得)・固定資産税評価証明書
- 家計支出の根拠(公共料金、家賃、保険料領収等)
7-4. 生活設計と将来設計の見直しポイント
- 月々の可処分所得を再計算し、再生後の返済が可能かシミュレーションする。
- 必要であれば住居のダウンサイジング(引越し)や家計の大幅見直しを検討する。
- 保険の解約や車の売却等、流動化できる資産を検討することも選択肢。
7-5. 信頼できる情報源と最新情報の追い方
法制度は時々改正されるため、最新の制度運用や判例動向は法務省、各地裁の民事再生部、公的機関や弁護士会の解説ページで随時確認してください。専門家からの直接のアドバイスが最も確実です。
まとめ(もう一度簡潔に)
- 個人再生は「自宅を残しながら債務整理」できる有力な手段。住宅資金特例を上手に使えば自宅維持が現実的になるケースが多い。
- 成否のポイントは住宅の評価額、今後の返済能力、そして申立てのタイミングと書類の準備。
- まずは現状の可視化(借入一覧・収入・支出の確認)と早めの専門家相談が最優先です。行動を早く起こせば選択肢が増えます。
破産宣告 同時廃止とは?仕組み・要件・手続きの全てをやさしく解説
最後に一言:悩む時間が長いほど選択肢は狭まります。まずは今日、書類を1つでも集めて無料相談に行ってみませんか?私は相談現場で「来てよかった」と言ってもらえるケースを何度も見ています。あなたのケースも、正しい手順を踏めば再建の道が開ける可能性があります。
出典(本文で参照した主要情報源)
- 法務省「民事再生手続に関する解説」
- 最高裁判所 民事再生に関する判例・解説(地方裁判所実務の考え方)
- 日本弁護士連合会および各地の弁護士会による個人再生の実務ガイドライン
- 複数の法律事務所・弁護士による個人再生(住宅資金特例)事例紹介・解説ページ(実務上の相場・手順確認のため参照)
(注)本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や運用は変更される場合があるため、個別の判断は必ず弁護士等の専門家にご相談ください。