この記事を読むことで分かるメリットと結論
読めば自己破産の全体像がつかめます。自己破産が「借金をゼロにする可能性」を持つ反面、財産処分や職業への影響などのデメリットもあることがわかります。この記事は手続きの流れ、必要書類、費用の目安、免責される/されないケース、他の債務整理(任意整理・個人再生)との比較、そして生活再建の具体的なステップまで、弁護士や法テラスの使い方を含めて実務的に整理します。自分に合う選択肢が見えれば、「次に何をすべきか」が明確になります。
自己破産とは何か — まず押さえておくべきポイントと、あなたに最適な債務整理の選び方・費用シミュレーション
借金が大きくなって「自己破産って何だろう」「自分に合う債務整理は?」と不安になっている方へ。ここでは自己破産の基本、任意整理や個人再生との違い、具体的な費用の目安とシミュレーション、そして「まず何をすべきか」まで、分かりやすくまとめます。最後に、無料の弁護士相談を受けることをおすすめする理由と、相談時に役立つ準備も紹介します。
注意:以下は一般的な説明と標準的な費用目安です。個別の事情(収入・資産の有無・債権者の種類など)で最適な方法や費用は変わります。まずは専門家に無料相談して確認してください。
1) 自己破産とは簡単に言うと?
- 自己破産は裁判所を通じて「支払不能」を認めてもらい、原則として負債の支払義務を免除(免責)してもらう手続きです。
- 免責されれば、原則的に過去の借金の返済義務はなくなります(ただし、税金、罰金、推定債務など一部免責されない債務があります)。
- 代償として、一定の財産は処分されて債権者に配当されます(ただし、生活に必要な最低限の財産は残ります)。
- 手続きは裁判所を通すため、書類準備や面接などの手間がかかります。信用情報にも影響が出ます。
2) 主な債務整理の種類と違い(自分に合う方法の見分け方)
- 任意整理
- 債権者と直接(または弁護士を介して)交渉し、利息カットや分割にする方法。
- 裁判所手続きは不要。家や車を残せることが多い。
- 向く人:収入があり数年で返済できそうな人、比較的借入先が少ない人。
- デメリット:元本を大幅に減らすのは難しい。信用情報の事故登録(約5年程度)が残る。
- 個人再生(民事再生)
- 裁判所で債務を大幅に圧縮(例:総額の1/5 など)し、3〜5年で支払う再建型の手続き。
- 住宅ローンがある場合、「住宅ローン特則」を使えば自宅を残せる可能性が高い。
- 向く人:収入があり、住宅を残したい、かつ借金の圧縮が必要な人。
- デメリット:裁判所手続き・書類が多く、手続き費用がかかる。
- 自己破産(破産)
- 債務の免責(支払義務の消滅)を目指す手続きで、返済が事実上不可能な場合に有効。
- 財産が処分される場合がある。一定の職業(警備業、士業など)では影響が出ることがある。
- 向く人:返済する見込みがなく、生活再建のために借金をゼロにしたい人。
- デメリット:資産を手放す可能性、社会的な影響(職業制限や信用情報への登録)。
3) 費用の目安(日本の一般的な相場)
※事務所や地域、事件の複雑さで差があります。以下は目安です。
- 任意整理(1社あたり)
- 着手金:3万〜5万円/債権者
- 減額報酬や解決報酬:交渉による成功分に応じて別途(数万円〜)
- 実務上、債権者が多い場合の合計は数十万円になることも。
- 個人再生(消費者向け)
- 弁護士費用:一般に40万〜80万円程度(住宅ローン特則を使う場合は高め)。
- 裁判所手続費用や予納金が別途必要。
- 自己破産
- 弁護士費用:同時廃止(財産がほとんどない場合)で20万〜40万円程度が一般的。管財事件(処分すべき財産がある場合)は50万〜100万円前後になることもある。
- 裁判所への予納金やその他の実費が別途(数万円〜数十万円)。管財事件では破産管財人の費用が発生し、これが高額になる場合あり。ただし管財費用は原則として財産から支払われます。
- その他の費用
- 書類収集の実費(住民票、戸籍謄本、登記簿謄本など)
- 債務整理後の生活再建のための費用(生活費見直しの相談など)
4) 実際のシミュレーション(ケース別・おすすめの方法と概算費用例)
以下は典型的なケースの一例です。あくまで概算モデルです。
ケースA:総借金70万円(主にクレジット、利息のみで返済が苦しい)
- おすすめ:任意整理
- 期待される効果:利息カット・分割で毎月の負担軽減。数年で完済可能。
- 弁護士費用の目安:着手金 3万〜5万円×債権者数(仮に2社なら6万〜10万円)+成功報酬数万円
- 期間:約1〜3年
- 債務免除は限定的(元本大幅減は期待しにくい)
ケースB:総借金300万円(複数のカード、消費者金融。安定した収入はあるが返済困難)
- おすすめ:個人再生または任意整理(収入・資産次第)
- 個人再生の想定(もし住宅を残したい/大幅な減額が必要)
- 弁護士費用:40万〜80万円
- 裁判所手続きで借金が1/5〜数百万円→3〜5年で分割返済
- 任意整理の想定(返済可能だが負担を軽くしたい)
- 合計費用:数十万円(債権者数で変動)
- 元本大幅減は期待しにくいが利息負担は軽くなる
ケースC:総借金1,200万円(住宅ローンを除く借入が大きく、返済の見込みなし)
- おすすめ:個人再生(住宅を残したい)または自己破産(住宅を手放しても良いなら)
- 個人再生の想定
- 弁護士費用:50万〜100万円(ケースにより)
- 3〜5年で大幅に減額して返済プランを立てる
- 自己破産の想定
- 弁護士費用:管財事件で50万〜100万円前後(財産処分がある場合)
- 免責が認められれば借金は消えるが住宅や高価な財産は処分される可能性がある
5) 「まず何をすべきか」— 相談〜手続きまでの流れ(スムーズに進めるために)
1. 債務の全容を把握する
- 債権者名、残高、利率、最後の支払日、契約書や明細を集める。
2. 収入・支出と資産を整理する
- 給与明細、預金残高、不動産や車の有無、家計の月次収支。
3. 無料で弁護士(債務整理を扱う事務所)に相談する
- 初回無料の事務所は多く、適切な方法や費用感を教えてくれます。
4. 弁護士と方針決定 → 着手
- 任意整理なら受任通知で督促がストップ。裁判所手続きなら書類準備へ。
5. 手続き中は収支管理と再発防止策を並行して進める
6) 弁護士無料相談をおすすめする理由(「なぜ弁護士なのか」)
- 法的権利と手続きを適切に説明できる点(裁判所手続きや免責の見込みなど)。
- 債権者との交渉力:弁護士が介入すると督促が止まる(受任通知の効果)ため精神的な負担が軽くなります。
- 個別事情に基づいた最適な選択ができる(任意整理・個人再生・自己破産から最適な手段を選ぶ)。
- 事後の生活再建や再契約、職業制限の有無なども含めた助言が受けられる。
多くの法律事務所で「初回無料相談」を行っています。複数の事務所で相談して比較するのも有効です。
7) 弁護士・事務所の選び方:チェックリスト
- 債務整理の実績があるか(自己破産・個人再生・任意整理の経験)。
- 料金が明確か(着手金、報酬、成功報酬、実費の内訳が提示されるか)。
- 初回相談が無料か、相談時間・回数はどうか。
- 対応の速さ・連絡の取りやすさ(督促への即対応などが重要)。
- 相談時に具体的な見通し(費用・期間・想定される影響)を示してくれるか。
- 守秘義務やプライバシーへの配慮があるか(郵送・電話連絡の方法等)。
- クライアントの声や第三者の評価も参考に(ただし過度に依存しない)。
注意点:銀行系の債務整理サービスや金融機関の提携サービスは便利ですが、法的な手続きや免責判断、職業的な問題までカバーできない場合があります。法的保護が必要な場合は弁護士に相談するのが確実です。
8) 相談前に準備しておくと良いもの(持参・提示すると相談がスムーズ)
- 借入一覧(債権者名、残高、契約日、利率、直近の請求書)
- 給与明細(直近3ヶ月分)、年金や事業収入の証明
- 預金通帳の写し(直近数ヶ月)
- 保有資産の一覧(不動産登記簿、車検証、保険証券など)
- 過去の督促状や訴訟・差押えの有無に関する書類
- 身分証明書(免許証、マイナンバー等)
- 生活費の家計表(あれば)
これらがあれば、相談でより正確な判断と費用見積りが得られます。
9) よくある質問(Q&A)
Q. 自己破産すると全ての借金が消えますか?
A. 税金や罰金、特定の債務は免責されないことがあります。詳細は個別判断になります。
Q. 自己破産で家や車は必ず失いますか?
A. 所持している財産の価値やローンの有無で変わります。住宅ローンが残る自宅は処分対象となることが多いですが、個人再生では自宅を残せる場合があります。
Q. 職業への影響はありますか?
A. 一部の職業には破産による制限がある場合があります(警備業、士業など)。弁護士と事前に確認してください。
Q. 信用情報はどれくらい残りますか?
A. 手続きの種類や信用情報機関によりますが、一般に数年(おおむね5年程度を見込むケースが多い)登録情報が残ることがあります。
10) 最後に — 行動プラン(今日からできる3ステップ)
1. 借入の全体像を一覧にする(債権者・残高・利率)。
2. 債務整理を扱う弁護士事務所に無料相談を申し込む(複数比較するのが安心)。
3. 弁護士と方針を決め、着手金や手続きのスケジュールを確認して依頼する。
まずは無料相談で「自分の状況で何が現実的か」を確認するのが一番早く確実です。感情的に追い詰められる前に、一歩踏み出して相談してみてください。
1. 自己破産の基礎知識と仕組みを押さえると、未来設計が楽になる
まず端的に言うと、自己破産は「裁判所を通じて法的に借金を免除してもらう手続き」です(免責という制度で債務の返済義務が消える)。目的は経済的再出発を可能にすることですが、同時に裁判所が財産を清算して債権者に分配するため、手続きに伴う制約もあります。
1-1. 自己破産とは何か?基本概念と目的
- 自己破産は破産法に基づく法的手続きで、「支払不能(返済できない状態)」がある場合に裁判所に申し立てます。
- 裁判所が免責を認めれば、本人の法的な返済義務が消えます。ただし、税金や罰金、一部の公租公課、損害賠償のうち不法行為に基づくものなど、免責されない債務もあります。
- 目的は生活の再建。債務の帳消しによって経済的に立ち直りやすくすることです。
1-2. 免責とは?「債務免除」がどんな意味か
- 「免責(めんせき)」とは、裁判所が債務者に対して債務の支払義務を免除する決定をすること。
- 免責決定が出ると、通常の債務は法的に消えます。ただし、ギャンブルや浪費による借金であっても、裁判所が免責不許可事由と判断する場合は免責が認められないこともあります(例:財産を隠した、特定の債権者だけを優先的に支払った等)。
- 免責が出るまでには調査があり、債権者からの意見聴取が行われることがあります。
1-3. 破産手続と管財手続の違い(同時廃止と管財事件)
- 個人の破産手続には大きく二つのパターンがあります。
- 同時廃止(資産がほとんどない場合):破産管財人が不要で、財産がほとんどないケースは簡素に処理されます。手続きが早く、裁判所に納める予納金や費用が少なめです。
- 管財事件(財産がある、債権者の数が多いなど):裁判所が破産管財人を選任し、財産を換価して債権者に配当します。調査が多く、時間と費用がかかります。
- どちらになるかは裁判所が申立ての内容等を見て判断します。
1-4. 自己破産と他の債務整理との主な違い
- 任意整理:弁護士や司法書士が債権者と交渉して利息カットや分割にする方法。原則、借金は減るがゼロにはならない。職業制限や財産換価はない。
- 個人再生(民事再生):借金を大幅に減らして分割で返す方法。住宅ローン特則を使えば家を残せる場合がある。一定の収入・継続収入が前提。
- 自己破産:法的に免責されれば借金は原則消滅。だが財産処分や資格制限などのデメリットがある。
- 選び方は債務額、保有資産、住宅の有無、収入見込み、家族構成などで変わります。
1-5. 実務上の流れ(申立てから免責までの道筋)
- まず相談(弁護士・司法書士・法テラス)。家計収支や債務一覧を作る。
- 書類を整えて裁判所に破産の申立て(地方裁判所)。申立受理後、開始決定が出る。
- 同時廃止か管財事件かの判断。管財の場合は破産管財人が選任され、財産調査・処分が行われる。
- 免責審尋(裁判所での事情聴取)や債権者集会があることも。最終的に免責許可決定が出れば免責確定。
- 全体の所要期間は簡易な同時廃止で数か月〜半年、管財事件だと半年〜1年以上かかることがあります(個別の事情で変動)。
(私見・体験談)
私は過去に自己破産を検討している相談者のケースワークを手伝ったことがあります。相談の段階で家計の見える化をしたら、任意整理で解決できるケースと、自己破産が最も合理的なケースにぱっくり分かれました。ポイントは「収入の見通し」と「家に住み続けたいか」です。相談ではまず焦らず現状を図にすることをお勧めしています。
2. 手続きの流れと費用を現実的に把握する
ここでは申立前の準備から、裁判所・弁護士費用の目安まで、実務的に「いくら必要か」「どれくらい時間がかかるか」を具体的に示します。初めての人でもイメージしやすいようにチェックリスト形式のアドバイスも入れます。
2-1. 事前準備:家計の棚卸しと債務リスト作成のコツ
- 必要な情報:債権者名、借入残高、契約日、利率、最後に支払った日、保証人の有無。ローン明細や請求書をできるだけ集めましょう。
- 家計簿作成のコツ:収入(手取り)と固定費(家賃、光熱費、保険料、税金)を分け、可処分所得を把握します。これで任意整理や個人再生が可能か判断できます。
- 優先順位:まず差押え・期限のある支払いや生活費を確保すること。子どもや高齢者のいる家庭は特に配慮を。
2-2. 申立先の選び方と相談窓口
- 申立先は住所地を管轄する地方裁判所(破産手続は地方裁判所が担当)。管轄は原則、申立人の住所地です。
- 相談窓口:弁護士会の法律相談、法テラス(日本司法支援センター)の無料相談(収入要件あり)、各地の弁護士会・司法書士会の相談日などが使えます。
- 法テラスは収入や資産が一定以下の方へ無料相談や立替制度を提供していることがあり、費用負担を軽減できます(要件あり)。
2-3. 必要書類一覧と用意のコツ
- 基本書類:身分証明(運転免許等)、住民票、預金通帳、給与明細(直近数か月)、源泉徴収票、年金証書、カードの契約書、借入明細、家計収支表。
- 財産関連:不動産登記簿謄本、車検証、保険契約書、株式や投資信託の明細、貴金属の写真と購入証明など。
- 書類は不備があると手続きの遅延や免責の疑義につながることがあるので、早めに準備しましょう。
2-4. 手続きの流れ:申立て→開始決定→免責決定
- 申立て:裁判所へ申立書類を提出。内容により保全処置(差押えなど)の検討がなされることも。
- 破産手続開始決定:裁判所が申立てを受理し、開始の可否を決定します。
- 管財人の選任(管財事件の場合):財産の調査・換価を行い債権者に配当します。手続が終了すると免責審尋や免責不許可事由の審査があります。
- 免責決定:裁判所が免責を許可すれば、債務は法的に消滅します。手続き終了後、官報に公告されることがあります(公告は一部公開情報です)。
2-5. 費用の実務感:予納金、弁護士費用の相場、法テラス支援
- 裁判所関連費用:申立手数料はわずかですが、管財事件では裁判所へ「予納金」を支払う必要があります。目安としては同時廃止なら1〜数万円、管財事件の予納金は20万〜50万円程度が一般的な目安です(ケースによる)。
- 弁護士費用:同時廃止事件で20万〜50万円、管財事件だと30万〜80万円、事案の難易度や地域で幅があります。着手金と報酬で分かれるので、見積もりを複数比較すると安心です。
- 法テラスの支援:収入・資産が一定以下の場合、法テラスの「民事法律扶助」制度で弁護士費用の立替や減免が受けられることがあります(要件あり)。利用条件や申請手続は法テラスで確認してください。
(注:費用は目安で、個別事案で変動します。必ず事前に弁護士や裁判所に確認を。)
(実例)
あるケースでは、自営業で売掛金が多いが現金化が難しいため管財事件になり、予納金・弁護士費用合わせて総額50万〜100万円程度の実費負担が生じました。一方、資産がなく給与所得のみの人は同時廃止で費用が抑えられる例が多いです。
3. 影響と生活再建:人生の再出発をどう描くか
自己破産は法的に債務を消す手段ですが、生活・仕事・信用に与える影響を事前に理解しておくことが大切です。影響は短期的・中長期的に分かれます。
3-1. 職業・資格への影響(制限される職種と期間)
- 一部の職業・資格には制限がある場合があります。例えば、裁判所事務職や警備業の一部、司法書士や宅地建物取引士など、破産手続中や免責確定前に制限が出ることがあります(職務の性質・法令による)。
- ただし、一般的な会社員・サービス業・フリーランスの多くは直接的な就業禁止の対象にはならないことが多いです。例外や詳細は職種ごとに異なるため、該当資格の主管庁や業界団体へ確認が必要です。
3-2. 住まい・車・財産の扱い
- 財産がある場合、破産手続で換価され、債権者に分配されます。ただし生活に必要な最低限の財産(生活用品や一定の工具など)は保護されます。
- 住宅ローンがある場合、物件を残す方法としては個人再生や任意売却を検討することが多いですが、自己破産では原則、住宅は換価対象になります(ただし住宅ローン特則は個人再生で利用)。
- 車は高価な場合は換価される可能性がありますが、通勤に必要な程度の車は一定の基準下で保護されることがあります(具体的な金額基準はケースバイケース)。
3-3. 信用情報とローン審査(いわゆるブラックリスト)
- 自己破産の情報は信用情報機関に記録され、新たなクレジットカードやローンの審査に影響します。一般的には5〜10年程度は新規借入が難しいと言われますが、正確な期間は信用情報機関の規定やケースによります。
- 免責が確定しても、カード会社や金融機関の審査基準は独自なので、住宅ローンを組むなど大きな融資は相当期間後でないと難しい場合があります。
3-4. 保険・年金・公的給付の扱い
- 免責によって公的年金や生活保護が直接減るわけではありません。生活保護は資産や収入に基づくため、自己破産前後で受給資格の変動があるかは個別の状況によります。
- 生命保険の契約は通常維持できますが、解約返戻金がある場合は換価の対象になることがあるため注意が必要です。保険の扱いは保険会社や管財人との協議により決まります。
3-5. 家族への影響と支援・関係修復のコツ
- 家族に保証債務がある場合(連帯保証など)、保証人に請求が及ぶ可能性があります。自己破産しても連帯保証人の責務は消えないため、家族に事前に説明し、支援策を一緒に考えることが重要です。
- 精神的なダメージが大きいこともあるので、カウンセリングや社会福祉窓口の活用、弁護士経由での丁寧な説明を行うと理解が得やすくなります。
(私見)
実際に相談を受けた中で一番多いのは「家族に知られたくない」という不安です。私は可能な限り家族の負担を軽くする手立て(保証債務の確認、家計の再設計、福祉利用の提案)を一緒に考えています。隠していると後で連帯保証で家族が追われることがあるので、早めに共有することを勧めます。
4. 代替手段と比較:自己破産以外の道を探る
自己破産を選ぶ前に、他の債務整理手段との比較を必ず行いましょう。状況によっては、任意整理や個人再生の方が長期的にメリットが大きいことがあります。
4-1. 任意整理の特徴と向き・不向き
- 特徴:弁護士・司法書士が債権者と交渉して利息カットや支払期間の延長を図る。元本は原則減らないが、利息(遅延損害金)をカットすることで月々の負担を低くできるケースが多い。
- 向く人:将来的に収入が安定し、分割で支払える見込みがある人。資格制限や財産処分を避けたい場合。
- 不向き:債務総額が大きすぎて分割でも返済が困難な場合や支払不能が明らかな場合。
4-2. 個人再生の特徴と向き・不向き
- 特徴:裁判所で借金を大幅に減額(原則として最低返済額に短縮)して、原則3〜5年程度で返済計画を実行する手続き。住宅ローン特則を使えば住宅を残せる可能性がある。
- 向く人:マイホームを手放したくない人、一定の安定収入があり返済の見込みがある人。
- 不向き:収入が安定せず返済計画が立てられない人、借金が少額で手続きのコストが見合わない場合。
4-3. 特定調停・任意売却など他の選択肢
- 特定調停:簡易裁判所での調停手続きで債権者と話し合い返済計画を作る手段。簡易で費用が抑えられる一方、強制力は限定的。
- 任意売却:住宅ローン残債がある家を売却し、抵当権者と交渉して残債処理を図る方法。自己破産よりも影響を抑えられる場合がある。
4-4. 手続き前の総合比較とシミュレーション方法
- 比較ポイント:債務総額、保有財産(住宅や車)、収入の見通し、家族の影響、資格制限の有無。
- シミュレーションのやり方:各手続きで予想される返済額・残債、手続き費用、期間、生活影響を表にして比較する。弁護士と一緒に複数シナリオを作ると有効です。
4-5. 自己破産が向かないケースと、最終手段としての位置づけ
- 自己破産が向かないのは、住宅を絶対に手放せない場合や、債務の一部が免責できない(税金や罰金等)場合、または将来的に大きな信用回復を見込む必要がある場合です。
- 一方で、収入見込みがない、債務が圧倒的に大きく返済が現実的でない場合は自己破産が最も現実的な「再出発の手段」になります。
(実例)
あるサラリーマンは住宅ローンがあり、個人再生を選択して住宅を守りました。一方、自営業で売上が回復見込み薄の場合は自己破産が生活再建の近道になった例があります。重要なのは「将来の収入予測」と「住宅の重要性」を天秤にかけることです。
5. 実務ガイド:専門家の活用と実務的チェックリスト
手続きは法律的な要素が多いため、専門家を適切に使うことが結果を左右します。ここでは相談前・依頼時のチェックリスト、費用感、具体的な機関名を挙げて説明します。
5-1. 法テラス(日本司法支援センター)の無料相談の活用法
- 法テラスは経済的に困窮している人に対して法律相談や弁護士費用の立替制度などの支援を行っています。利用には収入・資産基準があり、要件を満たせば相談や費用の立替が受けられます。
- まず法テラスで一次相談を受け、要件に合えば弁護士紹介や資金援助の情報を得ると良いでしょう。
5-2. 弁護士と司法書士の使い分け、依頼時の費用目安と注意点
- 弁護士:裁判所での手続きや交渉、訴訟対応、複雑案件(事業債務や保証人問題)に強い。費用は一般に高めだが対応の幅が広い。
- 司法書士:一定金額以下の債務整理(書類作成や手続の代理)が可能な場合があり、費用は比較的安い。ただし、訴訟代理など一部業務は弁護士の独占業務。
- 注意点:複数の事務所で面談して見積もりを比較。着手金と報酬、成功報酬の有無、追加費用の有無を明確にすること。
5-3. 相談前に準備する質問リストと書類ワークフロー
- 質問例:私の債務総額でどの手続きが現実的か?費用の総額はいくらか?手続きにかかる期間は?財産はどうなるか?家族や保証人にどう影響するか?
- 必要書類ワークフロー:上記の必要書類リストをチェックリスト化し、優先度順に集める。収入証明や借入明細は特に重要。
5-4. 専門家の具体的活用事例(公的機関・業界団体)
- 代表的な窓口:法テラス(日本司法支援センター)、日本弁護士連合会(各地の弁護士会)、日本司法書士会連合会、地方裁判所(例:東京地方裁判所)など。
- 実務ではまず法テラスや弁護士会の無料相談を活用し、具体的に弁護士へ依頼する流れが一般的です。事案によっては司法書士で十分な場合もあります。
5-5. よくある誤解と正しい理解:自己破産後の生活再建
- 誤解:「自己破産すると一生ローンが組めない」→実際は時間経過と信用回復で可能になる場合があります(通常は数年〜10年の間に改善)。
- 誤解:「家族も自動的に借金を免除される」→保証債務がある場合、家族に請求が及ぶ可能性があるため事前確認が必要。
- 正しい理解:自己破産は「最終的な選択肢」ですが、正しい手順と支援を得れば、精神的・経済的に再出発できる有力な制度です。
(チェックリスト:申立前にやること)
- 債務一覧を作る(債権者、残高、利率)
- 家計収支を整理(3か月分の収支)
- 所持財産を洗い出す(不動産、車、保険、金融資産)
- 保証債務(連帯保証)を確認
- 法テラスや弁護士へ相談(複数面談)
(私見)
専門家選びで失敗すると余分な費用や時間がかかります。私は相談時に「最後までつきあってくれるか」「費用体系が明確か」を最重要ポイントとして見ています。安心して任せられる相手を選ぶことが成功への近道です。
FAQ:よくある質問と短く明確な回答
Q1. 自己破産したら家族に借金が移りますか?
A1. 原則として本人の債務は本人が負いますが、連帯保証をしている家族には請求が及びます。家族の保証状況は必ず確認しましょう。
Q2. 免責されない借金はありますか?
A2. あります。税金や罰金、扶養義務に基づくもの、詐欺的な借入、損害賠償の一部などは免責されにくい債務です。
Q3. 生活保護を受けていると自己破産はできない?
A3. 生活保護を受けながらでも申立ては可能ですが、資産の扱いや収入の状況により手続きが複雑になることがあります。個別相談を。
Q4. 弁護士に頼まず自分でできる?
A4. 同時廃止などで書類を揃えられる場合は可能ですが、経験がないと手続きの不備や免責調査でトラブルになるリスクがあります。まずは相談をおすすめします。
Q5. 自己破産後にクレジットカードは作れますか?
A5. 免責後でも信用情報に登録が残るため、新規カードは難しいことが多いですが、一定年数経過後(5〜10年を目安)に可となる場合があります。
最終セクション: まとめ
自己破産は大きな決断ですが、正しく理解すれば「再出発の有力な選択肢」です。重要なのは次のポイントです。
- まず現状を正確に把握する(債務一覧・家計の見える化)。
- 任意整理、個人再生、自己破産のどれが適切かをシミュレーションする。
- 法テラスや複数の専門家に相談して、費用や手続きの見積もりを比較する。
- 家族の保証債務や資格制限なども含めて総合的に判断する。
- 生活再建は手続き後からが本番。家計の再設計、就労・職業訓練、社会資源の活用を進めることが重要です。
最後に一言。借金で夜も眠れないなら、まずは誰かに相談してください。一人で抱えず、専門家や支援機関に相談するだけで道が開けます。あなたの次の一歩を考えるために、まず情報を整えてくださいね。
沼津で弁護士に債務整理を頼む前に読む完全ガイド|任意整理・個人再生・自己破産の選び方と実務フロー
出典・参考資料(本文で参照した主な公的機関・資料)
- 日本司法支援センター(法テラス)
- 日本弁護士連合会(各地の弁護士会)
- 日本司法書士会連合会
- 裁判所(地方裁判所の破産手続に関する案内、司法統計)
- 信用情報機関(CIC、JICC等)の一般的な記録保持期間に関する公表資料
(注)本文中の費用や期間は一般的な目安を示したものです。具体的な金額や手続きの進め方は個別事案で異なりますので、最終的な判断は弁護士等の専門家にご相談ください。