自己破産 80歳でもできる?高齢者の破産手続きと注意点をわかりやすく解説

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自己破産 80歳でもできる?高齢者の破産手続きと注意点をわかりやすく解説

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この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論を先に言うと、はい、80歳でも自己破産は可能です。年齢だけで手続きが否定されることはありません。ただし「資産の有無」「借入の経緯(詐欺や浪費など)」「相続や住宅ローンの有無」によって、手続きの種類(同時廃止か管財事件か)や手間、費用が大きく変わります。本記事を読むと、免責が認められるかの見通し、年金や生活保護への影響、手続きを進める具体的な準備リスト、相談先に持っていくべき情報が全て分かります。安心して次の一歩を踏み出すための道筋を、やさしく具体的に示します。



「自己破産 80歳」──高齢での債務整理、まず何を知るべきか(分かりやすいガイド)


80歳での借金。年金だけで暮らしている、持ち家がある、認知症など判断能力に不安がある──事情は人それぞれです。ここでは「どんな方法があるか」「それぞれのメリット・デメリット」「費用の目安」「弁護士相談で確認すべきこと」を、分かりやすく整理します。最終的には専門の弁護士に無料相談して、あなたに合った方法を選ぶことをおすすめします(なお、無料相談を行う弁護士事務所は多数あります)。

※本文は一般的な説明です。具体的な判断は状況により変わりますので、早めに専門家へ相談してください。

1. 高齢者が選べる主な債務整理の方法と、80歳での向き不向き


- 任意整理(業者と直接交渉して利息カット・分割交渉)
- メリット:手続きが柔軟で、財産を手放すことになりにくい。交渉が成立すれば利息停止で返済負担を下げられる。
- デメリット:元本は原則残るため、年金だけで返済が厳しい場合は厳しい。債権者全員が応じるとは限らない。
- 80歳の場合:年金で少しずつ払える見込みがあるなら選択肢に入ることが多い。

- 自己破産(裁判所を通じて支払い義務を免除する)
- メリット:支払い義務が原則免除され、借金返済から解放される。年金のみで生活していて返済不可能な場合、有力な選択肢。
- デメリット:一部の財産は手放す必要がある(手続きの種類により差がある)。免責とならない債務(例:悪意の不法行為に基づく損害賠償、罰金、一定の養育費や扶養義務など)は残る場合がある。信用情報への影響がある。
- 80歳の場合:年金しかない、資産もほとんどない場合は「同時廃止」と呼ばれる比較的簡易な手続きで進むことが多く、本人にとって現実的な救済になることがある。

- 個人再生(借金を大幅に減らして一定額を分割返済)
- メリット:住宅ローン特則を使えば持ち家を残しつつ債務を圧縮可能。
- デメリット:原則、継続した収入(返済能力)を前提としているため、年金だけで安定的に返済できない高齢者には向かない場合が多い。
- 80歳の場合:年金収入があり、返済計画を実行できる見込みがある人に限って検討されることがあるが、一般には選択されにくい。

- 特定調停(簡易裁判所での調停)
- メリット:裁判所が間に入るため債権者との交渉がスムーズになりやすい。手続き費用は比較的低め。
- デメリット:調停で合意しても支払能力がなければ最終的な解決にならない。
- 80歳の場合:状況により有効。まず話し合って解決を目指す方法として検討可能。

- 注意点(判断能力が低下している場合)
- 認知症などで判断能力に不安がある場合は、成年後見制度や任意後見などを利用する必要があります。手続きを代理してもらうために、まずは弁護士や家庭裁判所に相談してください。

2. どの方法が「現実的」かを決めるポイント(まず確認すること)


相談前に用意しておくと話が早い書類・情報
- 借入一覧(金融機関、消費者金融、カードローン、リボ、家族からの借入など)
- 借入残高・毎月の返済額・利率・最終支払期日が分かる紙
- 年金証書や預金通帳(収入の状況)
- 不動産や自動車などの資産の有無
- 訴訟や差押えがあるかどうか(督促、訴状、差押通知など)

これらで「返済の見込みがあるか」「処分すべき資産があるか」「差押えや訴訟の状況」を判断します。弁護士はこれらの情報にもとづいて最適な手続きを提案します。

3. 費用の目安(弁護士費用・裁判所費用など)と簡単なシミュレーション


以下は一般的な目安(事務所・地域・事案により差があります)。具体的な費用は弁護士の見積りを必ず確認してください。

- 任意整理
- 弁護士費用(1社あたりの解決報酬など):1〜5万円程度/社が目安。ただし債務総額や交渉の難易度で上下する。
- 事務手数料等:別途発生する場合あり。
- 期間:数ヶ月〜1年程度。

- 自己破産
- 同時廃止(資産がほとんどない場合)
- 弁護士費用の目安:20〜40万円程度が一般的な目安。
- 裁判所費用(予納郵券等):数千〜数万円程度。
- 期間:申立てから免責確定まで概ね6ヶ月前後の場合が多いが、事案による。
- 管財事件(資産があり、管理が必要な場合)
- 弁護士費用:事務所によるが管財事件は高めに設定されることが多い(上記より高くなる傾向)。
- 管財費用(裁判所に納める予納金として):通常数十万円が必要なケースがある(事案による)。
- 期間:管財事件は手続きが長引くことがある。

- 個人再生
- 弁護士費用:おおむね35〜60万円程度が相場の目安(手続きの難易度、住宅ローン特則の有無で変動)。
- 裁判所費用:数万円〜十数万円。
- 期間:6ヶ月〜1年程度。

費用シミュレーション(目安)
- ケースA:借金30万円・年金収入のみ・資産なし
- おすすめ:任意整理で利息停止→難しければ同時廃止の自己破産
- 費用目安:任意整理で債権者数が1〜2社なら弁護士費用は総額で数万円〜十数万円。自己破産(同時廃止)なら弁護士20〜40万円+裁判所費用数千〜数万円。

- ケースB:借金120万円・年金+少額預金・差押えなし
- おすすめ:任意整理で長期分割が可能なら検討。年金だけでは厳しければ自己破産も検討。
- 費用目安:任意整理(複数社)で弁護士総額数十万円、自己破産(同時廃止)で20〜40万円の可能性。

- ケースC:借金500万円・自宅あり(住宅ローンなし)・年金収入のみ
- おすすめ:年金だけで返済困難なら自己破産が現実的。ただし自宅を残したい場合は個人再生が理想だが年金のみで再生計画を組めるかが問題。
- 費用目安:自己破産(管財)になる可能性があり、その場合は弁護士費用・管財予納金等で合計数十万円〜場合によっては百万円近くになることがある(事案により差が大きい)。

※上記はあくまで目安です。実際の費用や手続きの選択は個別事情(資産の有無、差押えの有無、債権者数、訴訟の有無、事務所方針)で変わります。無料相談で見積りをとって比較してください。

4. 「80歳」で気をつける特有のポイント


- 年金の保護
- 年金は生活資金として保護される場合が多いですが、差押えを完全に免れるには条件があります。差押えや財産の扱いについては弁護士に相談してください。

- 財産処分(持ち家・自動車)
- 自己破産で管財事件になると処分対象となる可能性があります。資産を残したい場合は個別に検討する必要があります。

- 家族への影響
- 連帯保証人や保証人がいる場合、その人に請求が回ることがあります。家族の事情も含めて弁護士と話しましょう。

- 判断能力の問題
- 認知機能に不安がある場合は成年後見制度を検討する必要があります。成年後見人が必要な場面は多く、手続きが必要になると弁護士・司法書士と連携して進めます。

5. 弁護士無料相談で必ず確認すべき質問(相談時のチェックリスト)


相談は無料の事務所が多く、初回相談で以下を確認しましょう。

必ず聞くこと
- 私の状況で最も実現可能な手続きは何か?(任意整理/自己破産/個人再生/特定調停)
- その手続きのメリット・デメリットは?
- 予想される費用の総額と内訳(着手金・報酬・裁判所費用・予納金など)
- 料金の支払い方法(分割は可能か)
- 手続きにかかる目安の期間
- 生活に与える具体的な影響(財産の処分、信用情報、公共福祉の扱い)
- 家族や連帯保証人にどんな影響が出るか
- 認知症や判断能力に不安がある場合の対応(成年後見の必要性など)
- これまでの対応(督促・差押え・訴訟)への即時対応はどうするか
- 弁護士事務所の経験(高齢者の案件や地方裁判所での実務経験)

6. 弁護士(事務所)の選び方と、なぜ弁護士に相談すべきか


- なぜ弁護士?
- 法律の専門職であり、裁判所手続や債権者交渉の経験が豊富です。高齢の特殊事情(年金差押え、成年後見、持ち家の扱い)に精通した事務所を選ぶと安心です。

- 選び方のポイント
- 借金問題(自己破産、任意整理、個人再生)を専門に扱っているか
- 高齢者対応の実績があるか(成年後見や社会福祉との連携経験)
- 費用の説明が明瞭か(見積りを出してくれるか)
- 対応が丁寧で期日・連絡がきちんとしているか
- 地元の裁判所に詳しいか、郵送や来所の負担をどう軽減するか相談に乗ってくれるか
- 初回相談で納得感があるか(無理に急かさないか)

- 弁護士以外に頼れるところ
- 司法書士・法的な手続き支援を行う事務所もありますが、複雑な破産や再生、成年後見が関わるケースでは弁護士を選ぶことをおすすめします(法律相談・裁判所対応の幅が広いため)。

7. 今すぐできる対処法(相談前の初動)


- 新たな借入やカードの使用を止める。
- 督促書やSMSは保管して弁護士に見せる(削除しない)。
- 銀行通帳・年金の入金記録を用意する。
- 家族に事情を説明できるなら早めに相談(連帯保証人等がいる場合は特に重要)。
- まずは無料相談を申し込む(複数の事務所で意見と見積りを比較するのが安心)。

8. 最後に(行動のすすめ)


80歳だからとあきらめないでください。年齢が高くても、事情に合った債務整理の方法は必ずあります。特に「年金しかない」「資産がほとんどない」場合、自己破産(同時廃止)で生活再建が図れるケースは少なくありません。どの方法が最適かは、借入の内容・資産の有無・家族の状況・判断能力の有無などで変わります。

まずは、債務整理に慣れた弁護士の無料相談で現状を正確に伝え、複数案の見積りを出してもらいましょう。相談の際には、上に挙げたチェックリストを持参するとスムーズです。弁護士に相談することで、費用・期間、生活への影響を具体的に把握でき、安心して次の一歩を踏み出せます。

ご希望なら、相談時に使える「話す内容メモ」や「相談時に持参する書類リスト」を作ります。必要なら教えてください。


1. 自己破産の基本と80歳のケース — 「年をとってからの破産」はどう違う?

まずは正直に。自己破産とは「裁判所に申し立てて借金の支払いを免除してもらう(免責)」手続きです。年齢で門前払いされることはありません。高齢者が検討する主な背景は、長年の生活費や医療費、介護費、住宅ローンや消費者金融の返済が重なって返済負担が続き、年金収入だけでは対応できないケースです。

1-1. 自己破産とは?超ポイント
- 主な目的は「借金の免除(免責)」です。免責されれば原則としてその借金は返済義務がなくなります。
- ただし「全ての債務が免責されるわけではない」点に注意。税金や罰金、故意の不法行為に基づく損害賠償などは免責されないことがあります。
- 裁判所の手続きで、債務者の財産状況を調査されるため、財産は基本的に整理・処分されますが、生活に必要な最低限のもの(家具・寝具・日常衣類など)は原則残ります。

1-2. 高齢者が自己破産を検討する背景と現状
高齢者の破産は近年増加傾向にあります。背景には医療・介護費の負担、配偶者の介護負担で働けなくなったこと、生活資金の不足、持ち家や連帯保証の問題などが混在します。高齢での破産は「今の生活をどう守るか」「介護や医療はどうするか」をセットで考える必要があるのが特徴です。

1-3. 免責と同時廃止の違いをやさしく整理
- 同時廃止:債務者に処分すべき財産がほとんどなく、破産手続が開始されると同時に終わるような簡易なケース。手続きが早く、費用も抑えられることが多いです。
- 管財事件:財産が一定額以上ある、または事情が複雑で破産管財人(=財産を処理する第三者)の関与が必要だと裁判所が判断した場合に選ばれます。管財事件では破産管財人の調査や換価(売却)、債権者集会などがあり、時間と費用がかかります。

1-4. 80歳で破産するケースの典型と判断基準
典型的なケースは次の通りです(実務でよく見るパターンを抽象化)。
- 典型A:年金のみで生活しており、資産がほとんどない。消費者金融やカードローンの返済が困難 → 同時廃止が見込まれることが多い。
- 典型B:自宅に住宅ローンが残る、または不動産を所有している。相続絡みの債務がある → 管財事件となる可能性が高い。
- 典型C:借入が詐欺や浪費など不正な経緯で発生している疑いがある → 免責不許可事由に該当する可能性があり、審理が厳しくなる。

1-5. 生活保護・年金との関係性と注意点
- 公的年金は原則として差押禁止です。つまり、受け取っている年金そのものが直接没収されることは基本的にありません(ただし、預金口座に入った年金部分が他の預金と混ざっていると扱いが複雑になるため注意)。
- 生活保護を受ける場合、原則として生活保護は申請可能ですが、破産と同時に申請の可否や順序、資産処分の関係で手続きが変わるため、役所・弁護士と相談が必要です。
- 実際には「年金は基本的に守られるが、そのほかの金融資産や不動産が処分対象になることがある」というイメージがしっくりきます。

(ここまでで、まずは80歳でも可能であること、同時廃止と管財の違い、年金の保護の概略を示しました。以下で具体的な手続きや準備、注意点に移ります。)

2. 80歳でも進められる手続きの流れ — 実務ステップを順を追って理解する

2-1. 相談先の選び方と実務の第一歩
相談先として一般に次が挙げられます。用途ごとに使い分けると効率的です。
- 法テラス(日本司法支援センター):収入や資産が限られる場合、弁護士費用の立替や民事法律扶助の利用が可能。一次相談や紹介窓口としても便利。
- 弁護士事務所:免責の見込み判断や裁判所対応、管財事件での代理、複雑な資産処理に強い。高齢者の事情(介護、相続、医療費など)を踏まえた生活再建の提案が得意。
- 日本司法書士会連合会所属の司法書士:手続きのサポートや書類作成、一定範囲の代理業務で費用が比較的抑えられることがある。ただし、案件の内容や債権額によっては対応が制限される場合があります。

2-2. 事前に準備する書類と情報のリスト
裁判所や弁護士に持参すると手続きがスムーズになる書類の例です。できるだけ揃えておきましょう。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等)
- 年金受給証明(年金通知書、年金振込の通帳の写し)
- 借入一覧(消費者金融、カード会社、銀行、住宅ローンの契約書や請求書)
- 預貯金通帳(直近数年分が望ましい)
- 不動産登記簿謄本(登記事項証明書)、固定資産税の納付書
- 保険証券、車検証(自動車がある場合)
- 医療・介護費関連の領収書や診断書(高額医療費や介護が事情なら)
- 相続関係の資料(遺言、相続している財産の明細など)
このリストを持って、まずは法テラスか弁護士に相談しましょう。相談の段階で同時廃止が見込めるか、管財が必要かの概算が得られます。

2-3. 申立てから免責決定までのステップとスケジュール感
一般的な流れ(簡略):
- 相談・準備(1〜数週間):必要書類を揃え、申立書類を作成。
- 破産申立て(裁判所へ書類提出):申立受理後、同時廃止となる場合は比較的短期間で手続きが終了(数か月程度)。管財事件では数か月〜1年以上かかることもあります。
- 破産手続開始決定と財産の調査:管財事件では破産管財人が選任され、財産の換価や債権者への配当業務が行われます。
- 免責審尋(裁判所での聴取)→免責決定:免責決定が出れば原則として債務の返済義務はなくなります。免責決定後に一部の債権が免責除外となるケースもあるため、専門家の説明をよく聞きましょう。

2-4. 80歳以上での管財事件リスクとその対策
管財事件が選ばれる主な理由は「財産が一定額以上ある」「債務額が大きい」「債務が不正な手段で発生した疑いがある」などです。高齢者では次が特に注意ポイントになります。
- 不動産や預金がある場合、管財事件になりやすい。
- 家族名義であっても実質的に本人が管理していた資産は調査対象になりうる。
対策としては、事前に財産の「正確なリスト」を作る、相続や贈与の履歴を整理しておく、医療や介護関係の支出証明を用意することが有効です。弁護士と相談して「同時廃止の可能性を高める」ための資料整理を行う例はよくあります。

2-5. 申立費用・予納金の目安と資金準備のポイント
費用はケースごとに大きく変わりますが、目安は次のようになります(あくまで目安で、必ず担当の弁護士・裁判所で確認してください)。
- 申立てにかかる裁判所収入印紙・郵便切手等:数千円〜数万円程度
- 管財事件での予納金:ケースにより大きく異なるが、一般的には数十万円程度が必要になることが多い。目安として10万円〜50万円程度とされる場合がありますが、実際は裁判所が個別に決定します。
- 弁護士費用:着手金や報酬で数十万円の水準になることが多い。司法書士は弁護士より低価格の場合もあるが、対応範囲が異なるため注意。
費用負担が厳しい場合は法テラスの民事法律扶助の利用や分割払い、弁護士による減額交渉など選択肢があるため、初回相談で費用の見通しを必ず確認しましょう。

3. 年金・介護・資産への影響と注意点 — 「生活を守る」観点で考える

3-1. 年金収入と破産手続きの関係の基本
重要なポイントは「公的年金は差押え禁止である」ということです。つまり、日本の公的年金(国民年金、厚生年金など)は原則として差し押さえの対象になりませんので、受け取る年金自体が没収される心配は基本的にありません。ただし、年金が銀行口座に振り込まれ、そこに他の預金が混在していると銀行を通じた執行や処分の問題が起き得ます。破産手続では、年金の存在や使途をしっかり説明しておくことが重要です。

3-2. 不動産・自動車など資産の扱いと「特定財産」の概念
- 不動産:抵当権(住宅ローンなど)がついている場合、基本的には担保権者(銀行など)が優先されます。破産手続では、抵当権の範囲を超える純資産があれば換価される可能性があります。抵当権の価格と時価の差が重要です。
- 自動車:高価な車は換価対象となる場合がありますが、生活に不可欠な車でかつ値段が高くなければ残せることもあります。売却されるかどうかは価値の判断次第です。
- 特定財産:破産手続の中で「特定財産」として扱われることがあります。これは債務者が破産申立て前に行った贈与や処分が問題視され、取り戻しの対象になる場合もあるため注意。

3-3. 住宅ローンが残っている場合の扱いと今後の選択肢
住宅ローンが残る自宅をどうするかは大きな判断ポイントです。
- 住宅を手放す選択:抵当権が実行される、または破産管財人が売却して換価されるケース。売却でローン残高が残ると債務者側の責務に影響します。
- 住宅を残す選択:ローンを維持して支払い続けるか、第三者(家族)に所有権を移す交渉を行う方法があります。ただし、所有権移転が直前の贈与と判断されると「特定財産」として取り戻されるリスクがあります。
- 任意にローンを整理する方法:債権者と交渉して条件変更やリスケ(返済条件の緩和)を目指す方法もあります。専門家とよく相談しましょう。

3-4. 相続・遺産と破産の関係・相続人への影響
- 破産そのものは相続人に直接の債務を負わせるわけではありません。原則として「債務は故人の財産に限られる」が、相続開始前に連帯保証人になっていた場合などは影響が出ます。
- ただし、相続放棄や限定承認など相続手続きと組み合わせる必要があるケースもあります。高齢者で相続が近い場合は、破産と相続手続きの順序を誤ると不利益になるため、弁護士・司法書士と相談のうえ慎重に進めてください。

3-5. 医療費・介護費の支出と生活再建の現実的プラン
医療・介護で出費が大きい場合、まずは医療費の補助制度や高額療養費制度、介護保険サービスの活用をチェックしましょう。破産は借金のリセット手段ですが、破産後の生活維持に向けた現実的なプラン(介護サービスの見直し、住宅の選択、福祉制度の活用)を作ることが重要です。地域包括支援センターや市町村の窓口、社会福祉協議会の支援を活用するのが現実的です。

4. 取り得る選択肢と再出発の道 — 破産以外の道も含めた判断材料

4-1. 破産以外の選択肢(個人再生・任意整理など)の適用可能性
- 任意整理:債権者と直接交渉して利息のカットや返済条件の変更を目指す方法。収入がある程度見込める場合に向く。
- 個人再生(民事再生):住宅ローンを残して他の債務を圧縮する「住宅ローン特則」等を利用できる場合、住宅を残せる可能性がありますが、継続的な収入が前提です。高齢で年金しかないケースは適用が難しいことが多いです。
- 任意整理や個人再生は、破産とは異なり免責制度ではないため、返済計画が継続可能かがポイントです。

4-2. 生活再建に向けた具体的なステップ(支出の見直し、収入源の検討)
具体的には次のような手順が有効です。
- 家計の現状把握:毎月の収支、固定費(光熱費、住宅費、保険料など)、変動費を一覧化。
- 支出削減:保険の見直し、携帯料金や光熱費のプラン変更、不要なサブスク解約など。
- 収入の確保:年金以外に可能な在宅ワークや地域の就労支援、年金の繰下げ受給による増額の検討(制度上の可否を確認)。
- 社会資源の活用:生活福祉資金貸付制度、特別扶助、介護サービスの公的支援などを活用。

4-3. 破産後の生活設計と再就職・社会資源の活用
破産後も生活を維持するには、以下を考えます。
- 住まいの確保:賃貸に移る場合、保証人問題や信用情報の影響があるため、公共的住宅や高齢者向け住宅の相談を早めに。
- 福祉サービスの活用:障害や高齢を理由とした支援、福祉事務所の相談。
- 地域活動やボランティアでのつながり:生活の質の維持に役立つ。

4-4. 家族との関係性を保つためのコミュニケーションのコツ
家族に事情を説明する際は、以下がポイントです。
- 事実を整理して端的に伝える(借金の総額、毎月の返済額、年金収入など)。
- 感情的にならず、未来の生活設計(破産後の住まい、介護の手配)を一緒に描く。
- 法律的に相談に行く前に、家族で必要書類をそろえられるか確認してもらう。

4-5. 専門家と連携して進める実務の流れと注意事項
- 弁護士・司法書士との契約内容(費用・範囲)を明確にする。
- 重要書類はコピーを残す。提出後の控えを必ず受け取る。
- 免責についての説明を受け、どの債務が免責除外になるかを確認する。

4-6. 体験談(高齢者のケースに関する学んだこととアドバイス)
ここで紹介するのは複数の実務報告や相談事例を総合して整理した「典型例」です。個別の事例ごとに事情は異なりますが、共通して言えるのは「早めに相談することが最も重要」だという点です。初期段階で弁護士や法テラスに行ったケースは、同時廃止で済んだり、住宅ローンの処理を早めに整理して家族負担を軽くできたりと、選択肢が広がりました。逆に放置して債務が膨らむと手続きが複雑化しやすいです。心配ならまずは法テラスか地域の弁護士会の無料相談を利用してみてください。

5. 専門家の活用と実務の現場 Q&A・ケース解説 — 実務でよくある質問に答えます

5-1. 実務的な質問リスト:相談時に準備しておくべき情報
弁護士・司法書士に相談する際に聞かれる代表的な質問と、事前に準備しておくと良い情報:
- 借金の総額と債権者一覧(社名、残高、約定利率、最終返済日)
- 収入状況(年金の種類と金額、年金振込先口座の情報)
- 所有財産(不動産、預貯金、保険、自動車、株式など)
- 過去の贈与や相続の有無
- 医療・介護の状況(診断書や領収書)
これらがあると、初回相談で実務的な見通しが立てやすくなります。

5-2. 専門家の費用感の目安と費用を抑えるポイント
- 弁護士費用:着手金+報酬で数十万円が一般的。ただし事務所や地域、案件の複雑さで幅があります。
- 司法書士:弁護士より費用が抑えられるケースがあるが、業務範囲に制限があるため複雑な案件では弁護士の方が向いていることが多い。
- 費用を抑える方法:法テラスの利用、分割払い交渉、早期に資料を揃えることで作業時間を減らすなどがあります。

5-3. 法テラス活用の流れと受けられる支援
法テラスは初回相談の案内、一定基準を満たす場合の弁護士費用の立替や民事法律扶助の制度があります。利用条件は収入・資産状況によるため、電話か窓口で事前確認を。法テラスの活用で実際に手続きのハードルが下がるケースは多いです。

5-4. 実務ケースの簡易解説(代表的な80歳ケースの流れ)
ケースA(年金生活で借金あり、資産ほぼなし)
- 法テラスで相談→弁護士に依頼→同時廃止で免責(手続き数か月)
ケースB(自宅に住宅ローンが残る)
- 弁護士で住宅ローンの状況精査→抵当権の有無で管財判断→管財事件になれば不動産売却や抵当権処理の交渉が発生
これらはあくまで代表例。各人の資産状況や借入経緯で結果は変わります。

5-5. 連絡先ガイド:信頼できる専門家の探し方と紹介先
- 地域の弁護士会(日本弁護士連合会・各地の弁護士会)には無料相談の案内があることが多いです。
- 法テラス(日本司法支援センター)は初期相談や費用助成の窓口として活用可能。
- 日本司法書士会連合会は司法書士の紹介窓口を持っています。
具体的な名前を挙げると、東京近辺なら東京地方裁判所の破産部門に関する案内や、地域の弁護士会の高齢者向け相談窓口が参考になります。まずは法テラスか最寄りの弁護士会に相談を申し込むのが合理的です。

よくある質問(FAQ) — 気になる点を一問一答でスッキリ

Q1:年金が差し押さえられることはありますか?
A1:公的年金は原則差押禁止です。ただし銀行口座に振り込まれている場合、口座全体の扱いによっては手続きが複雑になることがあります。破産申立ての際に年金の振込先や使途を明示しましょう。

Q2:家族に借金がばれるのが心配です。家族に知られますか?
A2:破産手続自体は裁判所の公開手続きであり、債権者への通知が行われるため、場合によっては債権者から家族に連絡が行くこともあります。名義や居住状況によって違いがあるため、弁護士に相談して家族への影響を最小化する方法を検討しましょう。

Q3:破産すると年金以外に失うものは何ですか?
A3:高価な不動産や預貯金、自動車など換価可能な財産は処分される可能性があります。ただし、生活に必要な最低限の家財や支援は残ることが多いです。

Q4:破産後、再び借金はできますか?
A4:信用情報に登録されるためしばらくは新たな借入は難しいですが、免責決定後に生活の立て直しを図る選択肢(公的支援や少額の貯蓄での再出発)があります。

Q5:破産すると介護施設に入れなくなる?
A5:破産自体で介護施設入所が直ちに不可になるわけではありません。ただし入所の際に保証人や利用料金の支払い能力が問題になることがあるため、施設側と事前に相談する必要があります。

まとめ — まずは一歩踏み出すことが大事です

80歳だからといって、自己破産の選択肢が閉ざされるわけではありません。大切なのは「早く相談すること」と「情報を揃えること」。年金は基本的に守られる一方で、不動産や預貯金は処分対象になり得ます。生活保護や公的扶助、介護制度などと組み合わせて、破産以外の選択肢も含めて総合的に判断するのが賢明です。まずは法テラスや地域の弁護士会に連絡して、現状の整理と今後の選択肢の見通しを立てましょう。あなたの次の一歩が少しでも楽になるように、専門家と一緒に進めることをおすすめします。
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出典(参考にした主な公的情報・解説)
- 日本司法支援センター(法テラス)公式情報
- 東京地方裁判所(破産手続に関する案内)
- 日本弁護士連合会の破産・債務整理に関する解説
- 日本司法書士会連合会の手続き案内
- 各種法令(破産法、関係法規)に関する一般的な解説資料

(注)本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の法的判断は事案ごとに異なりますので、具体的な決定は弁護士・司法書士などの専門家に相談してください。

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