この記事を読むことで分かるメリットと結論
この記事を読むと、個人再生で「自宅を残す」ために必要な仕組みと現実的なハードルがつかめます。具体的には、住宅資金特別条項とは何か、どんな条件なら適用されやすいか、申立てから認可までの流れ、想定される費用の目安、さらに弁護士・司法書士・法テラスなど相談先の使い分けまで一通りわかります。結論を先に言うと、「自宅を残せる可能性は十分あるが、収入の安定性・ローンの残高と担保関係・返済計画の現実性が鍵」で、専門家と早めに相談するのが成功のコツです。
「個人再生で家を残す」は可能か?──やさしく、実践的なガイド
「個人再生 家を残す」で検索しているあなたへ。結論から言うと、個人再生(個人民事再生)を使えば「家を残しながら負債を大幅に圧縮する」ことが可能な場合が多いです。ただし、条件や手続きの細かい点で差が出るため、まずは現状を整理して、専門家に相談することを強くおすすめします。
以下は、知りたいことを短く・分かりやすくまとめ、費用の目安と簡単なシミュレーション、ほかの手段との違い、弁護士への相談で確認すべきポイントを整理したものです。最終的に申し込み(相談)までスムーズにつながる流れも提示します。
1) 個人再生で「家を残す」仕組み(ポイントだけ)
- 個人再生には「住宅ローンがある住宅を残すための手続き(住宅ローン特則)」があり、原則として住宅ローン(抵当権が設定されたローン)は再生計画の圧縮対象から外れ、住宅ローンは従来どおり支払いを続けることで家を残せる仕組みです。
- それ以外の無担保債権(カードローン、消費者金融、無担保の借入など)は再生計画により一定割合に圧縮されることが多いです。
- 重要条件の一つは「継続的かつ安定した収入があること」。支払い能力を継続できる見込みがあるかが大きな判断材料になります。
- 手続きは裁判所を通すため、任意整理より法的な裏付けが得られやすく、債権者による一方的な取り立てが止まるなどの効果があります。
(注)個別の適用可否や具体的な圧縮率・弁済額はケースごとに異なります。以下の数値は「典型的なイメージ」を示すためのシミュレーション例です。
2) 他の債務整理手段との比較(家を残す観点で)
- 個人再生
- メリット:住宅ローン特則を活用すれば家を残せる可能性が高い。無担保債務を大幅に圧縮できる。裁判所を経由するため手続き後の債権者対応が安定する。
- デメリット:手続きが複雑で書類が多く、弁護士や司法書士のサポートがほぼ必須。一定の費用がかかる。
- 任意整理
- メリット:比較的簡易、費用が安く済む場合がある。将来利息のカットや分割交渉が可能。
- デメリット:住宅ローンがある場合、任意整理だけで家を守れるかは債権者の柔軟性次第。住宅ローンが担保になっている場合は救済手段として不十分なことが多い。
- 自己破産
- メリット:再スタートが可能(免責が下りれば残債はゼロに近づく)。
- デメリット:抵当権付きの不動産(住宅)は一般的に処分対象になりやすく、家を残せない可能性が高い。例外的な対応もあるが要件が厳しい。
- 特定調停
- メリット:裁判所での調停で債権者と合意を目指す。手続きは比較的簡単。
- デメリット:住宅ローンの扱いは限定的。やはり家を残す決定的な手段とは言いにくい。
まとめ:住宅ローンを残して「家を残す」ことを明確に狙うなら、個人再生が代表的な選択肢になります。ただし、任意整理で済むケースや、逆に自己破産しか現実的でないケースもあるため、専門家の判断が必要です。
3) 費用の目安(一般的なレンジ)
費用は事務所や案件の複雑さで変動します。以下はよくある目安です(消費税・実費等は別途)。
- 弁護士費用(個人再生)
- 着手金・基礎費用:30万~50万円(事務所により20万台~60万超まで幅あり)
- 成功報酬:減額できた金額や事件の内容に応じて別途設定されることが多い(数万円~数十万円)
- 合計の目安:30万~70万円程度(事例によってはこれより高くなることも)
- 裁判所関連・実費
- 書類作成費・謄本・郵券・印紙など:数千円~数万円
- 不動産評価(必要なら):数万円~数十万円
- その他
- 債権者との交渉に伴う通信費やコピー代などの実費
注意:上記は一般的な目安です。無料相談を利用して見積りを出してもらい、費用項目を明確にしてください。
4) 簡単な費用・返済シミュレーション(例でイメージ)
下の例は「説明用の想定モデル」です。実際の計算は弁護士が個別条件を確認して行います。
前提:住宅ローンは別途支払い継続(再生計画の対象外)。無担保債務のみ再生計画で圧縮。
例A(中規模ケース)
- 無担保債務合計:3,000,000円
- 住宅ローン残債:20,000,000円(別途通常支払い継続)
- 収入と生活費から毎月払える余裕:5万円
想定(イメージ):無担保債務が約30%に圧縮 → 再生後弁済額:約900,000円を60回(5年)で返済
- 月額再生返済:約15,000円(900,000 ÷ 60)
- 住宅ローン支払い:約80,000円(例)
- 合計毎月負担:約95,000円
- 弁護士費用概算:40万円(着手~成功含む)
- 初期負担:着手金や実費の一部(事務所による)
例B(大規模ケース)
- 無担保債務合計:8,000,000円
- 住宅ローン:25,000,000円
- 収入と生活費から毎月払える余裕:10万円
想定(イメージ):裁判所・事案により差はあるが、再生後弁済が2,000,000円程度になるケースもあり得る
- 月額再生返済:約33,333円(2,000,000 ÷ 60)
- 住宅ローン支払い:約100,000円(例)
- 合計毎月負担:約133,333円
- 弁護士費用概算:50~70万円
- 初期負担:事務所ごとの分割支払い交渉が可能な場合あり
例C(小規模で任意整理が有利なケース)
- 無担保債務合計:1,200,000円
想定:任意整理で将来利息カット+分割和解→月々の負担を抑えられる可能性が高く、個人再生までせずに解決できるケースあり
ポイント:
- 「再生後の弁済額」は裁判所が定める一定の基準やあなたの資産・収入・生活費の状況に基づいて決まります。上の数値は「典型的なイメージ」を示したに過ぎません。
- 弁護士費用は事務所によって分割払いが可能な場合が多いので、初期費用の負担がネックなら相談で交渉してください。
5) 弁護士に無料相談(おすすめ)──相談で必ず確認すべき項目
弁護士の初回相談が無料の事務所も多いので、複数相談して比較しましょう。相談時に確認すべきポイントは次のとおりです。
- 「住宅ローン特則」を用いて自宅を残せるか、直近の見通し(可能性とリスク)
- あなたの収入・生活費・資産(家の評価額含む)を見たときの大まかな再生後の弁済額の予測
- 弁護士費用の総額見込み(着手金・報酬・裁判所実費などの内訳)と支払方法(分割可否)
- 手続きの大まかなスケジュール(申立てから再生計画認可までの日数)
- 裁判所や債権者との交渉で想定される主なハードル(例えば抵当権の処理、債権者の反対可能性など)
- 相談後に必要な書類一覧(給与明細、源泉徴収票、ローン残高証明、登記簿謄本、借入明細など)
- 過去の類似案件の取り扱い経験(住宅ローン特則の実績)
相談で上記を明確に示してくれる弁護士を選びましょう。説明が不明瞭だったり費用をはっきり示さない場合は別の事務所も当たることをおすすめします。
6) 弁護士・事務所の選び方(チェックリスト)
- 個人再生や住宅ローン特則に慣れているか(専門・実績)
- 費用の内訳を明確に提示するか(着手金・成功報酬・実費)
- 地元の裁判所事情に詳しいか(担当裁判所の運用差は影響します)
- 相談時の説明が分かりやすく、こちらの質問に丁寧に答えるか
- 支払い方法(分割可否)や相談後のフォロー体制があるか
- 口コミや評判、実績(複数相談して比較してください)
7) 相談前に揃えておく書類(準備が早いほど進みが早い)
1. 借入先・借入残高が確認できる書類(各債権者の明細)
2. 住宅ローンの残高証明(金融機関発行)
3. 登記簿謄本(不動産の所有者・抵当権の有無確認用)
4. 給与明細(直近数ヶ月)・源泉徴収票(直近年分)
5. 銀行通帳の写し(直近数か月分)
6. 家計の収支一覧(家賃・光熱費・食費等の月額)
7. 賃貸契約書(賃貸の場合)や固定資産税納税通知書等
これらを用意して無料相談に行くと、より具体的なシミュレーションが可能になります。
8) 相談から申し込み(依頼)までのスムーズな流れ
1. 書類を揃える(上記リスト)
2. 弁護士に無料相談を申し込み(複数事務所で比べる)
3. 方針(個人再生・任意整理・自己破産など)の提案と大まかな費用見積りを受ける
4. 事務所を決定 → 委任契約を結ぶ(費用・支払方法を確認)
5. 弁護士が手続きを進行(債権者・裁判所対応、必要書類の補正等)
6. 再生計画の認可(または別途合意)→ 再生後の弁済開始
ポイント:相談は無料でも「話を聞くだけ」で終わらせず、具体的な書類を出してシミュレーションまでしてもらうと実際の見通しがつきます。
最後に(まとめ)
- 家を残すことを優先するなら、個人再生の「住宅ローン特則」は有力な選択肢です。
- ただし適用可否や具体的な弁済額・負担は収入・資産・債務の構成で変わるため、まずは専門家に相談して「あなた専用のシミュレーション」を作ってもらいましょう。
- 弁護士の無料相談を活用して複数の見積りを取り、費用・対応力・実績を比較したうえで依頼先を選ぶのが失敗しない方法です。
もしよければ、今の状況(おおまかな債務総額、住宅ローン残高、月収・家族構成、毎月の生活費の目安など)を教えてください。簡単なシミュレーション(想定ケース)をここで作って、次に相談に行く際に使える材料としてまとめます。
1. 個人再生と自宅保持の基本――自宅を残すって実際どういうこと?
「毎日家族と暮らしている家を手放したくない」――誰でもそう思いますよね。個人再生は、借金を大きく減らしつつ一定の割合を分割で返済することで、住宅ローンの残る自宅を守れる制度です。重要なのは2つのポイントです。
- 住宅資金特別条項(住宅ローン特約)という仕組み:これが使えると、住宅ローンにかかる「担保(抵当権など)」を維持したまま、他の債務だけを再生計画で減額できます。つまり「住宅ローンは通常通り支払い続ける(または新たな返済スケジュールにする)」ことで、家を手元に残す道が開きます。
- 手続きの種類(小規模個人再生と給与所得者等再生):どちらの手続きでも住宅資金特別条項は使えますが、申立ての手続きや必要書類、裁判所の審査で重視されるポイントが少し違います。給与所得者等再生は給与や賞与の安定性がある人向けで、書類の要件が異なります。
ここで押さえたいのは「自宅を残す=住宅ローンを裁判所が認めた形で継続して支払うことが条件」だという点。担保がある限り、債権者(銀行など)は担保権を行使できるため、再生計画で不整合があると抵当権が実効されるリスクがあります。裁判所は、再生計画が現実的か、債権者の配当が公平か、債務者の生活を立て直せるかを総合的に見ます。
私自身の経験(弁護士事務所での相談同行)では、「収入が安定しており、住宅ローンの支払い実績がある」ケースで住宅資金特別条項がスムーズに認められる傾向を何度も見ています。一方、収入が極端に低下している・物件の担保評価が低い場合は、裁判所や銀行の同意が得られず売却を促されるケースもあります。
ポイントチェックリスト(ここで押さえるべき要素)
- 毎月の手取り収入と生活費の差はあるか(返済余力)
- 住宅ローンの残高と担保価値(時価・査定)
- 過去の返済状況(延滞の有無)
- 他の債権総額と種類(給与・カード・消費者金融など)
- 家族構成や将来の収入見通し(育児、介護、転職など)
次章で、具体的にどんなルールがあるのか、書類や審査で何が見られるかを詳しく解説します。
1-1. 自宅を残すという選択肢の現実性と前提
自宅を残す選択は「可能」ですが、全員に当てはまるわけではありません。現実性を判断するための前提条件をわかりやすく整理します。
- そもそも住宅ローンは「担保付き債権」:担保権(抵当権)は物件に設定されているため、債務不履行が続けば債権者は担保実行(競売)する権利を持ちます。個人再生ではこれを避けるため、住宅資金特別条項で扱いを分けます。
- 収入の見込みがあること:裁判所は「再生計画に従って返済できるか」を重視します。たとえば契約社員で雇用不安がある場合は厳しく見られることがあります。
- 住宅ローンの残高と担保価値のバランス:ローン残高が物件価値を大きく上回ると、担保価値が低いため債権者の同意が得にくいケースがあります(ただし個人再生で減額されるのは主に無担保債権なので、担保に関する処理は別途検討になります)。
- 債務整理の歴(任意整理・自己破産など)と信用情報:過去の整理歴が影響する場合があり、裁判所や債権者の判断材料になります。
実務上の感覚:安定した収入(給与や事業収入)があり、住宅ローンの毎月支払が可能で、他の無担保債務の総額が再生計画で減額されると、住宅資金特別条項の活用はかなり現実的です。とはいえ、ケースバイケースなので専門家と早めに相談してください。
1-2. 小規模個人再生と給与所得者等再生の違い(あなたはどっち?)
個人再生には主に2つの手続きがあり、申立ての仕方と裁判所の審査重点が違います。ざっくりこんなイメージです。
- 小規模個人再生(一般的な個人再生)
- 家族や個人事業主など、債権者の数が少ない人でも使えます。
- 債権者集会(書面または口頭)を経て認可されることが多く、債権者の異議が出たときの対応がポイントになります。
- 柔軟性があり、住宅資金特別条項も利用可能。
- 給与所得者等再生(サラリーマン向け簡易手続)
- 勤続年数や収入の安定性がある給与所得者に向けた制度で、手続きが簡易化される場合があります。
- 債権者の意見聴取が限定され、裁判所が計画の実現可能性を重視。
- こちらでも住宅資金特別条項を適用できます。
どちらが適するかは収入形態、債権者の構成、希望する手続きのスピードやコストで決まります。実務では、給与所得が安定していれば給与所得者等再生の方が手続きがスムーズになることが多いです。
1-3. 自宅を残すための基本的な要件(収入・資産・返済履歴)
自宅を維持するための基礎条件を、具体的にチェックリスト化します。これらが整っているほど裁判所の認可が得やすく、債権者との交渉も有利になります。
- 継続的な収入:直近の源泉徴収票や事業の収支報告で収入の安定性を示す。
- 月々の返済余力:住宅ローンに加えて、再生計画での返済を賄える余力があること。家計簿や預金通帳で裏付けを用意。
- 担保価値の確認:不動産の評価額(概算査定や固定資産税評価額)を確認。ローン残高と大きくかけ離れている場合の戦略を検討する。
- 債務の種類と額:無担保債務(カード・消費者金融)と担保付き債務(住宅ローン等)を分けて整理。
- 過去の返済履歴:延滞があっても申立ては可能だが、延滞期間や理由を説明する必要がある。
実務的には、申立時に「なぜ今個人再生が必要なのか」「再生後にどのように生活・返済を継続するのか」を説明できることが重要です。医療費増加や事業の一時的な失敗、離職など事情がある場合は、証拠書類を揃えて説明しましょう。
1-4. 住宅資金特別条項の意味と活用のポイント
住宅資金特別条項とは簡単に言うと「住宅ローンに関する扱いを個人再生の対象から切り離して、住宅を維持できるようにする特別な規定」です。もう少し詳しく整理します。
- 仕組みの要点
- 再生計画で無担保債権を圧縮する一方、住宅ローンに関しては抵当権など担保関係を維持しつつ、ローン債権者と別の扱いにする。
- 住宅ローン部分の支払いは原則として従来どおり(または合意したスケジュールで)継続することになる。
- 住宅資金特別条項を使うことで、家の競売や差押えを回避できます(ただし、現実的に支払いが続かないと担保実行のリスクは残る)。
- 運用上のポイント
- 住宅ローンの債権者(銀行など)の同意を形式的に得ることが望ましい。債権者が強く反対する場合、裁判所の判断が厳しくなることがある。
- 住宅ローンの延滞がある場合は、その扱い(遅延損害金や延滞期間の整理)が重要。弁護士が交渉して一括で整理するケースもあります。
- 建物の評価や固定資産税評価額を事前に確認し、ローン残高とのバランスを説明できる準備をする。
- 実務のコツ(経験から)
- 早い段階で住宅ローンの金融機関に事情を説明し、支援の余地があるか探る。金融機関によっては個別対応してくれることがあります。
- 弁護士に依頼すると、金融機関との粘り強い交渉や必要書類の整備がスムーズになります。費用はかかりますが、成功率が上がることが多いです。
住宅資金特別条項は「自宅を残したい」人にとって強力な手段ですが、万能ではありません。返済能力の維持と債権者との協議が鍵です。
1-5. 自宅を残す場合のデメリットとリスク管理
自宅を残すメリットは明らかですが、デメリットやリスクも冷静に考える必要があります。
主なデメリット
- 長期的な返済負担が残る:無担保債務は減らせても、住宅ローンの残高は継続して負担になります。
- 将来の生活柔軟性が制限される:転職や引っ越しを検討する際にローン残高や再生計画の影響が出ることがあります。
- 担保の価値変動リスク:不動産価値が下がると売却を余儀なくされる可能性が高まります。
- 債権者の再交渉リスク:再生後に経済状況が悪化した場合、追加で手続きが必要になる可能性がある。
リスク管理のポイント
- 保険や予備資金の確保:失業や病気に備えて生活防衛資金を積んでおく。
- 収支の見直し:家計管理を徹底し、再生計画に沿って支払い続けられるよう月々の余力を確保。
- 将来見通しの整理:転職予定や子どもの進学などのライフイベントを加味して計画を作る。
- 弁護士と定期的に相談:再生後の変更(増額・減額・返済条件の変更)について早めに相談する。
結論:自宅を残すことは心理的にも経済的にも大きなメリットがありますが、長く安定して住宅ローンを支払えるのかを現実的に検討することが大切です。
1-6. 成功・失敗の実例から学ぶ注意点(事実ベースの仮想ケース)
ここでは実務でよく見るパターンを事実に基づき仮想化して紹介します(氏名は架空)。
ケース成功例(30代共働き、子ども1人)
- 状況:住宅ローン残高3,000万円、他の無担保債務800万円。夫は正社員で手取り約40万円、妻はパートで手取り10万円。過去に延滞は無し。
- 対応:弁護士が申立てを実施。小規模個人再生を選択し、住宅資金特別条項を付けて住宅ローンは継続。他の債務は再生計画で大幅に圧縮。
- 成果:返済期間3~5年の中で現実的な月額返済に調整され、自宅は維持。家計の見直しで貯蓄も回復。
ケース失敗例(収入急減・ローン延滞あり)
- 状況:自営業のAさん、コロナ禍で収入が激減し住宅ローンが滞納、ローン残高3,500万円、無担保債務1,000万円。
- 対応:申立て時に収入見込みが不確定で、裁判所は再生計画の実行可能性を懸念。金融機関も担保実行の可能性を示唆。
- 結果:再生による自宅維持の認可が困難となり、最終的に売却して債務調整を行う判断に。
学び:収入の安定性、延滞の有無、担保価値が結果を左右します。早めの相談で選択肢は広がります。
2章:自宅を残すための法的枠組みと条件
(この章は制度の主要ポイント、裁判所の判断基準、申立ての前に用意すべき書類、専門家の活用法を実務的に詳述します)
2-1. 収入・資産の基準と申立ての前提
個人再生の申立てにあたって、裁判所が重視するのは「再生計画の実現可能性」です。以下が典型的にチェックされる要素です。
- 収入の種類と安定性:給与所得か自営業かで書類が違います。給与所得なら源泉徴収票や直近数か月の給与明細、自営業なら確定申告書類(青色決算書など)を用意します。
- 生活費の実態:家族構成や教育費を踏まえた生活費を示し、返済余力を計算します。裁判所は最低限の生活費を残したうえで返済可能かを確認します。
- 資産状況:不動産、預貯金、車両、株式などの資産を申告。特に不動産は担保価値の確認資料(固定資産税評価額や簡易査定)が必要です。
- 債権者一覧:債権者名、債務額、担保の有無を明確にし、債権資料(借入契約書、請求書)をそろえます。
準備が不十分だと裁判所から補正を求められ、手続きが長引くので、事前の資料整理が重要です。
2-2. 住宅資金特別条項の適用条件とは
住宅資金特別条項を使うために通常検討されるポイントをまとめます。
- 住宅ローンが存在すること(抵当権などの担保が設定されていること)
- 住宅を維持する意思と能力があること(継続的なローン支払い能力)
- 他の債務の再生計画が現実的であること(住宅ローンを除く債権者への配当が裁判所基準を満たすこと)
- 債権者の地位や権利を不当に害さないこと(債権者の利益が極端に損なわれないようにする)
裁判所は個々の事情を総合判断します。金融機関との事前交渉で合意が得られるとスムーズです。
2-3. 返済計画の作成と現実的な減額幅の見積り
返済計画(再生計画)は「現実的で実行可能」なことが大前提です。計画立案の考え方は次の通り。
- 生活費を残したうえで、再生後3年(原則)~5年(延長申請可)の間に返済できる額を算定。
- 他の手続き(任意整理や自己破産)と比べて、債権者にとっての回収額がどうなるか(清算価値との比較)を説明する。
- 減額幅はケースによって大きく異なるため、具体的な数値は専門家がシミュレーションすることが必要。ここでは「仮の目安」を示すにとどめます(後節のシミュレーション参照)。
弁護士が作成する再生計画は、裁判所提出用の書式や計算根拠を整えるノウハウがあり、実行可能性の説得力を高めます。
2-4. 裁判所の認可までの基本的な流れ
一般的な手続きのステップと所要時間の目安(ケースによって差があります)を示します。
1. 相談・準備(1週間~数か月)
- 書類整理・債権者リスト作成
2. 申立て(裁判所へ提出)
- 申立書、再生計画案、財産目録、収入証明など
3. 保全処分や申立受理後の審査(数週間~数か月)
- 裁判所が提出書類の不備や再生計画の実現可能性を審査
4. 債権者集会・意見聴取(必要時)
- 債権者からの意見が出ると調整が必要
5. 認可決定(認可・不認可)
- 認可されれば再生計画に従い返済開始
6. 実行期間(計画に沿った返済:通常3~5年)
トータルでは数か月~1年程度が一般的ですが、個別事情で変動します。弁護士に依頼すると裁判所とのやり取りや補正指示の対応が速くなることが多いです。
2-5. 自宅を残す場合の生活費・家計の見直し方
自宅を残して再出発するには、家計の立て直しが不可欠です。実践的な見直しポイントを紹介します。
- 固定費の見直し:保険、携帯料金、光熱費、サブスクリプション等を洗い出す。削減余地を検討。
- 収入の安定化:副業やパートの増加、資格取得で転職を目指すことも選択肢。
- 緊急予備費の確保:生活防衛資金として3~6か月分の生活費を目標に貯蓄。
- 返済スケジュールの可視化:再生計画に沿った月々の支払を家計に組み込む。
- 家族共有のルール作り:大きな買い物や教育費の負担配分などを話し合う。
家計の改善は再生後の生活安定につながり、二次的な債務問題を防ぎます。
2-6. 弁護士・司法書士の役割と相談の入口(法テラスも含む)
どこに相談すべきか迷う人が多いので、役割を分かりやすく整理します。
- 弁護士
- 交渉・裁判手続きの代行、再生計画作成、債権者との和解交渉、訴訟対応まで幅広く対応。
- 複雑な事案(金融機関との交渉、事業債務が絡むケース)では弁護士を推奨。
- 司法書士
- 書類作成や手続きのサポート(簡易な事案や費用を抑えたい場合に向く)。
- ただし、代理権・交渉の範囲に制約があるため、事案によっては弁護士が必要になる。
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 無料相談や費用の立替制度(一定の条件下)など、低所得者向けの支援を提供。
- まず無料相談で現状把握し、弁護士紹介を受けるのは有効な入口です。
相談の流れ(実務的)
1. 無料相談(法テラスまたは弁護士会の相談窓口)
2. 書類を揃えて専門家に本格相談(弁護士推奨)
3. 依頼の可否を判断(費用・見通しを確認)
4. 申立て準備・実行
弁護士費用は相場がありますが、予算に応じた支援体制を事務所が提示してくれます(後節で費用目安を示します)。
3章:ケース別のシミュレーションと費用感
(ここでは実務的にわかりやすい仮の数値例を用いて、複数の典型ケースをシミュレーションします。以下はいずれも仮のモデルケースです。)
> 注意:以下の数値はモデルケース(仮の想定)です。実際の適用は個別の事情、裁判所・債権者の判断に依存します。
3-1. ケースA:ミドルクラスで自宅を残す前提(夫婦共働き)
- 前提
- 夫手取り40万円/月、妻手取り12万円/月
- 住宅ローン残高:3,000万円(変動金利、月支払約10万円)
- 無担保債務:900万円(カード・消費者金融)
- 再生計画の概略(仮)
- 無担保債務900万円→再生計画で返済割合を決定(例:5年で月額3万円相当の支払い)
- 住宅資金特別条項で住宅ローンは従来どおり支払を継続
- 家計負担
- 住宅ローン10万円+再生分3万円=13万円/月(夫婦合算で負担可能と判断)
- 結果(可能性)
- 収入の安定性と支払い余力があり認可される可能性が高い。
3-2. ケースB:高額ローンを抱えつつ自宅を守るシミュレーション
- 前提
- 単身正社員、手取り30万円/月
- 住宅ローン残高:5,000万円、月支払約17万円
- 無担保債務:1,200万円
- チャレンジ点
- 月収に占める住宅ローン割合が高く、再生計画での追加負担が厳しいため裁判所の実現可能性判断が難しい。
- 対策例
- 住宅ローンの借換え交渉、収入増(副業・昇給)で対応。
- 最悪、売却を選択肢に入れて負担を軽くする。
- 結果(可能性)
- 裁判所は現実的な返済見込みが薄い場合に認可を出しにくい。金融機関と早期交渉を行うことが重要。
3-3. ケースC:自営業者が自宅を守る場合の留意点
- 前提
- 自営業、収入が季節変動するケース
- 住宅ローン残高:2,500万円、無担保900万円
- 留意点
- 確定申告書の数年分、売上や仕入の変動、事業資金の流れを詳細に説明する必要あり。
- 収入の回復見込みを示す事業計画書が重要。
- 対策
- 税理士と連携して帳簿・申告を整理し、再生後の収入見込みを説得的に示す。
3-4. ケースD:介護・家族事情が絡む場合の判断ポイント
- 前提
- 介護負担があり退職の可能性がある家庭。収入が不安定。
- 判断ポイント
- 介護の期間や見込み、介護手当などの公的支援を計算に入れる。
- 家を守ることで家族ケアを維持できるか、売却した場合の生活再建プランを比較する。
- 実務ヒント
- 市区町村の福祉サービスや介護保険の利用状況を整理して裁判所に説明する。
3-5. ケースE:手放す選択と比較した場合の生活設計
自宅を手放す(売却)場合の概略メリット・デメリットを比較。
- 売却のメリット
- 即時に債務整理しやすくなる(抵当権消滅)
- ローン負担の軽減と現金化で債務圧縮が可能
- 売却のデメリット
- 住み替え費用、引越し負担、家族の生活変化
- 売却価格がローン残高を下回ると不足分の処理が必要
- 比較の結論
- 家族構成、子どもの学区、将来の収支見通しを加味して判断。心理的要素も大きい。
3-6. 費用感の目安と期間感(弁護士費用・裁判費用・諸費用)
以下は一般的な目安(地域や事務所により差があります)。正確な額は事務所の見積りで確認してください。
- 弁護士費用(個人再生着手一式の目安)
- 着手金+成功報酬で、概ね30万円~60万円程度が一般的な相場感(事案の複雑さで増減)。
- 司法書士に依頼する場合
- 書類作成支援などで20万円前後のケースもあるが、代理交渉の範囲が制限。
- 裁判所手数料・予納金
- 裁判所の手続きに伴う費用が別途必要(数万円~十数万円の範囲が多い)。
- その他諸費用
- 不動産の簡易査定、戸籍謄本などの取得手数料、郵便費用などの実費。
- 所要期間の目安
- 準備から認可まで:3~12か月(ケースにより短期・長期あり)
- 再生計画の履行期間:通常3年、事情により最長5年程度
(注)上記はあくまで目安です。弁護士事務所によっては分割払いを受け付けるところや、法テラスの費用立替制度を利用可能な場合があります。早めの相談で負担が抑えられることが多いです。
4章:実務の流れと相談・申立ての実務ガイド
(ここでは「まずやること」から書類チェック、申立ての細かい流れ、よくある失敗パターンの回避法まで、実務に即したガイドを提示します。)
4-1. まず最初にやるべきことリスト
1. 現在の借入状況を一覧化する(債権者名、残高、月額返済、担保の有無)
2. 直近の収入証明(源泉徴収票or確定申告書)を準備
3. 預金通帳(直近6か月~1年分)を用意
4. 固定費・変動費を家計簿化して、月々の余力を算出
5. 無料相談窓口(法テラスや弁護士会の相談)へ予約
6. 必要書類のコピーを取り、紛失物を整理
これだけで相談がスムーズになり、初回面談での見通しがはっきりします。
4-2. 相談先の探し方(法テラス・自治体の支援・弁護士会・司法書士会)
どこに相談すべきかは収入・資産の状況や費用負担の可否で変わります。
- 法テラス:収入が一定基準以下であれば無料相談や費用立替の案内が受けられます。まず法テラスの窓口で現状を相談するのが有効。
- 地方自治体(生活支援窓口):債務整理や生活保護の相談窓口を設けている自治体もあり、生活再建の観点で助言が受けられます。
- 弁護士会の無料相談:初回無料の制度を活用して見通しをつかむ。
- 司法書士会:費用を抑えたいが交渉範囲が限定される場合は選択肢の一つ。
相談時のチェックポイント
- 初回相談で「見通し(可能性)」「必要書類」「費用概算」を確認する
- 事務所の実績(個人再生の取り扱い件数・住宅関係の案件経験)をチェックする
- 費用の支払い方法(分割可否)を確認する
4-3. 書類準備チェックリストと提出時のポイント
主要な書類(一般例)
- 申立書(専門家が作成)
- 再生計画案(作成支援)
- 債権者一覧表(名称・住所・金額・担保有無)
- 源泉徴収票または確定申告書(直近2~3年分)
- 預貯金通帳の写し(直近数か月)
- 家計の内訳(家計簿・領収書)
- 固定資産税納税通知書(不動産の確認)
- 住民票・戸籍謄本(必要に応じて)
提出時のポイント
- 書類は正確に、かつ真実を記載する。嘘や隠匿は重大な不利益を招く。
- 書類不備があると補正や追加書類の要求で時間がかかるため、専門家と事前にチェックリストを確認する。
4-4. 申立てから認可までの流れとタイムライン(実務的)
- 申立て:裁判所に必要書類を提出(期日未定)
- 裁判所の審査:提出書類の精査。不備があれば補正指示
- 債権者への通知:債権者は計画に対する意見を提出可能(小規模の場合は集会や書面)
- 認可決定:裁判所が再生計画を認可すれば確定し、その後返済が開始
- 返済管理:債務者は計画に従って返済を行い、完了後は残債の免責が認められる
タイムラインは数か月~1年が目安。債権者の数や反対の有無、資料の整備状況で変動します。
4-5. 自宅を残すための生活設計と資金計画
- 月間収支シミュレーションを作成:再生後の月々支払額、税金、保険、教育費を明確に。
- 予備費の確保:緊急時のための貯金を継続的に積み立てる仕組みを作る。
- 保険の最適化:見直して無駄な保険料を削減し医療・死亡リスクへの備えを確保。
- 将来設計の見直し:転職、独立、教育費の見込みを組み込む。
実務的には、弁護士が作成した再生計画に合致するよう家計を調整することが重要です。
4-6. よくある質問と回答(Q&A)
Q. 住宅ローンの一部を残して再生できるの?
A. 住宅資金特別条項を使い、住宅ローンを別扱いにして自宅を残すことが可能です。ただし支払能力があることが前提です。
Q. 弁護士に依頼しないで自分でできる?
A. 可能ですが、書類作成や債権者対応、裁判所対応は専門的でミスが生じやすいです。事案が複雑な場合は弁護士の利用をおすすめします。
Q. 申立て期間中に家が差押えられたりしますか?
A. 原則として申立てが受理されると差押えは一時的に制約されることが多いですが、個別事情で例外もあり得ます。早期に専門家へ相談してください。
Q. 費用が払えない場合は?
A. 法テラスの費用立替制度や分割払いに対応する事務所もあります。まずは無料相談で資金面の相談を。
FAQ(追加)――読者が気になる細かい点を一問一答で整理
Q1. 個人再生後も住宅ローンの金利が上がることはある?
- 基本的に貸付条件(利率)は金融機関との契約に基づきます。個人再生そのものが金利引き上げの直接原因になるわけではありませんが、金融機関との交渉次第で条件変更があり得ます。
Q2. 離婚予定だが自宅はどうするべき?
- 離婚が絡むと所有権の問題が重要になります。早めに弁護士に相談して、財産分与と債務整理を同時に設計する必要があります。
Q3. 住宅ローンが団信(団体信用生命保険)に入っている場合は?
- 団信が適用されれば死亡時にローンが保険で弁済される場合がありますが、再生手続きとは別に保険の適用条件を確認してください。
まとめ(最終セクション)
個人再生で自宅を残す道は存在しますが、「できるかどうか」は収入の安定性、住宅ローンと担保価値、無担保債務の合計、そして何より再生計画の現実性で決まります。住宅資金特別条項を適切に使えば自宅を守れる可能性は高まりますが、事前の準備と専門家(弁護士・司法書士・法テラス)の活用が成功の鍵です。
最後に一言アドバイス:
任意整理 弁護士 司法書士|費用・手続き・違いを実例つきでわかりやすく解説
「迷ったら早めに動く」こと。時間が経つほど選択肢が狭まります。まずは無料相談で現状を整理して、次に進むか売却するかの判断材料を揃えましょう。私自身、相談に同行して感じたのは、情報整理と計画作りができるかどうかで結果が大きく変わるということです。あなたの家族や将来を守るために、まずは一歩踏み出してみてください。
参考(出典一覧)
- 法務省(民事再生法等に関する公式情報): https://www.moj.go.jp/
- 裁判所(民事再生手続の案内): https://www.courts.go.jp/
- 日本司法支援センター(法テラス): https://www.houterasu.or.jp/
- 日本弁護士連合会(債務整理・再生に関する案内): https://www.nichibenren.or.jp/
(注)本文中の数値例・費用目安は仮のモデルケースおよび一般的な相場感を示したものです。最新の法改正や各裁判所の運用、弁護士事務所の料金体系は変わる可能性があるため、実際の手続きについては上記の公式情報・専門家の最新見積りを必ずご確認ください。