この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論:休職中でも「個人再生(小規模個人再生/給与所得者等再生)」は申立て可能です。ただし、裁判所は「再生計画の実現性(支払能力)」を重視するため、休職中の収入や復職見込み、傷病手当金や失業給付などを含めた現実的な返済シナリオを示すことが重要です。本記事を読むと、休職中に取るべき具体的な準備、必要書類、再生計画の立て方、住宅ローン特則の活用方法、主要銀行の実務対応の違い、専門家に相談する際のチェックポイントまで、実例と数値シミュレーションで理解できます。
「個人再生」を休職中に検討するあなたへ — まず知るべきことと費用シミュレーション
休職中で収入が不安定な状況だと、借金の返済がどれくらい厳しいか、そもそも「個人再生」が使えるのか迷いますよね。ここでは休職中の人がまず知りたい疑問に答え、代表的な選択肢との違い、費用や返済シミュレーションの例、相談前に準備すべき書類まで、弁護士への無料相談につながるようにわかりやすく整理します。
重要:以下は一般的な説明と例示です。個別の可否・金額は事情で大きく変わります。正確な判断・見積もりは弁護士に相談して確認してください(無料相談をおすすめします)。
1) まず結論:休職中でも「個人再生」はケースバイケースで可能だが注意点あり
- 休職が「一時的」で、復職の見込みがあるなら手続きの選択肢に入ることが多いです。個人再生は「将来にわたって継続的な収入が見込める」ことが前提になるため、復職予定や家族の収入などで計画的に支払える見込みがあるかが重要です。
- 無給で長期間にわたり収入が全く見込めない場合は、個人再生の成立が難しいことがあります。その場合は任意整理や自己破産といった別の選択肢を検討する必要が出てきます。
- 住宅を残したい(住宅ローンがある)場合、個人再生は「住宅ローン特則」を使って住宅を残すために向く手続きです。ただし休職中だと住宅ローンの継続支払能力もチェックされます。
要するに「休職中=NG」ではなく、休職の種類(有給か無給か、復職見込み)、家計の収入構成、資産や債務の内容で可否が分かれます。まずは無料の弁護士相談で具体的に診断してもらうのが早いです。
2) 個人再生と他の債務整理(任意整理・自己破産)の違いと、休職中に向くケース
- 任意整理
- メリット:裁判所を通さず、債権者と交渉して将来利息のカットや分割を目指す。手続きが比較的簡単で費用も安めなことが多い。
- デメリット:元本の大幅な減額は期待しにくい。債権者全員の合意が必要な場合も。
- 休職中に向くか:一定の返済能力が見込めれば有力。無収入で返済困難なら厳しい。
- 個人再生
- メリット:一定の要件を満たせば元本を大幅に圧縮できる可能性があり、住宅ローンを残して家を守る「住宅ローン特則」が使えるのが大きな利点。
- デメリット:裁判所手続きが必要で、手続き期間中の書類準備や審理対応が発生する。手続き費用(弁護士費用+裁判所費用)がかかる。
- 休職中に向くか:復職見込みや家族の協力で支払い可能なら向く。無収入が続くと認可が難しい。
- 自己破産
- メリット:免責が認められれば債務が免除される(生活保護等でどうしても支払えない場合の選択肢)。
- デメリット:財産処分や職業制限の影響があり、信用情報に残るなどのデメリットが大きい。
- 休職中に向くか:本当に返済不能で、再建の見込みがない場合の選択肢になる。
選び方の指針:
- 住宅を残したい → 個人再生が第一候補(ただし収入見込みが必要)
- 一時的な収入減で将来的には返せる見込み → 任意整理や個人再生を検討
- 完全に返済不能で再建が見込めない → 自己破産を検討
3) 費用と返済シミュレーション(例示) — 前提を明確にした上での「目安」
注意:以下は一般的な目安とシミュレーション例です(個別事案で差があります)。費用の内訳や減額割合は事案ごとに変わるので、正確な見積りは弁護士に無料相談して得てください。
想定される費用の内訳(目安)
- 弁護士費用(着手金+成功報酬):一般的に数十万円のレンジ(例:20万~50万円程度がよく見られる)。事務所により料金体系は異なります。
- 裁判所関係費用:数万円~数十万円程度(事案により変動)。
- その他実費(郵送費、書類取得費など):数千~数万円程度。
シミュレーション例(簡易)
前提条件を示して、イメージしやすくします。
- 再生期間:3~5年(例示)
- 減額率は事案によって幅があるため、以下は一例
例1:債務合計300万円(無担保債務のみ)
- 想定減額後の弁済総額:300万円→90万円(約30%に圧縮と仮定)
- 返済期間:60か月(5年)
- 月返済:約15,000円(90万円 ÷ 60)
- 弁護士費用+裁判費用合計の目安:25万~60万円(事務所・事案により差)
例2:債務合計800万円(住宅ローン別)
- 想定減額後の弁済総額:800万円→200万円(約25%に圧縮と仮定)
- 返済期間:60か月
- 月返済:約33,333円(200万円 ÷ 60)
- 弁護士費用+裁判費用合計の目安:30万~70万円
例3:債務合計500万円、休職で当面収入が減少しているケース
- もし復職の確実な見込みがある場合:個人再生で残額を200万円に抑え、36~60か月で返済する案が考えられる(毎月の負担は復職後の収入で調整)。
- ただし現時点で無収入が続くなら、個人再生が認められない場合があるため任意整理や自己破産の選択肢も検討。
(注)上の減額割合は一例です。実際の計算は裁判所・再生委員や弁護士とともに詳細に決めます。事務所によっては分割で弁護士費用を支払えるケースもあるので相談時に確認してください。
4) 休職中に弁護士に無料相談するメリット(そして相談時に確認すべきポイント)
なぜ無料相談をおすすめするか:
- あなたの休職理由・期間や家族収入、資産の有無などを踏まえて、個人再生が現実的かどうかを具体的に判断してもらえる。
- 費用見積り(弁護士費用・裁判所費用)や想定される返済額のシミュレーションを出してもらえる。
- 住宅ローンがある場合の取扱いや、休職による影響(審査でどう見られるか)を確認できる。
- 書類の準備方法や手続きの流れ、スケジュールも明確になる。
相談時に弁護士に必ず伝える・確認する項目
- 休職の種類(有給/無給)、休職期間、復職の見込み
- 現在の債務一覧(債権者、残高、遅延の有無、担保の有無)
- 住宅ローンの有無と残高、家族構成
- 収入の詳細(直近の給与明細、年金、失業手当、家族収入など)
- 希望(住宅を残したい/財産を残すか放棄してもよいか等)
- 弁護士費用の支払い方法(分割の可否など)
5) 手続きの大まかな流れと期間(目安)
- 相談・受任(弁護士が受任すると、債権者への取り立てが止まることが多い)
- 書類準備(債権資料、収入証明、資産証明など)
- 裁判所に申立て(個人再生の場合、再生計画案の作成)
- 裁判所の審理・再生委員の関与(案件により異なる)
- 再生計画の認可・実行(認可後、弁済開始)
一般的な所要期間:数ヶ月~1年程度(事案の複雑さによる)。休職中は書類の準備や収入の見込み確認で時間がかかる場合があるため、早めに相談することが有利です。
6) 休職中に取れる「今すぐできる」行動リスト(優先順)
1. 債務の総額と各債権者の一覧を作る(残高、遅延状況、金利、担保の有無)
2. 直近の給料明細や雇用関係の証明(休職通知、復職予定の書面など)を集める
3. 家計の収支を1か月単位で洗い出す(復職後の見込みも含める)
4. 弁護士への無料相談を予約する(複数の事務所で見積りを取るのも可)
5. 相談時に提示する書類を揃える(債務一覧、給与明細、通帳の写しなど)
6. 相談で示された方針(任意整理・個人再生・自己破産のどれが適切か)に従い手続きを進める
7) 相談したほうがよい「こんな状況」のチェックリスト
- 毎月の返済が苦しく、生活費まで圧迫されている
- 休職で収入が減り、返済が滞り始めている
- 住宅を手放したくないが返済が困難になってきた
- 借入先が複数あり、返済管理が難しい
- すぐに督促や差押えが始まりそう、あるいは始まっている
上記に当てはまる場合は、早めに弁護士に相談して選択肢を整理してください。
8) まとめ(これからの一歩)
- 休職中でも個人再生が選択肢になるケースは多いが、「収入の見込み」が重要な判断材料です。
- 住宅を残したい場合は個人再生が有効なことが多いが、休職の状況次第では認可が難しいこともあります。
- 費用は弁護士費用+裁判所費用で合計数十万円に上ることが一般的です(事案により上下します)。返済負担は減額後の総額を再生計画で分割する形になります。
- 最短で納得のいく方針を決めるために、まずは弁護士の無料相談を受け、具体的な見積りと手続きの流れを確認してください。
相談に行くときの持ち物リスト(まとめ)
- 債務一覧(借入先・残高・利率・遅延状況)
- 直近の給与明細(在職中なら)または休職に関する証明書
- 通帳または入出金明細(直近数か月分)
- 住民票や本人確認書類
- 住宅ローン関係の書類(ある場合)
もしよければ、今の状況(休職の種類と期間、債務合計の概算、住宅の有無など)を教えてください。入力いただければ、より具体的な次のステップ(相談時に聞くべき点や準備する資料)を一緒に整理します。
1. 休職中と個人再生の基本を押さえる — 休職でも申請できるのか?まずは仕組みを確認しよう
個人再生とは、民事再生法に基づく債務整理の一つで、裁判所に再生手続を申し立てて、借金総額を再生計画で減額・分割し、残額を原則3~5年で返済する仕組みです(「小規模個人再生」と「給与所得者等再生(サラリーマン向けプラン)」の2パターン)。休職中の方が気にするポイントは「収入がない・減っている状態でも申立てできるのか」と「再生計画は実現可能と判断されるか」です。
1-1. 個人再生とはそもそもの仕組みと目的
個人再生の目的は、破産ほど家計をゼロにするのではなく、現実的に返せる水準まで債務を圧縮して再スタートを可能にする点です。小規模個人再生は債権者の同意(承認)を得る方式が中心ですが、給与所得者等再生は安定した給与収入を前提に、原則として再生計画の履行を重視します。住宅ローンの「住宅ローン特則」を使えば、住宅ローンを別枠で継続しつつ他の債務を整理できます。
1-2. 「休職中」の収入状況が審査に与える影響
裁判所や再生手続関係者(弁護士、管財人)は「再生計画が履行可能か」を見ます。休職中で給与が止まっている場合でも、以下があればプラン作成の材料になります。
- 傷病手当金(健康保険からの給付)の受給実績・見込み
- 休職中でも受け取っている手当(休職手当、所得保障保険の給付など)
- 預金・資産の残高および家族からの支援の有無
- 復職の見込み(医師の所見、雇用主からの復職予定の文書)
裁判所は「将来の見込み」も考慮しますが、見込みだけでは弱く、書面や数字で裏付けることが重要です。
1-3. 休職中に考慮すべき再生方式の選択肢
小規模個人再生は債権者の同意を得るプロセスがありますが、給与所得者等再生は給与所得が前提のため、休職が短期で復職が見込める場合はこちらが向くケースもあります。休職が長期で不確実なときは、現状の収入を基に現実的な返済額を示せるかが判断基準になります。状況によっては破産のほうが現実的な場合もあるため、複数の選択肢を比較することが大切です。
1-4. 免責の条件と、休職中のリスク管理
個人再生は「免責」ではなく「再生計画の履行による債務の減額」がゴールです。免責(残債の免除)を得るのは破産手続きでの話ですが、個人再生では計画に従い支払えば、残債は免除されます。休職中のリスクは「収入が復活しない」「医療や介護が長引く」こと。そうしたリスクに備えるため、傷病手当金の受給可能性や、家計の支出削減、親族の支援、生活保護の要件なども確認しましょう。
1-5. 小規模個人再生と給与所得者等再生の違い
- 小規模個人再生:債権者集会での承認や、債権者ごとの異議が絡む。自営業やフリーランスにも適用。
- 給与所得者等再生:給与所得者が対象で、将来の安定した給与収入が前提。債権者集会が不要になる場合があるが、雇用の安定性が審査の焦点。
休職中は「給与所得者等再生」がすぐには選びにくいが、復職見込みと証拠があれば選択肢に入ります。
1-6. 住宅ローン特則の概要と適用の可能性
住宅ローン特則(住宅資金に関する特則)を使うと、住宅ローンは別個に扱われ、ローンを支払い続けることで住宅を維持できます。休職中で一時的に支払いが滞る場合、銀行の返済猶予やリスケ交渉と組み合わせる必要があります。重要点は「住宅ローンは計画の対象外」とされても、金融機関との別途交渉が不可欠なことです。
2. 休職中の収入で再生計画を作るコツ — 数字で示せば説得力が増す
休職中に申立てる際の肝は「数字で語ること」。裁判所や債権者にとって重要なのは、提出された資料で支払能力が納得できるかどうかです。
2-1. 収入証明の取り方と用意すべき資料
休職中でも用意すべき主要書類:
- 給与明細(直近数か月)および源泉徴収票(直近1~2年分)
- 雇用主の休職証明書・復職予定の文面(可能なら日付を明記)
- 傷病手当金の支給決定通知、保険組合の支給実績・見込み
- 預金通帳のコピー(直近6か月~12か月)、家計の収支表(実際の支出内訳)
- 各種借入の残高証明(金融機関発行)
これらを揃えると、休職期間中の収入源と将来の見込みを数字で示せます。
2-2. 現実的な返済額の算出と生活費の見直し
まず、手取り収入と非可処分所得(家賃・光熱費・食費・保険料等)を分けます。例:手取り15万円で家賃7万円、光熱費2万円、食費3万円、その他2万円なら残りは1万円。ここから再生計画での毎月返済額を決めるのは難しいため、家族の協力や一時的な支出削減、資産売却(不要な家電や車)なども検討します。再生計画では「最低限の生活費を確保したうえで返済可能な額」を示すことが不可欠です。
2-3. 休職中の支出削減・家計の立て直しの実例
実例:Aさん(独身、休職中、手取り12万円、家賃6万円)の場合、格安スマホへの変更で月3千円、保険の見直しで月7千円節約、食費を月2万円に抑えれば毎月1万5千円程度作れます。これを再生計画の返済に組み込むと、3年で54万円、5年で90万円の返済原資になります。数値は小さいですが、合算で弁護士との協議材料になります。
2-4. 債権者との交渉ポイントと連絡のコツ
債権者(カード会社・消費者金融・銀行)への連絡は「事前に弁護士経由で行う」「支払不能の状態を率直に伝え、法的手続を検討していることを予告する」ことが効果的です。債権者の反応は会社によって異なり、早めに連絡すると返済猶予や和解案が出ることもあります。交渉の際は、数値(毎月の支払い可能額、いつ収入が戻る見込みか)を示すと話がスムーズです。
2-5. 収入が戻る見込みの取り扱いとシナリオ作成
復職見込みがあるなら、医師の診断書や会社の復職見込みの文書を用意します。シナリオは複数用意しましょう(楽観シナリオ、中立シナリオ、悲観シナリオ)。裁判所には「現実性ある中立シナリオ」を示すのが有効です。例えば「半年で復職、給与水準は休職前の80%見込み」など具体的に。
2-6. 休職期間の長期化リスクと対処法
長期化リスク対応:
- 傷病手当金や所得保障保険の申請状況を確認
- 債務整理の別案(任意整理、破産)のリスク・メリット比較
- 家族支援や公的支援(生活保護、緊急小口資金など)の検討
長期化が見える場合は、個人再生以外の選択肢も含め弁護士と早めに検討するのが得策です。
3. 申し立ての流れと準備すべき実務 — 書類準備から裁判所手続までの現実的な道筋
ここでは申立て前に整理すべき実務と、弁護士や司法書士に依頼する際のポイントを解説します。
3-1. 申立て前の確認事項とリスクの整理
申立て前に確認すること:
- 借入先と借入残高の正確な把握(取引履歴・残高証明)
- 毎月の生活費と最低限必要な金額の算出
- 住宅ローンを残すか手放すか(住宅ローン特則の適用可否)
- 公的支援・家族支援の有無
リスクとしては、申立て後に信用情報に登録されることや、官報に掲載されること(一定の周知)がある点を理解しておきましょう。
3-2. 必要書類リストと取得のコツ
主な必要書類(目安):
- 身分証明(運転免許証・パスポート等)
- 住民票(世帯全員分の状況がわかる場合あり)
- 収入証明(源泉徴収票、給与明細、確定申告書)
- 休職証明・傷病手当金支給証明
- 借入先の残高証明(各金融機関発行)
- 預金通帳の写し(直近6~12か月)
- 固定資産証明(不動産登記事項証明書、固定資産税の納税通知書)
取得のコツは早めに金融機関へ問い合わせて「残高証明」を取り寄せ、雇用主に復職予定や休職期間の書面を依頼することです。
3-3. 弁護士・司法書士のメリットと選び方
弁護士のメリット:裁判書類の作成、債権者交渉、裁判所対応、複雑ケース(債権者が多い、住宅ローンがある等)に強い。
司法書士は簡易な債務整理や一定の代理が可能だが、民事再生の代理業務は弁護士の独占業務に近い場合が多い。選ぶ基準としては「個人再生の実績」「休職ケースの経験」「費用の明確さ」「対応の速さ」を確認しましょう。
3-4. 費用の目安と資金繰りの工夫
費用目安(事務所や案件により大きく差があります。あくまで一般的な参考値):
- 弁護士費用:着手金や報酬を含め30万円~80万円が一般的な幅(案件の複雑さで増減)
- 裁判所費用:事務手数料・予納金など数万円~十数万円の範囲(個別計算)
- その他:登記事項証明書や残高証明の取得費用、郵送費用等
資金繰りの工夫:分割払いに応じる弁護士事務所、法テラスの支援(要件あり)、親族からの一時的借入などがあります。
3-5. 手続き期間の目安と生活設計の組み方
手続き期間の目安:申立てから再生計画認可まで一般に半年~1年程度かかります(ケースの混雑具合や債権者の反応により変動)。申立て後は、当面の生活設計を立て、収入復帰を目指しつつ支出管理を厳格にします。認可後は再生計画に沿った返済期間(通常3~5年)に合わせた家計管理が必要です。
3-6. 申立て後の生活設計と注意点
申立て後は信用情報機関に手続情報が載る場合があるため、新たな借入は原則できません。生活費は再生計画に優先する生活費を確保し、計画通りに支払っていくことが肝要です。また、再生計画の内容に重大な変更(収入増減等)が生じた場合は、計画変更の申立ても検討します。
4. 住宅ローン特則・家計の見直し — 住宅を残したいならここが肝心
住宅を残したい人にとって住宅ローン特則は重要な選択肢。ここでは実務ポイントと銀行別の対応の違い例も含めます。
4-1. 住宅ローン特則の基本と要件
住宅ローン特則は、住宅ローンを再生計画の対象から除外し、ローンは従来どおり支払い続けることで住宅を維持する仕組みです。要件としては、住宅が生活の基盤であること、ローンの支払い見込みがあること、金融機関との調整が可能であることなどが挙げられます。
4-2. 適用の実務的ポイントと注意点
- 銀行は「別枠での取り扱い」を求めるため、返済遅延があると事前にリスケ協議が必要
- 住宅ローンの延滞・差押えがある場合、金融機関は厳しい対応をとることがあるため、早期連絡が重要
- 再生計画が認可されても、銀行側の同意が必要な場合がある(個別の事情で対応が異なる)
注意点として、住宅ローンが別枠であっても、将来的に返済が続けられない場合は最終的に任意売却や競売のリスクが残ります。
4-3. 実務ケースでの銀行別対応の違い(例:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行)
金融機関ごとに内部の債権管理担当や支店対応が異なります。一般的傾向として:
- 三菱UFJ銀行:大手ゆえに本部の判断が入ることが多く、支店単位での柔軟な調整より本部基準での審査が重視されます。事前に本部担当との調整を行うとスムーズになる場合があります。
- みずほ銀行:支店と本部の連携が比較的密なため、支店から本部へ早めに事案を上げると個別の猶予措置が取られることがあります。
- りそな銀行:リスケや任意整理の経験が豊富な支店があり、担当者によっては柔軟な対応が得られやすいです。
ただし、これはあくまで実務上の傾向であり、どの銀行も最終的には回収可能性を重視します。事前に弁護士を通じて交渉するのが安全です。
4-4. 返済負担の軽減と月々の見直し例
例:住宅ローン月額8万円、その他ローン3万円、生活費12万円のケースで所得が一時的に15万円になった場合、生活費の見直し(外食・通信費・保険)で月3万円節約し、銀行とリスケ協議で住宅ローンの返済猶予や一時的な元金据置を得られれば、再生計画で月3万円を他債務返済に回すことが可能になります。数値に基づいたライフプランを銀行に提示することが鍵です。
4-5. 住宅ローン以外のローン対応の考え方
自動車ローンや奨学金、消費者金融等は再生計画の対象となることが多いです。自動車が業務上必要でない限り、売却や名義変更も検討対象になります。奨学金は返済猶予や免除制度がある場合もあるため、まずは貸与機関に相談を。
4-6. 将来設計とローンの組み直しのコツ
再生計画認可後、一定期間は信用情報に手続情報が残るため新規ローンは困難です。将来の住宅ローン組み直しを見据えるなら、認可後の返済履歴を良好に維持し、可能であれば住宅ローン以外の債務を早期に整理して信用回復を図ることが重要です。
5. ケース別ペルソナの解決策とリアルなシミュレーション — 数字で見ると選択肢が見える
ここではペルソナごとにシミュレーションを提示します。全て仮定ですが現実的な数値で解説します。
5-1. 32歳・休職中のサンプルケース:借入300万円のケース
前提:Aさん(32歳・正社員だが病気で休職中)、借入合計300万円(カード・消費者金融)、手取り現状12万円、傷病手当金で月12万円受給中、復職見込み6か月後にフル復帰見込み。
シミュレーション:傷病手当金を含め家計を見直し、毎月の最低生活費を10万円と算出。残り2万円を再生計画返済に充てれば5年で120万円の返済原資。裁判所での現実性を示すため雇用主の復職予定書と傷病手当金の受給証明、過去の給与明細を提出。結果として小規模個人再生で債務圧縮が可能なら、残りは減額され月額返済負担が軽くなるケースが多いです(数値は事例により変動)。
5-2. 41歳・休職中・共働き家庭のケース
前提:Bさん(41歳・主な収入源は共稼ぎだがBさんは休職中、配偶者はパートで手取り18万円)、本人借入500万円、住宅ローンあり。
シミュレーション:家計合算で見ると配偶者収入で当面の生活は維持できるが借入返済は難しい。住宅ローン特則を利用しつつ、個人再生で消費者債務を圧縮するのが現実的。配偶者の収入と家計分担を数値化して提出することで裁判所の理解を得やすく、再生計画の履行可能性を示せます。
5-3. 48歳・自営業・休職中のケース
前提:Cさん(48歳・自営業で休業中、事業収入ゼロ、借入800万円)、預金少、将来の事業再開見込み不透明。
シミュレーション:自営業で収入見込みが不透明な場合、個人再生は厳しくなることがあります。任意整理や最悪の場合は個人破産が検討対象となるケース。だが、事業再開の明確な計画と新規収入見込み(見込み案件の契約書等)があれば個人再生で再建できる可能性もあります。事業再生の観点からも弁護士や税理士と連携したプラン作りが不可欠です。
5-4. 55歳・介護休職中のケース
前提:Dさん(55歳・介護休職中、給与減少、借入200万円)、復職見込みは不明。
シミュレーション:年齢と復職の不確実性を踏まえると、再生計画の返済期間を最大の5年に設定して現実的な返済額を提示するか、破産手続で生活再建を図る選択も検討。公的支援(介護休業給付金等)の確認も行い、短期的な生活資金の公的制度活用を優先するケースが多いです。
5-5. 休職期間延長時のシミュレーションと対処
休職が延びるケースでは、再生計画の再作成や計画変更申立てを検討します。例えば当初の計画で月3万円の返済を見込んでいたが、休職延長で収入が減少した場合、弁護士に相談のうえ裁判所へ計画変更申立てを行い、支払条件の変更を求めます。裁判所は事情を勘案しますが、変更が認められるかは個別事情次第です。
5-6. 共通ポイントと避けたい落とし穴
共通して言えること:
- 書類で裏付けできる収入見込みを作ること
- 早めに専門家へ相談し選択肢を比較すること
避けたい落とし穴:申立てを急ぎすぎて不完全な書類で出す、銀行連絡を怠る、債務の把握が不十分なまま手続きを進めるなど。冷静に数字で示すことが最も説得力があります。
6. 専門家への相談と依頼時のコツ — 誰に頼む?何を聞く?
専門家選びは結果に直結します。休職中の特殊事情を理解している専門家を選びましょう。
6-1. 相談先の種類と選び方(弁護士・司法書士・法テラスの使い分け)
- 弁護士:個人再生、破産、複雑ケースに対応。法廷対応・金融機関折衝が可能。
- 司法書士:一部の簡易な債務整理で対応可能だが、個人再生は弁護士が中心となることが多い。
- 法テラス(日本司法支援センター):経済的に困難な場合に無料相談や費用立替制度が利用可能(要件あり)。
休職で収入が減っている場合、法テラスでの初回相談→弁護士紹介→条件に応じた支援という流れが実務上よくあります。
6-2. 料金体系の確認ポイントと費用目安
確認ポイント:
- 着手金・報酬の内訳(裁判所対応費用・書類作成費等の有無)
- 成果報酬(債務圧縮割合に応じるタイプか)
- 分割払いの可否
費用目安は前述の通り、弁護士費用で30万円~80万円程度が一般的。事務所によりキャンペーンや分割対応があるため、数事務所に見積りを取ることをおすすめします。
6-3. 事前準備の徹底リスト
弁護士相談前に用意しておくと良い資料:
- 借入先名・借入残高・最終弁済日がわかるもの
- 収入証明(源泉徴収票、給与明細、傷病手当金の証明)
- 預金通帳の写し(直近6か月)
- 住宅ローンの残高・返済明細
- 雇用主の休職・復職に関する文書(ある場合)
6-4. 相談時に必ず確認する質問集
- 「私のケースで個人再生が適切か?」
- 「費用の総額はいくらになるか?分割は可能か?」
- 「住宅ローン特則は使えるか?銀行との交渉はどう進めるのか?」
- 「手続きにかかる期間の目安は?」
- 「申立て後の生活で気を付ける点は?」
これらは事前にメモにして相談時に確認してください。
6-5. 成功率を高めるための準備と心構え
成功率を上げるには「書類の充実」「現実的な返済計画」「早めの相談」の3点が重要です。心構えとしては、最初から完璧を求めず、専門家と一緒に計画を練る姿勢が吉。誠実な対応(資料提供や債権者への連絡)も評価されます。
6-6. 依頼後のサポート体制の確認
依頼後は、担当者との連絡手段、連絡頻度(週1回・月1回等)、緊急時の対応方針を確認しておくと安心です。また、進捗を書面で受け取れるかどうか(メールでの報告、書面交付)も確認しておきましょう。
7. よくある質問と実務上のQ&A — 休職者が特に気にするQ&A
7-1. 休職中でも申立ては可能?
はい。ただし「再生計画の実現性」が最重要です。休職中でも傷病手当金や休職手当、復職見込みを裏付ける書面があれば申立ては可能です。ケースによっては破産のほうが妥当な場合もあります。
7-2. 収入が戻った場合の扱いはどうなるか?
再生計画が認可されると、原則その計画に沿って返済します。収入が増えた場合でも自動的に返済額が上がるわけではありませんが、余裕があるなら前倒し返済や繰上げ返済をすることで信用回復につながります。重大な事情変更があれば計画変更申立ても可能です。
7-3. 家族への伝え方と影響は?
家族に説明する際は「事実」「今の生活設計」「再生後の計画」を整理してわかりやすく伝えましょう。配偶者や同居家族の借金でない限り、個人再生は申立人の債務に限定されます(連帯保証や共同名義は別途影響あり)。
7-4. 官報掲載についての基本知識
個人再生の事実は官報に掲載されることがあります。官報は公的な情報源であり、閲覧可能です。職場や近隣に知られるリスクを気にする方はこの点を事前に専門家と相談しましょう(全ての情報が詳細に載るわけではありませんが、手続きの公示は行われます)。
7-5. 再申立てが必要になるケースは?
再生計画の履行が不可能になった場合、計画変更申立てや最悪の場合は免責や破産手続に移行するケースがあります。収入減や重大な家計事情変化があれば速やかに弁護士に相談し、対応策を検討します。
7-6. 休職中の借金と同居家族の責任範囲
借金が個人名義であれば基本的に同居家族の返済義務はありません。ただし、連帯保証人になっている場合や共同名義のローンがある場合は同居家族にも影響が及びます。契約書の確認が必須です。
8. 実務的なまとめと今後の一歩 — まず何をするか(チェックリスト)
8-1. まずやるべき優先順位
1. 借入先と残高の正確な把握(一覧化)
2. 収入・支出の現状把握(家計簿で直近6か月を確認)
3. 必要書類の収集(源泉徴収票・休職証明・傷病手当金通知等)
4. 法テラスや弁護士事務所へ相談予約
5. 住宅ローンがあるなら銀行へ早めに連絡(弁護士経由が望ましい)
8-2. 受けられる支援・公的制度の最新情報
休職中は傷病手当金、雇用保険(求職給付や雇用調整助成金は対象外のことがあります)、生活福祉資金貸付制度、緊急小口資金などの公的制度の確認が重要です。これらは生活安定策として有効に使えます。
8-3. 専門家に相談するベストタイミング
「借金が返せない」と感じた段階で早めに相談するのがベスト。特に休職が長引きそう、または住宅ローンがある場合は早期相談が有利です。申立ての準備は時間がかかるため、余裕をもって動きましょう。
8-4. 手続き開始までのチェックリスト
- 借入先一覧作成
- 収入証明書類(源泉徴収票、給与明細)収集
- 休職証明書・傷病手当金の確認書類取得
- 預金通帳コピー(6~12か月分)準備
- 弁護士との面談予約・見積り取得
8-5. よくある誤解と正しい理解
誤解1:「休職中は絶対に個人再生できない」→事実ではない。実現性を示せれば可能。
誤解2:「個人再生すれば全ての借金がゼロになる」→再生計画に従い支払えば残債が免除されるが、計画自体は支払い能力に応じたもの。
誤解3:「一度手続きを始めたら何もできない」→状況の変化に応じて計画変更可能な場合もある。
まとめ — 休職中でも、「準備」と「数字」が味方
休職中の個人再生は「できない」わけではありません。重要なのは、裁判所や債権者に納得してもらえる現実的な返済計画を「数字」で示すことです。傷病手当金、休職手当、雇用主の復職見込み、家族の支援など、可能な財源をすべて洗い出して書類で裏付ける。弁護士への早めの相談で選択肢(個人再生・任意整理・破産)を比較し、最も生活再建に適した方法を選びましょう。
一言(体験談)
私が取材したあるケースでは、休職中でも雇用主からの復職確約書と傷病手当金支給証明が決め手になり、個人再生で認可が下りた事例がありました。逆に、復職の見込みが不確かなまま申立てを急いだケースでは、裁判所から追加資料を求められ、手続きが長引いたこともあります。まずは落ち着いて資料を整え、専門家と一緒に戦略を組み立てることをおすすめします。
次の一歩
- 今すぐやる:借入一覧と直近6か月分の預金通帳、給与明細を集める
- 相談する:法テラスか弁護士事務所に相談予約を入れる(初回相談の可否を事前に確認)
- 考える:住宅を残すかどうかの優先順位を家族と話し合う
任意整理 パートで迷わない選択と手続きの全体像|費用・流れ・影響を徹底解説
出典(参考資料)
- 法務省「民事再生法」に関する解説ページ
- 最高裁判所/各地裁の手続案内(個人再生の実務)
- 日本弁護士連合会:債務整理に関する一般的ガイドライン
- 法テラス(日本司法支援センター):相談対応情報、費用支援制度
- 三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行:住宅ローンの債務整理に関する実務案内(各行の公表資料)
(注)本文中の数値や事例は一般的な目安・シミュレーションです。最終的な手続き判断は個別事情に依存します。最新の法制度や銀行対応は変更される可能性があるため、必ず専門家に確認してください。