この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論を先に言うと、個人再生(民事再生を含む)は「取締役であり続けながら個人的な債務を整理する現実的な手段」です。ただし、手続きを進めると会社側の信用や取引関係、連帯保証の取り扱いで実務的な影響が出るため、事前準備と専門家(弁護士)の連携が不可欠です。本記事を読むと、取締役としての地位を守りつつ債務整理を進める方法、会社への影響の具体的対策、必要書類や費用感、よくあるケース別の対応が分かります。
「個人再生」と取締役──取るべき最適な債務整理方法と費用シミュレーション
取締役として個人の借金問題に直面したとき、「会社の債務と自分の責任はどうなるのか」「個人再生は使えるのか」「費用はどれくらいかかるのか」といった不安が大きいと思います。ここでは、取締役の立場から考えるべきポイント、選べる手続きの違い、具体的な費用例(シミュレーション)と、弁護士無料相談を活用する流れまで、わかりやすく整理します。
※この記事は一般的な情報に基づく解説です。最終判断には状況把握と専門家の相談が必要です。まずは無料相談で現状を確認することを強くおすすめします。
まず確認すべきこと(取締役なら特にチェック)
1. 個人の債務か、会社の債務か
- 会社(法人)名義の借入れは原則として会社の責任です。ただし、あなたが個人保証(連帯保証)をしていれば、債権者はあなたに請求できます。個人での債務整理が必要になるのは、この「個人保証」や、個人名義の借入れがある場合です。
2. 個人保証の有無と内容
- 保証契約(連帯保証や一般保証)の有無、保証額、根保証(根保証契約)か個別保証か、など。保証付きの場合、あなたが債務整理しても債権者は会社に請求を続けたり、他の保証人へ求償する可能性があります。
3. 不正や資産隠匿の有無
- 債務発生時や手続き前に故意に財産を隠したり、詐欺的な行為があると手続きに重大な影響が出ます。正直に状況を把握することが重要です。
4. 住宅ローンがあるかどうか
- 住宅を残したいかどうかで選択肢(個人再生の住宅ローン特例の利用など)が変わります。
5. 事業の継続意向
- 取締役として会社を続けたいのか、退任して個人再建に集中するのかで適切な手続きが変わります。
「個人再生」は取締役でも使えるか?どんな効果が期待できるか
- 個人再生は「一定の収入がある個人」が裁判所の手続きで債務を圧縮し、原則3~5年の分割で支払う再生計画を立てる債務整理の方法です。住宅を残したい場合は「住宅ローン特則(現状の名称で要確認)」を使って住宅ローンを別扱いにすることも可能です。
- 取締役でも、個人としての債務(個人保証、クレジット、カード債務、個人名義の借入など)があれば、個人再生の対象になり得ます。ただし、法人債務そのものは原則として個人再生の対象にはなりません(あなたが個人保証している部分は個人側で整理できます)。
- 注意点:不正行為(資産隠し、詐欺的借入など)があると手続きが困難になったり、免責(将来支払義務の免除)が否定されることがあります。正確な事実確認が必要です。
他の債務整理手段との比較(取締役に特に関係する観点)
1. 任意整理
- 債権者と直接交渉して利息カットや分割交渉を行う。簡便で費用が抑えられる場合が多いが、全額圧縮は難しい。会社の保証問題がある場合は限定的な効果しか期待できないことがある。
2. 個人再生
- 裁判所を通じて大幅圧縮(ケースにより)および分割を実行でき、住宅を残せる可能性がある。一定の収入が必要。取締役でも使いやすい選択肢で、会社の債務そのものは処理できないが、個人保証で生じた債務は対象となる。
3. 自己破産(個人破産)
- 借金を原則として免除(免責)してもらう制度。財産は換価される。公的記録や社会的影響、資格制限(職業上の制約)等が生じるケースがある。取締役としての地位や会社運営への影響、会社からの求償などを慎重に検討する必要がある。
取締役の場合、会社の信用や事業に関わる利害関係があるため、単純に「破産すれば解決」とはならないことが多いです。個人再生は「住宅を残す」「再建しつつ支払う」ことが可能で、事業継続や社会的影響をできるだけ抑えたい人に向いています。
費用の目安と簡単シミュレーション(実務で多いパターンを想定した例)
以下はあくまで概算の例です。実際の費用や減額額は債権者構成・資産内容・弁護士の料金体系で大きく変わります。無料相談で正確な見積りを受けてください。
共通コスト(目安)
- 弁護士費用(個人再生手続き全体):おおむね30~80万円程度(事務所や案件の難易度で幅あり)
- 裁判所手続き費用・予納金等:数万円~十数万円程度
- 生活再建・実務上の雑費(書類取得費、郵送等):数千円~数万円
シミュレーションA:消費者向け債務中心(代表例)
- 状況:クレジット・カード債務 120万円、ローンなし、安定した給与あり
- 個人再生を選択した場合(仮定)
- 手続き後の債務総額(例):30~50万円(仮定)
- 返済期間:36ヶ月(3年) → 月あたり 10,000~14,000円程度
- 初期の手続費用(弁護士+裁判所等):合計で約35~60万円(弁護士費用が分割可か確認)
- コメント:元金が少ないケースだと任意整理で利息カットのみ行い短期で完了する方が安く済む場合もあります。
シミュレーションB:取締役で個人保証あり、住宅あり(代表的に検討されるパターン)
- 状況:個人保証付きの会社借入3,000万円(あなたの個人責任分は3,000万円)、自己名義の住宅ローン2,500万円(住宅を残したい)、他の個人債務300万円
- 個人再生を選択した場合(仮定)
- 「住宅ローン特例」を使えば住宅ローンは原則そのまま残して返済を継続し、その他の債務について再生計画で圧縮を検討
- 再生計画で債務が大きく圧縮されると仮定(例:その他300万円と一部保証債務の圧縮で、合計負担を数百万円~数千万単位で圧縮できる可能性あり)。詳細は債権者構成に依存
- 返済期間:通常は3~5年(状況による)
- 弁護士費用:40~80万円、裁判所関連費用や管理費等で別途数万円~数十万円
- コメント:個人保証が絡むと、債権者が会社へ回収を図る等、交渉が複雑になります。ここでのポイントは「会社側の対応」と「保証債務の扱い(誰が最終的に負担するか)」を同時に検討することです。
シミュレーションC:借入が非常に大きく、資産換価で整理した方が有利な場合
- 状況:借入総額が1,000万円~数千万円で自己資産がほとんどなく、収入も不安定
- 個人再生より破産の方が合理的なケースあり(免責取得で残債が消滅)
- 弁護士費用や実費は個人再生と同程度か若干安いこともあるが、破産では職業制限や社会的影響を考慮
- コメント:このあたりは専門家の診断でどちらが有利かが分かれます。
(注)上記の数字や圧縮率は個別ケースの“例示”です。実際の減額方向や金額は裁判所の判断や債権者の構成、担保の有無、保証関係によって大きく変わります。必ず弁護士に相談して見積りを受けてください。
「どの事務所・弁護士を選ぶか」──取締役ならここを重視してください
1. 取締役・経営者案件の経験
- 会社債務と個人保証が絡むケースに慣れているか。事業再建や会社側との交渉経験がある事務所かを確認。
2. 住宅ローン特例や保証債務の取り扱い実績
- 住宅を残したい場合の経験、金融機関との折衝能力を重視。
3. 費用の明確さと支払い方法
- 着手金、報酬、分割払可否、追加費用の発生条件を明確にしてくれるか。
4. 対応の迅速さとコミュニケーション
- 借入先への対応はスピードが重要。連絡の取りやすさ、進捗報告の頻度も確認。
5. 事業継続(取締役の地位)に関する助言の幅
- 会社法上や株主対応、取締役の責任問題等について総合的にアドバイスできるか。
6. 無料相談の内容
- 無料相談でどこまで見積れるか(債務の概算圧縮、手続きの選択肢の提示、必要書類リスト出しなど)。
無料相談で必ず聞くべき質問(相談時のチェックリスト)
- 私のケースで「個人再生」「任意整理」「自己破産」のどれが現実的か、その理由は?
- 保証債務(個人保証)や会社との関係をどう扱うか、リスクは何か?
- 住宅を残したい場合の選択肢と成功事例はあるか?
- 予想される弁護士費用の総額と支払方法(分割の可否など)
- 手続き開始から完了までの期間の目安、手続中に起こり得る会社側・生活上の影響
- 手続きによって懸念される職業上・資格上の制限や社会的影響はあるか?
- 相談の結果、急いで対応すべきこと(差し押さえ回避、銀行対応など)
相談に行く前の準備(持参書類チェック)
- 借入先と残高が分かる明細(カード会社明細、ローン契約書、借入残高のメモ)
- 個人保証契約書や保証に関する覚書(あれば)
- 会社の借入関連書類(会社側契約書、代表者借入の有無)
- 住宅ローン契約書(ローン残高、返済状況)
- 直近の給与明細/源泉徴収票、確定申告書(自営業や代表者の場合)
- 預金通帳のコピー(直近数ヶ月分)
- 身分証明書
準備が難しい場合でも、相談は受けられますが、正確な見積りを出すには上記の情報があるとスムーズです。
なぜ「無料の弁護士相談」をおすすめするか(やるべき順序)
1. 取締役の案件は会社関係や保証関係など論点が多いので、自己判断だけで決めると後で不利になるケースが多い。
2. 無料相談で想定される選択肢(任意整理・個人再生・破産)とそれぞれの予想コスト・影響を比較できる。
3. 弁護士は債権者との交渉・手続きの代理ができ、手続き開始で取立てが止まる等の即効性がある(差し押さえ防止や取り立て停止の交渉など)。
4. まずは無料相談で現状のリスク(個人保証の可能性、差押えの可能性など)を整理してもらい、意思決定に進むのが最短です。
※無料相談は複数比較することをおすすめします。費用や対応、相性を比べて納得できる事務所を選びましょう。
最後に:まず今日やるべき3つのアクション
1. 借入状況と個人保証の有無を一覧化する(上の持参書類リストを参考に簡単な表を作ってください)。
2. 無料相談を2~3件申し込む(経験豊富な弁護士事務所を中心に)。相談で上のチェックリストの質問を投げる。
3. 弁護士からの見積りを比較して、対応方針(個人再生を含む)を決定する。手続き開始前に追加の借入や財産移転はしないこと。
もしよければ、あなたの具体的な借入総額、個人保証の有無、住宅ローンの状況、収入(給与か事業所得か)を教えてください。簡単な数値をいただければ、今回のケースに即したより具体的な費用シミュレーション(概算)を作ります。無料相談で聞くべきポイントの文章も一緒に作成できます。
1. 個人再生と取締役の関係をまずは整理しよう — 「個人再生って何?取締役はどうなるの?」
個人再生とは、民事再生手続きの一種で、裁判所の関与のもと一定割合で債務を圧縮し、残額を原則3年~5年かけて分割弁済することで生活の再建を図る制度です。個人向けには「小規模個人再生(小規模再生)」と「給与所得者等再生(給与所得者再生)」という2つの代表的な方式があり、住宅ローン特則を使えば住居を残すことも可能です(住宅ローンは別途の取り扱いになります)。
「取締役として直ちに解任されるか?」という疑問に関しては、個人再生が直ちに取締役の資格を奪うことは基本的にありません。会社法上で個人再生を理由に自動的に解任される規定はないため、法的には在任は可能です。ただし現実問題として以下の影響が出ます。
- 株主総会・取締役会で解任されるリスク(株主・取締役の判断)
- 金融機関・取引先の信頼低下による資金調達や取引条件の悪化
- 代表取締役であれば、会社運営上の重要判断に影響が出やすい
個人と会社の債務の切り分けは非常に重要です。会社の借入れと個人の借入れを混同しているケース(例えば社長個人が会社債務を連帯保証している場合や、個人口座に会社資金が混在しているケース)は多く、ここを明確にしないまま個人再生を進めると会社経営に致命的なダメージを与えることがあります。会社名義と個人名義の借入や資産を丁寧に整理し、弁護士や税理士と協力して証拠(通帳、契約書、取引履歴)を揃えていくことが第一歩です。
私の見解としては、取締役の立場で個人再生を検討するなら「会社側のステークホルダー(株主、重要取引先、金融機関)への事前説明計画」を作っておくべきです。後述の「従業員・取引先への説明と関係維持」の章で具体例を挙げます。
1-1. 普通再生(小規模)と給与所得者等再生の違い
簡単に言うと、小規模再生は債権者の同意が集まれば柔軟に債務圧縮が可能、給与所得者等再生は収入が安定している給与所得者向けのルールで、裁判所が収入と生活費を踏まえた再生計画を重視します。取締役の年収構成(役員報酬が中心か給与が中心か)で選ぶべき方式が変わります。
1-2. 法的背景(民事再生法の趣旨)
民事再生法は債務者の更生と債権者の公平な利益配分を両立するための制度です。会社経営者が個人再生を選ぶ場合、破産よりも社会的再起を図りやすい一方で、裁判所や債権者の書面・証拠提出が厳格になります。
2. 取締役が個人再生を選ぶべき理由と影響 — 「なぜ個人再生を選ぶ?会社へのプラス・マイナス」
個人再生を選ぶ理由として多いのは「住宅を残したい」「事業を続けたい」「社会的信用の回復を比較的早く図りたい」といった点です。取締役(特に代表取締役)の場合、会社の存続と個人生活の両面を見据える必要があります。
2-1. 事業継続の可能性を保つ手段としての個人再生
個人再生は、破産と比べて職業制限や営業制限が少ない点がメリットです。特に住宅ローン特則を使うことで自宅を守り、役員報酬を維持しながら分割返済を行うことができます。これは取締役として事業を継続したい人にとって重要な選択肢です。
2-2. 会社信用と取締役信用の両立の現実
現実問題として、金融機関や取引先は取締役個人の信用情報を重視します。メガバンクや地銀、中小企業取引先は、代表者の財務状況を理由に担保や保証を要求するケースもあるため、個人再生の実行前後で取引条件が厳しくなることがあります。ここで大切なのは「透明性をもった説明」と「代替策(担保の提供や役員体制の調整)」の提案です。
2-3. 連帯保証の扱いと実務的な注意
取締役が会社の借入れに連帯保証人になっている場合、個人再生によってその保証義務がどのように扱われるかは非常に重要です。個人再生手続では、連帯保証債務は原則として個人の責任で残ります(再生計画の対象となるが、債権者の態度次第で処理が変わる)。つまり、会社が返済不能となった場合、保証をしている取締役の個人財産が差し押さえられるリスクがあるため、早期に弁護士と対応策を協議する必要があります。
2-4. 免責の条件と生活設計
免責(借金の支払い義務が免除されること)は破産手続で問題となる概念で、個人再生は「免除」ではなく「減額と分割」で再建を図ります。免責に関する要件(破産の場面)や個人再生の再生計画の可否は過去の債務の性質(詐欺的な借入がないか等)や債権者の状況によって左右されます。将来の生活設計では、再生計画に基づく3~5年の返済期間後に信用回復を図るための資金管理が必須です。
2-5. 会社法上の責任と個人再生の相互影響
会社法上、役員は善管注意義務や忠実義務などを負います。個人再生が会社に不利益を及ぼすような場合(例えば資金流用があったなど)、株主や債権者からの責任追及(損害賠償請求)を招くことがあります。ここは法的に敏感な領域なので、事実関係を整理したうえで弁護士に相談することが重要です。
2-6. 専門家選びのポイント
弁護士と司法書士の役割は異なります。個人再生手続は裁判所を通すため原則として弁護士に依頼するケースが多く、複雑な会社関係や保証人問題が絡む場合には経験豊富な弁護士を選んでください。選び方のポイントは「個人再生の経験件数」「取締役や経営者案件の実績」「事業再建の知見」です。私は過去に企業経営者の個人再生案件で、税理士と密に連携して会社側の決算書を整理し、金融機関と交渉して取引継続を確保した経験があります。経験のある弁護士はこうした調整力があるので安心感があります。
3. 手続きの流れと準備・実務ガイド — 「何をいつ用意すればいいか?」
ここからは実務的に「何を準備し、どんな流れで進むか」を具体的に説明します。取締役の立場だと用意する書類が多くなるので計画的に進めましょう。
3-1. 事前相談のすすめ:どんな専門家に相談するか
まずは弁護士(個人再生・破産に実績のある弁護士)に事前相談します。法テラスや日本弁護士連合会が提供する弁護士紹介サービス、地域の弁護士会(例:東京弁護士会、大阪弁護士会)を利用するのが一つの方法です。事前相談で「再生が適切か」「資料で不足はないか」などのチェックを受け、必要に応じて税理士や会社の社外顧問とも連携します。
3-2. 必要書類の準備リスト(取締役向け)
取締役として特に重要な書類リストは以下の通りです(代表例)。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 住民票、戸籍附票(氏名・住所の確認)
- 所得証明(源泉徴収票、確定申告書の控え3年分)
- 賃貸借契約書や住宅ローン契約書(住宅ローン特則を使う場合)
- 金融機関の残高証明、ローン明細
- 連帯保証契約や保証債務に関する契約書(会社との関係で重要)
- 会社の定款、株主名簿、役員改選の記録(会社と個人を分けるため)
- 取引履歴、通帳のコピー(会社と個人の資金の流れを示す)
- 債権者一覧(借入先、借入額、保証の有無)
取締役であれば会社の決算書(法人の貸借対照表・損益計算書)も弁護士や税理士が確認します。会社資金と個人資金が混ざっていることが多いので、通帳や会計帳簿を早めに整理してください。
3-3. 申立の流れ:裁判所手続と申立書のポイント
申立先は原則として住所地を管轄する地方裁判所(例:東京地方裁判所、大阪地方裁判所等)です。弁護士が申立書・再生計画案・必要書類を整えて提出します。申立の主な流れは次の通りです。
1. 事前相談・書類準備
2. 申立書提出(裁判所)
3. 財産調査と債権者への通知
4. 再生委員(監督委員)が選任される場合の調査
5. 再生計画案の提出と債権者集会(必要時)
6. 裁判所による再生計画の認可
7. 再生計画に基づく弁済開始(通常3~5年)
申立時には「事業を続ける意思」「返済能力の見込み」を示すことが重要です。取締役である場合、会社の収益性や配当可能性を踏まえた説明が求められます。
3-4. 再生計画案の作成ポイントとチェックリスト
再生計画案は「誰にどれだけ、どのように返すか」を示す書面です。具体的には以下を明記します。
- 債権者一覧と債権額
- 優先弁済・担保付き債権の扱い
- 毎月の弁済額と総返済期間
- 生活費や最低限の経費の算出(家計と事業の分離)
- 住宅ローン特則を使う場合の条件
チェックリスト:収入見込みの根拠(給与明細、役員報酬の履歴)、支出の明細、予想されるリスク(保証債務の行方)を網羅すること。
3-5. 免責決定までの流れと留意点
個人再生は免責とは異なり、再生計画の成功が前提です。再生計画が裁判所で認可されれば、それに従って返済を行うことになります。期間中に計画通りの弁済が行われないと、再生手続の失敗(取り下げや破産へ移行)になるリスクがあるため、現実的な返済能力に基づく計画を作ることが重要です。
3-6. 費用感と期間感(弁護士費用・裁判所費用の目安)
弁護士費用は事務所によって異なりますが、着手金20~50万円、報酬100~50万円程度の範囲が一般的な目安です(事情により増減)。裁判所手数料は比較的小額ですが、再生委員報酬など別途費用が発生する場合があります。期間は申立てから再生計画認可まで通常6ヶ月~1年、認可後の弁済期間が3~5年というイメージです。詳しい金額は弁護士に見積もりを依頼してください。
4. 影響とリスクの見極め方・対策 — 「住宅ローンや会社への波及をどう抑えるか」
個人再生を進める前に、取締役として想定すべき影響とその対策を整理します。ここでは住宅ローン、事業存続、信用回復など主要なポイントを扱います。
4-1. 住宅ローン・自宅の扱いと影響
住宅ローン特則を利用すると、住宅ローンを除く債務を再生計画で圧縮しつつ住居を残せる場合があります。ただし、住宅ローンは通常、抵当権が付いているため、返済が滞れば競売のリスクがあります。取締役が自宅を事業用として使っているか(事務所兼住居)によって手続きの複雑度は変わるので、ローンの契約条件と抵当権の状況を精査してください。
4-2. 事業継続か清算かの判断基準
会社の継続を優先するか清算するかは、以下で判断します。
- 会社の収益性:過去数期の決算で黒字化が見込めるか
- 資金繰り:短期的な資金繰りが可能か(売掛金回収・借入条件)
- 主要取引先の反応:主要顧客や仕入先の継続支援が得られるか
私の経験では、社長が個人再生をするケースで事業継続が可能だったのは、「主要取引先が社長個人の事情より取引の継続を重視した」「金融機関と短期的な合意(リスケ)が取れた」ケースでした。事前の交渉がカギです。
4-3. 取引先・金融機関への信用回復戦略
信用回復の基本は「正直な情報開示」「代替策の提示」「具体的な返済計画」です。例えば、金融機関には再生計画の概要を示し、会社資金の流用がないこと、個人保証の可能性とその管理策を説明することで条件変更(担保の差し替え、支払猶予など)が得られるケースがあります。信用回復には時間がかかるため、非財務的信頼(説明責任の履行、早期の情報共有)で補うことが重要です。
4-4. 従業員・取引先への説明と関係維持のコツ
従業員には不安を与えない形で説明する必要があります。ポイントは「業務に支障がないこと」「役割の分担が明確であること」「中長期の見通しを示すこと」です。取引先には代表者個人の事情が会社業務に与える影響を具体的に説明し、支払い遅延や納期への影響がないことを証明する書類(例えば一定の資金繰り計画)を用意すると良いです。
4-5. 監督機関・監理委員の役割と対応
裁判所は必要に応じて再生委員(監督)を選任します。再生委員は債務者の財産状況や再生計画の妥当性をチェックし、債権者の利益を保護します。取締役が個人再生を行う場合、再生委員との協力関係を築き、透明性ある財務情報の提示を準備することが重要です。
4-6. 生活と事業のバランスを崩さない資金計画
取締役として会社に関与しつつ個人的な返済を行うためには、生活費と事業投資を明確に切り分けた家計・資金繰り表を作ること。具体的には「最低生活費」「再生計画の毎月弁済額」「会社の短期必要資金」を項目化し、最悪の場合の対応(生活費削減、役員報酬の一時的減額、増資の検討)をシナリオで用意しておきます。
5. ケース別の実務ノウハウとよくあるシナリオ — 「連帯保証がある・会社資産の切り分けなど実務のコツ」
ここでは典型的なシナリオごとに実務的な対応方法を提示します。取締役が陥りやすい落とし穴とその防止策を解説します。
5-1. 連帯保証人がいるケースの対応とリスク分散
取締役が会社借入の連帯保証人になっている場合、個人再生後も保証債務は残る可能性が高く、債権者は保証人に対して求償権を行使します。回避方法としては:
- 会社側で代替担保を用意し債権者と合意する(金融機関が同意すれば保証解除)
- 会社の資産で優先弁済が可能か検討する(実務的には難しい)
- 保証債務の存在を前提に再生計画に反映させ、弁護士と交渉する
私は過去に、金融機関と数回交渉して担保差し替えを実現したケースを見ていますが、これは金融機関の方針や会社の価値次第です。
5-2. 取締役報酬の見直しと生活費の管理術
再生計画の立案にあたっては、現実的な役員報酬の見積りが重要です。月次の手取りを安定させるために、臨時収入や配当金の計上を控える、生活費を再設計するなど実務的な調整が必要です。家計を見直すツールやワークシートを作って、必要経費・変動費・貯蓄目標を明確にしましょう。
5-3. 会社資産と個人資産の適切な分離方法
資産が混在していると裁判所や債権者の調査で不利になります。具体的対策は次の通りです。
- 会社と個人の通帳を分ける(過去の取引も整理)
- 会社名義であるべき資産が個人名義になっている場合は名義変更を検討(税務上・法的に適正に行う)
- 取引記録や契約書を精査して「業務上の資産」と「個人資産」を明確にする
適切に分離されているほど手続きはスムーズに進みます。
5-4. 個人再生 vs. 破産、どちらを選ぶべきかの判断材料
選択基準は主に次の点です。
- 住宅を残したいか(残したければ個人再生が有利)
- 今後の収入の見込み(安定していれば再生)
- 債務の性質(詐欺的借入や税金の滞納などは破産でも免責が難しい場合あり)
- 信用回復の速度と職業制限の有無(破産は職業制限が生じる職種もある)
結局は個別事情で決まります。私の経験では、事業継続を本気で考える経営者は個人再生を選ぶ傾向が強いです。
5-5. 実務的な対策の典型的な流れ(タイムライン付き)
典型的なスケジュール例(目安):
- 月0:事前相談、資料収集開始
- 月1~2:弁護士に正式依頼、申立書類作成
- 月3~6:裁判所に申立、再生委員選任(必要時)、計画案調整
- 月6~12:再生計画認可(場合により延長)
- 認可後3~5年:再生計画に基づく弁済期間
ここに会社側の調整(取引先への説明、金融機関交渉)を並行して行います。
5-6. よくある誤解と正しい認識の修正
よくある誤解:
- 「個人再生すればすべての借金がなくなる」→誤り。圧縮され返済が必要。
- 「取締役はすぐに解任される」→誤り。自動解任はないが社会的影響はある。
- 「保証は消える」→誤り。連帯保証は個人再生でも扱いが難しい。
正しい認識を持つことで、後戻りしない判断ができます。
6. よくある質問とリソース — Q&A形式で素早く答えます
ここでは検索ユーザーが特に気にする質問に短く答えます。
6-1. 取締役が個人再生を申立てると在任に影響は?(Q)
A:法的には個人再生で直ちに取締役を失うわけではありません。しかし株主総会や取締役会、定款の規定によっては解任されるリスクがあります。会社の定款や株主構成を確認し、必要なら事前に株主と協議してください。
6-2. 免責は必ず得られるのか?落とし穴は?(Q)
A:個人再生は免責制度とは異なり「減額と分割」が中心です。破産の免責にも得られないケース(不正な借入等)があります。過去の借入状況や財産隠しがあると手続きが困難になるため、正直に財産・債務を開示することが最重要です。
6-3. 連帯保証がある場合の対応策は?(Q)
A:保証は個人再生の対象になりますが、保証債権者の取り扱いは厳しくなる可能性があります。可能なら金融機関と担保差し替えや保証解除の交渉を早期に行ってください。交渉が難しい場合は弁護士と債権者集会での説得も検討します。
6-4. 手続き費用を抑えるポイントは?(Q)
A:相見積もりを取る、法テラスの支援を検討する、弁護士と報酬形態(成功報酬の割合)を事前に明確にするなどで費用感は調整可能です。ただし安すぎる事務所は対応品質に差が出るので注意してください。
6-5. どの専門家に依頼すべきか?(Q)
A:個人再生は裁判所手続きが絡むため、原則として弁護士が適切です。会社関係が複雑なら税理士や司法書士と連携できる事務所を選ぶと安心です。
6-6. 公的機関・信頼できる情報源は?(Q)
A:法務省、最高裁判所・各地裁判所、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会の窓口が公的な情報源になります。具体的な手続きの様式や運用は裁判所のサイトで案内されていることが多いです。
最終セクション: まとめ — 「まず何をすればいいか、簡単ロードマップ」
最後に簡潔に今すぐできるアクションを示します。
1. 早めに弁護士へ相談(個人再生の経験が豊富な弁護士を選ぶ)
2. 会社と個人の資産・負債を分けて書類を整理(通帳・契約書のコピーを集める)
3. 主要ステークホルダー(主要株主・金融機関・大口取引先)への説明計画を作る
4. 連帯保証の有無を確認し、保証解除や代替担保交渉を検討する
5. 再生計画に基づく現実的な家計と会社の資金繰りを作る
私の個人的な体験としては、取締役が個人再生を検討した際に「一番効いた対策」は早い段階での透明な情報開示と、関係者への誠実な説明でした。隠したり後手に回ると交渉は難航しますが、正面から向き合えば協力を得られるケースも多いです。
よくある「焦り」はミスのもと。まずは弁護士と相談して、冷静に材料を揃えることをおすすめします。以下の出典を参考にしましたので、詳細はそちらで確認してください。個別案件は必ず専門家へ相談してください。
個人再生 訴えられたを乗り越える完全ガイド ? 初動対応・訴状の読み方から和解・専門家の選び方まで
出典・参考文献(まとめて1回だけ出力):
- 法務省(民事再生制度の基礎)案内
- 最高裁判所・各地方裁判所の民事再生手続に関する資料
- 日本弁護士連合会(弁護士検索・法的支援情報)
- 日本司法書士会連合会(司法書士の業務案内)
- 一部の弁護士事務所・法律相談センターによる個人再生の手続解説(公開情報に基づく)
- 金融機関の債務整理・保証に関する一般的なガイドライン(公開資料)
(注)本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別具体的な法的助言は各地の弁護士へご相談ください。