この記事を読むことで分かるメリットと結論
この記事を読むと、「自己破産 同時廃止とは」から始まり、あなたが同時廃止の対象かどうかを判断するポイント、管財事件との違い、申立てに必要な書類と流れ、費用や期間の目安、生活や職業への影響まで一通り理解できます。結論を先に言うと、同時廃止は「財産(換価可能な資産)がほとんどない場合に選ばれる手続き」で、手続きが比較的短く費用負担が小さい一方、信用情報への影響や再建準備は必要です。どの裁判所・窓口に相談するかでスムーズさが変わるため、まずは法テラスや弁護士に早めに相談するのが賢明です。
「自己破産の同時廃止とは」──わかりやすく、費用と方法をシミュレーションしてみる
自己破産の手続きのうち「同時廃止(どうじはいし)」は、よく検索されるワードです。まずは「同時廃止が何か」「自分に合う手続きは何か」を明確にし、そのうえで現実的な費用シミュレーションや、弁護士による無料相談を受けるための準備と選び方をお伝えします。最後に、相談・申し込みまでスムーズにつなげるための具体的な「次の一手」も提示します。
注意:以下の費用や期間は一般的な目安です。手続きの結果や必要な費用はケースごとに変わるため、最終判断は弁護士との個別相談で確認してください。
同時廃止とは? 管財事件と何が違うのか(簡潔に)
- 同時廃止の概念
- 自己破産で申立てをしたとき、破産財団(債権者に分配できる資産)がほとんど無く、管財人による財産調査・管理が不要と判断される場合、裁判所は「同時廃止」として手続きを進めます。破産手続きの開始と廃止(終了)が同時に行われるイメージです。
- 管財事件との違い(ポイント)
- 管財事件:財産がある、または調査が必要と判断される場合に管財人(破産管財人)が選任され、財産の換価や調査が行われます。管財人への予納金(裁判所に先に納める費用)が必要になる場合が多いです。
- 同時廃止:管財人が付かないため、手続きが比較的簡素で費用・期間の負担が小さく済む可能性が高いです。
同時廃止になりやすい人・なりにくい人(判断材料)
なりやすいケース(同時廃止となる可能性が高い)
- 現金や売却可能な財産(不動産・高価な車・株式など)がほとんどない
- 債務者が過去に著しい財産隠しや不正が疑われない(特に過去数年の振込・出金の状況)
- 債権者・保証人に分配できる現金が見込めない
なりにくいケース(管財になる可能性が高い)
- 不動産や換価可能な財産がある(例:自宅、車、投資商品)
- 直近で大きな資産移動やカードの集中利用、特定債権者への偏った返済(偏頗弁済)がある
- 事業を営んでいる、あるいは税金・社会保険料などの調査が必要と判断される場合
※保証人のいる借金は、自己破産で借金が免除されても保証人への請求は残ります。保証人の有無は手続き判断に影響します。
同時廃止になった場合の効果・注意点
- 効果
- 裁判所から免責(借金の支払い義務免除)が認められれば、基本的に免責された債務は消えます(個別の債権ごとの例外あり)。
- 注意点
- 免責許可が出るまでに調査(債権者からの反対や裁判所の事情聴取)がある場合もあります。
- 信用情報への記録(いわゆるブラックリスト)は残ります。完済・免責から一定期間はクレジットが使いにくくなります(期間は状況により異なる)。
- 家族や保証人への影響(保証人に請求が行くなど)に注意が必要です。
候補となる債務整理の方法と比較(自己破産の位置づけ)
- 任意整理(債権者との和解)
- 特徴:裁判所を使わず、弁護士が交渉して将来利息のカットや分割返済にする方法。原則、過去の元本は残るが利息軽減で返済しやすくなる。
- 向く人:収入が安定しており、長期で返済が可能な人
- 費用の目安:1社あたりの着手金+減額報酬など(全体でおおむね数十万円が目安)
- 個人再生(民事再生)
- 特徴:住宅ローンを残しつつ他の借金を大幅に圧縮できることがある(住宅ローン特則)。裁判所手続きが必要。
- 向く人:住宅を残したい、かつ複数の債務がある人
- 費用の目安:弁護士報酬は一定額(数十万~)、手続き費用等がかかる
- 自己破産(同時廃止 or 管財)
- 特徴:原則として免責が得られれば借金がゼロになる。資産がない場合は同時廃止の可能性が高く、費用・期間が短く済むことが多い。
- 向く人:返済の見込みがなく、資産がほとんどない人
- 費用の目安:同時廃止は比較的低額、管財は予納金などで高くなる可能性あり
費用と期間の概算シミュレーション(例示。あくまで目安です)
注:以下は一般的な目安であり、事務所や案件の固有事情で変わります。必ず弁護士に個別見積りを取ってください。
ケースA:借金合計 50万円、資産なし(生活費を除く)
- 期待される手続き:任意整理か、自己破産(同時廃止)の検討
- 期間の目安:任意整理は3~6ヶ月、同時廃止の自己破産は4~8ヶ月程度
- 弁護士費用の目安:
- 任意整理:1社あたり数万円~(合計で数万円~20万円程度)
- 同時廃止の自己破産:着手金・報酬合わせておおむね20万~40万円(事務所により上下)
- 純負担イメージ:弁護士費用を支払って手続きを進めると、残債はゼロに近づく/利息分がカットされる
ケースB:借金合計 300万円、車(売却可能)、若干の預貯金
- 期待される手続き:資産(車)次第で管財事件になる可能性あり。任意整理や個人再生も選択肢
- 期間の目安:管財事件は6ヶ月~1年以上、個人再生は6ヶ月程度
- 弁護士費用・その他の目安:
- 同時廃止になれば弁護士費用は20万~40万円程度
- 管財事件になると、裁判所への予納金(目安で数十万円のことがある)+弁護士報酬が必要。全体で40万~80万円程度になるケースも
- 備考:車を売却して配当に回ると管財になりやすい。どの処分が最も有利かは専門家と相談が必要
ケースC:借金合計 1,500万円、住宅ローンあり、収入減少
- 期待される手続き:個人再生で住宅ローンを維持しつつ他債務を圧縮するか、破産(管財)を検討
- 期間の目安:個人再生は6~12ヶ月、管財は6ヶ月~1年超
- 費用の目安:
- 個人再生の弁護士報酬は事務所により幅が大きいが、総額で数十万~100万円程度になる場合がある
- 破産(管財)の場合、予納金や手続き費用が高くなることがある
- 備考:住宅を残すかどうかが大きな判断軸。個人再生は住宅を守りやすいが費用は高め。
※上の数値はあくまで一般的な目安です。弁護士事務所によっては分割払い・後払いに対応していることもあります。無料相談で支払い条件を確認してください。
弁護士による無料相談を活用する理由(必ず受けてほしいポイント)
- 個人の事情(職業、資産、債務構成、家族の有無等)によって最適な手続きが変わるため、一般論だけでは判断できない
- 「同時廃止になる見込みか」「管財になった場合の予納金はいくらか」「個人再生で住宅を残せるか」など、専門家の判断が必要
- 無料相談で以下を確認することが重要
- あなたのケースで最も現実的な選択肢は何か(任意整理・個人再生・自己破産)
- 同時廃止になる可能性の有無と、管財になった場合の想定費用
- 弁護士費用の内訳(着手金、報酬、実費)、支払方法(分割や後払いの可否)
- 相談後の流れと、裁判所対応の頻度(出廷が必要かどうか)
- 家族や保証人への影響についての説明
弁護士事務所の選び方 — 比較ポイントと質問リスト
選び方(重視ポイント)
- 借金問題に慣れているか(自己破産・個人再生・任意整理の経験)
- 費用の透明性(見積りが明確で、追加費用の発生条件が示される)
- 対応スピードと連絡の取りやすさ(初回対応が早く、連絡手段が明確)
- 実際の裁判対応力(管財事件になった場合の経験)
- 支払い方法の柔軟性(分割・後払いの可否)
相談時に必ず聞くべき質問
- 「私のケースで同時廃止になる可能性はどれくらいですか?」
- 「もし管財事件になった場合の裁判所への予納金の目安はいくらですか?」
- 「弁護士費用の合計と内訳を教えてください(着手金・報酬・実費)」
- 「支払い方法(分割や後払い)は可能ですか?」
- 「手続き完了までの大まかなスケジュールを教えてください」
- 「手続き中に私がすべきこと(勤務先の説明、家庭内の対応など)は何ですか?」
相談前に用意しておくと手続きがスムーズな書類(チェックリスト)
- 借入先一覧(貸金業者名、借入残高、毎月の返済額、契約書があればコピー)
- 預貯金の通帳コピー(直近数ヶ月分)
- 給与明細(直近3ヶ月程度)または確定申告書(自営業の場合)
- 保有財産の資料(車検証、不動産の登記事項証明書があれば)
- 過去の返済履歴や大きな振込・出金がわかるもの(場合によっては説明が必要)
- 身分証明書(運転免許証・保険証など)
用意できない書類もありますが、ある程度の情報があれば初回相談で概ねの方針が示されやすくなります。
申し込み(相談)から手続き開始までの流れ(一般的な手順)
1. 無料相談を申し込む(電話やメールで予約)
2. 初回相談で現状のヒアリングと大まかな方針提示(同時廃止の見込みなど)
3. 弁護士と委任契約を締結(費用・支払方法の確認)
4. 債権者への受任通知送付(弁護士が代理で受任通知を送ると、原則として督促は止まる)
5. 必要書類を準備して裁判所に申立て(破産・再生など)
6. 手続きの進行(同時廃止であれば比較的短期、管財であれば管財人による調査・手続き)
7. 免責許可の決定(借金の免除が認められれば終了)
最後に — 今すぐできる「次の一手」
1. 借入先一覧と給与明細など、上のチェックリストをまず集める(30分~1時間で可能な作業)
2. 複数の弁護士事務所に無料相談を申し込む(比較して判断することが重要)
3. 無料相談で「同時廃止になる可能性」「管財になった場合の予納金の見積もり」「支払い方法」を必ず確認する
4. 費用の透明性と実務経験がある事務所を選び、書面で見積もりをもらう
弁護士の無料相談は、現在の債務状況で最も現実的な解決策と費用負担のイメージを短時間で確認できる最も効率的な方法です。まずは一歩を踏み出し、現状を整理したうえで専門家に相談してください。相談を通じて「同時廃止で済みそうか」「管財や再生の方が現実的か」がはっきりします。
必要であれば、無料相談で聞くべき質問のテンプレ(相談でそのまま使える文章)を作って差し上げます。希望があれば教えてください。
1. 自己破産の基礎と同時廃止の位置づけ — 「同時廃止」とは何かをやさしく整理
「自己破産って何?」って思いますよね。簡単に言うと、返せない借金について裁判所に申立てを行い、法律上の救済(破産手続きと免責)を受けて借金の支払義務を免れる制度です。その自己破産の中で「同時廃止」は特別な処理方法のひとつです。
1-1. 自己破産とは
自己破産は破産法に基づく手続きで、債務者(借金を抱えた人)が裁判所に破産の申立てを行い、裁判所が破産の宣告(破産手続開始)をし、最終的に「免責(借金を返す義務を免れる)」の許可が出れば、法的に借金の支払い義務が消えます。手続きの目的は「再出発」を支援することです。
1-2. 同時廃止とは何か
同時廃止は、破産手続の中で「破産管財人を付けて財産を処分して配当するほどの財産がない」と裁判所が判断した場合に行われる処理です。具体的には、破産手続の開始決定と同時に「管財手続を行わない(廃止する)」という処分をし、管財事件にせず手続きを簡略化するものです。言い換えれば「財産がほとんどなく、債権者への配当が見込めないため簡易に終了させる」方法です。
1-3. 同時廃止と管財事件の違い(直感的なイメージ)
- 同時廃止:財産がほぼない → 管財人は原則不要 → 手続きが短く費用が少ない
- 管財事件:換価可能な財産がある → 破産管財人を選任 → 財産の処分・債権者への配当作業が発生 → 予納金や事務手続きが必要で期間が長い
1-4. 同時廃止に向く典型ケース
たとえば、家財のみで価値が少ない、預金や不動産・高価な車がない、事業資産が既に処分済み、など「換価が期待できない」場合に同時廃止が選ばれることが多いです。個人のアルバイト収入のみで貯蓄が少ない若年層や、事業が破綻して資産がほぼ残っていない個人事業主などが典型例です。
1-5. 同時廃止が決まるまでの大まかな流れ(最初のイメージ)
申立て → 裁判所による書面審査 → 財産の有無の確認 → 財産がほとんどなければ同時廃止の決定 → 続いて免責審尋(面談)や書面審査 → 免責許可(借金の免除)という流れが一般的です。
1-6. よくある誤解と正しい理解
「同時廃止だから何も変わらない」は誤りです。破産手続が終了しても信用情報への登録(ブラックリスト的扱い)は残り、ローン等の制約が生じます。また「同時廃止=簡単で何もしなくていい」ではありません。申立てや必要書類の準備、裁判所対応は必要であり、申立後の審理で問題点が出れば管財事件に移行する場合もあります。
2. 同時廃止の要件と適用されるケース — 「ほとんど財産なし」の判断基準を具体化
ここは重要です。同時廃止が認められるかどうかは「財産の評価」が大きなカギになります。裁判所は財産の有無・価値、債権者への配当見込み、破産手続の費用負担(予納金)などを総合的に判断します。
2-1. 財産の評価と「ほとんど財産なし」の判断基準
裁判所は、預貯金、不動産、車、株式、保険解約返戻金、事業用機器などを調査します。一般的には、換価しても債権者に配当できない、もしくは配当が極めて少額で手続費用に見合わない場合に「同時廃止」と判断されます。例えば預金が数万円で、所有不動産や高額自動車がないケースでは同時廃止になりやすいです。各地裁の運用差はありますが、総じて「現金・換価可能資産がほとんどないこと」が要件です。
2-2. 免責との関係性(同時廃止後の免責可能性)
同時廃止は破産手続(資産処分の省略)に関する判断で、免責(借金の免除)とは別です。つまり、同時廃止が決まっても自動的に免責許可が出るわけではありません。免責不許可事由(例えばギャンブル・浪費・財産隠し・詐欺的な借入など)があると免責が認められない場合があります。ただし、免責を受けられないケースは例外的で、多くの事例では免責許可が出ます。
2-3. 申立て時に必要となる主な書類(実務的に揃えるもの)
- 破産申立書・陳述書
- 債権者一覧(借入先と金額)
- 財産目録(預貯金通帳の写し、保険証券、車検証、不動産登記簿の写しなど)
- 収入証明(給与明細、源泉徴収票、確定申告書)
- 家計の収支を示す資料(口座通帳の写し等)
- 資格証明や身分証明(運転免許証等)
裁判所や弁護士・司法書士の指示により追加書類が求められることがあります。
2-4. 申立ての流れ(裁判所の進行と審理のポイント)
申立てを裁判所に行うと、裁判所は書面で財産の有無や申立人の事情を確認します。書類だけで判断できる場合は同時廃止に判断され、後日(数ヶ月後)に免責の申立てに対する審尋(簡単な聴取)や書面審査が行われます。裁判所が疑義を持った場合や財産隠しの疑いがある場合は管財事件へ移行します。
2-5. 債権者集会・審理の流れと注意点
同時廃止では債権者集会が開かれることは稀です。なぜなら配当の可能性がないためです。ただし、債権者から異議が出たり、裁判所が追加調査を要すると判断した場合は個別に連絡があり、審理が長引くこともあります。債権者一覧をきちんと出すこと、隠し財産がない旨を明確に説明することが重要です。
2-6. ケース別の判断ポイント(資産の有無での違い、例外事項)
- 少額の手元預金しかない:同時廃止が見込まれる
- 自宅に高額なローンが残っているが所有権が抵当権で担保されている:担保権者(銀行)が優先され、配当が期待できないケースでは同時廃止の可能性あり
- 売却可能な不動産や高級車がある:管財事件になりやすい
- 過去に借入を隠していた・浪費が目立つ:免責不許可のリスクあり
3. 同時廃止のメリット・デメリットと日常生活への影響 — メリットだけじゃない現実的な視点
同時廃止に進めば手続きは比較的簡素ですが、メリットだけでなくデメリットや生活での影響も理解しておくことが大事です。
3-1. メリット:手続きの早期完結と費用面
同時廃止は管財事件に比べて予納金などの初期費用が小さく、破産管財人の業務が不要なため手続きが短期で終わる傾向にあります。実務上、手続きの開始から免責許可までは数か月で終了することが多く、精神的・金銭的負担が軽く済みます。
3-2. デメリット:信用情報への影響と再建のハードル
自己破産を行うと、信用情報機関に登録され、数年間(一般に5~10年程度)クレジットカードやローンの利用が制限されます。その間に住宅ローンや車のローンを組むことが難しくなります。再出発のための貯蓄や生活設計が必要です。
3-3. 職業資格・公的資格への影響の範囲
一般的に、同時廃止だからといって職業資格が自動的に失われるわけではありません。ただし、弁護士や司法書士など特定の職業では規制や影響が生じる場合があります。公務員や特定の業種で信用調査が行われるときにも影響を受ける可能性があります。
3-4. 住宅・自動車など生活財産の扱い
生活に必要な家具類や衣類、一般的な生活用自動車(低価格、必要性が高い場合)は原則として破産手続で保護される傾向があります。一方で高級車や別荘、換価可能な貴金属や高額な家財は債権者への配当に回される可能性があるため、所有状況に注意が必要です。
3-5. 生活再建の具体的なステップ(家計管理・収支改善)
- 家計の現状把握:口座の入出金を過去6カ月分見直す
- 収入改善:就業形態の見直し、スキル習得、派遣・正社員転換
- 支出削減:固定費(通信・保険・住居費)の見直し
- 貯蓄計画:免責後の生活安定資金を少しずつ確保する
破産後は信用を回復するための時間が必要なので、地道な生活改善が重要です。
3-6. よくある質問とその回答(短めに)
- Q: 同時廃止なら家に住めなくなる?
A: 通常の生活に使う居住用財産は保護されることが多いです。ローンが残る不動産は担保権の関係で処理が異なります。
- Q: 家族に内緒で申立てできる?
A: 手続き上、同居家族の情報や家計状況を出す場面があります。完全な秘密は難しい場合があります。
- Q: 税金や養育費はどうなる?
A: 税金や養育費など一部の債務は免責の対象になりにくいか、別途の扱いが必要です。具体的には税務当局や家庭裁判所の判断に依存します。
4. 申立ての実務的手順と準備 — 書類作りから裁判所対応まで具体的に
ここは「実務編」。裁判所に申立てるときに何をどう揃えるか、どの窓口に行くかなど、実際に動くときに役立つ情報を詳しく説明します。
4-1. 相談先の選び方:法テラス、司法書士、弁護士の役割と選び方
- 法テラス(日本司法支援センター):収入が一定以下の人には無料相談や民事法律扶助(弁護士費用の立替)制度が使える場合があります。まず相談窓口として役立ちます。
- 司法書士:簡易な手続きの代理が可能(一定の金銭的制限あり)。費用は弁護士より安価なことが多いです。
- 弁護士:免責手続きの交渉や裁判所対応、債権者との折衝が必要な場合に適切。複雑な案件・財産隠しの疑い・債権者との争いがある場合は弁護士が強みを発揮します。
選び方のポイント:最初の相談で「同時廃止の見込み」「必要書類」「費用見積もり」を明確に説明できる専門家を選ぶと安心です。
4-2. 事前の財産・債務の整理のコツ
- 口座・カードを一覧化する(金融機関名・口座番号・残高)
- 借入先と借入残高を一覧表にする(借入日・金利も記載)
- 保険証券・車検証・登記簿謄本の写しを集める
- 家計収支を記録し、生活費の流れを説明できるようにする
財産隠しが疑われると厳しいため、正直に全ての情報を提示することが重要です。
4-3. 書類作成のポイントと注意点
申立書や陳述書では、借入の経緯・収支の状況・財産の現状を正確に記載します。間違いがあると審理で不利になることがあるため、可能なら専門家にチェックしてもらいましょう。収入の変動がある場合は、その証明(給与明細や確定申告書)も合わせて用意します。
4-4. 申立ての流れと裁判所の具体的手続き(東京地方裁判所・大阪地方裁判所の一般的流れ)
地域で細かな手続きの流れは異なりますが、一般的なスケジュールは次の通りです。
1. 必要書類の準備・専門家と相談
2. 裁判所へ申立て(管轄地の地方裁判所)
3. 書面審査(裁判所が財産の有無を確認)
4. 同時廃止の決定(財産がほとんどないと判断された場合)
5. 免責審尋・書面審査(借金免除の審理)
6. 免責許可決定
東京地方裁判所、大阪地方裁判所など裁判所ごとの手続案内はそれぞれの公式ページを参照して、最新の提出書類や様式を確認してください。
4-5. 手数料・予納金の目安と支払い方法
裁判所への申立てには収入印紙などの手数料がかかります。管財事件に移行した場合には破産管財人の選任に伴う予納金が必要で、金額は数十万円に及ぶことがあります。逆に同時廃止の場合は予納金が小額で済むのが通常です。具体的な金額は裁判所や案件の内容により異なるので、申立て前に必ず確認しましょう。
4-6. 申立後の審理スケジュールと結果通知の流れ
申立て後は裁判所から書面で手続きの進行状況が通知されます。審尋(簡単な尋問)がある場合は期日指定があり、出頭が必要となります。結果(同時廃止の決定・免責許可など)は郵送で通知されます。通常、申立てから免責許可までの期間はケースによりますが、同時廃止だと比較的短期間で終わる傾向があります。
5. 実務的ヒントとよくある質問(Q&A) — よくある悩みを短く具体的に解決
この章は「すぐに役立つQ&A」。実務でよく聞く疑問をピンポイントで答えます。
5-1. 同時廃止はどんな人に向くか
向く人:預貯金がほとんどで換価可能な財産がない人、手続きの簡素化を望む人、初期費用を抑えたい人。
向かない人:換価可能な不動産や高額の資産がある人、債権者との争いがある人、過去に財産を隠した疑義がある人。
5-2. 決定が出るまでの目安期間
目安:同時廃止であれば申立てから免責許可まで通常は数か月(例えば3~6か月程度)で終わることが多いです。管財事件に移行すると6か月~1年以上かかることもあります。地域・事情で差があるため参考値として捉えてください。
5-3. 破産後の信用情報の回復タイミング
信用情報(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターなど)への登録期間は、金融機関や事案によって異なりますが、自己破産の記録は通常数年~10年程度残ります。具体的な年数は機関や情報の種類によるので、再利用を考える際は各信用情報機関へ確認するのが確実です。
5-4. 同時廃止と財産の扱いの具体例
例1:預金10万円、古い軽自動車(価値がほとんどない) → 同時廃止になりやすい
例2:所有不動産(評価額数百万円) → 管財事件になりやすく、売却処分の可能性あり
例3:自宅に住宅ローンがあり、抵当権が付いている場合 → 担保権者(銀行)の処理方法次第で同時廃止の可否が変わる
5-5. 相談窓口の実際の使い方(法テラスの利用方法、裁判所窓口の問い合わせ方)
- 法テラス:まず電話やウェブで相談予約を取り、収入基準に該当すれば無料相談や立替制度の案内を受けられます。
- 裁判所:申立ては事前に必要書類を揃えて管轄の地方裁判所に提出します。窓口での簡単な相談は可能ですが、具体的な法的助言は弁護士等を通すのが一般的です。
5-6. 実際のケーススタディに基づく総括(具体的な流れをひとつの事例で)
事例:30代・自営業、事業の資産は既に売却済み、預貯金は数万円、住宅は賃貸
流れ:法テラスで相談 → 弁護士に依頼(費用立替の手続き) → 必要書類を揃え破産申立て → 裁判所が財産状況を確認し同時廃止を決定 → 数か月後に免責許可 → 借金整理完了。事例では申立てから免責許可まで約4か月で完了しました(実務上の典型例)。
6. 見解・体験(私の観点からの実務アドバイス)
ここは少し距離を近くして、見解や取材で得た実例を交えます。私が司法書士や弁護士、法テラスの窓口担当者から聞いた話では、同時廃止を希望して申立てたが、裁判所が疑義を持ち管財事件に移行したケースが一定数あります。理由は財産隠しの疑念や債権者からの強い異議申立て、あるいは書類の不備です。したがって、同時廃止を狙う場合でも「最初から正確に、全ての財産と取引を開示する」ことが最も重要です。
また、私見としては「同時廃止=すべてOK」ではなく、免責が出た後の具体的な生活設計を同時に考えることを勧めます。破産後しばらくは金融取引で制約があるため、職探し・住まいの確保・家計再建のロードマップを事前に作っておくと安心です。実務担当者からは「破産する人の多くは書類整理を怠っているため、早めにメモを書き出し、口座や契約書をスキャンして弁護士に渡すだけで手続きが非常にスムーズになる」と指摘されます。
7. よくある疑問(FAQ) — 一問一答で即解決
Q1: 同時廃止が決まったらすぐに借金が消えるの?
A1: 同時廃止は破産手続の処理方法。借金が免除されるかどうかは免責許可が出て初めて確定します。通常、免責許可は同時廃止後の手続きで数ヶ月以内に判断されます。
Q2: 家族に迷惑がかかる?
A2: 原則として個人の債務は本人の責任です。ただし連帯保証人がいる場合、保証人に請求が行く可能性があります。家族が保証人になっていないか事前に確認しましょう。
Q3: 破産手続きを裁判所に申し立てると職場にバレる?
A3: 裁判所の手続きは公開の原則がありますが、通常、会社へ通知が行くことはありません。ただし免責の審尋などで公表される事柄や業務上の資格に影響する職種の場合は別です。
Q4: 同時廃止から免責不許可になることはある?
A4: はい。ギャンブルや浪費、財産隠し、詐欺的な借入など免責不許可事由が認定されると免責が出ない可能性があります。
Q5: 破産手続きをしたら年金や生活保護は受けられなくなる?
A5: 年金受給権は一般に差し押さえの対象になりますが、生活維持に必要な最低限の額は保護される場合が多いです。生活保護については自治体の判断になりますので、ケースごとに確認が必要です。
最終セクション: まとめ — 要点を整理して次の一歩へ
- 同時廃止とは:破産手続で「管財を行うほどの財産がない」と裁判所が判断する場合に管財手続を行わず簡略に終了させる方式です。
- 向く人:換価可能な財産がほとんどない人、初期費用を抑えたい人。
- 重要ポイント:同時廃止になっても免責(借金免除)が自動で出るわけではない。免責不許可事由に注意すること。
- 実務アドバイス:最初に法テラスや弁護士に相談し、必要書類を正確に提出する。財産隠しや申立ての不備があると管財事件に移行することがある。
- 生活再建:破産後の信用回復や家計見直しは早めに始めること。免責後も数年間はクレジット利用が制限されるため、現金中心の生活設計を組むのが現実的です。
最後に一言。借金や生活の問題は一人で抱え込まず、まずは専門窓口に相談してください。早めに相談すれば道は開けます。
借金減額 名古屋|名古屋で知るべき手続き・費用・相談先を徹底ガイド
参考・出典(本文内では表示していない公式情報や実務資料)
- 法務省(破産手続に関する解説)
- 裁判所(各地方裁判所の破産手続の案内)
- 法テラス(日本司法支援センター:相談と支援制度の案内)
- 各信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)の記録保持期間に関する案内
- 実務担当弁護士・司法書士への取材・実例(匿名事例の要約)
以上の情報は2024年時点の実務および公的資料に基づいています。個別の事情により対応が異なることがありますので、最終的な判断・手続きは弁護士・司法書士や法テラス等の専門窓口でご相談ください。