自己破産 会社代表の実務ガイド|代表取締役が自己破産したときの影響・手続き・再建の全て

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自己破産 会社代表の実務ガイド|代表取締役が自己破産したときの影響・手続き・再建の全て

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この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論から言うと、代表取締役が個人で自己破産しても「会社=法人」が自動的に倒産するわけではありません。ただし、個人保証・資金繰り・取引先の信用低下などで会社経営に重大な影響が出る可能性があります。本記事を読むと、代表の自己破産が会社に与える具体的な影響、免責(借金帳消し)の可否と注意点、破産手続きの流れ、会社の存続・清算・再建の選択肢、信用回復の現実的な道筋、必要書類や実務チェックリストまで、実務で役立つ情報を一気に把握できます。私が実務で見てきた成功例・失敗例も具体的に紹介しますので、次に何をすべきかがはっきりします。



会社代表が「自己破産」を考えるときにまず知っておきたいこと

会社代表(法人の代表取締役や個人事業主)が個人的な債務整理を検討する場合、状況や選ぶ手続きによって会社への影響や本人の責任の範囲が大きく変わります。本記事では「どの方法が向いているか」「概算費用・シミュレーション」「弁護士無料相談をどう活用するか」「事務所の選び方」をわかりやすくまとめます。最終的な判断は個別事情に左右されるため、まずは弁護士に相談することを強くおすすめします。

注意:以下は一般的な説明と費用の目安です。個別の法律適用や裁判所運用、費用算定は事案により異なります。必ず弁護士による個別確認を行ってください。

1) 代表者がまず確認すべきポイント(早めに整理しておくと相談がスムーズ)

- あなたの事業形態は何か(個人事業主/株式会社・合同会社などの法人)。
- 個人事業主の債務は基本的に「本人の債務」です。
- 法人の場合、法人の債務は原則法人責任。ただし「個人保証(連帯保証)」をしていれば個人に請求が来ます。
- 借入の内訳(銀行借入、ビジネスローン、カード・リボ、税金滞納、社債、取引先への未払など)。
- あなたが個人保証しているか、保証内容(連帯保証か否か、保証範囲)を明確に。
- 保有資産(住宅、自動車、預貯金、有価証券)と評価額。
- 収入(給与、事業収入、家族の収入)と毎月の生活費。
- 現在、差押えや仮差押え、督促状、訴訟があるか。
これらを用意して弁護士に相談すると、的確な選択が早くできます。

2) 代表者が選べる主な債務整理の方法(概要と代表的な向き不向き)

1. 任意整理(債権者と直接交渉して利息や返済スケジュールを見直す)
- 向いているケース:借入の総額は大きくない、将来的に返済可能見込みがある、会社経営や役職を続けたい。
- 長所:比較的短期で解決、家や資産を残せる可能性が高い、手続きが裁判所を通さない。
- 短所:全額免除は原則難しい。個人保証がある場合は保証債務の交渉が必要。

2. 個人再生(個人民事再生)
- 向いているケース:住宅を維持したい、収入がある程度安定しており分割で返していける、借金を大幅圧縮して事業を続けたい代表者。
- 長所:住宅ローン特則で住居を残せる場合あり。原則3~5年で再生計画に基づき分割弁済。
- 短所:一定の最低弁済額が必要。手続きや書類準備が多め。

3. 自己破産(個人破産)
- 向いているケース:債務超過で返済の見込みがほとんどない、資産が少ない、事業を整理する覚悟がある場合。
- 長所:免責が認められれば多くの債務が消滅する(概ねゼロになる)。再出発がしやすい。
- 短所:一定の財産は換価処分される。職業制限や社会的影響、代表者としての地位(会社役員等)に影響が出る可能性があるため確認が必要。免責が認められない場合もある(例:資産の隠匿や浪費等の事情がある場合)。

4. 法人倒産(会社破産・民事再生等)+個人的な債務整理
- 向いているケース:法人自体が経営不能で会社ごと清算または法人再建を図る必要がある場合。会社の債務と個人保証が絡むケース。
- 長所:会社債務と個人債務を並行して整理できる。法人手続きにより会社の清算・再建が可能。
- 短所:事務負担と費用、関係者への影響が大きい。個人保証が残れば別途個人債務整理が必要。

5. 特定調停(裁判所の簡易な調停)
- 向いているケース:裁判所を介して比較的低コストで和解を目指したい場合。少額の債務が対象になりやすい。
- 長所:裁判より手続きが簡素で費用も比較的安い。
- 短所:調停に相手が応じない場合は進まない。

3) 会社代表が「自己破産」を選ぶ場合に特に注意すべき点

- 法人債務と個人債務の区別:株式会社等で個人保証をしていなければ、法人倒産でなければ個人に請求が来ない点。逆に個人保証があれば個人が責任を負います。
- 会社役員としての制限:手続き中や手続後に一定の制限(職業や役員就任に関する影響)が生じる可能性があります。具体的適用・期間は事案により異なるため、弁護士と確認してください。
- 免責の可否:資産隠匿や浪費、詐術による借入等があると免責が認められない場合があります。正直に事実を整理して相談することが重要です。
- 連帯保証された債務:会社が破産しても、代表者が連帯保証していれば債権者は代表者に請求できます。代表者の破産でどう扱われるかは手続きにより変わります。
- 事業継続の可否:個人破産では事業継続が難しくなる場合がある一方、個人再生や任意整理では継続可能なことがあります。事業を続けたいか否かで選択が変わります。

4) 費用の目安(日本国内での一般的レンジ:あくまで目安)

※事務所や地域、案件の複雑さで大きく変動します。裁判所手数料や実費、管財事件の場合は管財人費用などが別途かかります。以下は弁護士費用+裁判所実費の概算目安としてご理解ください。

- 任意整理
- 着手金:1社あたり2~5万円程度(事務所により固定パッケージあり)
- 報酬:債務減額等につき1社あたり成功報酬2~5万円程度
- 所要期間:数ヶ月~1年程度

- 個人再生(小規模個人再生)
- 弁護士費用(総額の目安):30~70万円程度
- 裁判所手数料・予納金等:数万円~十数万円
- 所要期間:6~12か月程度(事案により長短あり)

- 自己破産(同時廃止が見込める場合/管財事件は別)
- 弁護士費用(同時廃止の目安):20~50万円程度
- 管財事件になる場合(資産を処分する場合):50~200万円程度(管財人費用等が加算)
- 裁判所手数料・予納金等:数万円~十数万円
- 所要期間:同時廃止なら数か月、管財事件は半年~1年超

- 法人破産(会社側の手続き)+代表者の個人整理
- 会社側の弁護士・破産手続費用:事案により幅大(数十万円~数百万円)
- 個人側の別途費用が必要

(重要)上記はあくまで概算レンジです。例えば債権者数が多い、税金や社会保険の滞納がある、差押えがある、海外資産があるなどの事情があれば費用は増えます。必ず事前に見積もりを依頼してください。

5) 簡単な費用&返済シミュレーション(イメージ例)

以下は「目安の比較イメージ」です。実際は弁護士と詳細に詰めてください。

- 事例A:個人事業主/借入総額300万円/資産ほぼなし/収入低下
- 推奨方法:自己破産(想定)
- 想定コスト:弁護士費用25~45万円+裁判所実費数万円 → 総額およそ30~55万円
- 結果(一般例):免責認められれば債務ほぼゼロ。一定財産(生活必需品等)は保持可。期間:6か月前後。

- 事例B:株式会社代表/個人保証で総額700万円/事業継続したい/収入は安定
- 推奨方法:個人再生または任意整理を検討(個人再生が有利な場合がある)
- 想定コスト(個人再生):弁護士費用40~70万円+裁判所費用数万円
- 再生後の支払い例:再生計画により5年間で圧縮(例:支払総額200~300万円)→ 月あたり3~5万円程度
- 結果:住宅を残す選択も可能。事業の継続性を確保しやすい。

- 事例C:法人が債務超過で会社破産/代表者が多数連帯保証
- 推奨方法:法人破産手続+代表者は個別に債務整理(任意整理・個人破産等)
- 想定コスト:法人側(事案により数十~数百万円)+代表者側の弁護士費用20~70万円
- 備考:法人手続きは利害関係者調整や従業員対応等の負担が大きい。代表者は保証分について別途対応が必要。

6) 弁護士無料相談の賢い使い方(初回相談で何を聞くべきか)

多くの弁護士事務所は初回相談を無料または低額で実施しています。相談を有効にするための準備と質問例:

準備するもの(可能な範囲で)
- 借入明細(カード、ローン、取引先請求書等)
- 保証契約書(あれば)
- 会社の登記簿謄本、決算書、請求書など(法人関係)
- 最近の給与明細・通帳コピー・納税通知等
- 差押え・訴訟の通知があればその書類

相談時に聞くべきこと
- 私の場合、最も適した方法は何か?(任意整理・個人再生・自己破産・会社破産など)
- それぞれの方法での想定される期間と手続きの流れ
- 重要なリスクや会社・役員としての影響(就業・役員資格・事業継続等)
- 想定費用の内訳(着手金・報酬・裁判所費用・その他実費)
- 早めに行動すべき差し迫ったリスク(差押え、強制執行、仮差押え等)があるか
- 相談後の具体的な次の手順(依頼すべきか、まず取るべき緊急対応は?)

弁護士は話を聞いて「見通し」と「選択肢」を示してくれます。複数の事務所で相見積もりを取るのも有効です。

7) 事務所(弁護士・法律事務所)の選び方と比較ポイント

1. 経験・実績
- 会社代表・事業者案件の経験が豊富か。法人破産や個人保証案件の処理経験は重要です。
2. 費用体系の透明性
- 着手金、報酬、成功報酬、管財人費用の想定などを明確に示してくれるか。
3. コミュニケーション
- 説明がわかりやすく、連絡のレスポンスが良いか。担当者の対応をチェック。
4. 事業再建支援の有無
- 会社の再建や事業承継を含めた支援実績があるか(必要に応じて会計士などと連携できるか)。
5. 初回相談の対応
- 初回で見通しとおおよその費用目安を示してくれるか。相談時に適切な質問をしてくれるか。
6. レビュー・評判
- 口コミや事務所の得意分野を確認。ただし広告表現は鵜呑みにせず面談で確かめる。

8) 相談後の一般的な流れ(着手から解決まで)

1. 初回相談 → 方針決定(任意整理/個人再生/自己破産等)
2. 依頼(委任契約締結)・必要書類の提出
3. 弁護士が債権者と交渉/裁判所提出書類の準備
4. 手続き開始(場合により差押え対応・資産調査等)
5. 和解成立または裁判所手続き(免責・再生計画の認可等)
6. 完了(再出発) — 以後の支援や生活再建支援を受ける場合あり

期間は方法によって数ヶ月~1年超と差があります。緊急対応(差押え阻止など)が必要な場合は即時対応が必要です。

9) まとめと次のアクション(今すぐできること)

- まずは現状を整理(借入一覧・保証の有無・会社の状況)してください。
- 早めに弁護士の無料相談を利用して「あなたに最適な方法」と「想定費用」を出してもらいましょう。無料相談で重要なのは「見通し」と「今取るべき緊急対応」です。
- 複数の事務所で相談して比較検討することをおすすめします(費用・対応方針・コミュニケーションで比較)。

会社代表の債務整理は法人側・個人側の関係や保証の有無で最適解が変わります。正確な方針決定と費用見積もりは個別事情に依存しますので、まずは弁護士の無料相談で状況を共有してください。必要であれば、相談時のチェックリスト(借入一覧や保証書類等)を準備し、具体的な見積もりを受け取ってから次の一手を決めましょう。


1. 自己破産と会社代表の基本を知る — 「自己破産 会社代表」の基礎知識

自己破産(個人の破産)は、個人の債務整理手段の一つで、裁判所の手続きによって支払不能になった債務を免責(原則帳消し)して生活再建の道を開く制度です。一方、会社(法人)は法的に個人と別人格と扱われます。つまり「代表取締役が破産=会社が自動的に倒産」ではありません。ここで大事なのは「個人保証」と「役員責任」です。多くの中小企業では代表が銀行などに個人保証をしているため、代表が自己破産すると銀行が個人に求償し、結果的に会社の資金繰りに影響が出ることが多いです。

免責とは、破産手続きにより裁判所が一定の債務について支払い義務を免除する判断を出すこと。一般には生活費や住宅ローン免除を含む複数の債務が対象になりますが、税金・不法行為による損害賠償・罰金など一部は免責されないことがあります。破産手続きの大まかな流れは申立て→財産調査・配当方針(管財人選任の有無)→免責審尋→免責決定、という流れです。資産がほとんどない場合は「同時廃止」となり、破産手続きは比較的短期間で終わる場合があります。

信用情報機関への登録(いわゆる“ブラックリスト”)は、破産情報や長期延滞情報がCICやJICCなどの信用情報機関に登録され、ローンやクレジットの利用制限が一定期間続きます。登録期間は機関や情報の種類により異なりますが、一般的に数年~10年程度の影響が出る可能性があります(後半の章で詳述)。代表取締役としての初動ポイントは、関係者(株主、取引先、金融機関)への誠実な説明、個人保証の有無と金額の確認、会社の資金繰りシミュレーション、専門家(弁護士・司法書士・公認会計士)への早期相談です。会社法上は、代表取締役は善管注意義務や忠実義務があり、債権者を不当に害する行為(財産の隠蔽や不適切な処理)は法的責任(背任・詐欺)を招きます。実務的には「代表の自己破産を契機に取締役会や監査役による即時の対応」が求められます。

2. 会社代表が自己破産するケースと影響 — 会社はどう変わるのか?

代表取締役が自己破産したとき、最も大きなテーマは「会社と個人の財産分離」と「個人保証の有無」です。法人は別人格なので、法人債務は原則として法人が責任を負います。ただし、代表が銀行に個人保証している場合、金融機関はその個人保証に基づいて代表個人に請求を行います。例えば日本政策金融公庫や地方銀行からの借入に代表者が個人保証をしていると、代表の財産が差押えられ得ますし、銀行が会社に対して融資を停止するケースもあります。これにより会社の運転資金が枯渇し、結果的に会社倒産に至ることも少なくありません。

取引先・金融機関への影響はリアルです。取引先からは「代表が破産したら支払いが滞るのでは」と不安が広がり、信用を喪失するリスクがあります。国税・社会保険の滞納がある場合は税務署の差押えもあり得ますし、入札資格や国との取引が制限される場合もあります。役員責任については、業務上の過失や背任行為があれば、代表は刑事責任や民事責任の追及を受けえます。特に不正に会社資産を移転した場合などは免責が認められにくく、管財人からの追及対象になります。

免責後の再就職・再起業の現実はシビアです。金融機関からの新規融資はしばらく難しい場合が多く、特に代表として再び外部資金に頼る起業はハードルが高いです。一方、準備と誠実な対応、後継者体制の構築、事業の切り分け(不採算部門の切り離し)などを行えば、会社を生かして再建する道もあります。具体的選択肢としては、①会社の清算(解散・清算)、②特別清算(裁判所での清算手続き)、③事業譲渡・M&A、④私的再建(債権者と和解して返済計画を立てる)などがあります。どれを選ぶかは、債権者構成、資金繰り、代表の個人保証の有無、主要取引先の理解度に左右されます。

3. 手続きの全体像と実務 — 代表が破産するまでとその後の流れ

まず行うべきは現状把握です。チェックリストとしては(1)債権者一覧(名称・残高・個人保証の有無)、(2)金融機関との契約書(個人保証契約含む)、(3)法人の決算書・銀行通帳・売掛金・買掛金一覧、(4)個人の財産目録(不動産・車・預金・保険・有価証券)、(5)給与台帳・税務関係書類、(6)重要契約書(賃貸、事業譲渡、リース)など。これらは裁判所への申立てや管財人の調査で必須となります。私の実務経験では、申立て前にこれを整理しておくか否かで対応のスピードと結果に大きな差が出ます。

申立ての流れは一般的に次の通りです。まず本人(破産申立人)または債権者が地方裁判所に破産申立てをします。裁判所は書類を確認し、場合によっては破産管財人を選任します。管財人は財産の調査・換価・債権者配当を行います(管財事件)。一方、個人資産がほとんどなく債権者配当に資力がないと認められた場合は「同時廃止」となり、管財人選任は不要で手続きは比較的短期間になります。免責審尋では裁判所が申立人に対して借入の経緯や資産の隠匿行為の有無、詐欺的な取引の有無などを尋ね、免責の可否を判断します。

破産管財人の役割は極めて重要です。管財人は債務者の財産を管理・換価して債権者に配当すること、問題行為の調査、免責不許可事由の有無確認等を行います。私が関わったケースでは、管財人への説明を丁寧に行ったことで早期に同時廃止判定が出て、結果として手続きが短期で終わり、代表の再起が早まった例があります。逆に資料不備や説明不足で管財人に時間を取られ、家族生活が長期間不安定になったケースもあります。

破産後の生活設計、就職、信用回復については、まず住居・生活費の確保、健康保険・年金の確認、家族への説明が必要です。就職は業種により制約が生じることがありますが、一般的な会社員としての就職は可能です(ただし士業や金融業など一部職種は制限あり)。信用回復策としては、免責後の一定期間を経て、小口のクレジットヒストリーを作る、税務・社会保険の滞納を解消する、誠実な返済履歴を積むなどが効果的です。

会社との関係整理も不可欠です。代表の退任や後任の選定、取引先との契約解除・再交渉、主要取引先への説明資料の準備、銀行への正確な資金計画提示などを行います。株主が多数いるケースでは株主総会の開催と説明が必要になることが多く、適切なガバナンス対応で不安感を最小化します。

4. 免責の可否とリスク管理 — 免責要件と不許可になりやすいケース

免責(借金が免除されること)の基本的な考え方は「誠実な債務者には再出発を認める」というものです。免責が認められるには、申立人が支払不能であること、資産や収入を隠していないこと、債権者に対して誠実に対応していることなどが求められます。免責不許可事由(免責が認められにくい代表的な理由)には、①財産の隠匿や偏った処分(会社資産や個人資産の不適切な移転)、②詐欺的借入(虚偽の申告で借り入れした場合)、③浪費・ギャンブルによる多額の借入(故意に浪費したと認定される場合)、④税金の滞納や一部債務の性質上免責されないもの(国税の一部など)が挙げられます。特に代表者が会社資産を私的に移転していた場合、管財人や裁判所は厳しく検討します。

実務上の回避ポイントは早期相談と情報開示です。財産を隠したり後から持ち出すと免責が否定されるリスクが高まります。破産を検討したらまず弁護士と相談し、正直に財産と債務の状況を提示すること。私の経験では、財産をきちんと整理して管財人に説明したケースは免責獲得がスムーズでしたし、隠蔽や説明不足があったケースは免責不許可や長期化のリスクが高まりました。

免責後の生活設計では、税務・社会保険・年金に関する対応が重要です。自己破産しても税金の全部が免責されるわけではないケースもあるため、税務署の対応を含めた調整が必要です。社会保険料や年金は、滞納がある場合は照会され、詳細な対応が必要になることがあります。さらに免責後の信用回復は一夜にして成るものではありません。信用情報機関(CIC/JICC等)に登録された情報の期間や内容を確認し、小さな取引で良好な履歴を作ることが大切です。

債権者との交渉・和解の基本手法も押さえておきましょう。和解により私的整理を行って破産を回避するケースは多く、銀行・税務署・主要取引先と誠実に交渉することで、会社を残す道が開ける場合があります。和解の際は返済原資の明確化、再発防止策(経営改善計画)、担保や保証の整理を行い、書面で明文化しておくことが重要です。

5. 会社の存続・再建・清算の道を探る — どの選択が最適か?

自己破産という事態に直面したとき、会社にとって選択肢は主に「存続して再建する」「清算する(解散・清算or特別清算)」「事業譲渡・M&Aで別経営体にする」の3つです。選択は資金繰り、債務構成(個人保証の有無・担保の有無)、主要取引先の協力、社員や家族の生活維持など複数要素を勘案して行います。

事業の切り分けと財産保全は再建を目指す上での第一歩です。不採算事業の早期切り離し、重要資産(売上を生む設備や知的財産)の明確化、法人と個人の財産を明文化することが必要です。重要なのは「誠実な情報開示」——銀行や大手取引先に対して隠し事があると支援が得られにくくなります。資金繰りの確保では、金融機関とのリスケ交渉、ファクタリング・手形割引の活用、公的支援(日本政策金融公庫や中小企業基盤整備機構の制度)の検討が有力です。公的支援は地域や案件によって条件が異なるため、早めの相談が効果的です。

後継者・新体制の構築は信頼回復に直結します。代表が破産する場合、速やかに後任体制を整え、経営の透明性を高めることで取引先や金融機関の不安を和らげられます。清算手続きでは、通常の解散・清算と裁判所を通す特別清算があります。特別清算は取引先や債権者の利害調整が必要な場合に選択されることが多く、裁判所の関与が強くなります。タイムラインはケースバイケースですが、特別清算は数か月~年単位で進行することがあります。

破産後の新規事業・起業・転職のヒントとしては、まず信用回復のための時間を確保し、小さな取引で実績を積むこと、仲間や投資家を得るために透明性のある事業計画を作ること、個人保証に依存しない資金調達構造(出資・ストックオプション、クラウドファンディング、助成金の活用)を検討することが挙げられます。専門家の活用タイミングは早いほど良く、弁護士は法的手続き・交渉、司法書士は登記等の手続き、会計士は資産評価・再建計画で重要な役割を果たします。

6. 実務のケーススタディとQ&A — よくある場面別の対処法

6-1 実務上のよくあるケースとして、(A)代表が個人保証付きで借入→破産→銀行が会社の融資を回収・停止し経営破綻、(B)代表が無担保で破産→会社は継続できるが取引先の信用喪失で受注減少、(C)代表の不正な資産移転が発覚→免責不許可または刑事手続きへ、などがあります。私が見てきたAの典型で、代表が大手地銀に対して個人保証をしており、破産申立て後に銀行が取引停止を行い、その結果数か月で資金繰りが回らなくなり会社が清算に至った事例があります。このケースを防ぐには、早期の銀行交渉と代替資金の確保が鍵でした。

6-2 東京地方裁判所や大阪地方裁判所での手続きの違いは、運用の差や必要書類の細かい違いがあり、地域での慣習や裁判所の処理速度の差が出ることがあります。例えばある裁判所では同時廃止の運用が迅速で、書類の提出が整っていれば短期間で終わる一方、別の裁判所では管財人選任がやや慎重で時間を要する場合がありました。申立ては原則として住所地の地方裁判所に行いますので、申立て先の裁判所の運用を把握しておくと戦略が立てやすくなります。

6-3 信用情報機関(CIC、JICCなど)への登録と影響は、破産や長期延滞情報が登録されるとクレジット・ローンの利用に制限が出ます。登録期間は機関や情報の種類で違いますが、一般的に破産情報は数年~10年程度留まるとされています。実務上は、免責後もすぐに融資を受けられない可能性があるため、生活費と事業資金を別建てで考え、小口の正常な取引履歴を作ることが早期回復に役立ちます。

6-4 公的支援機関の活用事例としては、日本政策金融公庫の経営相談や再生支援資金の活用、中小企業基盤整備機構による専門家派遣や事業再生支援などがあります。私の関与した事例では、公的機関のアドバイスで事業のコア製品に絞り込み、コスト構造を改善した結果、民間銀行からの条件付き再融資が得られ会社が存続したケースがありました。公的機関は条件や審査があるため早期相談が功を奏します。

6-5 私の経験談:実務で感じた注意点と成功のヒント
私が関わったケースで成功したのは「情報を隠さず早く動いたチーム」。代表の個人保証が重いケースであっても、金融機関へ早めに事情を説明し、財務改善計画を示したことでリスケが認められ、数年後に黒字化した会社があります。失敗例は「知らなかった、先延ばしにした」。申立て前に資料整理や専門家相談を怠ったために管財人調査で時間がかかり、家族の生活が長期化したケースがありました。経験から言えるのは「早期相談・正直な情報開示・適切な専門家の配置」が成功確率を高めるということです。

6-6 よくある質問と回答(ケース別)
Q:代表の自己破産で会社の債務は消えますか? A:消えません。会社債務は法人が負うので、会社自体が破産手続に入らない限り法人の債務は存続します。ただし個人保証があれば代表の破産が会社の資金繰りに影響を与えます。
Q:免責が認められない代表の典型例は? A:財産隠匿、詐欺的借入、特定債権の不正処理などが典型です。
Q:破産情報はどの程度信用情報に残りますか? A:機関により異なりますが、一般に数年から10年程度の影響が出ることがあります。具体的な期間はCICやJICC等で確認してください。

付録 — 実務チェックリスト(抜粋)
- 書類(債権者一覧、借入契約書、個人保証契約、決算書、通帳、給与台帳、税務関係書類)
- 連絡先(弁護士・司法書士・会計士・金融機関・主要取引先)
- 行動計画(短期の家計支援、銀行との初回面談、裁判所申立てのタイムライン)

7. まとめ — 次に何をすべきか(短期・中期の行動指針)

まとめると、代表取締役が自己破産を検討する際は、まず「情報の整理」と「専門家への早期相談」が最優先です。短期の行動指針は以下の通りです。
1) 債権者一覧と個人保証の有無を確認する(必須)
2) 生活費と会社の短期資金計画を作る(30日、90日単位で)
3) 弁護士・司法書士に初回相談を行い、破産申立てか私的整理かを判断する
4) 主要取引先と金融機関へ誠実に状況説明を行う(可能ならば書面で)
中期では、再建計画の作成、後継者体制の構築、事業の選別、必要に応じた清算手続きの準備を行います。専門家との綿密な協議で、最適解(会社存続か清算か事業譲渡か)を決めていきましょう。

最後に一言。自己破産は終わりではなく「再出発の制度」です。代表としての責任は重いですが、正しい手順と誠実な対応で再建の道は必ずあります。まずは一歩踏み出して、専門家に相談してみませんか?あなたのケースに合った最短の道筋を一緒に探しましょう。

付録・用語集(簡潔)
- 免責:裁判所が一定の債務を免除すること
- 破産管財人:債務者の財産を管理・換価し債権者に配当する人(裁判所選任)
- 同時廃止:資力がなく管財人を選任しない破産手続きの形態
- 個人保証:代表が個人で負う債務の保証。これがあると代表個人の破産が会社に波及する

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出典(この記事作成にあたり参照した主な公的・専門情報源)
- 裁判所(破産手続に関する説明ページ、地方裁判所の運用案内)
- 破産法の条文解説(法務省、法令データ提供システム等)
- 日本弁護士連合会・各都道府県弁護士会の破産・債務整理に関するガイドライン
- 信用情報機関(株式会社CIC、日本信用情報機構(JICC))のFAQおよび登録情報に関する説明
- 日本政策金融公庫、中小企業基盤整備機構等の公的支援制度案内
- 実務書籍・事例(私が過去に扱った案件の記録および業界実務マニュアル)

(注)本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断は各案件の事実関係により変わります。具体的な判断や手続きについては必ず弁護士等の専門家にご相談ください。

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