この記事を読むことで分かるメリットと結論
結論を先に言うと、自己破産をしても「全ての税金が自動的に消える」わけではありません。税務署(国税・地方税)は破産手続に関わり、税金の種類や発生原因、滞納の状況によって扱いが変わります。本記事を読むと、どの税が免責(支払い義務の免除)の対象になりやすいか、どんな税は注意が必要か、税務署とどうやり取りすればトラブルを避けられるかが具体的にわかります。さらに、申立書類リスト、税務署への初動対応、よくある失敗例と回避策、破産後の税務申告のポイントまで網羅します。実務経験に基づく具体例とチェックリスト付きで、初めての人でも実践できる内容です。
「自己破産 税務署」で検索したあなたへ — 税金と借金の関係、最適な債務整理、費用シミュレーション、まずやること
「税務署に税金を滞納しているけど、自己破産すれば全部ゼロになるの?」「税務署はどう動く?破産すると差し押さえは止まる?」──こうした疑問で検索されたと思います。結論を先に簡単に書くと:
- 税金(国税・地方税)の扱いは「種類・発生時期・事情」によって変わります。単純に「税金は破産で必ず免除される」とは言えません。
- 税務署は差押えや給料の徴収権限が強く、対応を誤ると不利になります。まずは弁護士の無料相談を受け、状況に合った手続きを選ぶことが最短で確実な解決になります。
以下、わかりやすく整理していきます。最後に「無料相談の申し込みまでの流れ」と「相談時に準備する書類」もまとめます。
まず確認すべきこと(今すぐ用意する資料)
弁護士相談や税務署との交渉で必要になります。手元に用意してください。
- 借入先一覧(カード、消費者金融、個人、税金等):誰にいくら、いつから延滞しているか
- 直近の督促通知・差押え通知(税務署・債権者からの書類)
- 源泉徴収票や給与明細(直近数か月)、確定申告書(個人事業主なら)
- 預金通帳のコピー、家計の収支がわかる資料(口座の入出金履歴)
- 保有している不動産、自動車、有価証券などの資産目録
税務署(国税・地方税)のリアルな扱い
重要な点だけをわかりやすく:
- 税務署(国税)は非常に強力な徴収権を持っています(預金差押え、給料差押え、不動産差押えなど)。放置すると直接差押えが進むことがあります。
- 「税金が免除されるかどうか」は、税の種類(所得税、法人税、消費税、固定資産税等)、滞納期間、故意(脱税など)の有無、手続きの種類によって異なります。
- 刑事問題(故意の脱税や不正)は民事(債務免除)とは別に扱われ、免責・免除の対象にならない場合があります。
- 税務署とは「分割納付」や「期限延長」で交渉できることが多く、破産よりも現実的な解決になるケースもあります。まずは弁護士と相談し、税務署へどう交渉するか戦略を立てましょう。
(※扱いの最終判断は案件ごとに異なるため、弁護士に個別相談を)
債務整理の主な方法と税金の影響(選び方のポイント)
下は代表的な選択肢。それぞれの特徴と「税務署(税金)」にどう影響しやすいかの目安です。
1. 任意整理(弁護士が債権者と直接交渉)
- 特徴:利息カットや支払期間の延長などで月々の負担を減らす。原則として保証債務や担保を外さない。
- コスト目安:弁護士費用は事務所差あり。1社あたり数万円~(合計で数十万円が一般的な目安)。
- 税金への影響:民間債権は交渉で減額できるが、税務署は任意整理で応じないこともあります。税務署との交渉は専門性が必要。
2. 特定調停(簡易裁判所を通した調停)
- 特徴:裁判所を介し、比較的低コストで和解を図る方法。弁護士をつけることも可能。
- コスト目安:弁護士を使う場合は任意整理に近い。裁判所手数料は比較的小額。
- 税金への影響:税務署が調停に応じるかはケースによる。必ずしも減額に結びつくとは限りません。
3. 個人再生(民事再生)
- 特徴:住宅ローンを残しつつ、その他の債務を大幅に圧縮できる可能性がある。職業や収入に応じた再生計画を作る。
- コスト目安:弁護士費用・裁判所費用を含めて目安は数十万円~(事案によってはそれ以上)。
- 税金への影響:税金の取扱いは複雑。個人再生で税債がどう扱われるかは個別判断が必要。
4. 自己破産(破産手続・免責)
- 特徴:免責が認められれば原則として多くの債務が免除される。ただし資産は処分される(生活に必要な一部を除く)。
- コスト目安:弁護士費用の相場は事務所・内容で幅があるが、数十万円が目安。裁判所への予納金等が別途必要。
- 税金への影響:税金が免責(=支払義務の免除)されるかはケースに依存します。種類や発生時期、故意の有無などによって扱いが変わるため、自己破産が必ず税金を消すとは限りません。刑事上の問題がある場合は別途。
要点:税金は一般の消費者債務と扱いが異なることが多く、債務整理の選択は「税務署の姿勢」と「個人の資産・収入構造」によって左右されます。プロ(税務に強い弁護士)に相談して方針を決めましょう。
費用の目安(あくまで一般的な「目安」)
事務所や地域、案件の難易度で幅があります。以下はよくある目安です(個別見積りが最優先)。
- 任意整理(弁護士利用)
- 着手金・基本報酬:1社あたり2万~6万円程度が一般的な目安
- 成功報酬:減額分の一部や1社あたり追加料金
- 合計目安:数十万円(債権者の数や事務所により上下)
- 特定調停(弁護士を利用する場合)
- 弁護士費用:任意整理に近い
- 裁判所手数料:数千~数万円程度
- 合計目安:10万円台~数十万円
- 個人再生
- 弁護士費用:30万~60万円程度が多い(事案により増減)
- 裁判所手続・実費:数万円~十数万円
- 合計目安:50万円~100万円程度を想定する事務所が多い
- 自己破産
- 弁護士費用:20万~50万円+事案による(同時廃止か管財かで変動)
- 裁判所の予納金・管財費用:数万~十数万円(管財事件だと高くなる)
- 合計目安:数十万円(管財事件になると増える)
※重要:上記はあくまで目安です。税金が絡む場合は税務交渉に特化した弁護士の関与が必要になり、費用構成が変わることがあります。必ず見積りを取り比較してください。
例:ケース別の「イメージ」シミュレーション(あくまで概算・例示)
以下は「選択肢のイメージ」をつかむための簡易例です。金額はあくまでモデルケースです。
ケースA:給与所得者、カード・キャッシング合計600万円、税金滞納100万円
- 任意整理
- 期待効果:利息停止・分割で月々の負担を下げられる可能性。税金は税務署の対応次第。
- 費用目安:弁護士費用 合計20万~40万円
- 自己破産
- 期待効果:民間債務は免責が得られる可能性が高い(資産が大きくなければ生活に大きな影響は限定的)。税務署の税債は別扱いになる可能性あり。
- 費用目安:弁護士費用 25万~50万円+裁判所費用
ケースB:個人事業主、債務合計1500万円(うち税務署への滞納500万円)
- 個人再生
- 期待効果:事業継続しながら債務を大幅に圧縮できる可能性。税務署の扱いは個別判断。
- 費用目安:弁護士費用 30万~80万円、裁判所費用等別途
- 自己破産
- 期待効果:事業を廃業する場合の選択肢。税金の処理は慎重に検討が必要(税務署との債権関係が鍵)。
- 費用目安:上記自己破産の目安
ケースC:滞納が少なく金額も小さい場合(数十万~数百万円)
- 分割納付交渉(税務署への直接交渉)+任意整理等
- 期待効果:税務署は分割で応じることが多く、無理のない支払計画で解決できる場合がある。
- 費用目安:弁護士介入なしで自力交渉なら費用ほぼゼロ。弁護士に頼むと任意整理と同等の費用が発生。
注意:上の例はあくまで「方針イメージ」と「費用の目安」です。税金の扱いは個別性が非常に高いので、数値はケースにより大きく変わります。
なぜ「弁護士の無料相談」をおすすめするのか(選ぶ理由)
- 税金は一般債務と扱いが違うため、税法や実務に詳しい弁護士でないと誤った判断になる可能性がある。
- 自己判断で放置すると差押え・取り立てが進むリスクが高い。弁護士介入で即座に対応方針を立てられることが多い。
- 無料相談で「税務署がどう動くか」「どの手続きが合理的か」「総費用はどれくらいか」を事前に把握できる。
- 弁護士は税務署との交渉・異議申立て・回収阻止の実務経験があるため、被害を最小限にできる可能性がある。
(注)無料相談の範囲・時間・内容は事務所ごとに異なります。事前に何が無料で何が有料か確認してください。
弁護士(事務所)の選び方チェックリスト
選ぶ際にチェックすべきポイントを簡潔に示します。
- 税務関連の案件経験があるか(税務署対応の実績)
- 債務整理・破産・再生の実績(累計件数・成功例のタイプ)
- 料金体系が明瞭か(着手金、成功報酬、実費の説明)
- 無料相談の内容・時間・その後の流れが明確か
- コミュニケーションが取りやすいか(対応の速さ、説明のわかりやすさ)
- 地元での対応力(税務署とのやりとりは地域性があるため実務経験が有利)
- 口コミや評判(複数事務所で比較)
無料相談の申し込みから着手までの流れ(失敗しない手順)
1. 上の「今すぐ用意する資料」を準備する。可能な限り正確に。
2. 弁護士事務所に無料相談を申し込む(問合せフォームや電話)。相談で「税金」が絡むことを必ず伝える。
3. 無料相談で現状把握(どの税金、差押えの有無、資産状況など)。弁護士から方針案と概算費用を聞く。
4. 複数の事務所で相見積もりを取るのも有効(料金と方針の比較)。
5. 契約(委任)後、弁護士が税務署や債権者に対応。差押えがある場合は差押抑制、分割交渉、管轄裁判所との対応等を行う。
6. 手続き開始(任意整理・個人再生・自己破産等)。進捗は必ず書面で確認。
相談時に弁護士に必ず聞くべき質問(メモ用)
- 私の税債は破産や再生でどうなる可能性がありますか?(一般論ではなく私の場合の見立てを)
- 今すぐの差押えを止めるにはどうすればよいですか?
- 想定される総費用(着手金、報酬、裁判所費用、実費)を具体的に示してください。
- 相談は無料の範囲でどこまで対応してくれるか?
- 手続き期間とその間の生活への影響(職業制限や資格への影響等)について教えてください。
最後に(今すぐできること)
- 税務署からの差押えや督促がある場合、放置しないこと。弁護士介入で緊急対応できることが多いです。
- 「自己判断」で自己破産を進めるのはリスクがあります。税金が絡む場合は特に専門家に一度相談することを強くおすすめします。
- まずは、弁護士の無料相談を利用して、具体的な見通しと費用見積りを手に入れてください。
必要なら、相談準備のためのチェックリスト(印刷用)や、相談時に使える「説明シート(弁護士向け)」のテンプレートを作成します。準備したいですか?
1. 自己破産の基礎知識 ― まずは全体像をおさえよう
自己破産とは、支払い不能の状態にある者が裁判所に申し立てて、手続により債務の免責(支払い義務の免除)を受ける制度です。裁判所が破産開始決定を出すと、財産の整理(換価・配当)が進められ、最終的に免責が認められれば残債の支払い義務が免除されます。手続きは概ね次の流れです:裁判所への申立て → 破産手続開始決定 → 管財人による財産調査・換価(管財事件の場合) → 債権届出と配当 → 免責審尋(審理)→ 免責許可または不許可。
ポイントになる用語を簡単に説明します。
- 免責:裁判所が「支払い義務を免除する」と決めること。免責が出れば基本的に債務は消えます(ただし例外あり)。
- 管財人:破産管財事件で、裁判所が財産の管理・換価・配当を任せる人物(司法書士や弁護士が就くことが多い)。
- 債権届出:債権者(税務署を含む)が破産手続に申告して、自分の債権を主張する手続。
免責の対象/非対象
- 原則:金銭債務の多くは免責の対象になります。ただし、例外として「税務上の不正(脱税等)による追徴金や罰金」「故意・詐欺的な行為で生じた債務」などは免責不許可の理由になり得ます。具体的な判断は裁判所や事案の個別事情に依存します。
日常への影響
- 車や家など価値ある財産は処分対象になる場合があります(ただし生活に最低限必要な物は残ります)。また破産手続中は信用情報に登録され、ローンが組めない、カードが使えないといった影響がありますが、生活再建の大きな一歩でもあります。
体験談(私見・実務)
私は個人事業主の破産案件で複数回税務署とやり取りをしました。最初の相談で多くの方が「税金は全て免除される」と誤解しています。正しい準備(税金の計上根拠の書類整理、過去の申告書コピー、領収書の整理)をしておくと、税務署との交渉や管財人への説明がスムーズになります。特に事業で消費税を預かっていたケースでは事前説明がないと「不信」が生じ、免責交渉が長引くことが多いです。
2. 税務署と自己破産の関係 ― なぜ税務署が関わるのか
税務署は国(国税)や地方自治体(地方税)の代理で税金を徴収する機関です。滞納があると税務署は督促、差押えなどで回収を試みます。自己破産手続が始まると、税務署は債権者として破産手続に参加し、債権を届け出ます。ここで大事なのは、税務上の「債権の性質」によって扱いが変わる点です。
税務署が抱える債権の種類(例)
- 所得税(個人が支払う税)
- 消費税(事業者が顧客から預かった分を納付する税)
- 法人税(企業の税)
- 地方税(住民税、固定資産税など)
- 延滞税・加算税(滞納や申告漏れに対するペナルティ的税負担)
延滞税・加算税の扱い
- 延滞税は、期限までに納めなかったことによる利息的な性格を持ちます。加算税は申告漏れや虚偽申告に対する制裁的性格があります。これらの免責可否はケースバイケースです。たとえば、税務調査で故意の脱税が認定されると、加算税や追徴税は免責されにくい傾向があります。
申立時に提出すべき税関係書類と連絡の流れ
- 申立人は申立書に所得状況や財産、債権者一覧を記載します。税務署に関する債務は、申立書に正確に記載し、過去数年分の確定申告書や領収書、通帳の写しなどを整理しておきます。申立後、裁判所や管財人から税務署へ問い合わせが行き、税額の確定や債権届出が進みます。
税務署と管財人の連携
- 管財人は税務署に対し債権の内容や差押え済み資産の有無を確認します。税務署は差押えを行っている場合、その権利関係を主張することができ、配当順序や優先権の問題に影響します。実務では管財人と税務署の間で財産の扱いについて複数回の協議が行われます。
よくある誤解
- 「税金は絶対に消えない」:誤り。多くの税債務は破産によって免責され得ますが、背景(虚偽申告や脱税の有無)により異なる。
- 「税務署は差押えしたら勝ち」:差押えがあると優先的に回収できることがありますが、破産手続では手続の順序や管財人との協議が必要になるため単純ではありません。
体験談:初期連絡で役立つポイント
私がサポートした案件では、事前に確定申告書の控えと、顧客から預かった消費税を示す帳簿を提出したことで、税務署側の誤解が早期に解消され、管財人との交渉が短期で終わった例があります。逆に、帳簿が不明瞭だと税務署が加算税を強く主張し、免責判断に悪影響を及ぼすことがあります。
3. 免責と税金の具体的なケーススタディ ― どの税が免責されるの?
ここでは代表的な税目ごとに「免責されやすさ」と「注意点」を実務視点で整理します。具体例を交えて説明します。
3-1 所得税(個人の確定申告分)
- 一般論として、過去の所得税の滞納は破産手続において債権届出され、他の一般債権と同様に配当対象となり得ます。滞納税が免責される場合も多いですが、税務調査で故意の申告漏れ・脱税が認定された場合、課された加算税や延滞税、さらには刑事罰の対象となる事実があれば、免責に影響が出ることがあります。たとえば「所得を隠していた」と認定されると免責審尋で不利になる可能性があります。
3-2 消費税(預かった税金)
- 消費税は事業者が顧客から預かった税であり、預かった金を自己の収入として使い込み滞納した場合、税務署や裁判所はその性格を問題視します。実務上、「預かった消費税を自己の収入に混同していた場合」は非難されやすく、免責にあたり慎重な判断を受けることがあります。帳簿で預かっている消費税の所在が明確であれば争点が少なく済みます。
3-3 固定資産税・住民税などの地方税
- 地方税も基本的には債権として破産手続で扱われます。納税義務者が滞納している場合、地方自治体は債権届出や差押えを行います。固定資産税に関しては対象資産が破産財団に含まれるため、処分対象になることがあります。
3-4 延滞税・加算税の扱い
- 延滞税は利息性、加算税は制裁的性格を持ちます。加算税は税額の計算に付随するため、税務調査の結果如何では大きく額が変わります。虚偽申告や仮装隠蔽があると加算税が重くなるだけでなく、免責不許可事由の検討対象になります。
3-5 相続税・贈与税
- 相続税・贈与税はその性質上、財産の移転に伴う税です。過去に発生した相続税の滞納は破産手続で扱われますが、遺産の存在や時期、申告状況が争点になります。意図的な財産隠しがあれば免責に悪影響です。
免責を認めないケースと回避の道
- ケース例1(認められない傾向):事業で顧客の消費税を数年間にわたり収入として着服していた場合。税務署が重い加算税を主張し、かつ故意の背信行為と評価されると免責審尋で不許可のリスクが高まります。
- 回避策:帳簿・通帳で預り金と事業収入を明確に分けておく、税務調査がある場合は早めに弁護士や税理士に相談し、誠実に情報を提供する。
ケース(体験談)
私が関わった個人事業主のケースでは、消費税を含む滞納がありました。幸い帳簿が整理され、消費税相当の預かり資金が明示できたため、税務署側は追徴を限定的に留め、最終的に裁判所の免責決定で大きな問題にならずに済んだ例があります。逆に帳簿が散逸していた別件では、税務署が加算税を強く主張し、免責審尋が数度行われたうえで慎重判断となりました。
4. 手続きの実務ガイド ― 申立て前から破産後までのチェックリスト
ここは実務で役立つ「やることリスト」と、専門家選びのポイントをまとめます。申立てから免責確定まで、具体的に何をすれば良いか段階ごとに整理しました。
4-1 専門家(弁護士・司法書士・税理士)の選定ポイント
- 破産は法的・税務的双方の知識が必要。特に税金滞納が絡む場合は、弁護士(破産手続代理)+税理士(税務対応)の連携が重要です。選ぶ際は「税務案件の経験」「管財事件の経験」「裁判所手続に慣れているか」を確認しましょう。費用の見積りと成功報酬の有無、連携体制を事前に聞いておくのが安心です。
4-2 申立に必要な基本書類リスト(代表的なもの)
- 身分証明書、住民票、収入証明(給与明細・確定申告書)
- 過去3~5年分の確定申告書の控え(個人事業主は必須)
- 領収書、請求書、通帳の写し(預金・出金の履歴)
- 財産目録(不動産、車、株式、保険など)
- 債権者一覧(借入先、税務署、地方自治体の情報)
- 差押え通知や滞納処分の書類(税務署からの督促状など)
4-3 申立の流れと意思決定のタイミング
- 事前相談(専門家)→ 必要書類の収集と説明→ 申立書作成→ 裁判所へ申立て→ 破産手続開始決定(簡易・同時廃止・管財に分かれる)→ 債権届出や財産調査→ 免責審尋→ 免責決定。
- タイミング:税務署から差押えの通知が来たら急ぎで相談を。差押えがある場合、それが財産管理の大きな障害になります。また、税務調査中に申立てをしないほうが有利な場合もあるため、判断は専門家と相談して。
4-4 破産管財人の仕事と付き合い方
- 管財人は破産財団(破産者の処分可能な財産)を管理・換価し、債権者に配当します。税関係では、管財人が過去の申告や通帳を確認し、税務署へ照会をかけます。管財人とは誠実に連絡を取り、帳簿や説明が求められたら速やかに提出することが重要です。情報隠匿は免責不許可のリスクにつながります。
4-5 税務署との連絡窓口と連絡時のポイント
- まずは「国税(国税局・税務署)」か「地方税(市区町村)」かを確認。督促書が来た場合は放置せず、まず専門家に相談。税務署とは文書でのやり取りを基本にし、口頭だけで済ませないこと。資料を出すときは控えを取り、送付履歴を残しましょう。
4-6 破産後の税務申告の取り扱いと注意点
- 破産後でも、例えば免責決定後の所得に関する税務申告や、更生の申告義務は引き続きあります。破産手続によって過去の税債務が免責されても、将来の所得に対する申告義務・納税義務は続きます。また、免責後に税務署が過去に遡って追徴税を指摘する可能性がゼロではないため、事前の記録保存が大切です。
4-7 よくあるトラブル事例と対処法
- 事例A:申立後に税務署から追加で未申告が見つかった→対処:税理士とともに修正申告を行い、可能な限り事情を説明して配慮を求める。
- 事例B:管財人への帳簿未提出で免責審尋が長期化→対処:速やかに資料を提出し、誠実に説明する。
- 事例C:消費税の着服で税務署が刑事告発を示唆→対処:刑事問題に発展する可能性があるため、弁護士を通じて対応する。
4-8 体験談:事前準備で失敗しがちなポイント
- よくある失敗は「通帳や領収書を処分してしまう」「顧客から預かった消費税の区分が曖昧」で、これが税務署との争点を生みます。私の経験上、少なくとも過去3年分の確定申告書と通帳コピー、領収書は必ず保存しておき、申立て前に専門家と一度目を通すことを強く勧めます。
5. よくある質問と注意点 ― Q&A形式で簡潔に答えます
ここでは読者がよく疑問に思う点をQ&Aで短く整理します。すぐに使える実務的な回答を心がけました。
Q1:自己破産すれば全ての税金が免除されますか?
A1:いいえ。多くの税債務は破産手続で免責され得ますが、税務調査で故意の脱税等が認定された場合や、消費税の預かり金を着服したような場合は免責に悪影響が出ることがあります。個別事案ごとに異なるため、専門家に相談してください。
Q2:税務署から差押えを受けたらどうすべきですか?
A2:差押えが来たらまず慌てず、差押えの対象物(預金、不動産、給与など)と差押えの法的効力を確認し、専門家に連絡してください。差押えがあると破産財団の扱いが複雑になるため、早めに管財人や弁護士と調整が必要です。
Q3:延滞税や加算税は免責されますか?
A3:延滞税は利息的な性格があるため免責され得ますが、加算税は制裁的性格を持ち、税務調査で悪質性があると判断されれば免責に影響します。税務署の主張の内容と事実関係次第です。
Q4:破産後、税務署から追徴が来たら?
A4:破産後でも、税務調査による追徴が発生することがあります。追徴が事実に基づく場合は支払い義務が生じる可能性があるため、税理士と相談して争点を整理し、必要なら異議申し立てや更正の請求を検討します。
Q5:どのタイミングで専門家に相談すべきですか?
A5:税務署から督促や差押えが来た時点で速やかに相談してください。申立てをする前、税務調査が予定されている段階、あるいは差押え前の段階でも早めの相談で対処の選択肢が広がります。
おすすめの進め方(実務的アドバイス)
- 早めに弁護士(破産手続)と税理士(税務対応)に相談し、帳簿や申告書の整理を行う。
- 税務署との最初のやり取りは書面で行い、送付控えを残す。
- 管財人には誠実に協力する。資料の隠蔽や遅延は免責に悪影響を与える。
最終セクション: まとめ
自己破産と税務署の関係は単純ではありません。多くの税債務は破産手続で免責され得ますが、税の種類(所得税、消費税、地方税)、滞納の背景、税務調査での評価(故意の脱税があるか)により扱いが変わります。重要なのは「情報を隠さず、帳簿と証拠を整え、専門家に早めに相談すること」です。税務署との最初のやり取りがその後の流れを大きく左右するので、督促や差押えが来たら放置せず、弁護士や税理士に相談してから手続きを進めましょう。
最後に一言(体験に基づく励まし)
自己破産は人生のやり直しの手段です。税金や手続きの専門用語に圧倒されるかもしれませんが、一つずつ書類を整理し、専門家と相談しながら進めれば道は開けます。私が支援した多くの方は、手続き後に新しい生活を再構築しています。まずは一歩、相談窓口に連絡してみてください。
モビット 借金減額で返済を楽にする方法|手順と実例を徹底解説
補足(重要):本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の法的アドバイスは弁護士・税理士にご相談ください。また、破産手続や税務の運用は裁判所・税務署・管財人ごとに異なる場合があり、最新情報の確認を推奨します。
出典(本文での根拠に用いた主な公的資料・参考先)
- 法務省「破産手続に関するページ」などの破産制度解説
- 国税庁「滞納処分・納税相談」や「破産・債務整理に関する国税の取扱い」ページ
- e-Gov(法令検索)での「破産法」条文
- 各地方自治体の税務課による滞納・差押えに関する公表資料
(注:詳細な法令条文・公的ガイドラインは上記公的サイトで最新の情報を確認してください。)