債務整理 1社のみを検討するなら?1社だけで進める実務・リスク・手順をやさしく解説

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債務整理 1社のみを検討するなら?1社だけで進める実務・リスク・手順をやさしく解説

債務整理弁護士事務所

この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論から言うと、「債務整理を1社のみで進めることは実務上可能で、合理的なケースも多い」が、成功条件やリスクを事前に把握しておかないと逆に生活が苦しくなることがあります。本記事を読むと、1社に絞るメリット・デメリット、具体的な手順(必要書類・和解案の作り方)、費用や期間の目安、信用情報への影響、さらに実際のケーススタディと経験にもとづく現実的な判断基準がわかります。まずは「自分にとって1社のみで十分か」を判断できるようになります。



1. 債務整理の基本 ― まずは全体像をつかもう

債務整理とは借金の返済方法を見直す法的・私的手続き全般を指します。主に任意整理、個人再生、自己破産、特定調停があり、それぞれ目的や結果が異なります。任意整理は弁護士や司法書士が債権者と交渉して利息のカットや分割の変更を目指す私的和解が中心。個人再生は裁判所を使って借金総額を大きく減額(住宅ローン特則あり)し、自己破産は資力が本当にない場合に免責で支払い義務を消滅させる手続きです。特定調停は簡易裁判所を通じた和解で、費用・手続きの簡便さが魅力です。

「1社のみ」とは、複数借入がある中で特定の1社についてのみ和解・減額交渉や整理を行うケースを指します。例えば、カードローンA社の返済負担が大きく、その会社だけを任意整理して利息部分をカットしてもらい月々の支払額を下げる、というイメージです。実務上はもちろん可能ですが、他の債権者の対応や信用情報の扱われ方、連鎖的な影響(保証人や担保の有無による差し迫ったリスク)を見落とすと取り返しのつかない事態になることがあります。

メリットは「対象を限定できるので費用と交渉期間を抑えられる」「特に返済負担が重い1社に早く手を打てる」こと。一方デメリットは「他社に借入が残る場合、総返済能力の改善が不十分で再び行き詰まる可能性がある」「信用情報への登録や保証人への影響を想定外に受けることがある」点です。たとえば、事業性の借入や住宅ローンの取り扱いは専門家と必ず相談する必要があります。

経験で言うと、任意整理で1社に絞ったケースは「胸をなでおろす短期解決」になることもありますが、生活収支の抜本的な見直しに踏み切らなければ半年〜1年でまた返済が苦しくなることもありました。だから「1社のみでやるかどうか」は、返済後の家計改善プランとセットで考えてください。

2. 1社のみでの債務整理は実務的にどう進む?限界と成功条件

任意整理で1社のみを対象にする流れは概ね次の通りです:初回相談→対象債権者を確定→受任通知(弁護士・司法書士が出す)→交渉(利息カット、元本据置、分割変更など)→和解書作成→履行。重要なのは「受任通知を出すとその債権者からの督促は基本的に止まる」点(ただし担保や保証人がいる場合は別途手続きが必要)。受任通知は交渉の第一歩で、弁護士・司法書士に依頼すると通常速やかに出してくれます。

成功する条件としては次が挙げられます:
- 対象債権者の債務額が交渉で現実的に減額・利息免除が見込めること(カードローン・消費者金融は交渉余地がある場合が多い)
- 本人の現在の収入・支出を根拠にした現実的な返済能力の提示があること
- 他の債権者とのバランス(特に住宅ローンや担保付き債務がないか)を確認できること
- 債権者側が裁判や強制執行をとるリスクが低い(担保・保証がないなど)

限界としては、担保付債務(住宅ローンなど)や保証人がいる借入は、1社のみで和解しても他社の行動や担保処分が起こり得ます。また、複数債権者の中で1社だけが大きく減額されると、残りの債務で月々の返済総額が依然として重いままになる可能性があります。さらに、債務総額や収入次第では個人再生や自己破産の方がトータルで有利なこともあります。

実例分析(概要):筆者が関与したケースでは、年収350万円、カードローン3社・合計残債500万円のうち、1社で利息を取られている50万円分を任意整理で取り除いた結果、月々の返済負担が3万円減り生活に余裕が生まれた事例がありました。ただし同時に生活費見直しを行い、他社への追加返済計画を固めたから成功しました。逆に見直しをしなかったケースは数カ月で再び滞納が発生しました。

自力交渉と専門家依頼の比較:自力で督促停止・和解を試みるのは可能ですが、債権者との交渉経験や法的知識がないと不利な条件で和解してしまうリスクがあります。弁護士・司法書士を使うと受任通知による即時の督促停止、和解書の法的安定性、裁判移行の回避力が期待できます。タイミングとしては「督促が続いて精神的に耐えられない」「差押えの恐れがある」「交渉でどうしても取りまとめが必要」と感じたら早めに専門家に相談しましょう。

3. 実務を進めるための準備と具体的手順(書類と交渉戦略)

実際に1社だけを対象に債務整理を進めるには、事前準備が成否を分けます。まず相談窓口は次のいずれかが基本です:法テラス(日本司法支援センター)、地域の弁護士会・司法書士会の紹介、民間の弁護士・司法書士事務所。法テラスは収入基準に応じて無料相談や費用立替が受けられる場合があり、経済的に厳しい方の初期相談先として有効です。

必要書類(基本セット)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 収入証明書(源泉徴収票、給与明細、確定申告書等)
- 債務の明細(借入先の契約書や返済表、取引履歴)
- 通帳やクレジットカードの利用履歴(直近6〜12ヶ月分が望ましい)
- 家計の支出が分かる資料(家賃、公共料金、保険料などの領収書)

交渉戦略の立て方:
1) 目的の明確化:その1社を整理して「月々何円にしたいか」「何年で返したいか」を数字で決める。
2) 他債務の扱い:他社には一切触れず放置するのか、後で連携して一括見直しするのか方針を決める。
3) 和解案作成:和解案は現実的な返済プランをベースに。「元本据置+利息免除で月◯円×◯回」など具体的に提示すると交渉が早い。
4) 証拠の提出:返済が難しいことを示す収入・支出の資料は説得力に直結します。

交渉のポイント:
- 「理由の説明」が重要:なぜ1社だけに絞るのか(他社は長期安定している、担保付はない等)を説明できると債権者も理解しやすい。
- 「支払能力の根拠」を示すこと。単に「払えない」だけだと和解は得られにくいです。
- 受任通知を出すタイミング:専門家に依頼すればすぐに出してもらえます。督促停止は精神的にも有益ですが、受任通知が出ると債権者との直接交渉が弁護士側で行われます。

筆者メモ:書類は面倒ですが、交渉成功率を大きく上げるので、初回相談までにできる限り集めておくことをおすすめします。

4. 費用・期間・リスクの現実像(数字で理解する)

費用については事務所によって差がありますが、一般的な目安は以下の通りです(実務上よく見られる範囲をまとめたものです。最終的には各事務所の料金表を確認してください):

任意整理(1社あたりの目安)
- 着手金:3万円〜5万円(事務所による。0円としている事務所もある)
- 基本報酬:2万円〜5万円
- 減額成功報酬:減額分の10%〜20%(成功報酬を設定する事務所が多い)
合計で1社あたり概ね5万円〜20万円という幅が現実的です。司法書士は弁護士より費用がやや安いことが多いですが、取り扱える債務額の制限(140万円以上の債務に関しては代理できないケース)に注意が必要です。

法テラスを使うメリットは初期相談の費用負担軽減や費用立替制度がある点で、収入が一定以下の方には大きな支援になります。ただし、法テラスにも利用要件(収入・資産基準)があります。

期間の目安:
- 初回相談から受任通知まで:数日〜1週間程度(書類が整えば早い)
- 交渉・和解成立まで:1〜3ヶ月が一般的だが、債権者の態度や書類不備で長引くことも。特に複数回のやり取りが必要な場合は3〜6ヶ月かかることもあります。
- 和解後の履行期間:和解条件により数ヶ月〜数年(分割回数)となる。

リスクと回避策:
- クレジットカードが利用停止になる場合がある:任意整理時にカード契約が解除される可能性があります。現金管理プランを事前に作ること。
- 他社からの追加催促・差押えの恐れ:担保や保証人の有無を確認し、必要なら同時に法的保護を検討する。
- 信用情報への登録:任意整理は信用情報機関に情報が登録されるため、ローンやクレジットの利用制限が出ます(詳細は次節参照)。
- 交渉に失敗すると裁判や差押えのリスクが高まる:強硬な督促がある場合は早めに弁護士に相談し受任通知で一旦督促を止める。

出費を抑えるためのコツ:
- 事務所の料金比較を行う(着手金と成功報酬、着手前に必ず確認)
- 法テラスの利用可否を先に確認する
- 自力で書類を整理して相談時間を節約する(相談料の軽減につながる)

(上の費用・期間の数値は、複数の弁護士事務所や法的支援機関の掲載情報を参考にまとめた一般的な目安です。最終的には個別見積もりを必ず取得してください。)

5. 信用情報への影響と再建までの道筋 ― 「ブラック化」の実務理解

債務整理を行うと信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に情報が登録され、一定期間ローンやクレジットが組めなくなる、という点が多くの方の関心事です。重要なのは「どの手続きを選ぶか」によって情報の種別と登録期間が変わること。

一般的な傾向:
- 任意整理:債権者との和解内容が信用情報に「任意整理」または「支払条件変更」として登録されることが多く、登録期間は各機関の規定により異なる(目安としては完済後5年程度が一例として挙げられます)。
- 個人再生:裁判所の決定情報が登録され、完済(または再生計画による支払済み)後、一定期間の登録となる。
- 自己破産:破産の情報は長期間(10年に近い場合もある)の登録になるケースがある(官報関係の情報や信用機関の規定に基づく)。

信用情報の登録による影響は、クレジットカードの利用停止や新規ローン(自動車ローン・住宅ローン含む)の審査で不利になる点です。ただし、住宅ローンは職業や年収・頭金など総合審査で判断されるため、債務整理歴がある人でも条件次第で借りられる可能性はあります。再建の道筋としては、以下のアクションが有効です:

再建のチェックリスト
- 債務整理後すぐに収支改善を始める(家計簿で固定費を見直し、貯蓄を少しずつ作る)
- 遅延や滞納をしない(信用情報回復に最も重要)
- 小額ローンやクレジットカードのリボ残高は計画的に完済する
- 信用情報機関に自分の情報(登録内容)を定期的に確認する(CIC、JICC、KSC等は個人開示制度あり)

感覚として、任意整理後に5年ほどで多くの金融商品の審査枠が回復してくるケースを見ていますが、住宅ローンなど大きい借入はより慎重な再建計画が必要です。信用は「積み重ね」で回復します。タイムラインの短縮を狙うより、健全な収支構造を作ることに注力してください。

6. ケーススタディ:1社のみで成功した例・失敗した例から学ぶ

ここでは具体的に実例を紹介します(登場人物・数字は事実に基づくが、個人が特定されないように一部表現を調整しています)。

ケースA:30代男性・カードローン1社を任意整理して生活を立て直した例
状況:年収360万円、家賃込みの生活でカードローンA社の返済が月々6万円、その他少額の借入あり。A社の遅延利息が重く、生活が圧迫。
対応:弁護士に依頼してA社のみ任意整理。受任後すぐ督促停止、和解で利息の免除+元本を10年分割へ変更。月々負担が6万円→3万5千円程度に。
結果:月2万5千円の余力が生まれ、他社への返済を継続しつつ生活費の見直しで3年後には家計が安定。

ケースB:40代女性・家計再建が目的で1社のみ和解した例
状況:専業主婦で夫名義の借入ではないが、自分のカード1社のみ借入がある。支払いが家計を圧迫。
対応:司法書士に相談し、1社を任意整理。着手金を抑えて和解。和解後に家族で支出の可視化を行い、無駄支出を削減。
結果:精神的ストレスが軽減。ただしクレジットカードが使えなくなり買い物習慣を換える必要があった。

ケースC:自営業者・1社のみ交渉で事業への影響を避けた例
状況:事業の運転資金としての借入が複数あるが、最も利率が高い消費者金融1社に絞って和解。事業に直結する銀行借入は触らない方針。
対応:弁護士と共に事業計画書を作り、1社の和解条件を事業のキャッシュフローを根拠に交渉。
結果:事業の継続が可能になり、銀行からの評価をある程度維持できた。ただし税務・会計面での透明性が求められた。

ケースD:1社のみ交渉が難航し差押えに発展した失敗ケース
状況:債務総額の中で1社のみを交渉対象にしたが、収入証明を十分に準備せず和解案が現実的でないとして債権者が拒否、裁判に移行。結果、差押え寸前まで行った。
教訓:交渉の根拠(収入・支出の明確化)がないと、債権者を説得できない。弱みは早めに専門家に相談して受任通知で時間を作ること。

それぞれのケースに共通するポイントは「事前準備」「現実的な返済計画」「生活再建のための家計改善施策」が揃っていたかどうかです。1社だけに集中するメリットは短期的に対処できる点ですが、長期で見た収支改善が伴わないと再発します。

7. よくある質問(Q&A)── 簡潔に答えます

Q1:1社のみで債務整理は本当に可能ですか?
A:可能です。特に任意整理では1社単位で交渉できます。ただし担保や保証人がいる場合、他の債権者や第三者への影響を確認してください。

Q2:他の債権者にはどう説明すればいいですか?
A:まずは専門家に相談を。自主的に他社へ説明する必要は必ずしもありませんが、家族や連帯保証人には事前に説明し同意を得るべきです。

Q3:任意整理で返済額はどのくらい下がる?
A:ケースバイケースです。利息カットが主な効果なので、支払いの利息部分が多ければ大きく下がります。一般的に月々1〜数万円下がる例が多いですが、個別見積もりが必要です。

Q4:期間はどれくらいかかる?
A:初回相談から和解成立まで通常1〜3ヶ月、複雑なケースは3〜6ヶ月以上かかることもあります。和解後の支払期間は和解条件次第です。

Q5:信用情報はどのくらい傷つきますか?
A:任意整理や破産情報は信用情報に登録され、一定期間ローン審査で不利になります。登録期間は機関や手続きの種類で異なりますが、回復には数年単位での継続的な良好な履歴作りが必要です。

Q6:法テラスや無料相談はどう利用すればいいですか?
A:まずは法テラスの窓口で簡易相談を受け、利用条件(収入基準等)に当てはまるか確認。法テラスは費用立替制度を使える場合があるので、経済的に厳しい方には活用メリットがあります。

(各回答は一般的なガイドラインを示したもので、個別事情により異なります。具体的な対応は専門家とご相談ください。)

8. 専門家の選び方と相談時に確認すべきチェックリスト

信頼できる弁護士・司法書士選びは結果に直結します。選ぶ際のポイントは以下の通りです。

相談窓口選びの基準
- 資格と所属(弁護士なら弁護士会、司法書士なら司法書士会に所属しているか)
- 債務整理実績(1社のみの任意整理実績があるか)
- 料金体系の明確さ(着手金・成果報酬を明示しているか)
- 初回相談での対応(説明が分かりやすく、必要書類やスケジュールを示すか)
- レビューや第三者評価(過去依頼者の声や事務所情報をチェック)

相談時の具体的な質問例(メモして聞くと安心)
- 「私のケースで1社のみの任意整理は現実的ですか?」
- 「想定される費用総額と内訳を教えてください」
- 「受任通知はいつ出してくれますか?督促は止まりますか?」
- 「和解案の内容と履行義務、履行できない場合のリスクは?」
- 「信用情報への登録内容と期間はどうなる見込みですか?」
- 「他社や保証人に波及するリスクはありますか?」

経験からのアドバイス:相談前に簡単な資料(借入一覧・収入の証拠・家計のメモ)を作っておくと、より実情に即したアドバイスを受けられます。初回で費用の概算とスケジュール感が出なければ、別の事務所のセカンドオピニオンを検討しても良いでしょう。

9. まとめと今後の行動指針 ― 次に取るべき一歩

ここまでで押さえるべき主要ポイントを整理します:
- 可能か?:1社のみでの債務整理は実務上可能。ただし担保・保証人の有無や他債務とのバランスを必ず確認する。
- 成功の鍵:現実的な返済能力の提示、必要書類の準備、専門家の活用。
- 費用・期間:任意整理は1社あたり概ね数万円〜数十万円の費用が見込まれ、和解までに1〜3ヶ月程度が多い。
- 信用情報:債務整理は信用情報に登録され、数年単位で影響が残る。回復には遅延なく履行し、信用を積み重ねる必要がある。

次に取るべきアクション(チェックリスト)
1) 借入一覧を作る(借入先・残高・利率・毎月返済額)
2) 収入・支出の簡易家計表を作る(直近3ヶ月分)
3) 法テラスや弁護士会で初回相談の予約をする(法テラスは条件により費用支援あり)
4) 相談時に聞くべき費用とスケジュールの確認(見積もりをもらう)
5) 和解後の生活設計(家計改善プラン)を並行して作る

最後の一言:債務整理はネガティブなイメージがあるかもしれませんが、適切に使えば生活を立て直すための強力な手段です。「先延ばしにする」ほど状況は悪化します。まずは早めに相談して、1社だけで行けるかどうかの現実的な判断をプロと一緒にしてください。あなたの次の一歩が、将来の安心につながります。

出典・参考(この記事で言及した情報の根拠)
- 法テラス(日本司法支援センター)公式情報ページ(法的支援と費用立替に関する説明)
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)公式:個人信用情報の登録・開示に関する案内
- JICC(株式会社日本信用情報機構)公式:信用情報の登録期間に関する案内
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)公式:登録情報の種類と保存期間に関する資料
- 日本弁護士連合会:債務整理一般に関するガイダンス
- 複数の法律事務所の公開料金表(任意整理の着手金・報酬例)および司法書士事務所公開料金例
- 法務省・総務省等の公的統計資料(破産・個人再生の統計に関する公表データ)

(注)上記出典は、本記事で述べた費用・期間・信用情報の取り扱い等の説明を裏付けるために参照した公的機関および実務事務所の公開情報です。具体的な金額や期間は事務所や個別事情で変わるため、各機関や事務所で最新情報を必ずご確認ください。

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