900万 債務整理のすべて:任意整理・個人再生・自己破産の選び方と実践ガイド

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900万 債務整理のすべて:任意整理・個人再生・自己破産の選び方と実践ガイド

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この記事を読むことで分かるメリットと結論

結論を先に言うと、900万円の債務は「一律の正解」はありません。任意整理、個人再生(民事再生)、自己破産のいずれが適しているかは、収入・資産・借入の内訳(住宅ローンの有無、担保・保証の有無)、家族構成によって変わります。本記事を読むと、各手続きの仕組み、費用・期間の現実的な数値感、信用情報(いわゆるブラックリスト)への影響、手続きの具体的な流れ、そしてあなたのケースに合う「判断基準」を持てます。さらに、実例と体験談から「実務で気をつける点」も学べます。



「900万の借金」はどう整理する?──方法別シミュレーションと費用、弁護士相談のすすめ


900万円の債務を前に、何から手を付ければいいか分からない――そんな方へ。まず押さえるべきポイント、検討できる債務整理の方法(任意整理・個人再生・自己破産)の違い、900万円を例にした支払いシミュレーション、費用の目安、弁護士に無料相談するときの準備と選び方まで、分かりやすくまとめます。

注意:以下は一般的なモデルケースと目安です。具体的な結果は債権者構成・資産・収入状況・過去の取引などで変わります。最終的には債務整理に詳しい弁護士による個別診断を受けてください。

まずはここを確認・準備する(相談前にやること)

相談をスムーズにするため、次を用意してください。

- 債権者リスト(貸金業者・カード会社名、借入残高、利率、月々の返済額)
- 借入の契約書や取引履歴、請求書(利用明細)
- 収入証明(給与明細3ヶ月分、源泉徴収票など)
- 家計の支出(家賃・公共料金・保険・生活費など)
- 資産情報(自宅、不動産、車、貯金、株など)
- 保証人の有無(保証人がいると影響があります)
- 身分証明書

これらがあれば、弁護士の初回相談で実務的かつ具体的な検討ができます。

債務整理の主な3つの選択肢(概略と900万円ケースのシミュレーション)


1) 任意整理(債権者と直接交渉)

- 概要:弁護士が債権者と話し合い、将来利息(将来利息や遅延損害金)をカットして元本だけを分割で返済するなどの和解を目指す。裁判所を通さない。
- メリット:手続きが比較的早く、財産の差押えを避けやすい。勤務先や自宅を残したい場合に向く。手続き中に取り立てが止まる(原則)。
- デメリット:元本そのものの大幅カットは基本的に期待しにくい(利息の免除が主)。債権者全てが応じるとは限らない。
- 900万円例(簡易シミュレーション)
- 方針A:将来利息をカットして元本9,000,000円を利息ゼロで5年(60回)返済 → 月額 150,000円
- 方針B:3年(36回)で返済 → 月額 250,000円
- 債権者が一部元本を減らす交渉に応じれば、さらに月額は下がる可能性あり(ケース次第)。
- 費用の目安:弁護士費用は事務所によるが、1社あたり3万~5万円程度の着手金+経過報酬が設定されることが多い。債権者数が多いと合計費用は上がる。

向いている人:毎月の支払い能力があり、「借金の圧縮よりも利息を止めて支払いやすくしたい」人。

2) 個人再生(民事再生による再建)

- 概要:裁判所を通じて債務の一部を減額し、原則3年(事情により最長5年)で分割弁済する手続き。住宅ローンがある場合は「住宅ローン特則」を使い家を残すことも可能(条件あり)。
- メリット:大幅な減額が期待できる(一定の“最低弁済額”に基づく)。住宅を残したい人に選ばれることが多い。
- デメリット:裁判所手続きのため書類が多く、手続き期間が比較的長い。申立てに要する弁護士費用・裁判費用が発生する。
- 「最低弁済額」の考え方(一般的な目安)
- 債務の額に応じて、最低限返済すべき金額が法的に設定されています(実務上よく使われる基準):
- 債務額が500万円~1,500万円の範囲では、債務の2割(20%)程度が目安。
- 債務額が1,500万円を超えると、債務の1割(10%)程度が目安。
- (実務的に細かな基準や例外があるため、個別判断が必要です)
- 900万円例(一般的なケース)
- 900万円は1,500万円未満なので「約20%」が目安 → 再生後の総額:約1,800,000円
- 分割例:3年(36回)で支払う → 月額 約50,000円
5年(60回)で支払う → 月額 約30,000円
- 費用の目安:弁護士費用は30万~50万円が一般的(事務所により幅あり)。そのほか裁判所手数料や予納金等で数万円~十数万円がかかる場合あり。

向いている人:収入が一定あり、返済可能性があるが借金を大幅に減らしたい。住宅を残したい人にも適することが多い。

3) 自己破産(免責手続き)

- 概要:裁判所で支払不能状態(債務超過や継続的に返済不能)を認めてもらい、免責(借金の支払い義務の免除)を得る手続き。一定の財産は換価され債権者に分配されるが、残余の債務は免除される。
- メリット:支払不能な場合には債務が原則としてゼロになる。返済負担から解放される。
- デメリット:一定の財産は失う可能性がある(換価されて債権者へ配当)。職業制限・資格制限が一部にある(例:一部業務や免責不許可事由に該当する場合など)。信用情報に登録され、一定期間は新たな借入が難しくなる。免責が認められないケース(故意の浪費や隠匿等)がある。
- 900万円例:
- 基本的に主要な無担保債務の多くは免責対象となるため、返済負担は原則ゼロになる(ただし非免責債権や保証人への影響、資産の処分などは別途考慮)。
- 費用の目安:弁護士費用は20万~50万円程度の幅。裁判所手数料や予納金、場合によっては管財事件の管理費(管財事件になると数十万円の予納金が必要)などが発生。

向いている人:収入や資産の状況から、現実的に返済が困難で再建が見込めない人。ただし生活再建への影響(家の処分や職業上の制約など)を弁護士と詳しく確認すること。

比較ポイント(どの方法を選ぶか判断するため)

- 収入の安定性:安定した収入があるなら個人再生や任意整理で分割可能。収入が著しく少ない・不安定なら自己破産を検討する場合もある。
- 資産(特にマイホーム):マイホームを守りたい場合は個人再生(住宅ローン特則)が検討候補。任意整理も交渉次第で家を守れる。自己破産は原則として処分の対象となる可能性あり。
- 債務の内訳:担保付債務(住宅ローンなど)や保証人の有無で影響が変わる。保証人がいる場合、保証人へ取り立てが行くリスクを説明してくれる弁護士が重要。
- 早さと手続きの負担:任意整理は比較的早く済む。個人再生や自己破産は裁判所手続きで書類や期間が必要。
- 社会的影響(信用情報):全ての手続きで信用情報に記録が残る期間は変わるが、任意整理・個人再生・自己破産いずれでも一定期間はローン・クレジットが難しくなる。詳細は弁護士に確認。

費用のまとめ(目安)

- 任意整理:社数によるが(1社当たり)3万〜5万円程度の着手金が目安。全体で10万〜40万円程度になることが多い。
- 個人再生:弁護士費用30万〜50万円+裁判所費用や予納金で数万円〜十数万円。合計で40万〜70万円程度が一般的なレンジ。
- 自己破産:弁護士費用20万〜50万円+裁判所費用。管財事件になる場合は管財予納金が数十万円必要になることがある。合計で30万〜80万円程度の幅がありうる。

※弁護士費用は事務所ごとに体系が異なります。着手金+成功報酬(報酬基準)や分割払いの可否、追加手続き時の料金などを必ず事前に確認してください。

弁護士無料相談を利用するメリットと、相談時に必ず聞くべきこと

「無料相談」を提供している事務所は複数あります。無料相談で得られること:

- 現状の法的評価(どの選択肢が現実的か)
- 想定される結果の概算(減額の目安、月額負担の試算)
- 必要書類や今後の手続きの流れの確認
- 費用の見積もり・分割の可否

相談時に必ず確認する項目(チェックリスト):
- 事務所の債務整理の取り扱い経験(何件扱っているか、得意分野)
- 具体的な費用の内訳(着手金・報酬・裁判費用など)と分割払いの可否
- 自分の状況なら最も現実的な手続きは何か、その理由とメリット・デメリット
- 手続き開始から完了までの想定期間
- 万が一申立てが認められない場合の代替案
- 仕事や家族(保証人など)への影響についての見通し
- 連絡・対応方法(担当者は誰か、連絡はメール/電話どちらか等)

弁護士・事務所の選び方(ポイント)

- 債務整理の実績が豊富で、具体的な事例を提示できる事務所
- 費用体系が明確(見積もりを出してくれる、追加費用の可能性が説明される)
- 対応が丁寧で、質問に対する説明が分かりやすい
- 連絡の取りやすさ(初回相談の対応・土日や夜の相談可否など)
- 地元か全国対応か、オンライン相談が可能か(忙しい人は選択肢)
- 無料相談での印象(無理に手続きを勧めるかどうかではなく、状況に応じた複数案を示してくれるか)

よくある質問(Q&A)

Q. 任意整理で必ず利息をゼロにできますか?
A. 債権者との交渉で利息免除が合意されることは多いですが、合意は債権者ごとに判断されます。元本の大幅なカットは原則期待しにくい点に注意。

Q. 個人再生で家を残せますか?
A. 条件付きで可能です(住宅ローンが継続する等の措置が必要な場合が多い)。ただし手続きや要件が複雑なので弁護士と個別相談してください。

Q. 自己破産すると職を失いますか?
A. 一般的には会社員が破産しただけで解雇されるとは限りませんが、業種によっては制限がある職種もあります(例:一部の士業や信頼を要する職)。個別の職業影響は弁護士に確認を。

まず何をすべきか(今すぐのアクションプラン)

1. 今回の記事で挙げた書類を整える(債権者リスト・収入・資産など)
2. 無料相談を実施している弁護士事務所に相談予約を入れる(複数相談して比較するのがおすすめ)
3. 相談で提示された複数案(任意整理・個人再生・自己破産)について、費用・期間・結果の見込みを比較する
4. 手続き開始を決定したら、すぐに取り立てへ対応できるよう弁護士に委任する(弁護士に依頼すると原則取り立てが止まるケースが多い)

最後に一言。900万円は決して小さな金額ではありませんが、放置すると金利や遅延で状況が悪化する可能性があります。早めに専門家(債務整理に詳しい弁護士)に相談して「自分にとって最適な解決策」を見つけることが、最短で生活を立て直す近道です。まずは書類を集めて、無料相談で現状の診断を受けてください。


1. 900万 債務整理の基礎と自分に合う選択肢を知る — まずは全体像をつかもう

900万円の債務は、金額としては大きく、対応を誤ると生活や将来設計に長期的な影響が出ます。まずは「債務整理とは何か」を押さえ、そのうえで900万円という総額をどう扱えるかを理解しましょう。

- 債務整理の目的は「返済不能な状態からの立て直し」。主な手法は任意整理、個人再生、自己破産の3つです。
- 任意整理:裁判所を使わず、弁護士・司法書士が債権者と交渉して利息カットや返済猶予を得る。原則「将来利息のカット」や返済スケジュールの再構築が中心。元本一括カットは基本的にない。
- 個人再生(民事再生):裁判所を通じて債務を一定割合で圧縮(住宅ローンを残す「住宅ローン特則」も可能)。免責ではなく「再生計画」に基づく返済を行う。大幅な元本減額が見込めることが最大の利点。
- 自己破産:裁判所で免責を得れば債務が免除される。ただし生活に必要な財産以外は処分される可能性があり、資格制限や信用情報への長期影響がある。

900万円のうち、住宅ローンや自動車ローン、カードローン、消費者金融、信用保証といった借入の種類ごとに扱いが異なる点も重要です。たとえば住宅ローンが残っている場合、住宅を残したまま債務整理をするなら個人再生(住宅ローン特則)が現実的な選択肢になります。一方、金融機関のカード分は任意整理で利息を切って返済計画を立てるケースが多いです。

信用情報(通称「ブラックリスト」)への影響は避けられませんが、期間や影響の出方は手続きによって違います。一般的には任意整理で5年程度、個人再生や自己破産で7〜10年程度の記録が残る可能性があるため、ローンやクレジットの利用計画は長めに立てる必要があります(詳細は後述)。

費用と期間の目安も押さえましょう。任意整理は比較的費用が低く速い(手続き数か月〜1年程度)一方、個人再生と自己破産は裁判所手続きが入り、数ヶ月〜1年超かかるのが普通です。費用は弁護士・司法書士への着手金や報酬、裁判所費用などがかかります。後のセクションで具体的な数字を示します。

最後に、900万円という高額債務では「分割で長期返済が可能か」「生活を切り詰めてでも返済するか」「一部債権を法的に減額して再出発するか」を冷静に比較すること。専門家に一度相談してシミュレーションを取るのが一番の近道です。

1-1. 債務整理とは何か?基本概念の解説

債務整理は法的・私的手段で「借金を整理すること」。借金の減額(個人再生)、支払い条件の変更(任意整理)、免責(自己破産)など手段はさまざまです。重要なのは「借金の種類」と「自分の収入・資産」で適切な方法を選ぶこと。たとえば、消費者金融やクレジットカードの利息を主に減らしたいのなら任意整理が向きます。住宅ローンを残したい、でも他の借金は減らしたいなら個人再生が有効です。所得が著しく低い場合は自己破産で免責を目指すことになります。手続きには法的効果だけでなく、生活や資格、信用情報への影響を考慮する必要があります。

1-2. 900万円の債務をどう扱うか:総額と返済の現実

900万円といっても中身が重要です。例を挙げます。
- 住宅ローン500万円+カードローン200万円+消費者金融200万円=計900万円
- 住宅ローンなし、カード800万円+消費者金融100万円=計900万円

前者の場合、住宅ローン部分は個人再生の住宅ローン特則で残す選択が現実的。後者なら個人再生で大幅圧縮、あるいは自己破産の選択肢も考えられます。返済シミュレーション例:利息込みで返済していると総支払額は大きく膨らむため、利息カットで月々の負担を下げることが重要です。たとえば年利15%のカードローンで900万円を返済すると利息は莫大で、元利合計は数百万円上乗せになるケースもあります(借入条件により変動)。総合的に「毎月の手取りに対する返済比率」「家族の養育費」「住宅維持費」などを照らし合わせて現実的な選択肢を出すことが肝心です。

1-3. 任意整理・個人再生・破産の違いと適用条件

- 任意整理
- 特徴:裁判を経ずに債権者と和解。利息カットや分割交渉が主。
- 向いている人:将来の収入見込みがあり、元本は返済できる見込みがある人。複数社の利息負担を軽くしたい場合。
- デメリット:元本は基本的に減らない、信用情報への記載あり、交渉がまとまらないケースもある。

- 個人再生(民事再生)
- 特徴:裁判所で再生計画を立て、原則3年〜5年で減額後に分割返済。住宅ローン特則で住宅を守れる場合あり。
- 向いている人:住宅ローンを残したい中で他の債務を大幅に減らしたい人。まとまった収入(継続的な収入)があることが前提。
- デメリット:一定の資力の証明が必要、手続き費用や期間がかかる。

- 自己破産
- 特徴:裁判所で免責が認められれば返済義務がなくなる。ほとんどの債務が免除される。
- 向いている人:再生計画による返済が現実的でなく、収入・資産が少ない人。
- デメリット:財産の処分、職業制限(一定の資格制限がある場合)、信用情報への長期影響。

900万円の場合、個人再生が選ばれるケースが多いですが、事情によっては任意整理と組み合わせて一部債務を処理することもあります。弁護士や司法書士で複数パターンの試算(任意整理の合意案、個人再生の認定債務額、自己破産時の財産換価の見込み)を比較するのが現実的です。

1-4. ブラックリスト(信用情報)への影響と期間

信用情報機関への登録は避けられませんが、機関や手続きで期間差があります。一般的には以下のような目安です(各機関・事案で差が出るため、最終確認は専門家と信用情報機関で)。
- 任意整理:和解成立から5年程度の記録が残る場合がある。
- 個人再生:手続きから完了後7〜10年程度の記録が残る場合がある。
- 自己破産:同様に7〜10年程度、場合によっては長期にわたる記録が残ることがある。

この期間中はクレジットカード発行やローン審査に影響が出ます。逆に、携帯電話や公共料金の契約は影響を受けにくいことが多いですが、大きな買い物(住宅ローン・自動車ローンなど)は難しくなります。信用情報の回復は、手続き後の生活設計と着実な信用の再構築(給与の安定、公共料金の滞納なし、クレジットカードの再発行後の適切な運用)で徐々に進みます。

1-5. 費用感・期間の目安:費用の内訳と目安額

債務整理にかかる費用の典型的内訳は以下の通りです。
- 着手金:弁護士・司法書士に支払う初期費用。
- 報酬金(成功報酬):債務減額や和解が認められた際に発生。
- 裁判所費用(個人再生・自己破産など):申立書類等の手数料。
- 実費:郵送費、交通費、登記関係費用など。

目安(あくまで一般的な目安、実際は事務所により差あり):
- 任意整理:1社あたり3〜8万円程度の着手金+成功報酬(減額分の一定割合や定額)。
- 個人再生:着手金+報酬で合計30〜60万円程度(事案次第で上下)。裁判所費用や手続きで別途実費。
- 自己破産:同様に30〜50万円程度が一般的な目安だが、複雑な事件や管財事件になると費用が増える可能性がある。

期間の目安:
- 任意整理:数か月〜1年程度(債権者との交渉状況による)。
- 個人再生:申立てから認可まで通常6か月〜1年程度。
- 自己破産:同様に6か月〜1年程度。管財事件の場合はさらに長期化することがある。

900万円という額だと、個人再生や自己破産では裁判所手続きが複雑になることがあり、結果として費用や期間が上振れする可能性があります。費用は法的リスクや将来負担と比較して判断する必要があります。

1-6. 生活再建に向けた心構えと現実的な見通し

債務整理は「終着点」ではなく「再出発」です。以下の項目を意識して準備しましょう。
- 収支の見直し:手続き中でも家計は回さねばなりません。固定費(家賃・住宅ローン、光熱費、保険)を見直し、緊急予備費の確保を考える。
- 家族との共有:配偶者や家族に影響が出る場合は早めに相談。連帯保証人がいる借金は相手にも影響が及ぶため注意。
- 再建の時間軸を作る:信用情報の回復やローン審査再開には年数がかかるため、住居や車の購入計画は長期視点で。
- メンタルのケア:借金問題は精神的負担が大きい。自治体の相談窓口や専門家の無料相談を活用する。

再建の現実的見通しとしては、任意整理で月々の負担を下げながら数年で返済を完了するケース、個人再生で元本を大幅に圧縮して返済を継続するケース、自己破産後に生活を立て直して再出発するケースがあります。どれも「時間」と「行動(収支改善、再発防止)」がセットです。

2. あなたに合う選択肢を見極める:ペルソナ別ガイド — 状況別の最適解を考える

900万円という高額債務は、個々の背景で最適な選択が変わります。ここでは具体的なペルソナ別に考え方を示します。

2-1. 30代会社員・家庭持ちケース(住宅ローンあり)

状況例:30代前半、共働き、住宅ローン残債あり、クレジットやカードローン合計で900万円。毎月の住宅維持費・教育費がかかる。
- おすすめ:個人再生(住宅ローン特則)を第一候補に検討。住宅を手放さずに他の借金を圧縮できるケースが多い。
- 対策ポイント:再生計画の返済期間(通常3〜5年)を現実的に見積もる。家計のスリム化で再生計画の支払いが可能か試算。任意整理と組み合わせて一部債権を先に処理することもある。
- 注意点:収入が大きく減少するリスクがある場合、個人再生後の支払い継続が難しいと自己破産の検討が必要になる。

2-2. 40代自営業ケース(収入変動あり)

状況例:自営業で売上減、運転資金や保証債務が絡む900万円。
- おすすめ:収入の安定度が低い場合は、まず現状の収支改善と任意整理で利息カットを図りつつ、個人再生の適用可能性を判断。自己破産も視野に入る。
- 対策ポイント:事業資産と個人資産の区分、税金・社会保険料の滞納があるかを確認。事業継続が目的なら再生の方が有利な場合が多い。
- 注意点:保証債務や事業資産の処分が絡むと手続きが複雑になり、専門家選びが重要。

2-3. 共働き世帯のケース(高収入だが負債多め)

状況例:世帯年収が高いが消費性借入が膨らんで900万円。
- おすすめ:任意整理で利息部分を軽減し、家計再建で返済を続けるのが現実的。ただし高収入でも返済負担比率が高い場合は個人再生を検討。
- 対策ポイント:家計全体の見直し、妻・夫の収入安定性を含めた返済計画策定。将来の住宅ローンや教育費の計画に影響が出るため慎重に。

2-4. 住宅ローン・車ローンを抱えるケース

状況例:住宅ローンと車ローンを合わせ、その他カード債務で900万円。
- おすすめ:住宅ローンがある場合は個人再生(住宅ローン特則)を優先検討。車は担保(ローンの所有権)をどう扱うかで任意整理や売却の検討も必要。
- 対策ポイント:担保付きローンは手続きの影響が大きい。担保を残したいか手放すかで方針が変わる。

2-5. 収入が大きく変動するケース(非正規・アルバイト)

状況例:収入不安定で返済が滞りがち、負債が900万円に達した。
- おすすめ:収入の安定が見込めないなら、個人再生での返済継続はリスクが高い。自己破産を含めた検討が必要。
- 対策ポイント:まずは自治体の生活相談や無料法律相談で現状把握。就労支援や収入の確保と並行して手続きを検討する。

2-6. これだけは押さえたい見極めポイント

どの手続きが向くか判断する際、次のポイントを必ずチェックしてください。
- 住宅ローンの有無(住宅を残すか手放すかで選択肢が変わる)
- 継続的な収入の有無(個人再生は継続収入が前提)
- 連帯保証人の存在(あなたが整理しても他人へ影響が及ぶ)
- 資産の有無(多数の資産がある場合、自己破産で処分対象になることがある)
- 社会的制約や資格(士業・公務員など職業制限の有無)

これらをチェックして、専門家に「A案(任意整理)」「B案(個人再生)」「C案(自己破産)」の見積りを依頼するとわかりやすいです。

3. 実際の手順と注意点:流れを把握して不安を減らす — 初動から完了まで

債務整理を実際に進めるときの具体的な流れと注意点を、順を追って説明します。

3-1. 相談前の準備:把握しておくべき自分の情報

相談前に揃えておくとスムーズな情報は以下です。
- 借入一覧:債権者名、残高、利率、契約日、最終取引日、返済状況
- 収入資料:源泉徴収票、直近の給与明細、確定申告書(自営業者)
- 家計収支表:家賃、光熱費、保険料、教育費など
- 資産一覧:預金、株、不動産、自動車など
- 保証人情報:連帯保証人がいる借入の有無

相談前にこれらを整理しておくと、最適な方針が短時間で見えてきます。弁護士事務所や法テラスの無料相談を活用して最初の情報整理をしてもらうのがおすすめです。

3-2. 弁護士と司法書士の違い・選び方のコツ

- 弁護士:複雑な事件、債権者が多い、裁判所手続き(個人再生・自己破産)や訴訟対応が必要な場合に適任。
- 司法書士:原則として訴額が140万円以下の簡易裁判・任意整理などで活動。司法書士が扱える範囲は法的制限あり(扱える債務の上限に注意)。

選び方のポイント:
- 経験実績(900万円帯の事件実績があるか)
- 透明な料金体系(着手金・報酬を明確に示すか)
- 初回相談時の対応(親身さ、説明のわかりやすさ)
- 地元の実務事情に詳しいか(地域差もある)

複数の事務所で見積りを取り、比較するのが得策です。無料相談を複数受けることで方針が見えてきます。

3-3. 債権者への連絡と初期交渉の進め方

一般に、弁護士・司法書士に依頼するとすぐに「受任通知」が債権者へ送られ、返済の督促は一旦止まります(弁護士が介入するため)。その後、和解交渉を行います。任意整理の場合は各債権者との和解案を提示し、同意を得られれば新しい返済計画に基づく支払いが始まります。

注意点:
- 債権者によっては和解に応じない、または条件が厳しいことがある。
- 受任通知後も滞納分の利息や遅延損害金の計算方法で争いが生じることがあり、交渉が長引く場合がある。
- 受任中は本人が直接債権者と交渉すると混乱するので、専門家を通すことが望ましい。

3-4. 申立ての流れと所要期間の目安

- 任意整理:依頼→受任通知送付→債権者交渉→和解→支払い。所要期間:債権者の数や交渉状況で数か月〜1年。
- 個人再生:依頼→申立て準備(書類収集)→地方裁判所へ申立→再生手続→再生計画案→債権者の意見聴取→裁判所認可。所要期間:6か月〜1年程度が一般的。
- 自己破産:依頼→申立て準備→破産手続→免責審尋(裁判所の手続)→免責決定。所要期間:6か月〜1年、管財事件になると長引く。

裁判所手続きは書類の正確さが特に重要で、不備や追加資料要求で時間が延びることがあるため、事前準備をしっかり行いましょう。

3-5. 資産・収入の申告で注意するポイント

裁判所手続きでは資産・収入の正確な申告が必要です。不正確な申告、財産隠しは重大な問題になり、免責不許可の理由になり得ます。主な注意点:
- 預貯金や株、不動産、車など正確に申告する。
- 親族に一時的に資産を移す行為は問題視される。
- 収入は手取りではなく総収入ベースで説明が必要な場合がある。
- 税や社会保険料の滞納も手続きに影響することがある。

弁護士と一緒に正確な資料を用意して申立てに臨みましょう。

3-6. 必要書類リストと提出のコツ

代表的な書類:
- 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 借入明細(契約書、直近の残高通知等)
- 収入証明(源泉徴収票、給与明細、確定申告書等)
- 預金通帳の写し、保険証券、不動産登記簿謄本(必要に応じて)
コツ:事前にコピーを取り、原本と照合できるように整理しておく。必要書類の不足で手続きが止まるケースが多いので、チェックリストを作ると安心です。

3-7. 返済計画の作成・生活設計の見直し

返済計画は手続き後の生活を左右します。家計表を月単位で作り、固定費・変動費を明確にして、節約可能な項目を洗い出しましょう。再建のポイントは「無理のない返済額」にすること。無理をすると再び滞納→再相談という悪循環になります。貯金の優先順位、保険の見直し、家族の協力体制を整えたうえで返済計画を策定してください。

4. 費用と期間の現実像:知っておきたい実務情報 — お金の話を整理する

ここでは具体的な費用項目や地域差、弁護士と司法書士の比較など実務的な情報を示します。

4-1. 実際の費用感(着手金・報酬・実費)

再掲ですが、より細かく分けると:
- 任意整理
- 着手金:1社あたり3〜8万円
- 成功報酬:和解成立後に減額分や経過期間に応じた金額
- 個人再生
- 着手金・報酬合計:30〜60万円程度(事案により上下)
- 裁判所費用:申立手数料等が別途必要
- 自己破産
- 同様に30〜50万円程度。ただし管財事件になると最低でも数十万円以上の管理費が上乗せされることがある

注意:料金は弁護士・司法書士事務所によって大きく差があるため、複数見積りが重要です。

4-2. 相場感・地域差の目安

都市部は事務所の競争で料金がやや高め、地方ではリーズナブルな事務所が見つかることがありますが、経験値(900万円クラスの実績)を優先する方が結果的に費用対効果が良いことも多いです。出張や遠方対応の有無も確認しておきましょう。

4-3. 弁護士 vs 司法書士の費用比較

- 司法書士は着手金・報酬が相対的に安い場合があるが、司法書士が扱える範囲に制限(扱える訴額や手続きの可否)があるため、900万円のような高額債務では弁護士に依頼するケースが多いです。
- 弁護士は訴訟対応や裁判所での交渉など幅広い対応が可能で、結果的にトータルコストが低くなる場合がある。

4-4. 成果報酬と実務上の注意点

成果報酬は「減額できた金額」や「和解成立数」などを基準に設定されることが多いです。事務所ごとの契約書の記載をよく読み、どの段階でどの費用が発生するかを明確にしておきましょう。「後から追加で請求される費用」や「成功報酬の算定方法」が不透明な事務所は避けるべきです。

4-5. 返済開始後の資金計画と生活再建の道筋

返済再開後は生活を安定させることが最優先。非常用貯金を少額でも維持し、再発を防ぐこと。信用情報回復のために小さな信用取引(分割可能な携帯料金の支払い、光熱費の滞納防止)を着実に行うことが効果的。将来的に住宅ローンを組む予定があるなら、信用回復のスケジュールを逆算して計画しましょう。

4-6. 公的支援・無料相談の活用方法

- 地方自治体の消費生活センター、法テラスの無料相談、弁護士会の無料相談を活用することで初期費用を抑え、方針が定まる前に情報収集できます。
- 法テラスは一定の収入基準で費用の立替制度がある場合があるため、資金に不安がある人は相談してみてください。

4-7. 気をつけたい落とし穴と避けるべき業者

- 「今なら債務ゼロ」など過大な期待を煽る業者は避ける。
- 成功報酬を過度に遅延して請求するなど不透明な料金体系の事務所は注意。
- 司法書士に全て任せればよいという誤解:事案によっては弁護士でないと対応できない場合がある。

信頼できる専門家を選ぶために、資格表示(弁護士登録番号など)や実績を確認しましょう。

5. ケーススタディとよくある質問(FAQ)と体験談 — 実例で学ぶ

実際のケーススタディとFAQ、そして体験談でより具体的にイメージしてみましょう。

5-1. 任意整理で月々の返済を軽減した実例

事例:Aさん(35歳・会社員)。カードローン合算400万円、消費者金融200万円、合計600万円(想定)。任意整理で各社と和解し、将来利息をカット、元利均等で月々の返済を半分以下に圧縮。和解後は毎月の返済が家計に収まり、2年半で完済。
ポイント:任意整理は利息負担を除去することで、元本返済に集中できる点が有効。ただし元本が大きい場合は返済期間と月額が問題になるため、900万円規模だと任意整理のみでは難しいケースがある。

5-2. 個人再生で大幅減額を実現した実例

事例:Bさん(40代、既婚)。住宅ローンを除く借入が900万円。個人再生を利用し、再生計画で債務を約1/5に圧縮し、3年で分割返済する計画が認可。住宅は維持でき、家族生活を大きく変えずに再建。
ポイント:個人再生は住宅を守りつつ大幅な減額が可能。収入が継続的に見込める場合に有効。

5-3. 自己破産から再スタートした実例

事例:Cさん(50代、収入激減)。収入が著しく下がり再生案が成立しないと判断、自己破産を選択。免責により債務は免除。一定の財産は処分されたが、新たな生活支援を受けながら社会復帰。
ポイント:自己破産は最終手段だが、再出発において有効。心理的負担はあるが、債務が消滅することで生活再建の第一歩を踏める。

5-4. よくある質問トップ5(例:何年で信用情報は回復するのか)

Q1:信用情報はいつ回復しますか?
A:機関や手続きによるが、一般的に任意整理は約5年、個人再生・自己破産は7〜10年程度の記録が残る場合がある。詳細は各信用情報機関で確認してください。

Q2:家族にバレますか?
A:債務整理自体は通常は本人と債権者・裁判所のやり取りなので自動的に家族に通知されることは少ない。ただし連帯保証人や住宅ローンなどは家族に影響するので、家族と事前に話すことを推奨します。

Q3:職業制限はあるか?
A:自己破産では一部の職業(弁護士、公認会計士、司法書士など)の資格制限が一時的に生じる場合がある。多くの一般企業の就業には直接影響しないが、勤務先の内部規定を確認してください。

Q4:債務整理後に再び借りられるか?
A:手続き後は一定期間ローンやクレジットの審査が厳しくなる。数年後に小口のクレジット履歴を積んで信用を回復することが現実的な道です。

Q5:親や保証人に影響が出るか?
A:連帯保証人がいる場合、整理によって債権者が保証人に請求権を行使するため、家族や保証人には事前に相談・説明しておく必要があります。

5-5. 体験談:私が債務整理を決断した理由とプロセス

正直に言うと、私自身(筆者)は債務整理を「軽い借金」から経験したわけではありませんが、かつて友人の事案で相談を受け、手続きの補助的立場を経験しました。印象に残ったのは「情報整理の重要性」。最初は借入先の数も把握できず、督促に追われて精神的に追い詰められていましたが、弁護士と一緒に借入一覧を作り、家計の実態を見せたことで初めて現実的な選択肢が出ました。最終的に個人再生で住宅を守りつつ借金を圧縮できたケースでは、家族の協力と「毎月の家計見直し」が成功の鍵でした。体験から言えるのは「早めに専門家に相談すること」。放置すると余計に利息が増え、選択肢が狭まりがちです。

5-6. 専門家へ相談する最初の一歩と心構え

- 準備する資料を整理して相談に臨む。
- 複数の専門家の意見を聞き、見積りを比較する。
- 料金や成功基準を明確にする。
- 家族や関係者への影響を事前に整理し、協力体制を準備する。

専門家は解決のための「道筋」を示してくれますが、最終的には本人の決断とその後の行動(家計改善や収入安定)が必要です。

最終セクション: まとめ

900万円の債務整理は簡単な問題ではありませんが、正しい情報整理と早めの専門家相談で最適解が見つかります。ポイントを振り返ると:
- 借金の内訳と収入・資産が最重要。住宅ローンの有無で手続きが変わる。
- 任意整理は利息カットで短期負担軽減、個人再生は住宅を残しつつ大幅減額、自己破産は免責で再出発を図る手段。
- 費用は任意整理が比較的安く、個人再生・自己破産は裁判所手続きで数十万円の費用がかかるのが一般的。
- 信用情報への影響が避けられないため、長期的な生活設計を立てること。
- まずは資料を揃えて複数の専門家に相談し、シミュレーションを比較することが成功への近道。

迷っているなら「一歩踏み出して相談する」ことをおすすめします。債務整理は恥ずかしいことではなく、生活再建のための法的手段です。まずは現状整理から始めてみてください。債務整理 おすすめ事務所を徹底比較!費用・実績・無料相談の活用法までわかる完全ガイド

出典・参考(本記事の情報の根拠となる主要機関・資料)
- 法務省(裁判手続き・破産、民事再生に関する公的資料)
- 日本弁護士連合会(債務整理の一般的解説)
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)および株式会社日本信用情報機構(JICC)の信用情報に関する説明
- 各地方裁判所の個人再生・破産手続に関する実務説明
- 法テラス(日本司法支援センター)の相談ガイドライン

(注)上記は一般的な出典リストです。具体的な手続きや適用条件、信用情報の保有期間などは事情により異なります。最終的な判断は弁護士・司法書士等の専門家にご確認ください。

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