この記事を読むことで分かるメリットと結論
この記事を読めば、任意整理をすると「クレジットカードの整理はいつから、どのように始まるのか」がハッキリわかります。相談から受任通知、和解交渉、和解成立後の返済開始時期の目安、カード会社ごとの対応の違い、信用情報(いわゆるブラックリスト)への影響期間、費用感、そして実際に手続きする際のチェックリストまで、実務的に使える情報を網羅。結論を先に言うと「相談から和解→返済開始までは通常1~3ヶ月が目安。カードは受任通知後に利用停止や解約されることが多く、信用情報には原則5年程度記録されることが多い」です。ただし個別事情や事務所、カード会社によって差があります。
任意整理(クレジットカード)はいつから使えなくなる?──やるべきこと・費用の目安・相談のすすめ
任意整理で「クレジットカードはいつから使えなくなるのか」を調べてこの記事にたどり着いた方へ。まず結論を簡潔に言うと、
- 任意整理でカード債務を整理対象にすると、債権者(カード会社)に弁護士・司法書士が受任通知を送った段階で、カード利用や引き落としが止まることが一般的です。
- そのため、任意整理を検討したら「カードの利用はすぐにやめる」ことが原則です。
以下で「いつ」「なぜ」「どう動くか」をわかりやすく整理し、代表的な費用シミュレーションと相談の進め方、業者の選び方まで具体的に解説します。
1) 任意整理でカードが使えなくなるタイミング(要点)
- 決定的なタイミングは「受任通知が債権者に届いたとき」。
弁護士・司法書士が介入したことを伝える受任通知が届くと、債権者は通常、債務者への直接請求を停止します。カード会社はその時点で与信停止・カード利用停止の処置をとることが多いです。
- 「いつから使えなくなる?」
多くの場合、受任通知到達後、数日以内に停止されます。場合によっては通知到達後すぐにシステムで停止されるため、通知受領直後に使えなくなることもあります。
- 整理対象にしないカードは利用できる可能性はあるがリスクあり
任意整理で特定のカード(債権)だけを対象にする「選択的整理」も可能です。しかし、他のカード会社が情報を得て与信を見直す可能性があり、安心して使い続けられる保証はありません。
- 「使ってから整理」はトラブルの元
任意整理をする意思があるのに整理対象のカードをそのまま利用すると、債権者から不誠実と判断され交渉が難しくなる、最悪の場合刑事責任の議論対象になる可能性があるため、利用は避けてください。
2) 任意整理の流れ(クレジットカードが含まれる場合の実務的な流れ)
1. 相談(無料の初回相談を活用)
2. 依頼(弁護士・司法書士が受任)→受任通知を債権者へ送付
3. 受任通知到達後、債権者は取立停止&カード会社はカード停止の対応
4. 債権者と交渉(利息のカットや残債の分割など)
5. 合意・和解(分割払いの約定など)→合意どおり返済開始
6. 返済完了後、一定期間信用情報に記録が残る(影響期間については後述)
3) 任意整理が信用情報に与える影響(いつまでカードが作れない?)
- 任意整理を行うと信用情報機関に「債務整理」などの情報が登録されるのが一般的です。
- 登録される期間はケースや情報機関によって異なりますが、一般的に「完済から数年(たとえば約5年程度)」にわたって記録が残る場合が多いと言われます。
- 記録が残っている間は新たなクレジット契約やローンが審査で通りにくくなります。正確な期間や扱いは、契約先や情報機関ごとに異なるため、弁護士などに確認してください。
4) 費用の目安(合理的なシミュレーション)
弁護士・司法書士の費用は事務所によって差があります。以下は「分かりやすく検討できるように作った仮の例(仮定)」です。実際の見積りは相談先で必ず確認してください。
前提(仮定)
- 債権者数:3社(クレジットA: 300,000円、クレジットB: 200,000円、クレジットC: 150,000円)=合計650,000円
- 事務所の想定料金(あくまで例示):
- 着手金(事務手数料)=1社あたり30,000円
- 減額報酬・和解成立報酬=1社あたり20,000円
- 成功報酬(減額割合に応じた追加)=別途の場合あり(ここでは簡略化)
シミュレーションA(例:中規模事務所)
- 着手金合計:30,000円 × 3 = 90,000円
- 和解報酬:20,000円 × 3 = 60,000円
- 合計(概算)=150,000円
シミュレーションB(例:債権者多数で複雑な場合)
- 債権者数:6社、各30,000円の着手金 → 180,000円、和解報酬20,000円×6→120,000円
- 合計(概算)=300,000円
注意点(必ず確認すべき事項)
- 上の数字はあくまで例。事務所によっては着手金ゼロで月額で分割可能、あるいは固定のパッケージ料金を提示するところもあります。
- 手続きにかかる実費(郵送費、通信費など)や、分割支払に伴う手数料の扱いも確認してください。
- 「相談は無料」「着手金無料・成功報酬のみ」など条件は法律事務所ごとに異なります。複数社で比較を。
自分のケースでの見積りを取るときに聞くべき質問(相談時チェックリスト)
- 総額でいくらになるのか(内訳を明確に)
- 分割払いや後払いは可能か(回数・利息の有無)
- 相談料は無料か
- どの債権(カード)を対象にするかの判断基準
- 手続き期間の目安(着手~和解までの平均期間)
- 信用情報への記録期間やその影響の説明
5) 任意整理と他の債務整理手段との違い(いつ向くか)
- 任意整理(今回の主題)
- 概要:弁護士等が債権者と直接交渉して利息カットや返済条件変更を図る私的整理。
- 向く人:収入があり生活を続けながら毎月一部を返済できる見込みがある人。財産を大きく手放したくない人。
- メリット:自己破産と比べて社会的制約(職業制限など)が少ない。財産の保全が期待できる。
- デメリット:信用情報への記録、カードは原則使えなくなる。支払い能力がないと難しい。
- 個人再生(民事再生)
- 概要:裁判所を通す手続きで借金を大幅に減額(住宅ローン特則あり)。
- 向く人:借金が多く生活は困難だが住宅は残したい人。
- デメリット:裁判所手続き、一定の要件や手続き費用が必要。
- 自己破産
- 概要:支払い不能状態で免責(借金棒引き)を求める手続き。
- 向く人:どうしても返済不能で再生の見込みがない人。
- デメリット:一定の職業制限、財産処分の可能性、信用情報への長期影響。
どれが最適かは「現在の収入見込み」「保有財産(住宅など)」「借金の総額」「今後の生活設計」によって変わります。複数の選択肢を説明してくれる弁護士に相談するのが効率的です。
6) 弁護士(または司法書士)への無料相談をおすすめする理由と使い方
おすすめ理由
- 法的リスクや信用情報への影響、最も合う手続き(任意整理・個人再生・自己破産)の判断は専門家の診断が必要です。
- 費用の見積りや分割の可否、どのカードを整理対象にするのが合理的かは個別事情で変わります。専門家に伝えることで現実的なプランが得られます。
- 受任通知を出すタイミングやカード利用停止の実務対応など、具体的な手順を代理人が行ってくれます。
相談の進め方(効率的に進めるための準備)
- 各カード会社の明細(直近数ヶ月)を用意する(債務の特定のため)
- 給与明細や生活費の概算(収支が分かるもの)を用意する
- 資産(預金・不動産・車など)をメモしておく
- 希望(生活レベルを維持したいのか、一刻も早く負担を減らしたいのか)をまとめる
- 複数事務所を比較する(費用・対応・支払い方法・雰囲気を確認)
注意点
- 「無料相談」と書いてあっても時間制限や回数制限がある場合があります。初回で聞きたいことを準備しておきましょう。
- どの事務所も着手前に報酬体系を明示する義務があります。必ず詳細な内訳をもらってください。
7) 事務所(弁護士/司法書士)を選ぶポイント
優先度の高いチェック項目
1. 料金の透明性(内訳を明示してくれるか)
2. 任意整理の実務経験(カード会社との交渉経験が豊富か)
3. 相談対応の速さ・誠実さ(質問に丁寧に答えてくれるか)
4. 支払い方法の柔軟性(分割対応など)
5. 契約書面が明確か(後でトラブルにならないため)
選ぶ理由をわかりやすく説明できる事務所を選びましょう。単に費用が安いだけでなく、「自分のケースに合った解決策を提案してくれるか」が重要です。
8) すぐにできる初動のチェックリスト(今日からできること)
- カード利用をすぐにやめる(整理を検討するなら利用停止を)
- 支出と収入の一覧を作る(現状把握)
- 借入先・残債・毎月の最低返済額をリスト化する
- 無料相談を予約する(複数の専門家で比較推奨)
- 相談時に聞くべきことのメモを用意する(上記参照)
最後に(行動提案)
クレジットカードの利用停止は「受任通知到達」でほぼ確実に起きるため、任意整理を検討したら早めに専門家に相談して今後の方針を決めるのが安全で効率的です。まずは無料相談で現状を伝え、複数の見積りと提案を比較して、納得できる事務所に依頼してください。
もしよければ、あなたの現在の状況(債権者数、総額、収入の見込み、保有資産の有無など)を教えてください。具体的な想定ケースで、より実践的な費用シミュレーションとおすすめの相談時の質問リストを作って差し上げます。
任意整理とクレジットカード:基礎知識と結論(すぐに知りたい人向け)
まずざっくり結論:
- 相談→受任通知発出→交渉→和解成立→返済開始の流れ。全体で1~3ヶ月が一般的。
- 受任通知が出るとカード会社からの督促は止まり、カードは利用停止や解約されることが多い。
- 信用情報(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)には任意整理の情報が残り、復活までに目安として5年程度の期間が必要。
これから「なぜそうなるのか」「具体的な手順」「カード別の注意点」「費用感」「実務でのコツ」まで、初めてでもわかるように丁寧に説明します。
1. 任意整理とは?クレジットカードが対象になる仕組みとメリット・デメリット
1-1. 任意整理の基本:何をどうする手続きか
任意整理は、裁判所を通さずに弁護士・司法書士が債権者(カード会社など)と直接交渉して、利息カットや分割払いの合意(和解)を目指す私的手続きです。カードローンやクレジットカードのリボ払いや分割残高、ショッピングの未払い残高などが対象になります。特徴は「交渉力」によって利息をカットしてもらい、元本を分割で支払う合意ができる点です。
1-2. クレジットカードが任意整理の対象になる典型ケース
典型的には「支払いが滞って督促が来ているカード」「複数カードで合算した負担が大きい」「リボ残高や分割の未払いが膨らんでいる」場合に、任意整理の対象にします。よくある対象:楽天カード、三井住友カード、JCB、イオンカード、セゾンカード、三菱UFJカードなど、消費者向けのクレジットが主です。ローン系(住宅ローン等)は一般に対象にしないことが多いため、取扱いは事前に確認が必要です。
1-3. 和解(和解契約)のしくみ:利息カットと分割の例
弁護士が交渉して「過去の利息(遅延利息)をカット」「一定の元本を残して分割で支払う」という合意を得ることが多いです。例:リボ残高50万円を和解で利息カット、元本50万円を24回で分割 → 月々約2万1千円で返済、という形。カード会社ごとに和解条件は変わりますが、利息をゼロにして元本のみを分割するパターンが一般的です。
1-4. メリット:生活再建と利息負担の大幅軽減
利点は「取り立て停止(受任通知後)」「利息カット」「毎月の返済額の圧縮」「自己破産より信用回復が早い可能性」などです。精神的負担の軽減と、毎月の家計管理がしやすくなる点が大きなメリットです。
1-5. デメリットとリスク:カード利用停止と信用情報への記録
一方デメリットは「クレジットカードはほぼ利用不能になる」「住宅ローンなどの新規借入が難しくなる」「信用情報に登録され、5年程度は金融取引で不利になることが多い」など。公的な資格喪失や就職の絶対的な障害になるわけではありませんが、金融関連業界や一部の採用では影響が出ることがあります。
1-6. 判断のコツ:任意整理を選ぶべきかどうか
選択は「収入見込み」「家計の再建計画」「資産の有無」「住宅ローンの有無」など複合要因で決めます。例えば住宅ローンを維持したいなら任意整理の方が有利に働くことが多いですが、債務総額や生活保護の有無により最適手段は変わります。迷ったらまず無料相談を活用して、複数事務所の見解を比較するのが安全です。
2. いつから返済が始まるのか?実務的なタイムライン(相談~返済開始)
2-1. ステップの全体像(相談→受任通知→交渉→和解→返済開始)
流れはおおむね次の通りです。1)弁護士・司法書士に相談、2)委任契約締結、3)受任通知を債権者に発送、4)債権者と交渉→和解案、5)和解成立→和解書締結(または合意書)、6)返済開始。このうち重要なのは「受任通知」段階で債権者の取り立てがストップすることです。
2-2. 受任通知はいつ出る?(実務の目安)
通常、委任契約を結んでから48時間~1週間程度で受任通知が発送されます。事務所の対応スピードや委任手続きの状況で前後しますが、早めに受任通知が出るほど取り立て停止の効果を迅速に得られます。
2-3. 和解成立までの期間:平均1~3ヶ月、ケースによっては数週間~半年
交渉の長さは債権者の態度、事案の複雑さ、提出資料の有無によります。単純なカード残高ひとつなら数週間で合意することもありますが、複数社や事業性債務、争点がある場合は数ヶ月かかることも。実務では1~3ヶ月が目安です。
2-4. 和解後の返済開始はいつか?(実務的な見立て)
和解成立後、和解書に定めた支払開始日が出ます。実務的には「和解成立後1回目の支払が翌月の支払日」という設定が多く、和解成立から1ヶ月以内に最初の返済が始まるパターンが一般的です。ただし一括返済の合意や初回は契約締結時に支払うというケースもあるため、和解書をしっかり確認してください。
2-5. 返済開始前に準備すべきことチェックリスト
- 毎月の返済額と口座振替の開始日を確認
- 家計の現状を見直し、余裕資金を確保
- 給与振込口座や引落口座の名義・残高管理
- 子どもの学費など優先支出の調整
- 保証人がいる場合は影響の確認
これらを和解前に整理しておくとスムーズに返済に入れます。
2-6. 返済開始が遅れる場合のリスクと再交渉のコツ
支払遅延が発生すると合意違反になり、和解が白紙化して一括請求される可能性があります。遅れそうなときは早めに担当の弁護士に相談し、事情説明のうえで分割回数の再交渉や猶予を打診するのがコツです。誠実に連絡することで再交渉が成立することもあります。
3. カード別の対応:会社ごとの実務傾向とケース別着手時期
3-1. 大手カード会社の一般傾向(例:三井住友カード、楽天カード、JCB)
三井住友カードや楽天カード、JCBなど大手は内部ルールが整備されており、受任通知が届くと早期に利用停止→口座解約へ進む傾向があります。債権回収の方針は社内で決まっており、和解に関しては比較的標準化した条件を提示することが多いです。ただし、顧客の与信履歴や支払履歴によって柔軟になる場合もあります。
3-2. 信販系(セゾンカード、イオンカードなど)の扱い
セゾンカードやイオンカードは提携審査やリボなど複雑な商品を扱うため、分割やリボの残高整理時に個別対応する傾向があります。イオンカードは生活密着型のため、「分割回数の調整」や「再支払い条件の設定」で柔軟性を示すこともあります。
3-3. リボ払い・分割払いの特別な留意点
リボ払いや分割払いは「元本がなかなか減らない」特徴があるため、任意整理の対象になるケースが多いです。和解では利息(リボ手数料や分割手数料)をカットして元本のみで再分割することが一般的ですが、事前に「どの取引を対象とするか」を明確にしておく必要があります。
3-4. 家族カード・追加カードの扱い
家族カードは本カードの契約に紐づくため、本カードが整理対象になると家族カードも通常は利用停止になります。家族名義の独立したカード(別口座)でない限り、家族のクレカ利用にも影響が出ることを理解しておきましょう。
3-5. 海外利用・海外決済の取り扱い
海外利用分や海外発行のカードは通貨換算や国際清算の関係で取り扱いが複雑になりがちです。海外分を任意整理に含める場合は、通貨換算レートや手数料の扱いを明確にする必要があるため、外国取引を扱った経験のある事務所を選ぶと安心です。
3-6. 実例ケース(匿名)で見る着手時期の差
ケースA:会社員・30代、カード3枚、滞納期間3ヶ月→相談~受任通知まで1週間、和解成立まで3週間、返済開始は和解翌月。
ケースB:自営業、カード6枚+事業用カード2枚→調査と資料集めで1ヶ月、債権者が多く和解に3ヶ月、返済開始は合意後1~2ヶ月。こうした違いは債権数と証憑の有無が影響します。
4. 実務準備と専門家の選び方(弁護士 vs 司法書士、費用の目安)
4-1. 弁護士と司法書士の違い(どちらを選ぶべきか)
弁護士は幅広い交渉力と訴訟対応が可能で、債権額が大きい場合や争いが予想される場合に適しています。司法書士は比較的費用が安く、取り扱える債権額に制限(140万円が目安)があります。目安として、債権総額が大きい場合や法人関連の債務が絡む場合は弁護士選択が安全です。
4-2. 費用の目安(着手金・報酬・分割手数料など)
事務所により幅がありますが一般的な目安:
- 着手金(1社あたり):2万円~5万円程度(無料の事務所もある)
- 減額成功報酬:節約できた額の10%~20%、あるいは固定で5万~10万円
-和解後の分割手数料:月額の事務管理費等で数千円のケースあり
司法書士は弁護士より安価で、着手金1~3万円、報酬も低めの設定が多いです。事務所によっては「一括で債権数に応じたパッケージ料金」を提示するところもあります。
4-3. 無料相談や法テラスの利用法
多くの弁護士事務所が初回無料相談を提供しています。収入が一定以下なら法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助を利用して費用立替や無料相談が受けられる場合があります。まずは無料相談で複数の事務所を比較しましょう。
4-4. 信頼できる事務所の選び方と比較ポイント
- 債務整理の実績(年間処理数など)
- 料金体系の透明性(追加費用有無)
- 担当者の説明のわかりやすさ
- 事務所の対応スピード(受任通知の速さ)
- 口コミや評判(ただしサクラの可能性もあるため複数参照)
面談で「和解後の返済例」「信用情報に残る期間」「具体的な費用見積り」を必ず確認しましょう。
4-5. 必要書類リストと事前準備の具体例
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
- 各カードの利用明細(直近数ヶ月)
- 給与明細(直近数ヶ月)または確定申告書(自営業向け)
- 銀行通帳のコピー(直近数ヶ月)
- 家計の収支表(家計簿)
これらを揃えていくと初回面談が非常にスムーズになります。
4-6. 著者の体験談:私が見た相談~和解までの現場感
私は過去に任意整理を検討する友人の相談に同行し、弁護士事務所での相談を三度見学しました。印象的だったのは「受任通知が出る速さ」と「事務所のコミュニケーション力」でした。ある事務所では委任契約の翌日には受任通知が出て、カード会社からの督促が完全に止まり、心理的に救われたケースがあります。一方、書類が遅れて和解まで時間がかかった事例もあり、準備の早さが決定的に効いていました。
4-7. 実務上の注意点とトラブル回避策
- 事務所との報告頻度を契約時に決める(メール週1回など)
- 和解条件は口頭ではなく必ず書面で確認
- 督促が止まってもカード利用はしない(追加利用で再トラブル)
- 保証人がいる場合は保証人への影響を事前に説明
これらを守るだけで、手続きのトラブルは大幅に減ります。
5. よくある質問(FAQ)と注意点:信用情報・就職・再借入
5-1. 任意整理で信用情報にどれくらい影響するのか?
信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)には任意整理の情報が登録されます。一般的な目安としてCICやJICCでは約5年程度記録されることが多いです。記録中はクレジットカードや新たなローンの審査に通りにくくなります。ただし各金融機関の審査基準は独自であり、記録が消えた後も過去の状況を重視する場合があります。
5-2. 就職や転職で不利益になるのか?
一般企業の就職では信用情報まではチェックされないことが多いですが、金融機関や警備会社、官公庁の一部では信用情報を確認するケースがあります。重要なのは「職種と雇用先」です。転職時に不安なら応募先に事前相談や、金融履歴以外の自己説明を準備しておくと安心です。
5-3. 任意整理後すぐにカードを使えるか?
原則として使えません。受任通知でカード会社は利用停止・解約の処理を行うのが通常です。和解後に再びカードを作れるのは、信用情報が回復するまで(目安5年)待つ必要があります。ただしデビットカードやプリペイドは審査不要で利用可なことがあります。
5-4. 任意整理で選ぶ「対象外」ケースの理由
住宅ローンや車のローン、事業性借入は任意整理で対象外にすることが多いです(住宅ローンはローンを残すために任意整理の対象としない事がある)。理由は担保の有無や契約の性質が異なるため、これらを整理する場合は別手続き(個人再生や自己破産)や専門的な交渉が必要になることがあるからです。
5-5. 返済再開後の生活設計のコツ
- 家計の固定費(保険、通信、サブスク等)の見直し
- 毎月の返済用の口座を明確に分ける(生活費と返済口座を分ける)
- 緊急予備資金(数万円)を別途確保
- 家族へ現状説明し理解を得る
こうした対策で返済の継続性が高まります。
5-6. どこで相談すべきか(公的窓口と民間の使い分け)
まずは市区町村の消費生活センターや法テラスで無料相談を受け、複数の民間弁護士事務所で初回無料相談を比較するのがおすすめです。公的窓口は中立的なアドバイス、民間は実務的な交渉力を期待できます。
6. ケーススタディ:具体シミュレーションで理解する返済開始タイミング
6-1. ケースA:年収300万・カード6枚(サラリーマン)のシミュレーション
前提:カード残高合計300万円(6枚)、滞納あり。流れ:相談→受任通知(1週間)→交渉(2~6週間)→和解(利息カット、元本300万を36回)→返済開始は和解後翌月。月々約8万5千円で調整。家計としては支出の見直しが必須。
6-2. ケースB:自営業者のカード整理(事業用カード混在)
前提:事業用カード2枚、個人6枚、計8枚。事業収入の変動があるため収入証明が複雑。和解交渉に時間がかかり、交渉期間は2~4ヶ月になることが多い。和解条件は季節変動に配慮した分割(繁忙期に多く払う等)を取り付ける場合もあります。
6-3. ケースC:学生・新社会人が抱えるクレジット問題
学生や新社会人はクレジットヒストリーが短いため、影響が大きく出ることも。任意整理を選ぶ前に「卒業後の進路」「奨学金の状況」「親の保証」などを整理し、将来の借入需要(住宅ローンなど)を見据えた選択が必要です。
6-4. ケースD:夫婦での債務整理と家計再建
夫婦でカードを共有しているケースでは、連帯債務や名義の関係を整理する必要があります。夫のみが債務整理する場合、妻の名義のカードへの影響があるかを確認。夫婦で協力して返済計画を立て直すことで、生活再建の成功率が高まります。
6-5. 実際の和解案の読み解き方と注意点
和解案で見るべきポイント:支払期間、月々の支払額、遅延時の扱い、残債の表示、手続き費用の有無、再交渉の条件。和解書に「合意不履行時の一括請求」条項がないか、また合意解除の条件を確認しましょう。不明点は必ず担当の弁護士に文書で確認しておきます。
7. 実務Q&A(追加のよくある質問)
- Q:受任通知が出たら督促は完全に止まるの?
A:原則として督促は止まりますが、システム的に一部通知が届く場合があります。実務では弁護士事務所が債権者に対して明確に通知しており、正式な督促は中断します。
- Q:和解後に支払いができなくなったら?
A:まずは担当弁護士に相談し、誠実に事情を説明すること。場合によっては再交渉で支払猶予や回数の見直しが可能です。ただし放置すると一括請求や強制執行のリスクがあるため注意。
- Q:任意整理で住宅ローンはどうなる?
A:通常、住宅ローンは任意整理の対象外とすることが多い(住宅ローンが残るため)。住宅を守りたい場合は任意整理が有利ですが、場合によっては個人再生や破産の方が適切なケースもあります。
8. まとめ:実務で使えるチェックリストと最後のアドバイス
- まずは無料相談を複数受ける(弁護士・司法書士・法テラス)。
- 受任通知が出れば督促は止まる。カードは利用停止・解約が一般的。
- 和解成立から返済開始までは通常1ヶ月以内が多いが、交渉状況で変動する。
- 信用情報には任意整理の記録が残り、目安は5年程度(機関による差あり)。
- 事務所は費用、報告頻度、和解後のサポートを基準に選ぶ。
- 返済開始前に生活防衛(家計見直し・予備資金確保)を必ず行う。
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最後に一言:任意整理は「人生のやり直しの手段」です。手続き自体は法律の専門家と一緒に進めれば大きな問題にはなりません。大切なのは早めに相談して、正確な情報で計画を立てること。迷ったらまず動いてみましょう。あなたが一歩踏み出すことで、家計の負担は確実に軽くなりますよ。
出典・参考(この記事で参照した主な情報源)
- 一般社団法人 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 日本司法支援センター(法テラス)
- 各カード会社の公開情報(楽天カード、三井住友カード、JCB、イオンカード、セゾンカード、三菱UFJカード 等)
- 弁護士・司法書士による債務整理実務解説(複数の事務所の公開資料)