個人再生のメリットデメリット※費用や住宅ローンを徹底解説!

個人再生のメリットデメリット※費用や住宅ローンを徹底解説!

個人再生の手続きについて教えて

借金の返済件数が増えてしまったり、病気やケガで経済状況が変わってしまったりすると返済が難しくなり、日常生活に支障をきたしてしまう場合もあります。
そのような状況に陥ってしまった人を救済するために、法律では債務整理という方法を使って借金問題を解決することができます。

 

債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産と3種類の方法がありますが、それぞれ特徴がありメリットやデメリットも違います。

 

今回は個人再生に重点を置き、特徴や手続に必要な費用、手続きの流れについて解説していきます。
個人再生が自分にとって最善の方法かどうかを検討する上で参考にしていただけると幸いです。

 

個人再生ってどんな手続き?

個人再生とは民事再生法第13章を制定されている債務整理の一つです。

 

手続きは裁判所を通して行い、借入をしているすべての債権者を対象に、原則として借金残高を1/3~1/5に減額して3~5年で返済をしていく手続きです。
元々は企業の救済を目的として制定されましたが、平成13年4月から個人の借金問題についても適用できるようになりました。

 

個人再生は手続き後に3~5年かけて返済をしていかなければならないため、安定した収入を得ていることが条件となります。
安定した収入といっても、正社員のように固定給が必要ということではなく、アルバイトやパートなどでも毎月収入があり、減額後の残高を3~5年間で返済できるだけの収入があれば手続きをすることができます。

 

個人再生で知っておくべきメリットとデメリット

個人再生をするメリットを教えて

  • 借金残高そのものを大幅に減額してもらえる
  • 金融機関からの督促や強制執行手続きを止めることができる
  • 住宅ローンを返済中であっても家を手放さなくていい
  • 自動車などの財産についても処分しなくていい

 

個人再生の手続きは裁判手続きなので、法的効力を持っています。

 

任意整理では債権者の同意がなければ和解ができませんが、個人再生の場合は裁判所が認めれば債権者は従わざるを得ません。
また自己破産では免責不許可事由にあたる借金の原因についても個人再生では問題視されませんし、資格の制限を受けることもありません。

 

いくつかのメリットについては条件が必要なものもありますので、これから適用される条件や詳しい解説をしていきます。

 

借金残高を減らせる

個人再生の手続きでは、裁判所から認められれば借金の残高を、法律で決められている基準額まで減額することができます。
この基準額のことを「最低弁済額」と言います。

 

借金の総額によって最低弁済額は異なりますが、最大では10分の1まで減額することができます。
最低弁済額については、基本的には借金総額を元に計算されますが、清算価値が最低弁済額を上回る場合には清算価値が弁済額となります。

 

清算価値というのは後程詳しく説明しますが、簡単にいうと持っている財産の価値のことです。
要するに、法律で決められている最低弁済額よりも多く財産を持っている人は、持っている財産以上の金額は支払ってくださいねということです。

 

最低弁済額ってなに?

最低弁済額とは、民事再生法で定められている手続き後に返済が必要な最低金額のことで、借金総額から計算されます。
ちなみに最低弁済額を計算する時は、借金残高には住宅ローンは含まれません。また借金総額が100万円以下の場合減額はありません。

 

最低弁済額の例をあげると、
101万~500万円以下の場合の最低弁済額は100万円
501万~1500万円以下の場合は債務額の5分の1
1501万~3000万円以下の最低弁済額は300万円
3001万~5000万円以下の場合は債務額の10分の1
となります。

 

例えば借金総額が1000万円であれば、その5分の1は200万円ですから最低弁済額は200万円となります。

 

企業でもない限り借金総額がそんなに高額になることはほぼありませんので、個人の場合は1500万円以下の辺りまで把握しておけば十分でしょう。

 

金融機関からの督促が止まる

個人再生に限らず債務整理の手続きを開始したことを債権者に書面で通知すると、それ以降は債務についての取立をすることができなくなります。

 

個人再生や自己破産の手続きを個人でする場合は、裁判所が受理した時点で各債権者に受理票が発送されますし、弁護士や司法書士などの専門家に依頼する時は、委任契約が交わされた時点で専門家から受任通知が発送されます。

 

個人で手続きをする場合は裁判所で受理される必要がありますから、書類の準備などでもたついてしまうとそれだけ長く督促の精神的負担がかかりますが、専門家に依頼する場合は依頼したその日に受任通知を送付してくれますので、タイムラグを考えてもさほど時間はかかりません。

 

また弁護士事務所によっては依頼した時点で債権者に電話をかけ、督促を止めてくれるよう交渉をしてくれるところもあり、最短では即日で督促ストップすることができます。
債務整理の手続きを開始して以降の督促は、貸金業法で禁止されているため違反した場合は債権者がペナルティを受けることになります。

 

マイホームを手放さずに済む

個人再生には「住宅資金特則」という住宅ローンに関しての特例が定められています。
住宅ローンを返済中の人にとっては一番といっていいほど大きなメリットとなります。

 

通常住宅ローンを返済中の人が、債務整理の手続きを開始すると住宅ローンにつけられている抵当権によって、住宅は競売にかけられます。
任意整理の場合は対象から外せば問題ないのですが、個人再生と自己破産の手続きに関しては、債権者平等の原則からすべての債権者を対象としなければなりません。

 

しかし個人再生に関しては住宅ローンを対象から外して、家を手放すことなく住宅ローンを返済しながら、他の借金を個人再生で減額してもらい、返済していくという方法が可能なのです。

 

住宅資金特則ってどういう制度?

住宅資金特則とは、通称住宅ローン特則と呼ばれていて、住宅ローンを個人再生の対象から外すことができる特例のことです。

 

通常住宅ローンはその不動産を担保にしてお金を借りていますので、もし返済ができなくなった場合には債権者はその不動産を競売にかけて、得たお金を借金残高に充当することができます。
ですから債務整理の対象とすれば、住宅ローンの契約をしている銀行や金融機関は債務者が住んでいようと競売にかけてることができ、落札されれば強制退去の手続きをすることもできるのです。

 

住宅ローンを返済中の人にとってはこの特則で、住宅ローンを返済しながら他の債務を整理することができる上その他の恩恵についても、債務者にとってはメリットが多い寛大な制度です。
住宅ローンの返済額が家計の負担になっている場合、銀行や金融機関の窓口で返済計画の見直しを交渉するのが一般的ですが、相談に応じるかどうかは銀行や金融機関の自由なので、当然応じてくれない金融機関もあります。

 

しかし個人再生の住宅ローン特則が適用されれば、返済期間を最長で10年間延長できるため、リスケージュールに応じてくれなかったところでも、強制的に返済計画のやり直しをしてもらうことができます。

 

また支払が延滞していて住宅が競売にかけられていたとしても、代位弁済から6ヶ月以内であれば競売を中止することもできます。
この特則は住宅ローンが債務者本人の所有で住居目的の不動産であること、不動産に住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと、住宅ローンの残高が評価額よりも多いことなどが条件となります。

 

効力が非常に大きいので適用できる条件も厳しいですが条件に該当すればかなりの恩恵を得られることになります。

 

自動車などの財産も残せる

自動車については自動車ローンの支払が終わっているかどうかによって変わります。
自動車ローンの支払が終わっていれば、自動車の資産価値に関わらず手元に残すことができます。

 

しかし自動車ローン契約は多くの場合、ローンの返済が終わるまで所有者は信販会社になっていることが多いです。
そのためローンの返済が困難となれば、信販会社は車を引き揚げて競売にかけ、売れたお金を自動車ローンの残高に充当することになります。

 

ただ、所有者が信販会社ではなく販売店やディーラーの場合には、車を引き揚げるのを拒否することができます。

 

また車を事業に使っている場合は、信販会社が引き揚げてしまうと再生計画の返済に支障をきたす可能性があります。
そういった場合には債権者と「別除権協定」を結ぶことで車を手元に残せる場合もあります。

 

しかしこの協定を結ぶためには、裁判所の許可と他の債権者からの同意が必要となります。

 

個人再生をするデメリットとは

  • 借金を全額免除してもらうことはできない
  • 官報に掲載される
  • 信用情報機関に事故情報が登録される
  • 条件が厳しい
  • 手続きが複雑で時間がかかる

 

これ以外でも自動車のデメリットについては前述で少し触れましたが、ローン返済中の場合は手元に残すのが難しいこともデメリットの一つです。

 

また任意整理は債務整理の対象を自分で選ぶことができますが、個人再生の場合は自分の都合で債権者を選ぶことができません。
そのため住宅ローンを除いてすべての債権者を対象としなければなりません。

 

この章ではいくつかのデメリットについて詳しく解説していきます。

 

借金残高をゼロにすることはできない

個人再生は、自己破産と違って全額免除を受けることはできませんので、手続き後も取り決められた残高については返済をしていかなければなりません。
またその残高を原則3年で返済を終わらせなければならないため、安定した収入が必要です。

 

先ほど最低弁済額についての解説をしましたが、個人再生の手続き後に返済していく残高は最低弁済額だけを元に決定されるわけではありません。

 

これには清算価値保障原則が影響しており、自己破産の管財事件で想定される債権者への配当率よりも高い金額が設定されることになるのです。

 

清算価値保障原則ってなに?

もし債務者が個人再生ではなく自己破産をした場合、債務者が持っている財産は処分されて債権者はその配当を債権に充当することができます。

 

逆を言えば、債権者は債務者が自己破産をしてもその金額以上の返済を受けられるということですので、個人再生においてもその金額以上の返済でなければ、個人再生に同意する意味がないということになります。

 

この原則により、債権者は最低弁済額よりも債務者が持っている財産の資産価値が多い場合には、その資産価値以上の返済を受けることが保障されているのです。

 

官報への掲載

裁判所を通じた債務整理の手続きの場合、すべての債権者に債務整理の手続きが開始されたことや、減額・免責が決定したことを知らせなければなりません。

 

そのために使われるのが、国から発行している「官報」という機関紙です。
官報には法律の改正や自治体からの連絡などが掲載されていて、その中に個人再生や自己破産の手続きを開始したお知らせや、手続きが完了したお知らせも掲載されます。

 

とはいっても官報は一般的な書店では販売されておらず、購読をする人も税理士や弁護士、司法書士などの法律の変更を常に把握しておかなければならない職業についている人などで、一般の人はほとんど目にすることもありませんし、官報という存在自体あまり知られていません。
ですから官報の掲載によって、近所の人に債務整理の手続きをしていることが知られる可能性はかなり少ないと言えます。

 

しかし闇金業者などは、官報から個人情報を得て勧誘をしてくる可能性があります。官報に掲載されるのは、個人再生や自己破産の手続きをした人で、今後しばらくの間は一般的な金融会社から借入を受けることができない人たちです。

 

ヤミ金会社にしてみればそういう人たちはいいお客さんとなってしまうのです。
ヤミ金会社からお金を借りてしまうと、債務整理どころの話ではなく大きなトラブルに巻き込まれることになりますので、そういった勧誘に乗せられないように注意しましょう。

 

信用情報機関に事故情報が登録される

個人再生に限らず、債務整理の手続きをすると個人信用情報機関に事故情報の登録がなされます。

 

信用情報機関に登録されれば、一定期間一般的な金融機関からの貸付を受けることはできなくなります。
理由は、債務整理に至るまで借金を抱えるほど経済状況が悪かったということですし、もし融資をしても債権を回収できる見込みが少ないからです。

 

ローンはもちろんのことクレジットカードの作成や、スマートフォン・家電などの高額のショッピングをする時に分割返済をすることも難しくなります。
これが一般的にブラックリストと言われるものの正体です。

 

個人信用情報機関ってなに?

個人信用情報機関とは銀行や消費者金融、クレジットカード会社が加盟して、それぞれの契約状況などを登録して情報を共有する機関のことです。
融資の申し込みがあった際に、申込人の他社の借入状況や債務整理の過去がないかを調べて、融資をしても多重債務や支払不能に陥る危険性がないか、審査をする時の判断材料に使われます。
個人信用情報機関には、銀行や金融機関が加盟している全国銀行個人信用情報センター(KSC)、消費者金融会社が加盟している株式会社日本信用情報機構(JICC)、クレジットカード会社や信販会社が加盟している㈱シー・アイ・シー(CIC)の3種類があります。
個人再生についての登録はKSCの場合およそ10年間、JICCとCICについてはおよそ5年間保存されることになります。

 

個人再生の条件は厳しい

個人再生の条件は、個人の債務者で借金残高が5000万円以下であること、手続きをしなければ支払不能の状態に陥ってしまう可能性があること、将来にわたって継続的な収入があること、手続き後の残高を原則3年間(最長は5年間)で返済できることが条件となっています。
継続的に得られる収入額や要件については、小規模個人再生と給与所得者等再生によって異なります。

 

小規模個人再生の条件とは

小規模個人再生は、個人事業者や収入がそこまで安定していない人を対象とした制度です。しかし後程詳しく説明しますが小規模個人再生の方が、手続き後に取り決められる残高が少なくて済むため、給与所得者であっても小規模個人再生の手続きを申請する人が多いです。しかしこの手続きの場合は債権者の過半数が反対した場合、または債権総額の2分の1以上を持っている債権者が反対した場合は裁判所からの認可がおりません。債権者の同意は、書面で決議されるのですが中には無回答の債権者もいます。この場合の基準は「消極的同意」といって無回答は同意したとみなされますので、債務者にとっては有利と言えます。ただ実際反対をする債権者はごく一部で、一般的な金融会社ではほとんどいません。

給与所得者等再生の条件とは

給与所得者等再生は、そのままの意味で給与所得者を想定した個人再生の手続き方法です。過去2年間の所得の変動率が20%以内という安定した収入であることが条件となります。
この手続きには債権者の同意は不要ですが、最低弁済額を「法廷可処分所得の2年分以上」にしなければならない規定があります。法廷可処分所得とは、所得から税金と最低限の生活費(生活保護の支給額を参考に計算)を引いた金額のことです。給与所得が高い場合にはこの金額もかなり大きくなるため、給与所得者であっても小規模個人再生を選ぶ人の方が多いのです。

 

個人再生手続きには専門知識が必要

個人再生の手続きは自己破産と違い財産の処分はありませんが、最終返済額を計算するために財産に関する書類を作成して提出しなければなりません。必要書類の中でも陳述書や財産目録、可処分所得額計算シートや清算価値算出シートなどは、ある程度の知識がないと作成が難しいものもあり、当然不備があれば裁判所では受理してもらえません。手続きも裁判所の認可を受けなければならず時間や手間がかかるため、日常生活を送りながら自分で手続きをするのは難しく、あまり現実的ではありません。また書類の作り方によっては自分にとって有利になったり、不利になったりすることもあります。手に負えなくなってから専門家に依頼することも可能ですが、最初から専門家に依頼することで準備や手続きが効率よく進むので、解決までの時間も短くてすみます。

 

個人再生と他の債務整理にはどんな違いがある?

自己破産と個人再生の違いは?

個人再生と自己破産の大きな違いは財産の処分がないことです。自己破産は資産価値が20万円以上あるものについては処分されて債権者に配当されますが、個人再生は処分がありません。しかし自己破産の場合は手続き後債務がなくなりますが、個人再生の場合は手続き後に取り決められた残高を再生計画に基づいて返済していかなければなりません。

 

任意整理と個人再生の違いは?

個人再生と任意整理の違いは、借金残高が減る金額の違いが一番大きいです。任意整理は過払い金が多額な場合を除いて、基本的に残高そのものは減額されません。交渉がうまくいった場合元金残高が減ることもありますが、手続き後の金利をなくしてもらい元金残高だけを返済していくというのが一般的です。個人再生の場合は裁判所からの認可を受けられれば1/3~1/5まで減額することができます。しかし債務整理は自分で債権者を選ぶことができるのに対し、個人再生は裁判所を通す手続きになるため、住宅ローンを除いてすべての債権者を対象としなければならず、自分の都合で債権者を選んだり外したりすることができません。

 

どの債務整理が最善の方法か

借金返済が生活をそこまで圧迫していない場合や、この借金はちゃんと払っておきたいなどの事情がある人は、任意整理の手続きがいいでしょう。逆に借金の返済が家計を大きく圧迫していて、日常生活そのものに支障をきたしてしまっている場合は、個人再生か自己破産を選択することになります。現在仕事をしていて月々継続した収入を得ることができているのであれば個人再生、仕事がなく収入がほとんど得られていない状況の場合は自己破産が良いでしょう。それぞれの特徴やメリット・デメリットをよく検討して、最終的に自分にとってどの方法が最善かを決める、もしくは専門家からアドバイスを得るのも債務整理を失敗しない方法の一つです。

 

個人再生の手続きにかかる費用の相場はどのくらい?

個人再生の手続きで裁判所に支払う金額は、裁判所によって多少異なりますが、代理弁護士がついている場合2~3万円程度、代理弁護士を付けていない場合は20~25万円前後となっています。弁護士費用については40~60万円が相場となっており、住宅資金特則を利用する場合は5~10万円相場が高くなります。

 

手続費用と内訳

裁判所に支払う費用の内訳は、申立て手数料が収入印紙代1万円と郵便切手代などが5千円~1万円、予納金が官報公開費用として12,000円前後となっています。また個人再生委員が選出される場合その報酬費用が15万円~25万円となっています。

 

専門家への依頼費用の相場は?

弁護士報酬は弁護士事務所によって異なりますが、着手金、弁護士報酬、成功報酬などの内訳があり、支払う総額の相場が40~60万円です。司法書士に依頼する場合は30~40万円が相場となります。いずれも住宅ローン特則の適用をするかどうかで5~10万円加算されることが多いです。

 

弁護士と司法書士はどっちに依頼するかで違いはある?

弁護士と司法書士の大きな違いは持っている権限の違いにあります。弁護士は法定代理人となることができますが、司法書士は書類の作成・提出までの権限しかありません。取扱金額が140万円以下なら代理人になれるのでは?と思われるかもしれませんが、それは簡易裁判のみに適用されます。個人再生の手続きは管轄が地方裁判所ですから、法定代理人となることはできないのです。そのため個人再生の手続内容によっては代理弁護士を付けていない場合、個人再生委員が選任されてしまう可能性もあり、選任されると個人再生委員に支払う報酬が発生しますから、トータルで考えると弁護士に依頼する方が安くすむこともあります。
弁護士の報酬よりも司法書士の報酬の方が、相場が安いのはこういった理由があるためです。

 

弁護士費用が払えない時はどうすればいい?

弁護士報酬は決して安い金額ではありません。債務整理を検討している経済状況では現金で用意するのには大金に感じてしまうこともあるでしょう。しかし手続きを効率的にまた有利に進めるためには、弁護士に依頼するのが合理的です。弁護士費用については分割後払いで対応してくれる事務所もありますので、無料相談の段階で確認しておくと良いかもしれません。

 

個人再生の申立手続きから支払まではどんな流れで進むのか

裁判所への申立手続き

管轄の地方裁判所に、個人再生に必要な書類と手続き費用を提出して申立てを行います。東京地方裁判所ではこの時点で個人再生委員の選任が行われます。

 

選任された個人再生委員との面談

1週間程度で個人再生委員との面談があります。個人再生委員に選任された弁護士が所属している法律事務所で面談を行うことが多いです。面談の内容は申立書の記載を元に、債務状況や家計状況、資産についての確認がなされます。

個人再生委員ってなにをする人?

個人再生委員は裁判所がある地域の弁護士から選任され、裁判所が個人再生手続の開始決定や認可決定をするために必要な聴き取りや調査を行います。

 

裁判所による再生手続開始決定

申立から約1ヶ月後に裁判所によって再生手続開始決定がなされます。開始決定のタイミングで一回目の官報公告に掲載されます。

 

債権内容についての調査

申立時に提出する債権者一覧表に漏れがないか、また債権者でも債権額に間違いがないかどうかを確認する期間です。官報公告を見て、弁護士や裁判所からの通知が来ていないけどうちにも債権があるよ!という債権者がいれば、裁判所に異議申立てがありますし、債権者と債務者の言い分が食い違っている場合はこの期間中に解決を図ります。

 

再生計画案を裁判所に提出する

債権額が確定したら弁済額も確定となり、その金額を3年間で毎月の支払金額や方法を含めた再生計画案を作成し、裁判所に提出します。

 

裁判所による再生計画案の審査

提出された再生計画案は、裁判所のチェックをして問題があれば修正を命じられ、問題がなければ各債権者へ再生計画案と議決書が郵送されます。書面決議では債権者の過半数の反対または債権額の1/2以上の反対がなければ再生案が認可されます。このタイミングで2回目の官報公告掲載がなされます。

 

再生計画の認可を受ける

書面決議の結果と最終的な裁判所による認可で再生計画案が確定します。ここで最後の官報公告掲載がなされます。

 

返済開始から完済まで

認可された返済計画に従って、返済が始まります。返済金額や返済方法も間違いがないよう支払をします。

 

個人再生の手続きに準備する必要書類とは?
必要書類
  • 申立書…個人再生の手続きをする本人の情報などを記載します。
  • 陳述書…個人再生に至った経緯や事情、収入や予定弁済額などの記載をします。
  • 財産目録…預貯金や保険、不動産、車、株券などの財産を一覧表にしたものです。
  • 債権者一覧表…借入をしている会社名、住所、債権額、借入総額などを記載します。
  • 家計表…直近2ヶ月分の家計簿を作成します。

 

添付書類
  • 住民票…3か月以内に取得したものが必要です。
  • 住居に関する資料…住居区分に応じて賃貸借契約書や社宅証明書、登記簿事項証明書などが必要になります。
  • 給料明細…申立て前3ヶ月分が必要です。
  • 年収が分かる資料…勤務者の場合は源泉徴収票・課税証明書、自営業者の場合は確定申告書の控え、いずれも直近2年分が必要です。

上記以外にも状況に応じて必要になる書類がありますので、手続の際確認をしておきましょう。

 

個人再生の失敗例

個人再生に必要な条件を満たしている場合でも、失敗となるケースがあります。主に手続き中の失敗・再生計画案での失敗・返済途中でおきてしまう失敗が多く、事例を挙げて説明していきます。

 

手続きにおいての失敗例

裁判所に申立てをしても棄却されてしまうことがあります。弁護士など専門家に依頼していれば不備がないように準備することができますが、個人で手続きをしようとする場合には不備があれば受理してもらうことができません。また個人再生の条件に該当しないなどの理由で棄却されることもあります。

 

再生計画案の失敗例

弁済額を3年間で返済するための返済計画が、現実的に可能なものであるかどうかは重要なポイントとなります。また再生計画案に対して、過半数の債権者または債務総額の1/2以上の債権者からの反対により再生計画案が不認可となってしまうケースもあります。

 

返済途中における失敗例

無事に再生計画案が認可されて個人再生の手続きが完了しても、返済期間中にケガや病気による出費や収入の減少、勤務先の経営状況の変化などの想定外の理由で支払額を準備できなくなり、返済計画通りに返済できなくなってしまうケースもあります。そういった場合は、再生計画の変更やハードシップ免責の利用をすることができます。ハードシップ免責とは一定条件を満たしていれば残りの債務を免除してもらえるというものです。

 

個人再生のギモン解決編

個人再生で家族に迷惑がかかってしまう?

債務整理の手続きをする時に家族に迷惑がかかってしまうのかを心配する人もいますが、個人再生の手続きで直接家族に影響が出ることはほぼありません。信用情報機関への登録は本人のみなので、ローンの審査に影響することはありませんし債権者が個人再生で減額された分を家族に請求をすることもありません。

 

個人再生をしたら保証人は債務を一括請求されるの?

個人再生の手続きに入った時点で、連帯保証人の契約がある場合債権者は連帯保証人に対して債務の残高について一括請求をします。一括で支払できない場合は債権者と分割で支払っていく交渉をすることになります。しかし債務者も減額されるとはいえ返済を続けるわけですから、そうなると債権者は二重に返済を受けることになってしまいます。そのため実際には連帯保証人が分割で支払っていく場合には、債務者本人と連帯保証人が返済していく金額が、残債務に達した時点で支払が完了となります。

 

個人再生では借金の原因が問題視される?

個人再生の場合は借金ができた経緯について申立の時の書類に記載はしますが、特に問題視されることはありません。ですから借金の原因がギャンブルであっても手続きは可能です

 

個人再生の対象に税金の滞納をいれることはできる?

債務整理では税金や健康保険料などの公租公課は対象に出来ません。またこれらの滞納処分で差押えを受けるものに関しては、個人再生の手続きでも中止・中断がされませんから、強制執行を受ける前に解決しておきましょう。税金の滞納分を一括で支払えない場合は、それぞれの各機関に相談し分割払いで対応してもらうこともできます。

 

個人再生の手続きについてのまとめ

  • 個人再生は借金残高を大幅に減額できることがメリットですが、手続きは複雑で期間もかかります。
  • 任務整理と異なり債務者を選ぶことができません。
  • 自己破産と異なり住宅ローンを返済しながら他の債務について整理することができます。
  • 手続き費用は裁判所に15~25万円、弁護士に依頼する場合は40~60万円がおよその目安です。
  • 申立て後は確定された債権額を元に再生計画案を作成し、認可されればそれを元に返済をしていくことになります。

 

個人再生の手続きについては複雑で、書類の作成一つとっても自分にとって有利・不利が分かれます。弁護士費用が高くて個人で手続きをしようとする人もいますが、最終的な返済額や裁判所に支払う金額など出費全般を見てみると弁護士に依頼した方が、負担が少なくてすむ場合もあります。また債務整理の方法や手続きの仕方、手続きが失敗に終わらないために、日頃の経済管理についてのアドバイスをもらえることもありますので、弁護士事務所の無料相談を活用して信頼のおける弁護士を見つけることをオススメします。

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個人再生は任意整理よりも債務総額を大幅削減できることがあります。個人再生を行うには弁護士費用や裁判所に納める費用がかかってきますが、その相場はどれくらいなのでしょうか?これは地域によっても変わってきますが、弁護士報酬・裁判所費用合わせて40万円から50万円が相場です。もちろん、債権者数などが増えれば弁護士に支払わないといけない費用も嵩むことがあります。また、一般的に弁護士事務所に支払う必要は任意整...

借金問題で困った際には色々な選択肢があります。債権者と交渉することによって問題解決を図る任意整理などがその代表例です。任意整理に失敗した、債権者と交渉が上手く進まない、といった際には個人再生を申請することになりますが、個人再生は弁護士などの専門家に頼らずとも行うこと自体は可能です。自力で個人再生をする場合のポイントしかし、個人再生を自分の力だけで行うのは結論から言うとおすすめできません。例えば、申...

個人再生は債務整理を考えている人におすすめです。債務整理方法には任意整理や自己破産などがありますが、個人再生は自己破産のように財産を処分しないで済むメリットがあります。一方、任意整理よりも大幅に借金を減額できる可能性があるのもメリットと言って良いでしょう。もちろん、個人再生をすることで官報に名前が載る他、個人再生計画などを承認してもらう必要性があるのは確かです。そんな個人再生を行うためには色々な書...

個人再生は裁判所に個人再生計画案を提出して借金額を大幅に減免してもらう制度です。給与所得者等更生と小規模個人再生の2つがありますが、それぞれで利用条件がことなってきます。個人再生は借金返済が自力でできない場合には役立ちますが、原則として個人再生をすることにより保証人に迷惑をかける危険性があることは理解しておきましょう。個人再生をすると保証人に借金の請求がいく?例えば、個人再生したことによって保証人...

個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。それぞれ特徴や条件がことなりますが、個人事業主の場合には小規模個人再生によって借金の減額を行うことになります。個人再生とは、5000万円以下の借金の人が3年から5年で返済できる計画を立てたうえで借金減額を図る債務整理の手続きです。裁判所が介入する点や、元本も減額できる点で任意整理とは異なります。また、住宅を残せる可能性がある...

個人再生手続きの大まかな流れと期間について個人再生手続きを行いたい際には最初に弁護士・司法書士に相談することになります。その後、再生計画案の作成がありますが、最終的に申請してから再生計画案が認められて借金が大幅に削減されるまでにかかる期間は6ヶ月ほどです。とはいえ、個人再生の運用は地方裁判所によって異なってきます。そのため、地域によってはこれよりも長くかかってしまうこともあります。また、債権者の対...

最大で10分の1になるという借金の大幅な減額が可能なうえ、住宅を手放すことなく債務整理ができる個人再生。しかし、利用までの道のりはそう簡単なものではありません。この記事では、個人再生のデメリットについてのほか、官報に載ったらどうなるのかというような、さまざまな疑問に関することなどを、詳しく見ていきたいと思います。個人再生のデメリットの3つのデメリット①官報への記載|載るとどうなるの?この記事をご覧...

個人再生の手続きを依頼する時、弁護士事務所や法律事務所はどのように選べばいいのでしょうか。たくさんある事務所の中から個人再生の手続きを安心して任せられるところを見つけるためには、抑えるべきポイントがいくつかあります。この記事ではそのポイントや個人再生の特徴について解説していきます。個人再生の相談先はどこ?弁護士と司法書士の違いまず弁護士事務所と司法書士事務所どちらに依頼すればいいのかでしょうか?弁...

個人再生をするなら弁護士がおすすめ!司法書士との違いとは?個人再生を行えば借金総額を大幅に免除してもらえますが、依頼時に悩むのが「弁護士にすべきか・司法書士にすべきか」という点でしょう。確かに、どちらの有資格者にも依頼することができますが、両者では色々と違いもあります。例えば、業務の内容が異なってきますし、費用も大きな違いがあります。弁護士でないとできないようなこともいくつかあります。このように相...

個人再生するなら司法書士それとも弁護士?それぞれのメリットも紹介個人再生手続きは大変複雑であり、通常は専門家に依頼して行うことになります。依頼先としては弁護士事務所・司法書士事務所から選ぶことができますが、それぞれで違いが色々とあります。まず、両者では個人再生における扱いが異なります。例えば、弁護士であれば依頼人の代理人として働くことができます。他にも、費用面の差も大きくなっており、費用を気にする...

個人再生法は債務を減額させる法律個人再生法は自己破産と同じように債務整理をこなうための法律です。自己破産では借金がすべて長兄になりますが、個人再生法で定められている手続きでは、借金がすべてなくなるのではなくて減額されます。大幅に減額されるというのが特徴の一つです。法律によって強制的に減額できるのが魅力的なことです。個人再生法は、給与所得者等再生と小規模個人再生の二つに分けられています。給与所得者等...

個人再生を行った場合、最低弁済額はいくらになる?この記事では個人再生を行う場合の借金総額ごとの返済額の目安を計算することで、実際に支払わなければならない金額について確認していきたいと思います。個人再生を行おうと考えているけど、詳しい知識がなく具体的にいくら必要になるのか不安に思っている方は、是非目を通してみてください。小規模個人再生で支払う最低弁済額個人再生の内、小規模個人再生を行う場合、借金の総...

個人再生の「安定した収入」を満たす条件とは?借金に悩んでいる方には、返済の方法として個人再生を検討しているものの、個人再生を行う条件である「安定した収入」がどういったものを意味するのか、自分はその条件に当てはまっているかどうか不安に感じているという方もいると思います。そこで、この記事では「安定した収入」の条件と、個人再生を利用できない方の事例について解説していきたいと思います。個人再生を行おうとし...

個人再生+別除権協定=ローン中でも車を残せるかも!個人再生は住宅ローン以外の債務を減額できる手続きですが、実はそれ以外にも車などの資産を手元に残せる可能性もあります。「別除権協定」を債権者との間で結ぶことによって実現する可能性があるのですが、この別除権協定というものをちゃんと理解できているでしょうか?ここでは別除権および別除権協定について詳しく解説し、より賢く個人再生を行う方法を伝授していきます。...

個人再生する際にはハードシップ免責についても知っておこう!返済が困難なた人が生活を立て直すために借金を減額、若しくは免除してもらう方法として債務整理というものがあります。そのなかの個人再生という手続きは、裁判所に申し立てを行い借金の額を圧縮して貰い(おおむね5分の1)、それを3年から5年をかけて返済できれば残りの借金は免除されるというものです。再生計画どおりに返済すれば大幅に借金を減額できるという...

個人再生とその他の債務整理はどう違う?債務整理の種類には、次の4つがあります。任意整理個人再生(民事再生)自己破産過払い金返還請求それぞれに異なる特徴があるのですが、この中で債務の減少幅が安定して大きいものは個人再生、自己破産の2つです。どれも選べる状態であれば問題にもならないことかもしれませんが、大きな借金に悩んでいる人にとっては非常に大きな問題につながりかねません。ここでは任意整理、自己破産そ...

条件はあるが難しくはない!個人再生を正しく理解しよう任意整理、自己破産、過払い金返還請求とともに債務整理の一つである個人再生。「債務が一気に少なくなる」という程度の印象は持っているという人もいるでしょうが、まったく理解していないという人も少なくないようです。これから借金問題を解決しようとしている人であれば、そもそも債務整理は種類によってどういう違いがあるのかを知ることは絶対に必要で、それを知ること...