個人再生5つの失敗原因と不認可時の対策|年収・借金毎の完済フロー

個人再生5つの失敗原因と不認可時の対策|年収・借金毎の完済フロー

個人再生では個人再生計画を提出し、これが認められれば借金総額を大幅に削減してもらえます。

 

そんな個人再生ですが、時には再生手続開始後に個人再生が失敗してしまうこともあります。
例えば、個人再生計画案が期限までに提出できない失敗例や借金額が多すぎて個人再生では対応できない失敗例があります。

 

このように個人再生をしても時には失敗に終わってしまうこともありますから、弁護士事務所や司法書士事務所としっかり連携の上で進めていく事が大事です。

 

また、個人再生を実際に始めても弁済が出来ずに結局は自己破産をしなければいけなくなることもあります。

 

このように注意点は多いですが、そんな個人再生で失敗してしまうケースについて詳しく解説していきましょう。

 

 

個人再生の3つの条件

個人再生は誰でも利用できるわけではありません。個人再生で借金減額ができるかどうかは、人によって変わってくるのです。

 

まず、個人再生で借金の一部免責が認められるためには、利用条件を最低でも満たしておく必要性があります。

 

個人再生後も返済ができる安定した収入がある

個人再生には、

  • 小規模個人再生手続き
  • 給与所得者等再生手続き

の2種類があります。

 

小規模個人再生手続きでは「将来にわたり継続的に収入が得られる」という条件を満たす必要性があります。

 

一方、給与所得者等再生手続は主にサラリーマン(給与所得者)を主に対象としたものです。

 

この給与所得者等再生手続を受けるためには、「収入が安定している」ことが求められます。

 

どちらの方法にせよ、全くの無収入だと毎月の最低弁済額を支払うこともできませんから個人再生をするのは基本的に難しいでしょう。
定職についている、もしくは個人事業などで継続的に収入を得ている必要があるのです。

 

これは、返済能力が必要ない自己破産とは大きく違う点です。

 

個人再生できる債務総額は5,000万円以下

借金を大きく減額してくれる個人再生ですが、借金の総額が大きい場合には手続きができません。
個人再生ができるかの基準額は、住宅ローンを除いた債務総額が5,000万円以下であることです。

 

余りに高額な借金の場合には返済を行い総額を5,000万円以下まで減らすか、自己破産を検討したほうが良いでしょう。

 

個人再生の費用を支払うことができる

個人再生をするためにも最低限の諸費用がかかります。

 

例えば、裁判所に納める費用として3万円から20万円程度かかってきます。
他にも、弁護士報酬も用意しておかないといけません。

 

この費用を用意できないと個人再生はできません。

 

また住宅ローンの有無でも個人再生にかかる費用が違うので、いくらになるかを知るなら弁護士に相談するするのが確実です。

 

個人再生が失敗する4つのケースと原因

再生手続開始申立が棄却された場合

申請書類を収集・作成し、裁判所に個人再生申立をしても必ずしも個人再生が開始されるとは限りません。

 

時には申立自体が棄却されることもあります。
棄却されてしまう原因は様々ですが、具体的には

  • 「再生計画の認可見込みが無い」
  • 「不当な理由で再生手続が申し立てされた」
  • 「再生手続の予納金の納付がない」

といった際には裁判所は申立を棄却できます。

 

こうした申込が棄却される条件については民事再生法に記載されていますが、上記の事由に当てはまると申立も認められません。

 

個人再生手続きの廃止が決定した場合

個人再生手続きが開始されても、申立が何らかの理由で廃止されてしまうことがあります。

 

個人再生手続きの廃止がされると、個人再生手続きが終了してしまいます。

 

そればかりか、廃止時に債務者に破産原因があると、そのまま破産手続きに移行してしまうこともあるのです。こうした廃止の条件は民事再生法によって決まっていますが、再生計画案が期日までに提出されない場合などがその条件です。

 

他にも、再生計画案を提出しても裁判所・債権者から否決されてしまうことがありますが、この際に一定期日以内に再生計画案の再提出がなされない場合にも個人再生は廃止されます。

 

また、検討するに値する再生計画案の作成の見込み自体がない場合にも、個人再生手続きは廃止されます。

 

このように色々な理由で個人再生がストップしてしまうことがありますが、再生計画認可決定の確定後に再生計画が遂行されない場合にも個人再生手続きが廃止されることがあります。

 

再生計画案が不認可となったケース

個人再生で重要なのが再生計画案が裁判所によって認可されることです。

 

再生計画案とは、個人再生後に債務者に弁済していく弁済額について定めたものです。

 

この再生計画案が裁判所や貸金業者などの債権者に認可されないと個人再生は始まりません。再生計画案は必ずしも認可されるというわけではなく、裁判所の判断によって不認可とされることが有ります。

 

他にも、債権者の半数の同意を得るか、同意した債権者の債権額が過半数以上でないといけません。(条件は、個人再生の種類によって異なります。)

 

加えて、債務再生計画案提出前に行われる履行可能性テスト※で再生計画案が認められないことがあります。

※再生計画が認められたという前提で、一定期間返済を行ってみて返済能力をみること

 

このように不認可となる場合には色々なものがありますから、弁護士としっかり相談の上で作成をしていかないといけません。

 

加えて、余りに非現実的な再生計画案だと実際に個人再生後に破綻する可能性が高くなります。
そのため、後々の事を考えて作成していくことも大事です。また、もしも再生計画案が否認されても再び再提出することも可能です。

 

再生計画許可決定の取消が行われるケース

個人再生計画が認められて、いざ個人再生が始まっても全ての人が完済できるわけではありません。

 

例えば、個人再生計画に則った返済ができない場合です。

 

返済を遅延しても一ヶ月や二ヶ月は待ってもらえる事がありますが、余りに遅れると再生個人許可決定自体が取り消しされることがあります。

 

こうなると借金の減額もなくなり、振り出しに戻ることになります。

 

実際、取り消しされた人の多くがどうしようもなくなって自己破産をすることになります。
このように再生計画許可決定が取り消しされると大変ですから、返済は遅らさないように現実的な再生計画案を提出しておきたいところです。

 

 

もしも個人再生に失敗するとどうなる?

個人再生に失敗してしまうと、多くの人が自己破産手続きをすることになります。

 

それは、再び個人再生をしても個人再生が認められるケースが少ないためです。

 

特に個人再生計画案が認められなくて失敗した場合には、自己破産を選択するのが通常です。

 

人によっては任意整理を検討する人もいますが、個人再生をする人の多くが任意整理が出来なくて個人再生をするものです。

 

そのため、個人再生から任意整理をするのは現実的ではありません。

 

個人再生後に自己破産をするとなると追加で弁護士費用などがかかる他、裁判所にかかる費用も再びかかってきます。

 

また、自己破産で債務整理することにより、住宅なども失うことになります。

 

なにより期間的、心労的な負担も大きくなります。そのため、本当に個人再生という選択肢が適切かは弁護士などの専門家に相談しながら決定したほうが良いでしょう。

 

 

個人再生で失敗しないために理解しておきたいこと

【個人再生ができる条件】
・安定した収入がある 
・借金総額が5000万円以下

 

【個人再生が失敗するケース】
・個人再生の申し立てが棄却される 
・個人再生案を期日までに提出できない
・個人再生案が不認可になる
・決められた額の返済ができない

 

【個人再生に失敗したら】
・自己破産の手続きを検討する 

 

個人再生は必ずしも成功するというわけではありません。
実は紹介したような落とし穴・注意点が幾つもありますから、専門家と連携の上で進めていく事が大事です。