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任意売却と競売はどこが違う?メリット・デメリットを徹底比較

任意売却と競売は全く別モノ!

住宅ローンを支払えなくなったら、住宅は競売に掛けられるしかないと考える方が多くおらます。しかし、任意売却という方法もあるのです。任意売却は競売に比べ、さまざまな点でメリットがあります。任意売却と競売の違いや、それぞれのメリット・デメリットを見てゆきましょう。

 

 

知らないと大変!任意売却と競売との違いとは

競売とは、住宅ローンや借入金の返済ができなくなった時、担保となっていた不動産や財産が差し押さえを受け、裁判所の権限により強制的に売却されて、売却代金を債権者へ支払うという手続きのことです。住宅ローンの返済がとどこおった場合に、自宅が競売にかかるというのがよくある事例で、この記事では住宅の競売について説明しています。競売のデメリットは、競売になったことが新聞などの競売広告掲載によって公開されることと、売却価格は相場の6割程度とされるため、債務が多く残ってしまうことです。さらに、残りの債務は一括返済を求められ、給与の差押えもありえます。なお、落札までは住宅にそのまま住み続けることが可能ですが、落札されるまでの遅延損害金が掛かり、債務残高が増えてしまいます。さらに、売却代金は全額返済に充てられるため、引越し費用などとして手元に残すことはできません。また、競売を申立てた債権者が裁判所に支払う競売予納金(50万円程度から)も、売却代金から充当されます。
任意売却とは、競売と同様に不動産の売却代金を債務の返済に当てるのですが、裁判所は介入しません。多くの場合、任意売却専門の業者が債権者との調整を行います。債務者の希望を反映しながら、債権者の合意を得て住宅を売却し、残債務の返済についても、分割払いの交渉が可能です。任意売却の場合、通常の住替えと同様の販売方法をとるため、ご近所の関心を引くことなく、売却まで安心して住み続けられます。また、不動産の売却価格は相場と同額程度となるため、残債務を少なくすることができるのです。住宅の引渡日も交渉が可能で、競売のように強制的に退去を迫られるということはありません。通常不動産の売却に際してはさまざまな費用が必要となりますが、任意売却の場合は、売却代金から充てられるため、手持金からの持出しは不要です。
つまり、競売は、裁判所主体で強制的に進められ、債務者の希望を反映することはできませんが、任意売却は、債務者の任意で行われるもので、債務者が今後の生活設計を考えた上で、手続きを行うことができるものなのです。

 

 

任意売却と通常売却、どこが違うの?

任意売却と通常売却の違いは、主に次の2点です。

 

売却代金と住宅ローン残高の差額

売却代金で住宅ローン残高を全額充当できる場合は、通常売却扱いとなります。ローン残高より売却代金が下回った場合には、差額を債権者が現金で調達しなければ、売却はできません。この差額を用意できない場合、債権者の承諾が得ることができれば任意売却を利用できます。また、売却代金を決定するのは債権者です。

 

ローンの支払いが滞納しているかどうか

住宅ローンの返済が可能な状態で、任意売却を利用することはできません。任意売却をするには、住宅ローンを数ヶ月間滞納していることが条件となります。これにより、住宅ローン滞納者として信用情報(ブラックリスト)に掲載されます。

 

 

 

任意売却と競売 それぞれのメリットとデメリット

任意売却と競売のメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
任意売却のメリットとして、次のものがあげられます。
・売却価格
任意売却は、通常の不動産売却と同様に行われます。売却価格は債権者により決定されますが、市場価格や相場に近い金額で落ち着きます。
それに対して競売では、裁判所が決めた売却基準価額で入札が始められ、そこから2割減までが入札価格として設定が可能となっています。元々の売却基準価格が、相場の3割以上減額して決められており、そこからさらに2割減額されると、相場の半額程度で買い叩かれることになってしまうのです。
・残債務
任意売却においては、債務額と売却価格の差額の返済について債権者との話し合いが可能で、分割返済を認められる場合がほとんどです。
競売では、残債務の一括返済が求められます。低額での落札によって残った多額の残債務を一括返済することは難しく、支払えない場合は給料の差押えもありえます。
・明け渡し/引越し
任意売却の場合、住宅の明け渡し時期は相談の余地があります。また、引越しの費用を売却代金から分配してもらうことも可能です。これらは、債権者の厚意によって行われるものなので、債務者は、債権者の理解を得るための説明を行う必要があります。
競売では落札後、強制的に立退きを迫られます。従わない場合は不法占拠者と見なされ、法的措置を取られることもあります。引越しの費用に関しては、一切考慮されません。任意売却が、債権者による債権回収を目的としています。そのため、債務者が残債務を支払えるよう配慮してくれるのです。それに対して競売は、転売業者が利益を目的に行っているもので、債務者への配慮は全くありません。
・プライバシー
任意売却の場合、通常の不動産売却と同様の販売活動が行われます。ご近所には、住宅ローンを滞納しての任意売却なのか、通常の住替えなのかはわかりません。プライバシーは守られ、売却までこれまでどおりの生活を続けることができるのです。
競売の場合は、全く異なります。競売が決定すると、執行官による物件調査が行われ、新聞・インターネット・業界紙に、住所・氏名・物件情報などか公開されます。それを見た競売業者が現地調査に訪れ、ご近所で聞き取り調査などを行います。このような経緯から、自宅が競売にかかったことは、ご近所中に知れ渡ってしまうのです。ご近所の好奇の目に晒されての生活は、想像以上の精神的苦痛があります。この点は競売最大のデメリットといえます。
・売却後も住み続けられる
任意売却では、住宅を売却した後も住み続けることができる場合もあります。ひとつはリースバックと呼ばれるもので、一旦第三者に売却した自宅を賃貸するという方法です。物件によっては、住宅ローンの支払額より大幅に安い家賃で自宅に住み続けられるケースもあります。もうひとつは、買い戻しと呼ばれるもので、親族や知人に自宅を買い取ってもらい、その後買い戻すという方法です。買い取ってくれた方と賃貸借契約を結び、家賃相当の金額を支払いながら、自宅に住み続けることができるのです。

競売の場合、落札者を選ぶことは難しく、事情を理解して協力してくれる方が確実に自宅を落札できる可能性は低いとうのが現状です。また、落札者に直接交渉して、賃貸契約を結ぶことは不可能ではありませんか、確実に自宅に住み続けたいのであれば、任意売却を選択するのが賢明です。

 

任意売却は競売との価格差がメリット:売却費用と引越し費用について

任意売却と競売を、価格面での違いから見てゆきましょう。まず売却費用と残債務についてです。相場が1500万円で、ローン残高が2000万円のケースで説明します。
任意売却の場合、相場とさほど変わらない価格で売却が可能です。ここでは1300万円で売却できたとして、残債務は700万円です。任意売却での残債務は分割返済が可能なので、取引成立後無理のない返済が可能となります。
一方、競売の場合だと、売却価格は相場の5割程度となることが多く、800万円で落札されたとします。ここから債権者が立替えていた予納金50万円が差し引かれるため、残債務は1250万円となります。競売では残債務は一括返済が求められ、支払得ない場合は給与の差し押さえを受けることもあります。
売却が成立後、物件の引き渡しを行わなければなりません。これに伴って引越し費用が必要となりますが。債務者の多くは、経済的に厳しい状態にあるため、調達するのは困難です。
任意売却の場合、売却費用から必要経費として引越し費用を受け取ることが可能です。債権者の理解を得られるよう、真摯に自身の経済状態を説明すれば、おおむね認められます。しかし、新たに賃貸住宅を契約する際にもまとまった費用が必要となるため、先に説明したリースバックや買い戻しの利用が可能な任意売却は、費用面とともに、選択肢の広さにおいてもメリットが大きいといえます。
競売の場合だと、事情が違ってきます。買受人は、落札代金のほか登録免許税などの諸費用・競売代行業者への支払いなど、多額の落札コストを支払っています。物件の転売による利益が多くの買受人の目的なので、債務者が引越し費用を受け取ることは困難です。引越し費用が捻出できず、住宅に住み続けた場合、不法占拠となり強制執行となります。
任意売却は競売に比べ、価格面においても有利であることがわかります。

 

 

任意売却にデメリットはないの?

メリットの多い任意売却ですが、デメリットがないわけではありません。ここではデメリットについて説明しましょう。
任意売却の最大のデメリットは、時間と手間がかかるということです。競売の場合、債権者は蚊帳の外に置かれたままでコトは進んでゆきます。しかし、任意売却では債権者との交渉をはじめ各種手続き、買取希望者への対応など、債務者側が行わなければならないことがたくさんあります。素人である個人が行うことは大変困難で、任意売却を専門とする業者に依頼することになります。何よりも債権者の同意が得られない場合、任意売却を行うことはできません。特に複数の債権者がいる場合は難しくなります。このようなケースでは、専門業者の力量頼みとなるため、業者の選択は大切なポイントです。また、売却価格と債権者の希望する金額に折り合いがつかない場合、債権者が任意売却を認めてくれません。このように任意売却では、債権者の合意を得るまでに時間がかかることが多く、すでに競売手続きが始まっているような場合だと時間切れとなり、任意売却を選択できなくなることが多くなります。
以上のように、任意売却を成功させるにはどうしても時間と手間がかかります。けれども、売却までの精神的な負担や家族への影響を考えれば、安易に競売を選ぶのは避けるべきです。任意売却によって売却価格を高くすることができれば、残財務の圧縮が可能となり、売却後、すみやかに生活の立て直しをはじめることができるのです。

 

 

 

任意売却と競売 それぞれの流れ

任意売却と競売それぞれについて、住宅ローンの滞納から引き渡しまでの流れを見てゆきましょう。
専門業者に依頼した場合の任意売却では、住宅ローンの滞納後、債務者の代理人として業者が、債権者との交渉を開始します。同時に通常と同様の不動産販売の手続きにも入ります。債権者の任意売却への同意が得られたら、不動産の買受人と売買契約を結びます。その後、1ヵ月半ほどで決済が行われ、残金の受領と債務の返済にあてられます。これで抵当権は解除となり、物件の引き渡しが行われます。売買契約までの期間は事例ごとに異なりますが、全体でおよそ3~6ヶ月の期間が必要となります。
競売の場合、住宅ローンの滞納後、1~3ヶ月で借入金融機関から督促状や催告書が届きます。そのまま滞納を続けていると3~6ヶ月後に期限の利益損失となり、滞納した住宅ローンは、全額を繰上返済しなければならなくなります。ここで保証会社が代位弁済を行い債務者へ一括返済を要求しますが、当然返済は不可能で、債権者は競売の申立を行います。ほどなく裁判所から債務者へ競売開始の通知が届き、自宅は差し押さえられます。続いて1~3ヶ月で執行官が現地調査を行い、2~4ヶ月ほどして裁判所から入札通知が届くと、2ヶ月後に競売の入札が開始され落札者が決定します。その後、1ヶ月半ほどで代金が納付され、債権者は落札者から退去を求められ引き渡しとなります。期間は1年~1年半程度です。

 

 

 

任意売却と競売の違い:任意売却の利用が可能な期間には厳重注意

任意売却は、競売の開札期日の前日までなら変更が可能です。住宅ローンの滞納から約3~6ヶ月で期限の利益喪失となりますが、それまでに任意売却を始めれば、債権者による競売申立てまでに売却を終了できるケースが多くあります。もし、その期間内に売却ができなかった場合、任意売却と並行して競売申立が行われます。競売申立後も4~5ヶ月の売却活動は可能ですが、競売申し立て後の任意売却を受付けない債権者もあるため、滞納後はできる限り早い段階で、任意売却に向けて動き始めることが肝要です。

 

 

自己破産なら競売か任意売却か?

住宅ローンが支払えなくなった場合の選択肢として、自己破産という方法もあります。
自己破産する場合、競売でも任意売却でも差がないように思われます。しかし、自己破産の前に任意売却をしたほうが有利になるケースが多いのです。任意売却を行うと、自己破産が認められないのではと考える方がおられますが、大丈夫です。住宅ローンでは抵当権が付いているため、売却してローンを組んだ金融機関に優先して返済を行っても問題はないのです。任意売却を行うことで、競売による精神的苦痛を避けられ、引越しもスムーズに運びます。また、自己破産における裁判や弁護士などの費用を軽減することも可能です。自己破産には、管財事件と同時廃止があり、同時廃止のほうが、費用がかからない上に短期間に手続きを終了できます。しかし、不動産を所有しているケースでは管財事件となり、破産管財人や弁護士の費用が発生するうえ、手続きも長期化します。自己破産する前に任意整理を終えて不動産を手放しておけば、同時廃止として扱われるため、管財人などに支払う費用は発生せず、手続きも短期間で終了するのです。
自己破産については、無料で相談に応じてくれるところがたくさんあります。債務整理を有利に進めるために、ぜひ相談されることをおすすめします。

 

 

 

任意売却と競売の違いを理解しよう

任意売却と競売の違いと、それぞれのメリット・デメリットをご理解いただけたでしょうか。競売には経済的な痛手に加えて精神的苦痛が伴います。任意売却なら、通常の生活を営みながら債務の軽減も可能です。今後の生活設計も立てやすく、場合によっては自宅に住み続けることもできるため、家族への負担も抑えることができるのです。住宅ローンの支払いが困難になったときには、できるだけ早く任意丁寧を検討することをおすすめします。

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