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住宅ローン滞納で代位弁済に!マイホームはどうなる?

住宅ローンはどのくらいの期間滞納すれば、代位弁済になる?

住宅ローンの滞納により、保証会社が代位弁済するタイミングとはいつなのでしょうか?

 

順を追って言葉の説明から始めましょう。

 

まず、代位弁済とは、連帯保証人や連帯債務者がいる場合に、保証人が主債務者やその他の債務者の債務を代わりに返済する行為のことを言います。
住宅ローンを組むときに、通常は担保が必要になります。なぜなら、35年も長期間にわたって返済をする場合、金融機関としては、確実に返ってくる見返りが欲しいためです。そのため、通常は、信用保証協会や保証会社などの機関が連帯保証人になっていることと思います。そして、問題は住宅ローンの滞納がある場合です。一定期間滞納をすると、保証会社などは、主債務者に代わり代位弁済をすることになります。では、代位弁済の次はどうなるのでしょうか。代位弁済した連帯保証人は、その分を主債務者に請求してくることになります。これが求償権です。つまり、住宅ローンをすると、保証会社などから求償権を行使されることになります。求償権を行使する場合、保証会社などは、期限の利益の喪失を主張してくることになります。つまり、「分割払いで支払え」ではなく、「一括で返済しなさい」と主張してくることになります。では、最後に代位弁済は求償権の時期のお話をしましょう。代位弁済は滞納後すぐには行われません。住宅ローンを滞納してから、3ヶ月?6ヶ月後で、期限の利益を喪失し、分割払いが認められなくなるのが通常です。したがって、そのタイミングで保証協会が代位弁済をすることになります。そして、保証会社などは代位弁済を行使したあと出来るだけ早く求償権を行使することになります。このように、住宅ローンを滞納後、3-6ヶ月で代位弁済が行われ、その後すぐに求償権による一括払いを請求されることになります。支払えない場合には、住宅を失うことにもなりますので、仕組みを理解しておきましょう。

 

一括返済不可能!マイホームはどうなるの?

では、保証会社に一括返済するお金が用意出来ない場合その後マイホームはどうなってしまうのでしょうか。ご説明した通り、代位弁済により求償権が行使されると一括払いをしなければいけません。しかし、ほとんどのケースが何千万にもなる住宅ローンを一気に支払うことができません。このような場合、そのまま放置していると差し押さえにより住宅は競売にかけられることになります。競売とは、債務を返済できない場合に、債務者の財産を差し押さえ、弁済にあてる強制的な手続きのことです。競売にかけ、住宅を売却することにより返済することになります。仮にそれでも足りない場合は、継続して返済が必要になります。手続きは以下の通りです。裁判所からの担保不動産決定通知が届くと、住宅ローンの対象だった家は差し押さえの対象となります。そして、競売が行われ、売却が行われると、もうあなたの家ではなくなってしまいます。落札者が決まれば、すぐに立ち退かなければいけません。強制的な立ち退きを避けるためには、任意売却をするという方法や、債務整理を行うということも考えられるでしょう。このように、一括返済するお金が用意出来ない場合、マイホームは競売にかけられ、売却されてしまうことになります。いきなり住む家がなくなってしまうことは避けたいので、滞納があり支払えない場合は、先立って専門家に相談したりすることが有効でしょう。

 

 

個人再生なら、住宅ローン特則で住宅を手放さなくても良い?

では、債務整理の方法で、マイホームを残すことが可能な方法はあるのでしょうか。債務整理の方法の中には、個人再生という方法があります。個人再生とは、最大1/5まで債務を減額してもらう代わりに、3-5年で返済計画を立て、返済していくという債務整理の方法です。裁判所に返済計画を提出する必要があり、これが認められた場合に個人再生が可能となります。また、借金額が5000万円以下という上限もあります。この個人再生の最大の特徴は、マイホームを残して債務整理をすることができる点です。この制度のことを、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)といいます。住宅ローン特則とは、民事再生法196条以下にある規定のことです。住宅ローンなどの住宅資金貸付債権については、これまで通り支払うこと(分割払い)によって、自宅は手放さずにほかの借金のみを債務整理しましょうという規定です。この規定を利用すれば、マイホームを残すことが可能なのです。もっとも、実際にこの制度を利用するのには厳しい条件があり、簡単にはいかないと考えておきましょう。このように、個人再生を行うことで、マイホームを残すことができます。しかし、これが認められるには厳しい条件をクリアしなければいけません。以下、具体的な利用条件をみてきましょう。

 

住宅資金特別条項の要件は5つ

では、住宅資金特別条項の利用条件はどういった内容なのでしょうか。まず、住宅資金特別条項が認められるのは、債務者の経済的更生を支援するということだけではありません。これには以下のような仕組みが関係しています。仮に、自己破産をすることになった場合、自宅は売却しなければいけません。もっとも、住宅の売却価格が住宅ローン残高を下回っている場合、処分を行ってもその売却分の金額は住宅ローンの債権者に優先的に充当されることになります。そうすると、住宅ローンを残そうが残すまいが、ほかの債務者には関係ないため、住宅ローンを残しても良いということなります。利用条件は以下の通りとなります。

 

1 住宅ローン(住宅資金貸付債権)であること
2 住宅資金貸付債権が法定代位により取得されたものではないこと
3 住宅に住宅ローン以外の担保が設定されていないこと
4 対象となる住宅以外の不動産に住宅ローンの抵当権が設定されているが、それには高順位抵当権者がいないこと
5 住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思があることを申立て書に記載すること

 

1と5は通常問題ないはずであるため、2,3,4の要件について注意する必要があるでしょう。例えば、保証会社が代位弁済した場合は、2の条件に反します。また、住宅を担保にほかの借金をしている場合などは、3,4に反するため利用できないことになります。このほかにも、個人再生自体の要件として、再生計画が遂行可能であることなどが必要となってきます。このように、個人再生でマイホームを残すには、代位弁済がされる前に行動を起こす必要があります。仮に、住宅を担保にしたほかの借金がある場合は、残念ながら個人再生の住宅資金特別条項は利用できませんので、この点は注意しておきましょう。

 

 

代位弁済の消滅時効はどのくらいで成立する?

では、代位弁済が実行された場合消滅時効の期間はどのくらいなのでしょうか。まず、借金などの債務は最後の弁済から一定期間が経過すると、消滅時効が成立します。その期間ですが、商法上の商人である場合、つまり法人などの会社である場合は、5年で消滅時効となります。他方、商人ではない場合は民法が適用されることになるため、10年で消滅時効となります。例えば、銀行が貸主である場合は、商人であるため、5年です。住宅金融支援機構の場合、商人ではありませんので、10年となります。問題の保証協会が代位弁済をした場合は、通常の債権と同様に10年となります。ただし、保証協会が商人である主債務者の委託に基づいて保証した場合は、商事債権となるため、5年の消滅時効となります。では、時効の起算点はいつになるのでしょうか。代位債権の場合は、主債務者に代わって弁済をし、求償権を取得することになります。したがって、消滅時効は、求償権発生時である代位弁済の時点から進行します。このように、代位弁済が実行された場合は、保証協会が商人である主債務者の委託に基づいて保証したのかどうかによって、消滅時効期間が代わってきます。委託があるかどうかが重要です。民間の保証会社が連帯保証人となっている場合は、5年になると理解しておけばよいでしょう。

 

消滅時効で借金がゼロになる?時効中断って?

まず、借金における消滅時効とはいったいどんなことを指すのでしょうか。 消滅時効とは、一定の期間が経過すると債権自体が消滅してしまうということを指します。つまり、債権者が何の請求もしないと借金は勝手になくなります。日本民法上、「権利の上に眠る者は保護に値しない」というルールがあります。そのため、債権者としては時効消滅の前に時効の中断をして債権が消滅するのを防ぐ必要があります。仮に、消滅時効が完成した場合には、債務者は消滅時効を援用することにより債権の消滅という利益をうけることができます。もっとも、通常は債権者が消滅時効が完成する前に時効の中断をして債権の消滅を防ぐことになるでしょう。 では消滅時効を中断させるためには、どのような方法があるのでしょうか。 時効中断方法にはいくつか方法があります。まず、代表的な方法として請求があります。次に差押さえ・仮差押・仮処分などの方法があります。このほかには債務者の承認という方法もあります。ちなみに、内容証明などの裁判外の請求は時効の完成を6ヶ月遅らせる効果のみしかありません。 実際上、債権者が時効中断させるためには債務者が一部支払いを行ったり、支払い約束書にサインをもらったりするなど債務の存在を承認させることが必要となります。このほかには裁判上の請求などの、裁判手続きを行使する以外、時効を中断させる方法はありません。 このように、債権というのは放置していると消滅時効にかかってしまいます。これは保険会社が代位弁済をしたケースでも同じです。債務者にとっては有利な制度ですが、時効の中断により消滅時効は成立しないということも理解しておきましょう。

 

 

代位弁済後、クレジットカード利用やローン審査はどうなるの?

では、代位弁済されるとブラックリストに載ってしまうのでしょうか。まず、ブラックリストに載るということは、信用情報機関の事故情報として登録されてしまうということです。事故情報には、長期延滞や代位弁済、債務整理などの情報が含まれます。したがって、代位弁済が行われると、ブラックリストに掲載されることになります。では、ブラックリストに載るとどのような不利益があるのでしょうか。具体的には、クレジットカードの利用ができなくなったり、ローン審査に通らなくなるということがあり得るのでしょうか。ズバリ、結論を言いますと、クレジットカードの利用はできなくなり、ローン審査は原則として通りにくくなるといえるでしょう。というのも、銀行などの金融機関は信用情報機関から得た情報を元に、クレジットカードやローン審査を行っています。仮に、ローン審査の際に、事故情報が登録されていると分かれば、原則としてローン審査通らなくなってしまいます。なぜなら、その人には経済的信用がないと判断されてしまうためです。クレジットカードのサービスは停止されることになるため、携帯電話料金や公共料金などをクレジットカードヒキオトシにしている場合は注意が必要です。代位弁済されることにより、クレジットカードの利用は停止しますので、引き落としも実行されなくなってしまいます。このように、代位弁済が行われると事故情報として登録されるため、クレジットカードの利用ができなくなりローン審査にも通らなくなってしまいますので、代位弁済が行われた場合は、このような不利益があるということを理解しておきましょう。

 

事故情報はどのくらいの期間登録される?

では、事故情報が登録されるとどれくらいの期間で削除されるのでしょうか。まず、信用情報機関には、3つの種類があります。それは、CIC、全国銀行個人情報センター、JICCです。それぞれ登録期間を定めていますが、代位弁済の場合は取引終了から5年間の間登録されることになっています。永遠に登録されるということはありませんので、この点は安心してください。また、期間の経過後、本当に自分の事故情報が削除されているかどうかを確認することができます。気になる方は自分で、それぞれの信用情報機関に事故情報の開示請求をしてみましょう。このように、事故情報が登録されてから5年間はブラックリスト入りとなってしまいます。ブラックリストから削除されたかどうかは経済的信用にもかかわる重要なことです。登録期間経過後には、自分で開示申請などによりチェックするようにすることが大切です。

 

 

代位弁済通知はいつ届く?どんな内容?

では、代位弁済予告通知はいつ頃届くのでしょうか。また、どのような内容なのでしょうか。代位弁済に関する通知4段階に分けられます。まず滞納から1ヶ月から3ヶ月で①予告通知がなされます。この段階では、うっかりと支払いを忘れていたケースもあるため、保証会社からすぐに代位弁済がなされるということはありません。問題は次からの段階です。この段階で支払いがなかった場合、次に②代位弁済予告通知がなされます。これは、滞納から3ヶ月から6ヶ月の間に行われます。この段階になると保証会社や銀行も動き出します。代位弁済予告通知の内容は、「回収相手が変わること」、「ローンの残債をまとめて一括で支払ってもらうこと」となります。この代位弁済予告通知の段階でも支払いが行われなかった場合、最終段階に踏み出すことになります。それは③期限の利益喪失通知です。これも、滞納から3ヶ月から6ヶ月の間に行われます。この通知の段階では、一括返済を求められます。しかし、ここの段階で一括返済をできる方はほとんどいらっしゃいません。そこで最後段階として、④代位弁済実行の通知となってしまいます。このように、いくつかの段階を踏んで代位弁済は実行されます。予告通知か代位弁済予告通知の段階で、弁護士などの専門家に相談しましょう。最近では、無料相談を受け付けている事務所をも多くあります。早めの対策が重要です。

 

 

「住宅ローンと代位弁済」のポイントをおさらい

住宅ローンを滞納すると、3-6ヶ月で代位弁済が実行されます。代位弁済がなされるとマイホームを失うだけではなく、ブラックリスト入りし、クレジットカードの利用やローンを組むことも出来なくなってしまいます。最低限、マイホームを失わないためにも、代位弁済予告の段階で個人再生手続きなどに動き出す必要があります。予告通知を受け取ったら、弁護士事務所に相談をしたほうが良いでしょう。

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