自己破産で携帯電話が強制解約に?料金滞納/分割払いなら要注意!
自己破産しても普段通りに携帯電話を使える?
自己破産を検討中の方には
- 自己破産したら携帯が強制解約されて使えなくなる?
- もう機種変更はできないのか?
といった心配をされている方もいらっしゃると思います。
結論からいうと、自己破産をしてもとくに問題なく携帯やスマホを利用できるので安心してください。
ただ、機種変更・新規契約の際にはいくつか注意点があるので、このページで解説していきたいと思います。
債務整理の方法は、自己破産以外にも複数あります。
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自己破産をしても携帯電話・スマホの契約は出来る?
自己破産後、新規に携帯電話の回線契約をするには条件があります。それは未払い料金がないこと(または免責を得ていること)です。
携帯電話会社間にはTCA(一般社団法人電気通信事業者協会)というネットワークがあり、未払いの情報を共有しています。
そこで料金滞納や未納が見つかれば、他の携帯会社でも契約することはできません。
携帯電話会社によっては、予納金5万~10万円を支払えば新規契約も可能な場合もありますが、原則として未納がないことが条件だということは理解しておきましょう。
また、自己破産後、携帯の機種代金を分割して支払うことは難しいです。
なぜなら、携帯会社は信用情報機関への照会を行うからです。以下、詳しく解説します。
自己破産をすると端末の割賦(分割払い)購入の審査に通らない?
基本的に、自己破産をした後は分割払いでの契約ができなくなります。
そのため新規で購入する場合、支払方法は一括契約になると考えておきましょう。
スマホの分割払いはクレジット契約になるので、信用情報機関から受ける信用情報が必要となります。
信用情報機関とは、加盟会社から登録された情報を管理・提供することで信用取引を支援する機関です。
登録されている情報の中には、債務整理や自己破産などの事故情報も含まれます。
クレジットカードやローンを組む際に、携帯会社はあなたの信用力を確認するために登録情報を確認します。
自己破産をした場合、信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリスト入りとなります。
そのため自己破産から数年間は、分割契約を結ぶことはできません。
自分の信用情報については、信用情報会社から照会を受けることはできます。
自己破産後、登録期間が経過したかどうかが気になる方は、自分で申請を行ってみましょう。
自己破産の携帯電話・スマホ契約への影響はいつまで続く?
では、自己破産後どのくらいの期間携帯端末代金の分割払いができないのでしょうか。
携帯電話会社が締結している信用情報機関はCICです(ソフトバンクはJICCも登録)。
CIC・JICCでは、自己破産から5年間事故情報が登録され続けます。
したがって、少なくとも登録されている5年の間は分割払いでの契約はできないと考えておきましょう。
自己破産後は別の携帯会社に乗り換えるのが無難?
携帯電話会社は、会社独自にも未払いなどの顧客情報を管理しています。
信用情報と違って、社内データとして一度記録されたものは、特に制限なく保有しつづけることができます。
したがって、自己破産から5年経った後でも、自己破産時の携帯電話会社との分割契約はできない可能性があると考えておきましょう。
自己破産以外の債務整理でも携帯電話への影響はある?
では、自己破産以外の債務整理の手段をとった場合、契約中の携帯や新規の携帯購入にはどのような影響があるのでしょうか。
任意整理の場合
任意整理の場合は、自分でどの業者と任意整理をするかを選ぶことができます。
携帯電話をこのまま使い続けたい場合は、滞納分を支払い、毎月きっちり支払いを続ければ問題なく使用し続けるすることが可能です。
Dカードやau WALLETで支払いをしている場合は、契約したカード会社も任意整理の対象から外す必要があります。
ただ、携帯電話料金を口座引き落としに変更すれば、Dカードやau WALLETも任意整理の対象に含めることができます。
新規契約の場合は、やはり分割払いはできません。信用情報会社に登録されてしまう点は同じだからです。
また、回線の新規契約も未払いがある場合は、携帯電話会社間のネットワーク情報により共有されるので、難しいと考えておきましょう。
特定調停の場合
次に、特定調停の場合は、任意整理と同じく整理する相手を選ぶことができます。
したがって、携帯電話会社を任意整理の対象外とすれば、そのまま携帯電話を使いつづけることができます。
ただし、滞納があれば支払わないと、強制解約となりますので注意しましょう。新規購入・締結の場合も、任意整理と同様です。
個人再生の場合
最後に、個人再生の場合は、すべての債務が対象となります。ですので、自己破産と同様に強制解約の可能性があります。
また、分割払い契約は自己破産と同じく5年間はできません。
以上から、任意整理・特定調停の場合は影響を最小限におさえることができますが、個人再生は自己破産とほぼ同様になると考えておきましょう。
債務整理後も携帯電話の使用は可能?債務整理の方法によって違う?
携帯料金は自己破産の対象になる?
携帯電話の滞納は免責許可に含まれます。
法律上、債権者平等の原則から、残金や未納滞納がある場合は自己破産の対象に含めなければいけないからです。
そのため、機種代も利用料金の滞納も支払いを免除されます。もっとも、携帯電話料金の滞納は免責に含まれるが処分される財産には該当しません。
また、自己破産後も使い続けられるかどうかは、滞納が「機種代」か「通話料」かによって異なってくる可能性があります。
携帯電話の「通話料」を滞納している場合
携帯会社側は「通話料」の回収ができなくなったことを理由に、解約させることはできません。その理由は破産法上の規定にあります。
破産法55条では、以下のように規定しています。
破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては、破産手続き開始後は、その義務の履行を拒むことができない引用:破産法
つまり、毎月サービスを供給するタイプの携帯電話の契約は、通話料滞納を理由に自己破産をしても、契約を打ち切ることができないということです。
携帯電話会社としては、料金が支払われず、債権自体も請求できなくなってしまうため、そのような契約者とは契約解除したいと思うのが通常です。
しかし、この法律があることによって、債権者である携帯会社は、強制解約に踏み切れないのです。
携帯電話の「通話料」は破産法に適応されているのか
では、携帯電話の通話料は破産法上の「継続的給付」(破産法55条)に本当にあたるのでしょうか。
まず、法律の解釈は趣旨や目的から考えるのが基本です。
この条文の目的は、自己破産者の必要最低限の生活を守ることにあります。つまり、生活上不可欠なものまで禁止にするのは破産者の救済という破産法の趣旨に反するというわけですね。
とはいっても、この条文がもともと想定していたのは「水道・ガス・電気」などの本当に現代の生活に必要不可欠なものです。
携帯電話はこの法律ができた当初想定していたものではありません。
もっとも、現代では携帯電話なしの生活というのは少し厳しいですよね。職業に従事するためには、必要不可欠といっても過言ではありません。
そうすると、携帯電話は生活上必要不可欠であり、毎月ライフラインを提供する継続的給付にあたると解釈できます。
このように、携帯電話会社はこの規定を考慮し、強制解約はできないと判断することが想定できます。
ただし、すべての携帯会社の社員の方が、この規定を熟知しているとはいえません。知らないで解約手続きをとる方もいるかもしれません。
このような事態が、起きてしまった際は、破産法55条1項に反し違法であると主張していくほかありません。
以上から、携帯電話の通話料は破産法上の「継続的給付」にはあたりますが、強制解約を受けた場合は、話し合いにより解決していくのが重要です。
携帯電話の「機種代」を滞納している場合
では「機種代」に滞納がある場合はどうでしょうか。
この場合、携帯電話そのものは上述した「継続的給付」にはあたりません。
したがって、自己破産を理由に解約されたとしても文句をいうことはできません。法律上解約させる制限がないからです。
そもそも携帯電話そのものの代金契約は、分割払い契約にすぎません。ローンと同じです。携帯電話会社が継続的に給付するサービスの対価とみることはできないのです。
そうすると、上述した破産法55条は適用されません。また、このほかに携帯電話を解約してはいけない法律はありません。したがって、強制解約をすることも可能になります。
最近では、スマートフォンの普及により、通話料・機種代を含むサービス全般の価格を下げるため、機種代金や通話料が合算されたプランなどもあります。
この場合、明確にわけることができないので、一括で契約解除となってしまうパターンも考えられます。
強制解約を避け、滞納分を支払いながら、自己破産手続きを進行させる方法もあるようです。
このような対応を望む方は、お近くの法律事務所に相談するのが賢明な判断です。
自己破産に関する悩みは専門家に相談が可能!
最後に、携帯電話への影響も含む自己破産のデメリットをお伝えしておきます。
自己破産は返済が免除されるという大きなメリットがあります。これまで支払いに苦労されてきた方にとっては生活の安定も帰ってくるため、大変安心されることと思います。
しかし、住宅を手放す可能性や、クレジットカードが使えなくなる、ローンが組めないなどの大きなデメリットもあります。
それに比べると、携帯電話への影響は小さく感じるかもしれません。
しかし、生活に密着したものであるため、意外と不便に感じることも多いのが実情です。
- 現在使用中の携帯電話は強制解約の可能性もあること
- 新規の携帯電話購入は一括払いになること
- 今まで使っていたキャリアでは契約できない可能性もあること
- 新規の分割契約は5年間できないこと
などなど、身近なデメリットがたくさんあります。
このように、多くのデメリットがある自己破産ですが、債務整理の方法1つではありません。借金問題を解決する方法は自己破産の他にもあります。
そして、自己破産以外の債務整理の方法を検討される場合は、弁護士・司法書士などの専門家に相談するのが確実です。
どの債務整理の方法をとるかは、個人の債務状況や生活状況等によって変わってくるため、専門家による判断が望ましいからです。
最近では無料相談や電話相談・メール相談も受け付けている事務所があります。プライバシーにも最大限配慮してくれるはずですので、まずは相談することからはじめましょう。