答弁書は自分で書ける!書き方のポイントを徹底解説

答弁書は自分で書ける!書き方のポイントを徹底解説

借金滞納で訴えられた!口頭弁論や答弁書とかよくわからない!

銀行や消費者金融などからの借金を長期間に渡って滞納していると、最終的には訴えられてしまうこともあるのをご存知ですか?
ある日とつぜん自宅のポストに裁判所から書留郵便が届いており、中を確認してみるとそこには訴状が!?
たいていの人はこのような時は、どう対処したらよいのか分からずに狼狽えてしまうのではないでしょうか。こんな時にはまずは落ち着いて、郵送されてきた訴状の中身を確認してみましょう。訴状に同封されていた書類には、「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」という書面もあり、何月何日に裁判が行われるということと共に、「答弁書」の提出期限が記されているはずです。そして答弁書の提出期限は、通常ならば裁判が行われる日の1週間前となっています。訴状を受け取った時に、あなたが最優先で行うべきことは提出期限までにこの答弁書を作成して提出することなのです。そこで今回このページでは、答弁書の書き方のポイントや、答弁書を提出しないとどうなってしまうのかについてなどを、裁判の流れを交えながら丁寧に解説していきます。訴状、裁判、答弁書などと聞くと専門的な知識が必要で難しそうな印象をうけますが、答弁書を自分で書くことは実はそれほど難しいことではありません。今回紹介していくポイントきっちりと抑えれば、自分で答弁書を作成することは十分に可能ですよ。

 

 

口頭弁論の呼び出し通知が届いてから裁判までの流れを紹介

ここでは口頭弁論の呼び出し通知が届いてから、実際に裁判が行われるまでの流れを簡単に説明します。※ここでは裁判を起こした金融会社など(債権者)が原告。訴えられた側(債務者)が被告になります。
▲口頭弁論の呼び出し通知が届いてから裁判までの流れ
1、被告に裁判所から訴状が届く
この訴状には、「原告と被告の氏名と住所」「請求の趣旨(原告に何を求めるのか)」「請求の原因」が記されており、第1回目の口頭弁論が行われる日の日時と答弁書の提出期限が記されています。※通常であれば1回目の口頭弁論が行われるのは、訴状が受理されてから約1ヵ月~1ヵ月半後。答弁書の提出期限は1回目の口頭弁論の期日の1週間前までとなっています。
2、被告は答弁書を提出期限までに作成して提出する。
答弁書の提出期限は、訴状を受け取ってから1ヵ月後くらいになっています。
3、提出された答弁書が裁判所を通して原告に届けられる。
提出された答弁書の内容に基づいて、原告は裁判の準備を進めます。
4、第1回目の口頭弁論が行われる。
口頭弁論の回数には決まりがなく、必要であれば何回でも行われる。
以上が口頭弁論の呼び出し通知を受け取ってから、1回目の口頭弁論が行われるまでの流れになります。

 

 

裁判所通知に同封されている答弁書の書き方について解説

答弁書は自分で一から作成して提出することも可能ですが、裁判所から送られてきた郵便物(訴状)には答弁書のひな型も同封されています。そこでここでは、裁判所の通知に同封されている答弁書の書き方について解説していきます。訴状内容が複雑な場合ですと、同封されている答弁書のひな型だと記入欄が不自由になることもありますが、「消費者金融への未払い金」などであれば同封されている答弁書のひな型で十分です。裁判所から送られたきた答弁書に記入するべき箇所とその内容は以下のとおりです。
▲答弁書のひな型への記入例 (上から順に)
1、答弁書を作成した日付を記入する。
2、事件番号、事件名(事件の種類)を記入する。
事件番号や事件名は、訴状と共に届いた「口頭弁論期日呼び出し状及び答弁書催告状」という書面に記載されています。
3、原告(申立人)の名前と被告(あなた)の住所氏名などを記入する。
原告の名前も「口頭弁論期日呼び出し状及び答弁書催告状」に記載されています。被告の欄には、あなたの名前、住所、電話番号、ファックス番号などを記入して氏名の横に認印を押します。
4、請求の趣旨に対する答弁
「請求の趣旨に対する答弁」という欄には、1、原告の請求を棄却する、2、訴訟費用は原告の負担とする。という2つの文章があらかじめ記入されています。1、の原告の請求を棄却するというのは、原告の請求を認めないという意味です。認めるときはこの文章を「原告の請求を認める。」と書き直します。2、は原告が裁判にかかった申し立て手数料や書類の郵送費を負担するという意味です。こちらは通常はこのままでかまいません。
5、紛争の要点(請求の原因)に対する答弁
この項目には、訴状に紛争の要点(原因の請求)として記載されている事実について、☐「全て間違いありません」、☐「次の部分が間違っています」、☐「次の部分は知りません」という3つの文書が記入されているので該当する箇所にチェックをいれます。紛争の要点は、裁判所から送られてきた訴状に記載されています。訴状に書かれている内容に間違いがあるようならば、☐「次の部分が間違っています」にチェックを入れて、その後にどこが間違っているのかを簡単に記入します。訴状に書かれている内容にあなたの知らない部分があるのならば、☐「次の部分は知りません」にチェックを入れて、どこを知らないのか簡単に記入します。
6、私の言い分は次のとおりです。
5で記入した以外に訴状に記載された内容について言い分がある場合は、この項目にその内容を簡単に記入します。
7、和解を希望する場合。
原告との和解を希望する場合には、答弁書の一番下にある、☐「話合いによる解決(和解)を希望します。」という項目にチェックを入れて、具体的な和解条件を記入します。
以上が裁判所から送られてきた訴状に同封されている答弁書のひな型への書き方になります。

 

分割返済を希望する場合の答弁書の書き方や気を付ける点

一括で返済することは難しいが、分割ならばなんとか借金を返済することができるという場合には、答弁書にその旨を記入しましょう。分割返済を希望する場合には、前述した「紛争の要点(請求の原因)に対する答弁」の欄に自分の主張を記入し、私の言い分欄には、「現状では一括返済は難しいが、分割ならば借金を返済することができる」とうことを記入します。そして、その下の項目にある、☐「話合いによる解決(和解)を希望します。」と☐「分割払いをを希望します。」にチェックを入れて、1ヵ月に返済することができる金額や支払い開始日などを記入します。

 

裁判当日に欠席する場合にはどうすればいいのか?

第1回目の口頭弁論の日時は被告の予定を聞くことなく決定されるので、都合がつかずに裁判を欠席する被告も珍しくありません。それでは裁判当日の予定がつかずに、欠席する場合の答弁書の書き方について説明します。このような場合には、答弁書に「擬制陳述にてお願いします。」とか「都合により出廷することができません。」という内容を記載しておけば口頭弁論を欠席することができます。これは擬制陳述と呼ばれていて、答弁書を提出していればそこに書かれている内容を裁判で主張したとみなす制度です。※擬制陳述は簡易裁判所ならば2回目以降の口頭弁論でも可能だが、地方裁判所は1回目の口頭弁論のみ可能。

 

 

自分で答弁書を作成して書く場合に最低限必要な項目

自分で答弁書を作成する時には、最低限以下にあげる項目を記入するようにしましょう。
1、タイトル「答弁書」 
中央に大きめのフォントで記入するのが望ましい。
2、答弁書の作成日時
3、事件番号、事件名
口頭弁論期日呼び出し状及び答弁書催告状に記載されています。 
4、原告、被告の名前。
原告の名前は、口頭弁論期日呼び出し状及び答弁書催告状に記載されています。自分の名前、住所、電話番号を記入して名前の横に認印を押す。(実印でなくともよい。むしろトラブル防止の為にも実印は避ける)
4、答弁書を提出する裁判所の宛名
例、「~地方裁判所民事○部○係 御中」
5、今後、裁判に関する書面を受け取る場所を指定したい場合はその住所。これを送達場所(そうたつばしょ)といいます。自宅で受け取る時には、自分の住所の後に(送達場所)と記入しておけばOK。
6、請求の趣旨に対する答弁
答弁書ではここがもっとも重要です。被告の立場としては一般的には、裁判所に対して請求の棄却を求めることになります。そのため、請求の趣旨に対する答弁には「1、原告の請求を棄却する。」と記入してます。これは原告の請求を認めないということであり、請求の趣旨に対する答弁では定番のフレーズともいえます。また、請求の趣旨にある「訴訟費用は被告の負担とする。」に対する答弁として「2.訴訟費用は原告の負担とする。」という文章も記入する必要があります。
7、請求の原因に対する答弁
答弁書では請求の原因に関して記載された内容について、認めるのか認めないのかについても、明らかにする必要があります。原告の訴状内容を「認める」「認めない(否認する)」「知らない(不知)」なのかを記載しましょう。※ここで請求の原因をすべて認めてしまうと、後のち大変不利な状況になるので注意して記入しましょう。ただし、未払い金等で争う場合は、ほとんど争う余地がありません。お金を借りたという事実を認めた上で、分割払いなどの和解案に応じて貰うようにしましょう。
8、和解を希望する場合
分割返済など希望する場合はその旨を記入して、月々に返済できる額や返済開始日を記入しましょう。
以上が自分で答弁書を作成する時に最低限記入する必要がある項目です。

 

オリジナルで作成する場合の答弁書の書式はどうすればいい?

ここでは自分で答弁書を作成する時に気を付けたい書式について説明します。ポイントは以下のとおりです。
・答弁書を作成する紙
A4サイズの無地で白い紙を仕様しましょう。紙は縦方向に使い、文字は横書きが一般的です。
・手書き?ワープロ?
これに関しては、どちらでもかまいませんが、ワープロで作成したほうがなにかと便利なのでおすすめです。ワープロで答弁書を作成する場合には、文字の大きさは12ポイント、1行あたり37文字、1ページ26行が望ましいです。上部の余白は35ミリ、左側の余白は30ミリくらいがよいでしょう。
・答弁書にはページ番号を付ける。
答弁書の下の余白の中央部分にはページ番号を記入して、バラバラにならないように左側からホッチキスで止めます。
以上が自分で答弁書を作成するときの書式例です。ここで紹介したのはあくまで1例ですので、厳密にこうでなくてはいけないというものではありません。ただし、文字サイズをあまり小さくしすぎないことと、左側余白を十分に取ってホッチキスで止めたときに、左端の文字が隠れてしまわないようにする点には注意してください。読みづらい、見づらい答弁書では、裁判官によく読んで貰えないという可能性も出てきてしまいます。

 

 

答弁書は何部用意すればいいのか?提出先は?

答弁書を作成したら、そのコピーを2部作成して同じものを合計3部作成します。また、コピーした答弁書にも押印をしておきましょう。答弁書の提出先は、裁判所と原告です。(原告に弁護士がついている場合は弁護士宛てに郵送する)この時、原告の送り先が分からないときは裁判所から原告に郵送してもらうことも可能です。残りの1部の答弁書は、自分の控えです。大切に保管して裁判の日には持参するようにしましょう。裁判所への提出は、持参、郵送、ファックスのいずれでも可能です。提出する裁判所の住所やファックス番号は、口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状(呼出状)に記載されています。

 

 

自分で答弁書を作成するのが不安ならば専門家に相談するのもおすすめ

これまで説明してきたとおり、答弁書は自分で作成することも可能ですし、必要項目の記入自体はそれほど難しいことではありません。しかし答弁書は被告が裁判所に提出する大変重要な書類でもありますので、作成する時には細心の注意が必要です。また実際にこれからさき裁判で争うことを考えた場合、自分で作成した答弁書では訴訟戦術上ベストなモノとはとてもいえません。記入ミスや不十分な答弁書を提出して不利益を受けるよりも、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談して答弁書を作成してもらったほうが間違いもなく安心だといえます。

 

 

自分で答弁書を作成するときには細心の注意が必要!

これまで説明してきたとおり、自宅に訴状が届いてしまった時にするべきことは、訴状内容をしっかりと確認して決められた期限までに答弁書を作成して裁判所と原告に提出することです。自分で答弁書を作成する時には、今回紹介してきたポイントに十分に注意して記入ミスなどがないように慎重に作成しましょう。借金の額も大きく、自分で答弁書を作成するのは不安だという人は、法律の専門家に相談して答弁書の作成を依頼したほうがなにかと安心ですよ。いずれにしても、決められて期限までにしっかりと答弁書を提出するということだけは絶対に守るようにしましょう。

 

 

答弁書を無視するとどうなってしまうのか?

裁判所から送られてきた訴状を無視して、答弁書も提出せずに、口頭弁論も欠席すると原告の言い分どおりの判決がすぐに出てしまいます。答弁書も提出せず、口頭弁論も欠席するということは、訴状に対して反論がないと考えられてしまうからです。被告は原告の請求を争わないものとして、裁判所は原告の請求どうりの判決を出します。これは「欠席判決」と呼びます。欠席判決を避けるためには、自分か代理人が口頭弁論に出席するか、それができない場合には答弁書をあらかじめ提出しておく必要があります。決められて期日までに答弁書を提出しておけば、たとえ口頭弁論に欠席したとしても「擬制陳述」(ぎせいちんじゅつ)として、答弁書に書かれている内容を裁判所で陳述したという扱いになるからです。