特定調停の申立先はどこ?知っておくべき管轄裁判所のイロハ

特定調停の申立先はどこ?知っておくべき管轄裁判所のイロハ

特定調停の管轄裁判所って何?どうやって決まるの?

特定調停の管轄裁判所に関する基礎知識として、押さえておきたいのは次の2点です。
①特定調停の申立先は簡易裁判所である
裁判所には、「事物管轄」というものがあり、取り扱う事件の種類によって、対応する裁判所決められています。特定調停を取り扱っているのは簡易裁判所なので、申立先は簡易裁判所となるのです。
②申立を行う簡易裁判所も決められている
事物管轄の他にも、裁判所の管轄として「土地管轄」というものがあります。全国にある裁判所の中で、どこの裁判所で手続きをするかは、決められているのです。
以上2点を踏まえた上で、特定調停の申立先の調べ方をみてゆきましょう。

 

 

特定調停はどんなもの?どうやって行うの?

特定調停とは、任意整理・個人再生・自己破産などと同様に、債務整理の方法のひとつです。個人が手続きを行うことができるもので、民事調停の特例として平成14年2月に定められました。特定調停の最大のメリットは、手続き費用が低額であることです。高額な弁護士費が不要なうえ、手続きに必要な金額も大変少額です。また、借金の引き直し計算を行うことで、元本を減額することができ、毎月分割して返済することで、債務の履行が可能となります。借金の理由が問われない点も大きなメリットです。さらに、返済する債権者を選択できるところも魅力です。債権者との合意まで、裁判官と調停委員会が双方の話し合いをまとめ、借金問題を解決できるのです。デメリットとしては、他の債務整理と同様に、信用情報に掲載され、一定期間の借入ができなくなることと、過払い金返還請求は、特定調停とは別途に行う必要があることです。

 

 

特定調停の申立先は、決められている

特定調停の申立先の管轄裁判所は、事物管轄と土地管轄によって決まります。事物管轄とは、取り扱う事件の種類で決まる管轄のことで、特定調停の場合には、簡易裁判所となります。また、土地管轄とは、日本全国のどこの裁判所で取り扱うかを決められているというもので、特定調停の申立先は、債権者の住所地にある簡易裁判所となります。特定調停の管轄を調べるためには、債権者の住所を確認してから、それを裁判所の土地管轄にしたがって正しい裁判所を見つける必要があるのです。

 

 

特定調停|管轄の裁判所の調べ方を解説!

特定調停の申立は、債権者の住所調べから始めよう!

原則として、債権者の居住する地域を管轄する簡易裁判所が、特定調停の管轄裁判所になります。債権者が法人の場合は、本社や支店、事務所・営業所などが所在する地域の裁判所が、土地管轄の裁判所となります。店舗が多数ある債権者なら、そのいずれかひとつの管轄裁判所を選ぶことができるので、債権者の利便を優先して申立をすればよいでしょう。特定調停の申立に先立ち、債権者の住所地を調べなければなりません。借入先の住所地(法人の場合は、本店や支店・営業所の所在地)は、債権者の「現在事項証明書」を取り寄せることで調べられます。現在事項証明書は、法務局で申請して取り寄せます。債権者が消費者金融や信販会社の場合なら、貸金業者の公式ホームページや、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」でも、相手方の住所地を調べることができます。

 

債権者の管轄簡易裁判所調べは、裁判所ホームページにお任せ

管轄する簡易裁判所を調べるには、裁判所のホームページを参照すれば可能です。ホームページ内には、全国の土地管轄情報が掲載されており、これを見れば管轄裁判所が判明します。裁判所トップページ > 裁判手続の案内 > 裁判所の管轄区域と、順番にクリックしていけば、簡単に管轄内の簡易裁判所の情報を入手することができます。

 

 

特定調停の申立先の例を実際に見てみよう

具体的に例をあげると、北海道札幌市にある貸金業者からの債務の場合は、札幌簡易裁判所が特定調停の申立先となります。また、支店が小樽市と夕張市にもあり、債務者の現居住地が小樽にある場合は、借入した店舗が札幌本店であったとしても、小樽簡易裁判所で申立することができるのです。

 

 

債権者の所在地以外の裁判所での申し立てに必要な手続きとは?

特定調停では、原則として債権者の住所地を管轄する簡易裁判所で手続きを行いますが、当事者の合意によって、別の裁判所を利用することができるようになります。この合意は、事物管轄・土地管轄ともに有効で、たとえば、簡易裁判所ではなく地方裁判所で特定調停を進めることもできます。また、債権者の本店や支店・営業所の所在地ではない場所の特定調停も、債権者との合意があれば可能です。当事者間の合意によって、本来とは別の裁判所で手続きを進める場合には、「管轄合意書」という書類を裁判所に提出しなければなりません。

 

 

管轄内の簡易裁判所で申立ができないと特定調停はムリ?

債権者の会社の所在地が遠方で、債務者が管轄裁判所に出向くための交通費が高額になる場合などで、相手方が管轄の合意に応じてくれないときには、管轄外であっても、申立人の居住する最寄りの簡易裁判所に、特定調停の申立を行うことができます。これは「自庁処理」と呼ばれ、土地管轄権がない裁判所に、例外的に特定調停の手続きを認めるというものです。民事調停法第四条第一項 に「その管轄に属しない特定調停に係る事件について申立てを受けた場合において、事件を処理するために適当であると認めるときは、職権で、土地管轄の規定にかかわらず、事件を他の管轄裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。」とあるためです。自庁処理を行う際には、特定調停に必要な他の書類とは別に「自庁処理上申書」を作成して提出する必要があります。

 

 

特定調停の債権者が複数で所在地がバラバラ!どこへ申立てればいいの?

特定調停で複数の債権者に対して申立をする場合には、各債権者に個別の申立は不要で、まとめて1つの裁判所で申立をすることができます。特定調停を申し立てる場合に債権者が複数いて、それぞれの管轄裁判所がばらばらになっている場合を見てみましょう。たとえば、債権者が3社あり、それぞれが大阪・名古屋・東京に所在しているような場合、いずれかひとつの債権者の住所地を管轄する裁判所にて特定調停の申立ができます。

 

 

ショック!特定調停の申立で土地管轄を間違えてしまったら?

特定調停で、間違って管轄ではない裁判所に申立をしてしまったケースを見てみましょう。このような場合では、原則として申立は受け付けてもらえません。仮に、裁判所が書類を受理したとしても、管轄違いであることが明らかになれば、書類は返されます。書類を返されても、改めて正しい裁判所に申立をすれば、特定調停を進めていくことができます。もし、正しい申立先がわからなければ、裁判所に尋ねれば教えてもらうことができます。また、管轄外であっても、裁判所によっては、自庁処理として受付けてくれることもあります。つまり、間違って管轄でない裁判所で特定調停の申立をしても、申立を改めることができます。ただし、余計な手間が掛かったり、特定調停の開始が遅れたりするので、申立前にしっかりと確認しておくことが一番でしょう。

 

 

特定調停 申立の前に管轄を調べておこう!

ここまで、特定調停の管轄についての詳細を解説しました。特定調停は、事物管轄と土地管轄によって決められた裁判所に申立てることになっていますが、実際には、申立人の利便性を考えて、複数の債権者がある場合、ひとつの裁判所にまとめての申立、および管轄合意書や自庁処理上申書を提出して、債権者の住所地以外での申立が可能となっています。特定調停の管轄には、それほど厳しい縛りはないため、申立人の負担が少ない裁判所で申立を行うことができるのです。

 

 

特定調停 申立から返済開始までの流れは?

特定調停の手続きの流れを簡単に説明しましょう。まず、必要書類を作成して管轄の簡易裁判所へ申立を行います。その後、裁判所から事件受付票の交付と、調査期日の指定を受けます。調査期日には特定調停の申立人である債務者と、調停委員の面談が行われます。調査期日の1ヶ月後に調停期日が行われ、債権者を交えての返済計画が調整されます。最終的に調停委員が協議を行い、調停成立となれば調停調書が作成され、これに従って債務者は返済金の支払いを開始します。以上が、特定調停の手続きの流れで、スムーズに進めば申立から約2ヶ月で借金返済が始められます。

 

 

自己破産の管轄も簡易裁判所でいいの?

債務整理のひとつである自己破産の申立先は、申立人が個人の場合は債務者の住所地を管轄する地方裁判所、個人事業者の場合は営業所の所在地を管轄する地方裁判所となります。特定調停の場合と異なり、破産申立事件の管轄は、地方裁判所となっているので、注意が必要です。破産手続開始だけでなく、免責許可の申立を行うのも地方裁判所となります。