賢く特定調停しよう!過払い金がある場合にはどうなる?
特定調停と過払い金の関係を知ろう!
債務整理を行う際には何かと疑問が生じるものです。これは債務整理そのものの複雑性もさることながら、債務整理を経験したことがある人が少ないことも関係してきています。例えば、特定調停と過払い金の関係がその一つです。特定調停はポピュラーな債務整理方法であり、最も手軽に利用できる債務整理方法でもあります。この特定調停中にもしも過払い金があることが解った場合、どのような流れになるのでしょうか。また、特定調停手続中に過払い金請求を行うことは可能なのでしょうか。こうした質問は弁護士事務所や法律事務所にもよく寄せられるものですが、この記事ではそういったポイントを解説してあります。これから債務整理をする人だけでなく、幅広い人に役立つ内容を厳選しましたから、この記事を読んで債務整理について理解を深めていってください。
特定調停について深く理解する?他の債務整理方法との違いとは?
特定調停はその内実が余り知られていない債務整理方法でもありますがまずは特定調停についてその仕組や内容を紹介しましょう。特定調停は債務整理方法の一つであり、消費者金融や貸金業者などの債権者と、返済が難しくなってしまった債務者の話し合い・合意形成を裁判所の介入で行うものです。特定調停を行うことで取立も停止される他、執行停止措置も行われます。また、特定調停はかかる費用が少ないのもポイントです。特定調停申立後は債権者などが一同に介して問題を話し合っていくこととなりますが、話がまとまれば借金を減額してもらうことが可能となります。利用するための条件も少なくなっており、借金問題を解決するために最も利用しやすい債務整理方法にもなっています。この特定調停とよく比較されるのが任意整理ですが、任意整理は裁判所ではなく弁護士や司法書士に仲立ちしてもらいます。しかし、目指すところは話し合い・交渉による債権者と債務者相互の和解であることは変わりません。また、任意整理では特定調停よりも費用がかかりやすいこともポイントでしょう。他に、債務整理方法には自己破産や個人再生もあります。自己破産は住宅や車などの財産をすべて処分するものであり、特定調停のように気軽に行うことはできません。一方、個人再生も借金額を減額してもらうものですが、個人再生計画を提出したり、借金の減額幅が大きいのが相違点です。実際に特定調停をして債権者と合意に達すると調停調書が作成されますが、こうした調停調書などで決められた内容に従って特定調停後は返済を進めていくこととなります。返済期間は通常は3年から5年間となっており、この期間中は支払いが滞ることないようにしておかないといけません。
特定調停のメリットデメリットは?
特定調停は格安で行えるのがメリットです。個人的に行う場合、裁判所に支払う費用は5,000円以内で済みます。また、専門家に頼らずとも行いやすいというのも良いところでしょう。特定調停が終わるまでにかかる期間も短くて済むのも利点です。債権者との交渉も裁判所が代理で行ってくれることもあり、交渉の手間もありません。その反面、デメリットとしては、減額される借金の額が少ないというのがその一つです。そのため、せっかく特定調停しても結局借金返済しきれなくなって個人再生や自己破産に追い込まれる可能性もあります。また、特定調停をしても必ず成功するとは限りません。例えば、借入先と交渉がうまく行かななかったりすると特定調停では話がまとまらないこともあります。更には特定調停をすることが信用情報機関のブラックリスト入りする可能性があり、クレジットカードやカードローン・キャッシングサービスが契約できなくなります。裁判所や調停委員によっては債務者ではなく債権者に有利な方向に話を持っていくこともあります。このような危険性もありますから、特定調停する前にはしっかり検討しておかないといけません。
特定調停後の過払い金請求について|方法と実際に行う際の注意点
特定調停中に過払い金があることが発覚することがあります。特定調停は簡易裁判所で行いますが、確定判決が出た後に過払い金返還請求をすることは可能なのでしょうか。これは答えから言うと「可能」です。特定調停後に過払い金を返還請求したい場合には具体的には弁護士に頼んで過払い金返還金請求訴訟を起してもらったり、業者と交渉することなどによって、過払い金請求手続きができます。
特定調停後に過払い請求を行う場合|チェックしておきたい最高裁の判決
過払い金請求をする際に注意しておきたいのが清算条項です。特定調停では調停調書が作成されますが、この調書に「相互に債権債務がないことを確認する」という条項が設けられていることがあります。これを清算条項と呼びますが、もしもこの清算条項があると過払い金請求が認められないケースが過去にあったのです。しかし、平成27年の最高裁判決により「清算条項は過払い金に及ばない=過払い金請求可能」といった判断がくだされました。
特定調停後に過払い金返還請求をする際には調停調書をよく読んでおこう
上記で紹介した最高裁の判決もあり、最近では清算条項があっても過払い金請求が認められるようになっていますから、そこまで心配は要りません。ですが、最低限、清算条項の存在についてだけは知っておきましょう。しかし、債権者と債務者相互の債権債務問題全般を整理するために特定調停時に和解がされている場合においては、過払い金請求権にも影響を与えることがあります。最悪の場合、過払い金請求ができないこともありますから、特定調停において調停調書作成を作成する際には用心しておきましょう。
過払い金請求手続きは自分でするべき?それとも弁護士に相談したほうが良い?
過払い金があることが解ったらなるべく綜合法律事務所や弁護士に依頼しておくようにするのがおすすめです。弁護士に依頼することにより、債権者との交渉も任せられます。また、過払い金から弁護士の報酬を支払う場合、弁護士もできるだけ過払い金を取り返そうとしてくれます。かかる費用は事務所によっても様々であり、過払い金請求をして戻ってきた過払い金の数割程度としているところもあります。いずれにせよ過払い金額が多ければ弁護士に支払う費用はかかりません。こうしたこともあり、なるべく過払い金請求時は弁護士に依頼しておくのがおすすめなのです。とはいえ、過払い金請求自体は弁護士に頼らずに自分で行うことも可能ではあります。自分でする場合、取引履歴を取り寄せして正確な過払い金額を計算することから始めます。取引履歴の開示請求自体は素人でも可能ですし、現在では取引履歴開示請求を断る業者もほとんどありません。過払い金の計算は少し面倒ですが、最近では過払い金計算用のソフトもあります。こうしたソフトに取引金額や取引日を入力していけば自然と過払い金が解りますから、利用してみるのも良いでしょう。この後、実際にアコムヤアイクなどの貸金業者に過払い金返還還請求書を郵送することになります。返還請求書には決まった書式はありませんが、ネットを少し調べれば便利なテンプレートがすぐに見つかります。請求書に必要事項を記載したらそのコピーを取っておくとともに、内容証明・配達証明付き郵便で郵送しましょう。これが終わったらいよいよ貸金業者との交渉が待っています。ここが一番難しくトラブルの起きやすいところですが、交渉自体は電話などで行います。電話で話がまとまったら直接会って細部を詰めていくこととなります。業者によっては話しあい自体に応じないこともありますが、こうした場合にだけ司法書士事務所などを利用するのも良いでしょう。もしも話し合いで和解に至れなかった場合には過払い金請求差の裁判をすることとなります。裁判の申立後は口頭弁論などが待っていますが、裁判にかかる期間は半年から1年ほどです。最終的に過払い金返還請求が裁判所から債権会社になされ、過払い金が銀行口座などに振り込まれておしまいとなります。これが過払い金請求の一連の流れですが、弁護士に頼まないことで余計な費用はかからなくなります。一方、弁護士に頼まないと過払い金が減額されてしまったり、自宅に送られてくる郵送物などで家族などに借金をしていることがバレることもあります。
特定調停と過払い金の気になる関係について
・基礎的に特定調停中に過払い金請求は行えない
・特定調停は裁判所の介入で債権者と和解するもの
・任意整理は弁護士の仲介で行う特定調停と言っても良い
・特定調停をするのにかかる費用も比較的少ない
・特定調停は1ヶ月程度で終えられる
・借金減額幅が比較的少ないといったデメリットも有る
・裁判所によっては貸金業者側のスタンスを取ることも
・特定調停後に過払い金請求は可能。以前は清算条項ために過払い金請求が出来ないこともあった
・過払い金請求は自分でもできるが、弁護士にお願いするのも良い
・弁護士に依頼すれば面倒な手続きなどはやってもらえる
特定調停は便利なものですが、過払い金の請求が特定調停中は出来ないのが難点です。しかし、紹介したように過払い金は取り戻せますから、弁護士などと連携して事にあたっていきましょう。
特定調停をするのにどのくらいの費用がかかるのか
特定調停をするためには費用がかかります。裁判所に支払う費用は5000円程度ですが、もしも専門家に対応を依頼する場合には債権者1社当たり2万円から3万円程度追加で費用負担が生じます。
債務整理と過払い金にはどういった相違点があるのか
債務整理と過払金は別個で考えた方がよいこともあります。実際、両者には違いもかなりあり、弁護士事務所などによっては両者を厳格に分けることもあります。そんな両者の違いですが、まず債務整理は「返済しきれなくなった借金問題を何とかする」のがその趣旨です。一方、過払い金は「返済しすぎた返済額を取り戻す」ものになっています。端的に言えば過払い金請求をしても損をすることはありません。過払い金請求にかかる費用も過払い金の中から賄う事が可能です。また、過払い金には期限もあります。具体的には借金完済期日後、10年以内に返還請求をしないといけません。この期間内に返還請求をしなかったり、時効延長訴訟を起こさないと、債権者も過払い金支払義務を失います。