消滅時効とは?借金が帳消しになる重要な制度を詳しく解説!

消滅時効とは?借金が帳消しになる重要な制度を詳しく解説!

消滅時効って、一体何?知っておきたいお金の常識を解説!

借金には消滅時効があるのをご存じですか?もしかすると、あなたの頭痛の種になっている借金は、チャラになるかもしれません。この記事では、消滅時効とは何なのかという基本的ところから、消滅時効の援用のやり方やどんな場合に時効の中断が起こるのかといった実践的な知識まで、詳しく解説していきます。借金に悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。

 

 

消滅時効とは?借金にだって時効があります!

消滅時効は、時効の種類の1つ。借金が返済されない状態が定められた期間以上に続いた場合、その借金を消滅させられる制度です。消滅時効が完成してしまえば、債務者は債務を返済する義務がなくなり、債権者は貸金を回収できなくなります。

 

借金の時効制度があるのはどうして?納得のいく3つの理由!

債権者の立場を考えれば、借金に時効があるのは理不尽と感じる方も多いのではないでしょうか。それでも法律で時効が設けられている背景には、主に3つの理由があります。1つめは、長期間借金を滞納したままの状態が続くと、もはやその状態が社会的に自然になっており、尊重することで社会的・法的な安定を保てるということ。2つめは、債権者が金銭を長期間回収しようとしないのであれば、法的に保護し続ける必要はないということ。3つめは、時間が経つことで、時効となる借金にかかわる情報・証拠等が劣化してしまいがちということ。これによって、当事者間で言い争いになりやすく、返済額が正しい額より多くなったり少なくなったりする危険もあります。

 

消滅時効期間が過ぎているか確認したい!どうすれば分かるの?

時効が過ぎているかどうかを確実に調べるのは、素人には難しいです。できることとしては、起算点を覚えておいて、自分で計算してみることです。ただ、この方法だと債権者側が時効の中断をしているのを見逃す可能性があります。これを防ぐには、債権者に時効の中断をしたか否かを直接尋ねる方法が考えられますが、あからさまに時効を狙っていることが伝わってしまうので危険を伴います。そのため、弁護士や司法書士に依頼して調査してもらう方法が最もおすすめです。

 

 

消滅時効の起算日はいつから?間違えないように注意!

消滅時効の起算日とは、時効のカウントを始める日のことです。民法第166条により、消滅時効は「権利を行使できる時点」から進行するように定めされています。権利を行使できる時点とは、債権者が債務者に「約束の期限だから、お金を返して」と請求できる時点です。当事者間で定めた期限内のうちは、まだ債権者は債務者に返済を請求できません。また、民法140条で定められた初日不算入の原則により、約束の期限が到来した日の次の日が起算日になります。この2つの条文に従うと、例えば12月31日までに返済すると約束した債務であれば、1月1日が起算日となります。貸借時に返済期限を定めなかった債務であれば、貸借契約をした日が民法166条で言うところの権利を行使できる時点となり、契約日の翌日が起算日となります。

 

時効が成立するのは、起算日から何年後?借金の種類次第です!

起算日から数え始めて、何年で時効になるかは借金の分類によって異なります。商事債権(営利目的で貸し出されているお金)の場合10年で、民事債権(営利目的でなく貸し出されているお金)の場合5年です。商事債権の具体例を挙げると貸金業者や銀行から貸し出されたお金で、民事債権の具体例は個人や信用金庫から貸し出されたお金です。時効カウントのスタートは、前項で紹介した起算日からです。ただし、時効の中断が起こった場合は、中断した時に1から数え直しになります。最終返済日は覚えておくべきですが、もしも忘れてしまったら信用情報機関で信用情報を開示してもらうことで確認できる可能性があります。開示請求をする信用情報機関は、借金の借り入れ先によって異なります。消費者金融などであれば、株式会社日本信用情報機構(JICC)。クレジット会社などであれば、株式会社シー・アイ・シー(CIC)。銀行などであれば、全国銀行個人信用情報センターです。

 

消滅時効の到来を確認するには、どの専門家に依頼すればいい?

時効が過ぎているかを調査してくれる専門家は、弁護士と司法書士です。ただし、借金が140万円以上ある場合は弁護士にしか依頼できません。調査のサポートができるよう、借金の契約書や一部弁済時の領収書など借金にまつわる書類があれば、全て資料として提供すると良いでしょう。

 

 

消滅時効の中断事由!時効の中断はどうすると起こる?

消滅時効の中断事由には、3つの種類があります。1つめは、債務者による債務の承認です。これは債務者が債務の存在を認めることであり、債務の存在を前提とした一部返済などによっても成立します。2つめは、債権者による裁判上の請求です。訴訟だけでなく、債権者が簡易裁判所に申し立てる支払督促などもこれに含まれます。3つめは、債権者による債務者の財産の差押え・仮差押え・仮処分です。これら3種類のいずれの中断事由で時効の中断が起こったにせよ、時効の経過時間がリセットされるという点は変わりません。

 

中断事由の1つ、債務の承認について詳しく!

時効中断事由の中でも、最も頻繁に起こるのが債務者による債務の承認です。債務の承認は債務を承認する書類を書くような直接的な行為でも生じますが、債務の一部返済・債権者に対しての返済猶予の申請などによっても生じます。これらは債務があることを前提とした行為であり、間接的に借金の存在を認めることになるためです。また、債務の承認は口頭でも成立します。立証できなければ裁判上で意味を持ちませんが、例えば電話の録音などで証拠が残っていれば別です。

 

返済による借金の承認は、返済額が少なくても起こってしまうの?

借金の一部返済によって債務の承認が起こると述べましたが、これは金額の多少に関わりません。たとえ少額であっても、「借金を返済したという事実」が、債務の承認にあたります。

 

債務の承認で時効が中断!それまでの時効はどうなるの?

借金を承認で時効の中断が起これば、時効は1から数え直しになります。債務承認時に新しい返済期限が設定されればその返済期限の翌日から、新しい返済期限が設定されなければ債務承認をした翌日を起算日として、再スタートです。

 

催告書が来たら、時効は中断してしまったという事?

催告書が届いたからといって、それだけでは時効は中断していません。しかし、その後の対応次第では時効の中断が起こってしまいます。

 

最終返済日から5年以上経って催告書が届いた!対処法は?

最終返済日から5年以上が経っていれば、非営利目的で貸し出された借金は時効を迎えています。しかし、時効期間を経過していたとしても催告書は届きうるものです。この場合の催告書には「至急連絡をください」といった内容が含まれていることが多いです。しかしこの時、すぐに債権者に連絡をしてしまうと、言葉のやりとりの中で債務の承認をさせられてしまう危険があります。実は催告書が送られた目的はそこにあり、時効の中断をさせるための罠とも言えます。すでに時効を迎えているのであれば、まずは落ち着いて電話連絡を返さないようにしましょう。代わりに、速やかに時効の援用をすれば、時効が完成します。

 

他に時効が中断する理由はある?時効が過ぎたら承認に注意!

先述したように、消滅時効の中断事由は、債務者による債務の承認、債権者による裁判上の請求、債権者による債務者の財産差押えです。しかし、すでに時効期間が過ぎているのであれば、債務者が債務を承認するより他に時効の中断は起こりません。時効の中断が起これば、時効の援用をしても失敗してしまいます。

 

 

消滅時効の援用とは?借金の時効は自動的には完成しない!

消滅時効の援用とは、時効期日が到来した後に、時効を行使する旨を伝えることです。消滅時効の要件は、時効期間の経過と時効の援用をすることの2つなので、これを行わなければ永遠に時効は完成しません。時効の援用という制度を設けることで、「時効を過ぎても時効を利用しない」という選択ができるように配慮しています。

 

消滅時効の援用を依頼するには?必要な資料は?

消滅時効の援用は自力で行うこともできますが、専門家に依頼するのが確実です。依頼する専門家には、弁護士、司法書士、行政書士の3パターンが考えられます。行政書士は費用相場が最も安いですが、時効援用通知書の作成のみしか依頼できません。司法書士は、通知書作成に加え債権者とのやりとりなども代理人として行ってくれます。ただし、時効にする借金が140万円以下でなければ依頼できません。弁護士は、最も費用相場が高いですが、代理人として必要なこと全般を行ってくれる上に、借金の金額に上限もありません。依頼の際は、話や調査がスムーズに進むよう、援用したい借金に関わる書類で保持しているもの全てを持って行くと良いでしょう。

 

時効の援用のメリットは?やっぱりこの一点に尽きる!

時効の援用をするメリットは、借金を帳消しにできることです。ストレスからも一気に開放され、新しい生活を始められるでしょう。とはいえ、借金の一番の解決策は全額返済であることを忘れてはなりません。債権者のことも考え、支払う努力を最大限に行った上で初めて時効の援用を考えましょう。

 

時効の援用のデメリットは?精神的負担や信用情報への不安…

時効の援用のデメリットは、信用情報が改善されない可能性があることです。そもそも借金を滞納していると信用情報に「延滞」という事故情報が登録されてしまいます。この信用情報は、時効を援用して借金がなくなれば改善されるのが通常ですが、債権者側の対応によっては延滞がついたままになります。時効で返済を免除されたというだけで実際に支払ってはいないということを考慮し、債権者が信用情報を改善する事を快く思わないケースがあるためです。また、時効の援用までに借金に利子分が加算されていくため、時効の援用前に時効の中断をされてしまうと大きな借金が残ってしまうのもデメリットです。このために債務者にとって不安な日々が続き、ストレスにも繋がります。さらに、失敗のリスクがあることもデメリットのひとつです。これについては、次の項目で紹介します。

 

時効の援用を失敗したらどうなるの?時効到来前の援用に注意!

時効の援用の失敗と言えば「時効が訪れていないのに時効の援用をしてしまうこと」です。その場合もちろん、時効は完成しません。ただ単に「時効が到来したら時効を利用する」という相手方への宣言になってしまいます。こうなると、債権者は時効の中断をしようと考えかねません。

 

消滅時効の援用の流れは?時効完了のための最後の苦労!

一般的な時効の援用の第1ステップは、本当に時効が経過しているか調査することです。できる限りのことをして、起算日がいつなのかを把握し、途中で債権者による時効の中断が起こっていないかを確かめましょう。次に、第2ステップの時効援用通知書の作成に移ります。内容証明郵便で送れる書式をとりつつ、必要事項を遺漏なく記載しましょう。第3ステップは、時効援用通知書の発送で、これを済ませば完了です。債権者側に異論がなければ、基本的にそれ以上の連絡は来ないでしょう。

 

時効の援用の必要書類は?通知書がほぼ必須です!

時効の援用は口頭でも一応OKとされていますが、後々トラブルを招く可能性があります。形として残る、時効援用通知書が必要です。

 

消滅時効の援用の時、通知はどうやってすればいい?

時効の援用の際は、時効援用通知書を内容証明郵便で送付しましょう。内容証明郵便とは、その手紙を送ったという事実・手紙の内容・送った日付を郵便局が証明してくれる郵便です。これが法的な効力を持つ証拠となり、万が一後から難癖をつけられても時効の援用をしたということを証明できます。また、送る際には配達証明をつける申請をして、相手に時効援用通知書が届いたと証明できるようにしましょう。

 

時効援用の内容証明郵便は、どうやって作成するの?

時効援用通知書には、時効となる借金を特定する内容・時効が経過したと言う事実・時効を利用するという宣言・通知書を送る日付・債務者の名前や住所といった基本情報を記載します。文面を書くときは、行数や一行の文字数を内容証明郵便の規定の範囲内に収めるように注意しましょう。この時効援用通知書は、同じものを3枚用意します。相手に送る用、郵便局で保管する用、返されて自分で保管する用の3枚です。1枚書いて、それをコピー機で2枚コピーして作ってもOKです。準備ができたら、3枚の通知書・1つの封筒・お金・印鑑を持って郵便局へ行きましょう。郵便局で、内容証明郵便で送ることと配達証明が欲しいことを告げ、手紙を提出。郵便局でのチェックが終わったら、お金を払って手続き完了です。

 

 

除斥期間って何?消滅時効とどこが違うのかを解説!

除斥期間とは?権利にかかわる決まり事です

除斥期間とは、権利の存続期間のことです。この期間を過ぎると、権利者は権利を行使できなくなります。期間を過ぎると権利が消滅するという点で、消滅時効とよく似た制度です。

 

消滅時効と除斥期間の違いは?似ているけどここが違う!

消滅時効と除斥期間が異なっている点は主に4つ。除斥期間は時効のような中断がない点、当事者の援用が必要ない点、起算日が権利発生時という点、遡及効がない点です。遡及効とは、起算日にさかのぼって効果を発揮することを指します。消滅時効には遡及効があることで、時効までに発生した利息を、債務者が払わなくていいようになっています。

 

除斥期間に中断や停止がないのは何故?制度自体の目的が…

除斥期間には、時効にあるような中断や停止がありません。これは、除斥期間が定められている事の目的が「権利関係を速やかに確定させること」であるため。中断が起こればカウントがリセットされてトータルでの期間が長引いてしまうので、中断は除斥期間と相反するものです。

 

 

借金がチャラになる!消滅時効についてのまとめ!

消滅時効とは、借金の支払義務がなくなる時効です。債務の一部返済や債権者による裁判上の請求によって中断するので実現が難しいケースも多いですが、実現してしまえば一気に借金から解放されます。消滅時効は、債務者が債権者に対して、時効の援用と呼ばれる「消滅時効を利用するという主張」をしなければ完成しません。何もしなければいつまでも借金が残りっぱなしになるので注意しましょう。

 

 

【おまけ】消滅時効の援用にかかる費用の相場はどのくらい?

消滅時効の援用にかかる費用は、自力でやるか、専門家に頼むかで異なります。また、どの専門家に頼むかでも差がでます。一番安上がりなのは自力で、費用は時効援用通知書を書く紙や封筒代、内容証明郵便の代金がかかります。債権者が複数の場合内容証明郵便代金がかさみますが、それでも数千円に収まるでしょう。次に安くすむのは行政書士への依頼です。行政書士に依頼した場合の料金相場は8,000円~25,000程度です。一番高くつくのは弁護士か司法書士に依頼した場合で、料金相場は30,000円~50,000円程度です。実際に依頼する際は、料金だけでなく実績も調べつつ、信頼できる専門家を選びましょう。