支払督促を取り下げてもらうためにできること※督促~和解までの流れ

Q.支払督促はどんなときに取り下げられる?

A.一番多いのは、債権者が異議申立てをした場合です。

異議申立てといっても「一括返済はできないので分割払いを希望します」といった和解を求める内容がほとんどです。

 

取り下げるほうがお互いの負担が軽くなるケースも

支払督促が届いてから異議申立てをすると、そのまま訴訟手続きへと移行されます。
しかし、訴訟ともなると支払督促するよりも時間や費用、労力がかかることになります。

 

そのため、債権者が裁判になるより和解に応じたほうがいいと判断すれば、支払督促を取り下げてもらえる場合もあるのです。

 

早めの対応が解決のポイント!

支払督促を放置し続けても強制執行になるだけです。
そうなる前に、今すぐにでも弁護士に相談して対応してもらうのがベスト。

 

弁護士なら、異議申立てだけでなく債権者との和解交渉なども全て対応してくれますよ。

 

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支払督促を取り下げるにはどうすればいい?取り下げ方法と流れ

ここからは債権者側の立場で、取り下げの方法や流れについて詳しく説明していきます。

 

お金を貸して相手が返済してくれない時、裁判所に支払督促の申立をして強制執行という形で、相手の財産を差し押さえて債権を回収できる場合があります。
しかし支払督促の申立をしたあと、何らかの理由でその申立てを取り下げたいという状況になることもあるかもしれません。

 

通常どのようなケースで支払督促の取り下げが行われるのか、支払督促を取り下げるにはどうすれば良いのかを分かりやすく解説していきます。
支払督促の申立をする前に、債権者が知っておくべき情報をまとめていますので参考にしてください。

 

 

支払督促で債権を回収する流れを復習しておこう

まずは支払督促から強制執行に至るまでの流れを、一度復習しておきましょう。支払督促の制度を利用する際は、お金を貸した相手(債務者)の住所を管轄している「簡易裁判所」に申立てをして手続きを行います。申立の際は支払督促申立書や当事者目録、請求の趣旨及び原因といった書類を作成して裁判所に提出します。裁判所で支払督促申立が受理されると裁判所から支払督促が発付され、債務者宛に正本が特別送達という郵送方法で配達されます。その後2週間の期限内に債務者から異議申立てがなければ、仮執行宣言の申立ができるようになります。仮執行宣言の申立の際も裁判所で受理されたあと債務者宛に「仮執行宣言付支払督促正本」が送達され、さらに2週間以内に異議申立てがなければ仮執行宣言の申立が確定します。この時点で裁判所によって借金に対する返済義務が確定されているので、そのまま支払がなければ強制執行の申立が出来るようになります。債務者は「支払督促正本」と「仮執行宣言付支払督促正本」の送達の際にそれぞれ2週間ずつ異議申立をする猶予を与えられ、異議申立てがあれば訴訟手続きに移行します。

 

支払督促を取り下げるにはどうすればいい?

支払督促は取下書を作成して裁判所に提出すれば、取下げができます。取下書には、債権者と債務者の氏名、事件番号を記載し、債権者の署名と捺印が必要で、印鑑は支払督促申立書と同じものを使用します。取下書には「頭書の事件について、債権者の都合により本件申立てを取り下げます」と記載します。取下書は自分で見本を元に作成することもできますし、裁判所の公式ホームページにある「支払督促申立て取下書」をダウンロードして入手することもできます。そして取下書を作成したらコピーをして副本を作り、支払督促を申し立てた債務者の住所を管轄している簡易裁判所に提出します。取下書の副本は債務者の人数分必要なので、債務者が複数いる場合はその人数分用意して提出します。作成した副本にもすべて押印を忘れないようにしましょう。支払督促正本が送達される前の取り下げであれば、取下書だけを提出すればよいのですが支払督促正本が債務者宛に送達された後であれば、取下書を郵送するため債務者1人に対して82円分の郵便切手が必要となります。取下書は裁判所に直接持って行くか、郵送で提出をします。郵送の場合は裁判所名に加え、事件を担当している係名を記載した封筒で送りましょう。

 

支払督促の申立を取り下げたあとは、債務者と今後の返済方法や返済額について直接和解交渉をすることになります。

 

支払督促の取り下げに関する疑問を解決!

異議申立ての通知が届いたらどうなるの?

支払督促が債務者に送達されてから2週間以内に異議申立てがされると、支払督促は効力を失い民事訴訟へと発展します。訴訟の管轄は請求額によって、地方裁判所か簡易裁判所のどちらかで行われます。異議申立てが行われてからは自動的に訴訟に移行するので、そのまま訴訟を起こす場合であれば債権者は特に手続きの必要はありません。ただ訴訟となると専門的な知識も必要になりますから、ここまで弁護士を入れていない場合でも弁護士を雇うかどうか検討した方が良いかもしれません。また訴訟になる場合は裁判所から必要な書類が指定されるので、書類の準備にも取り掛かりましょう。訴訟にはせずに支払督促を取り下げる場合は、先ほど解説した方法で取下げの手続きを行います。

 

取り下げる時は債務者の同意が必要?

結論からいうと異議申立てがあってから支払督促を取り下げる場合は、債務者の同意は必要ありません。支払督促に対しての異議申立ては借金の事実は認めるものの、一括返済に応じることはできないため支払督促の申立を取り下げてほしいという内容がほとんどです。支払督促の申立を取り下げるかどうかは、債権者の意向次第ということになります。そのため支払督促の申立を取り下げるにあたって、債務者の同意を得る必要はないのです。ただし債務者が異議申立てをした後、訴訟に必要な書類を提出してから弁論準備手続きをした後であればすでに訴訟が開始している状態になり取下げには債務者の同意が必要になるので注意してください。訴訟の取り下げに関する法律は民事訴訟法第261条で判決が確定するまで訴えを取り下げられることや、取下げの際に相手の同意が必要となるケースなどが明記されています。
民事訴訟法第261条引用:
『第二百六十一条 訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2 訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。』

 

支払督促を取り上げた後でもう一度訴訟を起こすことはできる?

民事訴訟法第262条2項に「本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。」という一文があることから、支払督促を取り下げたら同じ内容ではもう訴訟ができないと思われがちですが、そうではありません。この条文で定められているのは、「終局判決があった後」で取り下げた場合であって、支払督促の取り下げをしたのが訴訟に発展する前であれば初めから訴えがなかったものとして扱われるのでこの条文は適用されません。ただいたずらに訴えを起こしては取下げるといったような場合は裁判所の判断により訴えを却下することもありますが、原則支払督促を取り下げた後でも同じ内容で訴訟を起こすことは可能です。

 

 

支払督促を取り下げる費用はどのくらいかかるの?

支払督促を取り下げる際には債務者に取下げの通知を封書で行うため、債務者1人に対して82円の郵便切手が必要です。それ以外に手数料のようなものは必要ありません。逆に取下げをせず訴訟に発展する場合は郵便切手代6000円と、支払督促の際の申立費用が必要になります。支払督促の申立では訴訟で必要な手数料の半額を支払っているので訴訟に必要な残り半分の手数料を支払わなくてはなりません。ちなみに支払督促で必要な申立費用は、100万円以下なら10万円につき500円、100万円以上500万円以下なら20万円につき500円と、債務者一人につき1082円の郵便切手代と、別途82円切手が1枚必要です。つまり支払督促に異議申し立てがありそのまま訴訟をする場合は、申立て時に支払った金額とほぼ同額の訴訟費用を追加で支払わなければならないのです。一方支払督促を取り下げる場合は、すでに支払ってある申立て費用は返ってきませんが追加で支払う必要はありません。

 

 

支払督促制度を利用するデメリットもある

支払督促は訴訟と比べて費用を安く抑えて手続きを簡略化できる制度ですが、支払督促をしても債務者が異議申し立てをすれば無効になってしまうというデメリットもあります。支払督促で強制執行ができるのは、債務者が支払督促状を放置して返事をしない場合だけです。債務者側は異議申立書を提出すれば簡単に異議を申し立てられるので強制執行にいたる可能性は低く、支払督促をしても訴訟に発展せざるを得ない状況になることも十分考えられます。債務者からの異議申立てにより和解で解決できれば良いのですが、訴訟になる場合は支払督促でかかった時間が無駄になってしまいます。また支払督促の申立ができる裁判所が、債務者の住所を管轄する裁判所に限られていることも債権者にとってはデメリットになります。債務者が遠方に住んでいる場合支払督促の手続きは郵送で行うことになり、その後訴訟へと発展すればその裁判所に出向かなければなりません。支払督促の申立をする際には、こういったデメリットもよく理解した上で検討しましょう。

 

 

支払督促を取り下げる方法と流れまとめ

支払督促の申立をしても、訴訟に発展していない場合は債権者の都合で取下げることができます。その場合は、取下書と債務者の人数分の郵便切手を支払督促の申立をした裁判所に提出すれば取下げができます。支払督促に対して異議申立てがあった時点で支払督促の効果はなくなるので、和解ができるようであれば和解に応じる方が債権者にとって負担が少なくてすむ場合もあります。一度取り下げても解決しなければ再度訴訟を起こすこともできるので、異議申立てがあった際には一度債務者と直接和解交渉をしてみるのも良いかもしれません。