きちんと理解しておこう!支払督促の流れ
流れから見る支払督促とは?
ローンなどの支払いが遅れ督促などを無視し続ければ、ケースによっては支払督促が送られてきます。裁判所が通知するものであり債権者の申立てに基づくものです。では一体支払督促とはどういう流れで送られてくるのでしょうか?あるいは必要な資料や費用等はどうなのでしょうか?ここでは債務者と債権者の両方の目線で支払督促の流れ等を説明して行きます。
順を追って見る支払督促の流れ
支払督促の内容
支払督促とは法的に認められた債権回収方法の1つです。債権者が裁判所に申立てをし裁判所が代わって債務者への督促通知を行います。流れとしては債権者が債務者の住所を管轄する裁判所へ必要書類を持参し申立てを行います。正式に受理が決まると裁判所から債務者へ督促通知がなされます。債務者は通知から2週間以内であれば異議申し立てができます。もし異議がなされれば裁判へ進むことになりますが、2週間以内に異議がなければ債権者は必要書類を用意し仮執行宣言の申立を行い、次のステップへ進むことになります。仮執行宣言でも異議などがなければ強制執行となり差し押さえとなります。
支払督促を受け取った後のこと
支払督促を受け取ったらまずそれが本物かどうか確認すべきです。通常住所地を管轄する裁判所から送られてきます。封書の中の連絡先に電話をし本物であるかどうかを裁判所に確認すべきでしょう。また異議があれば異議申し立てができ、封書の中に異議申し立ての用紙が同封されています。必要事項を記入し裁判所へ送り返すことになります。さらに支払督促は正当な事由がない限り受取拒否できず、郵便局員はそのまま置いて行くことが一般的でしょう。これは差置送達と呼ばれています。これらのほか不在の場合不在通知票が投函され一定期間何の連絡もなければ裁判所に戻されます。一般的には支払督促の次の段階である仮執行宣言付きの支払督促へ進むことになります。
流れで見る支払督促の異議申し立て
まず異議申し立てとは債務者の主張の申し立てとも言えるでしょう。支払督促は債権者からの一方的な申し立てであるため公平の観点から設けられています。通常支払督促を受けると異議申し立て書が同封されているので自分の主張を書き込み、添付書類なども必要とせずそのまま裁判所へ返送することになります。しかし後々のことを考えれば異議ありのみの主張では弱く感じられるため、返済計画等も述べておき建設的な異議申し立てにしておく方が無難でしょう。また異議申立てを行えば訴訟手続きに入りますが裁判を欠席した時点で債権者の言い分が認められることもあります。訴訟になったのであれば裁判を欠席しないようにしましょう。しかし異議申し立て等を行う場合弁護士等の法律専門家に相談することが適切です。仮に裁判になったとしてもスムーズな和解交渉等を行えるからです。
支払督促は無視しても大丈夫なのか?
支払督促を無視することはできます。裁判所を通し郵送されて来るためそのまま無視をすれば済むことです。不在票が入っているとしても何の連絡もしなければ期間が過ぎて裁判所に返送されます。しかしそうなれば仮執行宣言付きの支払督促へ進みます。これは差し押さえの準備が出来ていることの支払督促でもあります。もちろんこれも無視することできますが、最終通知とも言えるもので期間が過ぎれば強制執行となり差し押さえとなります。そうなればたとえ給与等が4分の1までと決められていても、裁判所が会社へ通告するため借金の滞納が会社にバレてしまいます。一般的に差し押さえが会社にバレてしまった人は転職しているケースが多いようです。結局無視できるとしてもどこかで手を打たなければ最終的に社会的な不利益を被るでしょう。もっとも支払督促が来ている時点で信用情報にキズが付いています。つまりブラックリストに入っているため新たなローンを組んだりクレジットカードを作ったりすることが難しくなっています。なお支払督促でも仮執行宣言付きの支払督促でも2週間の異議申し立てが債務者に認められています。支払督促を受けった日から起算されますが、弁護士などの法律専門家に相談し異議申し立てをする方が将来の自分を守ることにもなるでしょう。
送る側から見る支払督促の始まり
債権者から見れば支払督促を送る側になりますが、最初に何をすればいいのか分からない人も多いことでしょう。では始めはどうするのでしょうか?まず債務者の住所を管轄する簡易裁判所へ行きます。書記官が担当であるので書記官に対し支払申立てをすることになります。その際「支払督促申し立て書」等の書類を受け取り督促金額などを記載します。終わった後書記官が受理し審査を待つことになります。審査に通れば裁判所から債務者に対し支払督促の通知がなされます。
申し立てで求められる支払督促の書類とは?
支払督促の申し立てに必要な書類は3つのもので「支払督促申し立て書」「当事者目録」「請求の趣旨及び原因」になります。入手場所は債務者の住所地を管轄する簡易裁判所であり今ではホームページからPDF形式の書類をダウンロードすることができます。また書き方等がわからない場合直接裁判所に出向いているのであれば担当書記官や受付の係等に尋ねるべきでしょう。しかしダウンロードした場合弁護士等の法律専門家に尋ねるのが無難な方法です。
支払督促は一体いくらになる?
支払督促の費用は請求額によって変わります。申立ての手数料が請求額によって異なり最高で2万円以上の金額です。しかし手数料と共に掛かるのが郵便代と債権者でも債務者でも法人であれば登記謄本代ですが数千円ほどの金額でしょう。要するに請求金額次第で数千円の費用しか掛からないということです。けれども法律専門家に依頼すれば報酬代があります。また自分で裁判所へ届け出るのであれば交通費もあるでしょう。
裁判所へ申し立てるまでの支払督促の流れ
まず支払督促は簡易裁判所へ申し立てることなります。実際には担当書記官に申し立て受理後の審査を経てから債務者に通知がなされます。しかし資料などの準備が整い次第すぐに申し立てるべきでしょうか?効果があると認められるのは債務の存在や内容に争いがない時であると言われています。仮に時効に引っ掛かるようであれば効果は薄いかもしれません。また債務者の所在が不明な場合支払督促自体ができないようにもなっています。したがって所在が確定しなおかつ債務の存在や内容が明らかであると自信を持ってから申し立てを行うのが適切でしょう。しかし債務者には異議申し立ても認められていることから本当に自信を持った時に行うのがベストな選択かもしれません。
裁判所へ持参すべきものは何か?
まず必要な持ち物としては、支払督促のための書類になります。3つの書類があり「支払督促申立書」「当事者目録」「請求の趣旨及び原因」です。またこれらは債務者に郵送されるものと簡易裁判所で使用するものがあり2通ずつ必要になります。さらに添付資料も持参することになります。債権者でも債務者でも法人であれば法人登記事項証明書が必要であり個人であれば戸籍謄本になります。さらに代理人が持参するのであれば訴訟委任状が必要になります。
支払督促の審査から送達まで
簡易裁判所で支払督促の申立てをし審査がなされ債務者に送達されるのはどれくらいの期間でしょうか?まず支払督促のメリットは簡易な手続きで債権回収ができる見込みがあるです。審査は書類審査程度であるため訴訟のような証拠調べなどもなく結果が出るのが非常にスピーディーです。早ければ1か月程度で強制執行までできるとも言われています。これらのことから審査から送達までは数日から1週間程度を見ておけば十分かもしれません。
異議申し立てがあった場合の対応
支払督促の段階で異議申し立てがあった場合自動的に訴訟に移行します。継続すべきかどうか一度見直しもし継続する意思があれば手続きが必要になります。すでに支払督促に関する書類については提出済みとなっているため裁判所が求める訴訟のための書類を用意するようになります。民事訴訟になるためそれに見合った訴状を作成することになります。用紙のフォーマットは裁判所のホームページからもダウンロードできますが、弁護士に任せているのであれば弁護士が作成するでしょう。そして被告の人数分のコピーとともに裁判所用に1通用意することになります。また手数料を収入印紙として支払うことになりますが金額は支払督促の手数料と同額になります。さらに郵便費用を収めることになりますが現金あるいは切手のどちらを選択することになります。
裁判にしたくない場合には
訴訟の取り下げとは原告が裁判で争わないことを意味し法律上ではなかったものと見なされることです。メリットしては裁判によって無駄な時間を使わなくて済みます。債務者の住所地を管轄する簡易裁判所で行われるため場合によっては交通費を支払うようになるため余計なコストを支払わなく済みます。これには裁判費用も含めることができるでしょう。しかしデメリットとしては裁判に勝てば債権回収がスムーズに行える可能性がありますがそれがなくなることです。裁判中の和解も同様でしょう。しかし再度支払督促を行うこともできれば通常訴訟で訴えることもできます。通常訴訟になれば原告側の住所地を管轄する裁判所で開廷されることになります。
支払督促から仮執行宣言までの流れを見てみよう
支払督促における仮執行宣言とは執行力を伴った裁判という意味です。これが通知されるということは強制執行が行われることであり給与などの差し押さえができるということです。もっとも仮執行宣言付きの支払督促で異議申し立てが認められているため、通知されたからと言って即差し押さえとはなりません。いずれにせよ支払督促の申立てが審査通過した後、相手方から異議がなければ債権者は仮執行宣言付きの支払督促を行うことができます。状況によってはそのまま差し押さえに持ち込めたり、債務者からお金を回収できる場合もあるためすぐに申立てを行うべきでしょう。では仮執行宣言付き支払督促を申し立てるにはどのようにすべきでしょうか?仮執行宣言付き支払督促でも必要書類があり「仮執行宣言の申立書」「当事者目録」「請求の趣旨及び原因」の3つです。さらに郵便や封筒等も債務者分を用意し担当書記官へ提出するようになります。
仮執行宣言の申し立てはいつまでに行うべきか?
相手方に支払督促が送達された翌日から2週間は異議申し立ての期間です。支払督促は債権者の一方的な申立てを認めたものであり、双方の主張を聞くという公平の観点から債務者に設けられている期間です。しかし異議申し立てがなければ期限が切れた時から30日以内の間に仮執行宣言付きの支払督促を申立てすることができます。仮に30日以内に申立をしなければ支払督促自体が無効になり強制執行することもできません。
仮執行宣言付き支払督促が認められればどうなるか?
仮執行宣言付き支払督促は執行力を伴った支払督促とも理解することができるでしょう。つまり申立てをして裁判所に認められれば強制執行することができ債務者の給与などを差し押さえることができます。しかし仮執行宣言付き支払督促が裁判所から債務者に送達され2.週間以内であれば異議申し立てができるようになっています。異議申し立てがあれば通常裁判へ移行することになります。なぜ2週間もの異議申し立て期間があるかと言えば、支払督促と同様債務者のからの主張を聞くための公平性を保つために行われています。
支払督促が終わり、回収できない時でも強制執行はできる?
まず大事なことは支払督促は完了する可能性が低いと言われていることです。債務者が途中で支払いに応じたりあるいは異議申し立てで裁判になって和解するケースが多いからです。しかし支払いに応じたり和解したりしても遅延などが生じるケースがあります。その場合強制執行することもできます。とりわけ和解成立とは単なる口約束ではなく法的拘束力を伴ったものです。それを破るようなことがあれば申立てなどにより公権力が介入し差し押さえ等ができるようになっています。上記の例でいえば和解成立ということは債権の存在が確定しており債務名義に匹敵するものでしょう。それを証明する書類などを用意し裁判所へ届け出て認められれば差し押さえなどが可能となります。なお強制執行には「債権執行」「不動産執行」「動産執行」の3つがあります。
支払督促のメリットやデメリットはどういうのだろうか?
支払督促のメリットには書類審査だけで請求できるということがあります。裁判所の担当書記官が審査を行いますが書類の不備程度をチェックするのみで審査を通すことが一般的です。非常に簡易に手続きを進めることができます。また通常の訴訟に比較すると手数料が非常に安価で済み、概ね半分の費用で債権回収を見込めるようになっています。さらに金額に上限が設けられていません。手数料には債権金額毎に違いがありますが債権金額自体にはありません。一方デメリットの方は公示送達ができないという点です。要するに相手方の住所が不明な場合手続きできないということです。また異議申し立てをされれば通常の訴訟に移り債権回収に時間が掛かることです。しかも異議には明確な理由は必要なく「異議あり」のみで裁判に移行します。さらに裁判は相手方の住所地を管轄する裁判所で行われるため、状況によっては交通費などのコストが高くなってしまう可能性があります。
要点で見よう!!支払督促と手続きの流れ
支払督促は債務者の住所地を管轄する裁判所の書記官へ提出します。審査が通れば支払督促が送達され2週間以内に異議があれば裁判ですが、なければ30日以内に仮執行宣言付き支払督促を申し立てることができます。支払督促と同様異議があれば裁判ですがなければ強制執行となります。また支払督促のメリットは書類審査の手続きのみ等でありデメリットとしては債務者の住所が不明であれば手続きできないこと等があります。
知りたい!!支払督促にも時効が適用されるのか?
債権には時効という制度が適用され定められた期間が来れば債権自体が消滅します。ローンなどは商業債権に当たるため5年で消滅時効を迎えます。しかし基本的に支払督促は時効を中断させるための措置でもあります。したがって時効が有効ではないように見えるでしょう。しかし債権者の方でも時効が分かっていると知りながら支払いを促す意味で敢えて支払督促をするケースがあるようです。この場合支払督促で異議を申し出ると同時に時効の援用をする必要があります。時効の援用では相手方に時効が来たことを伝える必要があり最後の請求書などのコピーを添えて内容証明郵便で送るのが一般的です。
強制執行の流れについて知りたい!
強制執行には「債権執行」「不動産執行」「動産執行」の3つがあります。それぞれ細かな違いはありますが共通した流れとしては次のようです。まず強制執行には債権が裁判所で確定された債務名義が必要になります。公正証書や仮執行宣言付き判決などが該当しそれらを謄本などと共に裁判所へ提出します。受理をされれば執行官が債務者の自宅などへ行き差し押さえをします。なお強制執行を申し立てる前には債務者の財産状況などをきちんと調べておくことが重要です。また債務者に財産処分をされないよう仮差押えをすることも大事な点です。