借金返済の延滞時に対処すべき方法

借金返済の延滞時に対処すべき方法

借金返済を延滞した時、どうなるのか?

借金返済を延滞した場合、まずは遅延損害金が掛かります。日割り計算されるため、日数が延びればそれだけ余分なお金が増えていきます。また、金融機関から電話連絡や督促状の送付があり、最悪は裁判を起こされます。しかし、期日までに返済できないと事前に分かっているのであれば、担当者へ早めに連絡し支払の約束をする方法があります。また、借入金の無利息や減額、返済期間の見直しなどの相談をする方法もあります。しかし、どうしても返せないのであれば、債務整理によって負担を最小限にすることもできます。ここでは、そんな対処方法について基礎的な知識を踏まえながら、経過順にお話して行きます。

 

 

借金返済を滞納すると起こること

借金返済を滞納すると、以下のようなことが起こります。まず、本人と連絡を取るため電話があり、無視すれば督促状が送られてきます。それでも何もしなければ自宅訪問や裁判になる可能性があります。これらは貸金業者の債権回収行為に相当しますが、以下順を追って説明して行きます。

 

督促は電話や手紙が来る

借金の返済が遅れると、金融機関から督促が来ます。一般的に最初は電話による取立てであり、返済日の翌日ないしは数日後です。通常、申し込み時に登録した携帯電話でしょうが、固定電話で登録したのであればそちらに掛けてきます。内容は、約定返済の入金が確認できないので至急支払いをして欲しいとのことで、脅しなどではなくお願いになります。仮に一回の連絡で本人と話ができ、支払い期日が確約できればその後督促はありません。しかし、留守電などに伝言がありながらも放置していれば、朝昼晩の1日3回までを目途に何日か続けて電話があります。それでも音沙汰がなければ督促状の送付となり、差出人はサービスセンター等の名前になっています。封書の中身は文書であり、内容は遅延損害金も含めた返済の催促で銀行口座などの振込先も記載されています。金融機関によっては、週に一度のペースで督促状を送るようになっています。

 

自宅訪問することもある?

まず、法律上自宅訪問をし、取り立てを行うことは禁じられています。そのため、大手金融機関等では、自宅訪問での取り立てをしないのが鉄則です。しかし、状況によっては、自宅訪問があります。たとえば、1ヶ月以上電話や手紙などで督促しても、本人と連絡できない時です。こういう場合、住所確認の意味で自宅訪問が行われます。ただし、自宅訪問し本人に会えたのであれば、誓約書や返済計画書などを提示することもあります。なお、自宅訪問は時間帯での禁止であり、住所確認であっても禁止時間外で行われます。

 

裁判所に訴えられる

借金返済を滞納し、電話や手紙あるいは自宅訪問などでも無視していれば、最悪は民事訴訟として裁判所に訴えられます。そうなれば、公的機関による差し押さえなどの強制力が働きます。では一体、どのようなタイミングで起こされるのでしょうか?一般的には滞納が始まってから2から3ヶ月と言われ、信用情報機関へ長期滞納が記録される頃と同様でしょう。また、裁判所への最初の申し立ては支払督促と呼ばれ、これによって分割ではなく一括請求へ切り替わります。裁判所から封書が送られ、金融機関から支払要求があるので出廷するようにとの内容です。仮にここで異議を申し立てれば、裁判となります。しかし、無視をすれば金融機関の要求が受け入れられたことになり、今度は裁判所から仮執行宣言付きの支払督促が送られます。内容は支払をしなければ差し押さえに入るというものです。これにも異議が認められているため、異議申し立てをすれば裁判になります。しかし、これも無視すればいよいよ差し押さえになります。給与や預金などが対象であり、住宅や自動車などの財産や資産までには及びません。けれども、給料の差し押さえの場合裁判所が会社へ通知するため、その時点で借金滞納が会社や勤務先にバレてしまいます。また、4分の1まで差し押さえが認められているため、その分を差し引かれて給与が振り込まれます。なお、差し押さえには、裁判所が認めた債務名義を必要としています。実質的には最初の支払督促で債務名義が決まっているとも言えるでしょう。また、支払督促時の異議申し立て期限は、2週間となっています。

 

 

最悪のケースにならないために、自らしておくべき対処法

借金の延滞や滞納で、最悪のケースにならないためにも対処しておくべき方法があります。基本的には、金融機関へ連絡することです。また、おまとめローンを利用し月の返済金額を縮小させたり、あるいは法的処置である債務整理を行うことです。ここでは、自らしておくべき対処法について解説して行きます。

 

自分から金融機関へ連絡をする

自分から金融機関へ連絡することが、借金返済の延滞や滞納時には大切です。そうすることで、最悪の事態を免れられると言えるでしょう。ではなぜ、金融機関への連絡が大切なのでしょうか?まず、誠意を表すことになります。契約上借金をしたのであれば債務者であり、お金を借りている立場です。人から物を借りれば、返すのが当たり前です。しかも、約束した期日に返せないのであれば、自ら事情を説明するのが適切です。また、自分から連絡することで借金額が減る可能性もあります。たとえば、どうしても負担になっている時、担当者に連絡を入れます。会社の状況が悪く給与が減り、どうしても返済日に間に合わないので支払ができないと説明します。金融機関には、そういう場合の相談窓口もあり、一緒になって返済計画を練ってくれることもあります。さらに、返済日を変更することも、今ではネット上で可能なところがあります。いずれにせよ、返済が遅れると思えば、できるだけ早急に金融機関へ連絡することです。一番やってはいけないことは、遅れているのに連絡をしなかったり、金融機関からの問い合を無視することです。

 

おまとめローンを利用する

金融機関では大口ローン商品も販売し、おまとめローンが該当します。今では、カード1枚で上限額が数百万円というものがあり、借金返済で困っている時に利用できます。一般的に借金返済が遅れるのは、複数の金融機関から借りてしまった多重債務です。それを一旦完済してしまうことで、毎月の返済額の負担を軽減することができます。金融機関によっては、おまとめローンを堂々と謳っているところもあります。とりわけ、銀行であれば年収の30パーセントを超えて貸出できないという総量規制の対象外であり、自然と限度額が高くなっています。けれども、おまとめローンというからには審査があります。小口融資をまとめるのにも審査をクリアできるだけの条件が必要です。収入やまとめ切れないだけの借り入れ状況であれば、返済能力がないと見なされるでしょう。もしおまとめローンを使いたのであれば、いくつかの小口融資は完済しておくことが大切かもしれません。また、おまとめローンを使うということは、新たな借金をすることと同じであり、上限額が大きい分それだけ返済期間も長くなります。

 

債務整理で解決する

借金の返済計画を立てても、どうしてもマイナスになれば返す能力がないと言えます。そうなれば、社会的な問題が発生する可能性があり、法的処置である債務整理で解決するのが適切でしょう。それには、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つの種類があります。いずれも弁護士や司法書士などの法律専門家に相談することで、手続きなどを進めることができます。また、債務整理を依頼した時点で請求がストップし、返済負担から免れることができます。もちろん、弁護士や司法書士などには報酬を支払うようになりますが、分割払いもできるのが一般的です。さらに、適切な人を見つけるにはインターネットが便利でしょう。法テラスなどであれば法律専門家の検索サイトになっているため、より見つけやすいです。なお、初回の法律相談では無料のところもあればそうでないところもあり、有料の場合報酬と共に分割払いが可能なところもあります。また、役所などでは無料法律相談を実施し、地域の専門家が来るため依頼しやすい面もあるかもしれません。

 

 

種類で見る債務整理

どうしても借金返済ができなくなった時、法的処置である債務整理を行うのが適切でしょうが、4つの種類それぞれにメリットとデメリットがあります。一体、どういうものでしょうか?まず任意整理になりますが、これは債務者と債権者が話し合い和解を前提に借金整理をすることです。一般的には、利息制限法規定の利率で債務総額を再計算し、過払い金があれば返還されます。状況によっては、全額返ってくる場合もあります。債務者と債権者が公的機関を通じず話し合うことになるため、いわば自由度の高さがメリットでしょう。しかも、最短で即日和解もあり得るため、解決までの期間もメッリットの1つに数えられます。しかし、当事者が公的機関を通じずに話し合うということは、それだけ交渉力が必要になります。それによっては、不利になってしまうことがデメリットと言えます。次に特定調停ですが、これは裁判所を調停者となる借金整理です。裁判所に申し出を行い、調停者を間に入れ裁判所で債権者と話し合うことになります。基本的には、任意整理の再計算と同様なことをし、調停を成立させます。メリットとしては、裁判所への書類代しか掛からず、費用が安価に済むことでしょう。しかし、そのメリットを活かすためにも、債務者本人が債権者と交渉しなければなりません。調停者がいるとは言え、プロを相手に話し合うことになります。しかも、調停不成立もあり得るため無駄になってしまう可能性があります。3つ目に個人再生ですが、これは住宅を残すための借金整理です。住宅ローンがあれば、それ以外の債務をまとめて利息再計算し、残高があれば返済するようになります。しかし、裁判所に再生計画を提出し、裁判所ばかりでなく債権者の認可も必要です。また、3年から5年を目途に約5分の1まで総債務を圧縮するようにしますが、返済能力がなければ実施できません最後に自己破産になりますが、裁判所に返済の免責を認められ破産宣告されれば、全ての借金について返済する義務がなくなることです。しかし、状況によっては資産を売却する必要があり、住宅などを失ってしまうこともあります。また、官報に名前が記載されるため、どこの誰が破産したのか第三者に判明してしまうこともあります。以上、債務整理のメリットとデメリットを述べてきましたが、共通しているメリットとデメリットもあります。メリットとしては、弁護士などに依頼した段階で債権者が請求できなくなることです。しかしデメリットとしては、CICなどの信用情報機関に事故歴が記載されることです。これによって約5年から10年は履歴が抹消されず、その間新たな借金ができなくなります。

 

 

延滞や滞納時に発生する遅延損害金とは?

消費者金融や信販会社等からキャッシングをし、返済が遅れた際に発生するのが遅延損害金です。金融機関の利益に関わる利息同様、遅延損害金も手数料の一種と考えらますが、ペナルティーに相当し賠償金と見なされます。法律上では、返済に遅れるということは債務不履行であり、遅延損害金は債務者が支払うべき損害賠償として解釈されます。通常利率で設定されるため、遅延利息あるいは延滞利息などと呼ばれることもあります。一般的に年率20パーセントであり、日数分で加算されるため遅れれば遅れる程金額が増えて行きます。計算の内訳は、返済額?遅延損害金の利率÷365?延滞日数です。たとえば、遅延損害金の利率が20パーセントで50万円の返済額が1年遅れていれば、約10万円の遅延損害金です。さらに、通常返済分の利率を18パーセントとしそれを加えれば約70万円の借金となります。このケースでは1年で20万円も増えることになり、大きな負担であると言えるでしょう。

 

 

借金返済の延滞で起きること対処法

借金返済の延滞や滞納で起きることは、実にもったいないことです。遅ればそれだけ加算される遅延損害金はもとより、金融機関からの連絡を放置し続ければ社会的信用にも関係して来ます。最悪裁判になり、職場を失いことと同時に家族が離散することもあり得ます。そうならないためにも、返済が遅れる場合は自ら金融機関などへ連絡することです。どうしてもダメな場合、法的処置である債務整理を検討するのが適切であり、なにより、無理をしないで借金をするのが最も大切なことです。

 

 

いわゆるブラックリストについて

借金返済の遅れが続けば、いわゆるブラックリストに掲載されることもあります。ブラックリストとは比喩のような言い回しであり、正確には信用情報機関の事故歴になります。債務整理のデメリットに信用情報機関への事故歴の記載がありますが、しばらくの間新しい借金ができないためブラックリストという謂れになっています。また、債務整理ばかりでなく長期延滞でも事故歴が記載されます。たとえばアコムやプロミスあるいはアイフルなどの消費者金融や中堅のサラ金から、借金をしたとします。返済が遅れ、それら金融機関から督促の連絡が来たとします。何の回答もせず、そのままに3ヶ月の延滞となれば、信用情報機関へ事故歴が記載されます。もし事故歴が記載されれば、上記で述べた金融機関以外のところから新たに借金をすることも難しくなります。さらに、所有しているキャッシングカードやクレジットカードも利用停止になる可能性があります。なお、返済遅れが2ヶ月までを遅延、3か月から延滞と言います。いわゆるブラックリストへの記載は、延滞になってからです。

 

 

債務整理をしたい時の依頼先

借金返済の遅れで困り、最終手段として債務整理を行いたいとします。ここでお話した任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つとも、当事者本人のみで手続きなどができます。しかし、法律専門家に依頼した方が、効率良く進めることができます。では、どのような法律専門家がいて、どのような違いなどがあるのでしょうか?まず、弁護士を挙げることができます。法律全般の代理行為ができるためオールマイティーな専門家でしょう。業者との交渉や取引なども可能であり、債務整理のすべてを行うことができます。次に司法書士であり弁護士のように代理行為もできますが、一定の研修を受けた認定司法書士である必要があります。また、認定司法書士でも簡易裁判所までの代理行為であり、地方裁判所以上では行うことができません。さらに、行政書士がいますが書類作成代理までであり、弁護士や司法書士のように当人に代わって法律行為全般をなすことはできません。ただし、弁護士も司法書士も行政書士も、法律相談によって債務整理のアドバイスができます。無料もあれば有料もあり、この点では同様でしょう。また、三者が同じ法律事務所に所属していることもあり、限界を超えた要望であれば、事務所内の他の法律家を紹介してくれることもあります。こういう法律事務所をGoogle等で見つけ、まずは法律に関する悩み相談から入るという方法もあります。なお、債務整理における報酬支払いは分割で受け付けてくれます。金融機関の商品とは違うため金利などは発生せず、完済期間は自分の状況に見合うよう話し合うこともできます。

 

 

借金を時効で無くすことはできるか?

日本の法律では、債権の時効が認められています。金融機関からの借金も当てはまり、営業に伴うお金であるので時効は5年です。しかし、成立するには援用が必要であり、借りている人が時効が成立したと宣言することです。口頭と書面が行うことが認められていますが、内容証明郵便で送るのが最適です。また、時効は最終返済日から5年であるので、領収書などを保管しておく必要があります。それがない場合、信用情報機関へ問い合わせ、確認する方法があります。けれども、借金の時効は理論上のことです。実際、時効の中断が認められ、時効の起算日が変えられます。中断事由というものがあり、4つのものがあります。1つ目が裁判上の請求で、支払督促などが当てはまります。2つ目が裁判外の請求である催告、3つ目が差押えや仮処分等で最後に債務の承認になります。おそらく金融機関が行うものでは、債務の承認が多いでしょう。仮に借金の返済で困り、遅延となって金融機関と相談し返済計画などを立てれば、債務の承認に該当します。少額の返済あるいは利息分の支払だけでも、債務の承認に当てはまります。こうして見ると理論上可能であっても、借金の返済を時効で無くすことは現実的ではないでしょう。