奨学金が払えない!返還が難しいときにはどうすればいい?
奨学金が払えない場合のリスクと解決する方法は?
学費や生活費などの各種費用の支払いが困難な学生のため、日本学生支援機構(JASSO、旧育英会)が貸付を行っている奨学金は、優秀な学生がお金が無いという経済的なことを理由に進学をあきらめずに済む大切な制度です。その奨学金に関して、奨学金を借入れていた学生が卒業後に返還出来なくなるという問題が生じています。日本学生支援機構の統計では、平成27年度末現在の奨学金延滞者が全国で32万人を超えているという実態がみられます。ここでは奨学金が払えない場合にはどのようなリスクがあるのか、奨学金を払えなくなった時にはどうやって解決すればよいのかを説明しています。
奨学金が返せない人は今どのくらいいるの?
奨学金の返還が滞っている人の数は日本学生支援機構の調べでは平成27年度末現在、全国で32万人以上となっています。延滞している人の人数は平成22年度をピークに、平成23年度からはほぼ33万人ほどの横ばいになっていますが、延滞人数が増加していないのに延滞金額は毎年増加しています。平成27年には当年度分の返還金回収率が97%以上と回収率は上がっています。貸付金額が増加していることと、前年度までの延滞金の回収率が約17%と低くなっていることで、延滞されている金額は年々増加傾向になっています。
奨学金の延滞が発生する理由とその延滞が続いてしまう理由は?
日本学生支援機構の調査では奨学金の延滞が始まってしまう理由は、「家計の収入が減ったため」が一番多く、平成27年度では76%と過半数を占めています。このことから十分な収入が得られず奨学金を支払い出来ない状況にある人が多い実態がうかがえます。さらに「家計の支出が増えたため」50.9%、「入院、事故、災害等」22.6%、「忙しかったため」23.1%という理由が続いています。延滞してしまった後に奨学金を返すことができず、続けて延滞しまう理由に「本人の低所得のため」と答えた人が67.2%、「奨学金の延滞額が増加したため」という答えは53.8%になっています。学校を卒業後に十分な収入を得られない人が多いという社会的な背景があり、さらに奨学金の返還で一度延滞をしてしまうことで毎月の奨学金の返還額が倍増して返還ができなくなったという理由から、奨学金の延滞が続いてしまう人が多くなっています。
奨学金が払えないときにはどんな問題が起きる?
奨学金を滞納すると督促の電話がくる?
奨学金が払えない場合には、本人、連帯保証人、保証人に督促がくることになります。振込みが期日までにできなかったり口座振替日に口座残高が足りず延滞が発生した場合、1ヶ月以内に本人に日本学生支援機構の職員や委託された債権回収会社から取り立ての電話がかかってきます。本人の自宅や携帯電話の番号を日本学生支援機構に登録していないと、機構名や債権回収会社の名前を伏せて職場に取り立ての電話がかかってくる場合もあります。電話以外にも「奨学金返還の振り替え不能通知」が郵送で届き、翌月の振替日には延滞した未払い分の奨学金も合わせて2ヶ月分の合計額の請求が来るか、口座から引き落とされるという流れになっています。
奨学金の返還が遅れた場合には延滞金が発生する?
奨学金には第一種奨学金と第二種奨学金の二種類があります。第一種奨学金は無利息の奨学金で、第二種奨学金は有利息の奨学金です。どちらも基本的には返済期日を過ぎたとき、その過ぎた日数分の延滞金が発生します。第一種か第二種かにより、また貸与が終了した年度や奨学生として採用された年度などにより延滞金の割合が細かく変わります。現在では、第一種では平成17年4月以降に採用の人、二種では平成10年2月以前に貸与が終了した人の場合、「延滞している金額に対して年5%の延滞金が、延滞した日数分だけ」かかります。奨学金が返還できない人が多くなっている状況を改善するため、平成26年3月から延滞金が減額されています。
延滞するとブラックリストに名前がのる?
奨学金の返還を3ヶ月以上滞納したときには、個人信用情報機関に個人情報が登録されることになります。氏名や住所、勤務先などの個人情報や、貸与額、最終返還期日などが個人信用情報機関、いわゆるブラックリストに登録されることになるので注意が必要です。延滞者として登録されると、銀行などの金融機関に延滞の情報が渡るのでクレジットカードを新しく作るときの審査が通らなくなったり、クレジットカードの利用が出来なくなる場合があります。また、自動車ローンや住宅ローンなども組むことが出来なくなる場合があります。一度ブラックリストに登録された情報は、延滞分を支払った後もずっと登録されつづけ、全ての返還が完了してから5年後に削除されます。いろいろなデメリットが発生するので、返還が難しいときでも延滞にはならないように免除や猶予の手続きを行うなどの対処を行いましょう。
奨学金の滞納時には保証人にも督促がいく?
奨学金を期日までに返還出来ない場合には、まず1ヶ月目に本人に督促の電話と通知が届きます。それでもまだ支払いがない場合、2ヶ月目にまた督促の電話と通知が本人にきて、その後連帯保証人にも「奨学金の返還について」が届きます。さらに3ヶ月奨学金の返還がされなかった場合には、本人に連絡が届いた後に、連帯保証人とさらに保証人にも「奨学金の返還について」が届きます。奨学金を返還できていない間はずっと督促が続くことになり、保証人の依頼を受けてくれた方々にも連絡が行くので、できるだけ迷惑がかからないように早めに滞納を解消するような対処をしましょう。
奨学金を滞納しても保証人を困らせない!対処方法をチェック
奨学金の返還が難しくなったときには、返還するはずのお金を滞納してしまうのではなく、減額返還手続きや返還期限猶予手続きなどを行うことで奨学金の返還が無理せず行えるようになります。もしも奨学金を滞納した場合には、保証人にも督促の連絡が行くため保証人にも迷惑がかかります。経済状態が悪化したときなど、一時的に返還が出来なくなったときには日本学生支援機構へ月々の返還額を減額することができる減額変換手続きや返還期限を延ばしてもらえる返還期限猶予手続きなどの申請を遅延なく行い、滞納にならないような対処を行うと良いでしょう。
奨学金|連帯保証人が払えないときには?
奨学金を長期間延滞してしまうと、保証人に奨学金未払い分の取り立てがいきます。保証人は本人が支払いできない場合、代わりに返還を行う義務があるのですが、保証人も奨学金の支払いが出来ない場合には、民事訴訟法に基づく法的措置を取られることになります。支払督促予告から、裁判所を通しての督促、最終的には強制執行まで行われるので、強制執行で給料などを差し押さえられることにならないように長期間延滞にならないように気をつけたいところです。また申立をされた場合、未払いの奨学金だけではなく申立のための費用も負担しなければなりません。
1.支払督促予告:延滞が続く場合、延滞していない奨学金も全て一括返還の請求をすると予告がきます。
2.支払督促申立:予告で伝えられた返還期限を過ぎた場合、裁判所に支払督促の申立をされます。
3.仮執行宣言付支払督促申立:督促の申立後にも返還がされない場合、裁判所に仮執行宣言付支払督促の申立をされます。
4.強制執行:上記の申立後にもまだ返還がされない場合、給与や財産を差し押さえる強制執行の手続きが取られます。
奨学金が払えない状態になったらどうすればいい?
災害や傷病、また結婚や出産などのおめでたい事由などでも、多くの費用がかかります。急な支払い事由が発生したり、転職などで給料が下がった場合等、さまざまな原因から奨学金の返還が難しくなり、奨学金を返還できないまま延滞を続けてしまうと最悪の場合には強制執行が行われてしまいます。奨学金の返還が困難な場合には救済措置として分割返済ができる減額返還や返還期日を延ばしてもらえる返還猶予制度などがあるので、延滞金が発生する前に、まず日本学生支援機構に相談してみましょう。今すぐ返還することが難しい時でもその状況に対応できるような条件にあう制度の手続きや申請方法を教えてもらうことが出来ます。
奨学金が払えない場合にはまず相談を!
奨学金が返還できない場合には、日本学生支援機構に返還方法について電話などで相談することが出来ます。返還金額の一時減額や返還期限に猶予をもらえるので、傷病などで給与が入らない時や臨時の費用が発生して奨学金の返還ができない時などでも奨学金の返還救済制度の手続きや申請方法について教えてもらえます。各種手続きには以下のものがあります。
・減額返還:ケガや病気、失業などで奨学金の返還が困難になった場合に、返還金額を一定期間2分の1または3分の1に減額できる制度です。
・返還期限猶予:ケガや病気、失業などの返還困難な状態になった場合に、一定期間返還を待ってもらえる制度です。
・返還免除:本人が死亡、または障害などで働けなくなり、返還が不可能になった場合に、残りの債務の全額または一部を消滅させ返還免除される制度です。
専業主婦の場合は奨学金をどうやって返還するの?
奨学金を借り入れていた人は、高校や大学などを卒業してから就職して自分の給料から償還金の返還をしている場合が一番多くなっています。ただ就職していても派遣社員などで正社員のような正規雇用ではない若者も多く、奨学金という債務を支払うための十分な年収をもらえていないという社会的な問題もあるため、本人が支払いできない奨学金のお金を両親が代わりに返還している場合もあります。専業主婦の場合には、育児や家事のため就職をしておらず自分の収入がない状態なので、両親が奨学金をそのまま返還しているか結婚後に配偶者が返還している場合が多くなっています。
自己破産する人も?奨学金が払えない状況とは?
奨学金は、社会に出てすぐから支払いが始まる高額な借金ともいえます。バブル崩壊後の収入が減った親世代が、高学歴化が進みどんどん金額が高くなっている子供の教育費を支払うことが難しくなったため、卒業後に自分で返せるように奨学金を借りて進学する家庭が増えています。ところが給与の安い派遣社員や契約社員など非正規雇用の仕事が増えたこともあり、本人が卒業後に自分で奨学金を支払うことができず、奨学金のために自己破産をする人もいます。実際に奨学金が卒業までに900万を超える借り入れ額になった場合もあり本人の給料では返還することができず、父親も病気のため親が奨学金を返還する余裕もなく、親子で自己破産を行った人もいます。
奨学金が払えない時の対処方法まとめ
奨学金を借りながら短大、大学などの学校に通っている人が増えています。ところが、雇用状況や収入状況、傷病などさまざまな原因から奨学金を返還する余裕がなく、奨学金を滞納する人も多くなっています。奨学金の返還を滞納するとさまざまなリスクが発生し、保証人など周りの人にも迷惑をかけてしまうことになります。奨学金を延滞することにならないよう、返還が困ったときに対処出来る制度や手続きなどについてまとめてみました。奨学金の返還が難しくなったときの各種対処方法を参考にしてみてください。
奨学金を借りた時の利率は?
有利息の第二種奨学金の利率は二つの種類から選択できるようになっています。利率の種類は第二種奨学金を申請するときに選択します。「利率固定方式」と「利率見直し方式」があり、「利率固定方式」では奨学金貸与終了時の利率が返還時の利率になり完済まで利息は一定です。「利率見直し方式」は銀行の預金利息のように経済状況に合わせて利率が変動し、返還期間中5年ごとに見直された利率が適用されます。どちらも年3%が利率の上限で、短大や大学などへの在学中や返還期限猶予中は無利息となっています。
年金が払えない場合の対処方法は?
失業や傷病等で給料が得られない状況になったなどのやむをえない事情が発生して年金の支払が難しいときには、年金を滞納することにならないように「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きをとることができます。国民年金免除期間中は年金支払金額が2分の1になるので、経済的に厳しい状況でも遅延することなく払える可能性が高くなります。国民年金保険料免除や納付猶予手続きをとった期間は将来の年金の受け取り額が減りますが、