奨学金返済は甘くない!延滞とその対象法

奨学金返済は甘くない!延滞とその対象法

奨学金の返済を延滞すると思ってもみない危険が

奨学金が返済できない人が増えています。奨学金を借りるということはもちろん借金と同じです。借りる時は簡単ですが、返す時の大変さに今まさに直面している人も多いことでしょう。払えないからと見て見ぬふりをしていても、何も解決しません。実際に延滞すると起こる危険を知っていますか?またそれに対する対処法があるのを知っていますか?その危険と対処法に関してお伝えしたいと思います。

 

 

延滞したあなたには何が起きるのか?

奨学金は大きく分けると3種類。「貸与型」「給付型」「新聞奨学生」の3つです。貸与型は『借りる』奨学金で、給付型は「もらう」奨学金、「新聞奨学生」は新聞社の奨学金制度のことです。今社会問題になっているのは、貸与型の奨学金で返済できなくなっている人が増えていることです。奨学金の返済を延滞してしまった場合どうなるのか?1回目から見ていきましょう。では奨学金の返済を<初めて延滞してしまった場合>、どうなるのか?奨学金の返済の引き落としは、毎月27日に行われますので、例えば1月27日の引き落としができなかったとします。
1)2月7日以降に催促の電話がかかってくる。連絡が取れない時は勤務先に電話があることも。その場合、日本学生支援機構側は個人名を名乗り、電話口に本人が出たことを確かめてから内容を話す。(業務委託した債権回収業者からかかる場合もある)※現金を徴収することは絶対にないので注意!
2)2/10前後に『奨学金返還の振り替え不能通知』が郵送される
3)2/17ごろ『個人信用機関への登録について』が郵送される
4)2/27に、1月分と2月分の2ヶ月分が引き落とされる(この時点では延滞金はかからない)
<2回延滞してしまった場合>
翌月27日には3ヶ月分と「延滞金」が引き落とされます。
1)3/7以降に催促の電話がかかってくる。(以後は上記の1)と同じです)
2)3/10以降に『奨学金返還の振替え不能通知』が郵送される
3)3/11以降に連帯保証人に『奨学金の返還について』が郵送される
4)3/17ごろ『※個人信用機関への登録について』が郵送される
5)3/27に3ヶ月分と「延滞金」の合計額が引き落とされる
2回延滞してしまうと連帯保証人にも通知が行くので、前もって連帯保証人には、連絡をしておいた方がいいかもしれません。通知をもらった方は驚かれる方が多いので、こちらから先に話したほうが相手の心構えも違うでしょう。
<3回延滞してしまった場合>
1)4/7以降に催促の電話がかかってくる。(以後は上記の1)と同じです)
2)4/10以降に『奨学金返還の振替え不能通知』が郵送される
3)4/11以降に連帯保証人と保証人に『奨学金の返還について』が郵送される
4)4/17ごろ『個人信用機関への登録について』が郵送される
5)4/27に4ヶ月分と「延滞金」の合計額が引き落とされる
<その後は…>
前項が繰り返され、延滞金も増えていきます。当然奨学金の元本も積み重なっていくので、毎月例えば2万円で済んでいたものが6万円、8万円と多額になっていきます。そして滞納4カ月目からは、回収業務が支援機構から民間の債権回収会社に移ります。更に滞納9ヶ月目になると、法的措置(給料の差し押さえ、貯蓄の解約など)の手続きがとられます。他にも「裁判所への訴訟費用」も請求されるのです。返済の優先順位は訴訟費用⇒延滞金⇒未払い利息⇒元本という順なので、本来一番支払いたい元本にはなかなか行きつけません。すると利息はその間にも増えていきます。「サラ金じゃないんだから1回や2回返済が遅れても大丈夫だろう」などと奨学金返済の延滞を甘く見ていると、とんでもない事態に陥ってしまいます。

 

滞納が続くとブラックリストに載ってしまう

『個人信用機関への登録』についてですが、いわゆる「ブラックリストに載る」ということです。これ以上延滞するとブラックリストにのるよ、と言う警告ですね。具体的には平成25年度に奨学金制度に採用され、大学で4年間貸与を受けたら、平成29年10月返還開始になります。そこから6ヶ月後以降の時点(平成28年4月以降)で、延滞3ヶ月以上の場合に登録されてしまいます。そうなる前に何らかの対処をするべきです。

 

 

奨学金を延滞した場合の利息は何%?

延滞金と利息はどう違うのでしょう?共通しているのは、返済が遅れれば遅れるほど増えていくことです。同じ<増える>でも二つには違いがあります。
・利息:滞納の有無に関わらず、借り手から全額返済し終えるまでの期間に応じて増える。
・延滞金:返済を滞納した時に、滞納した期間に応じて増える。
同じ「貸与型」でも利息の付かない第一種奨学金・利息が付く第二種奨学金のふたつに分かれます。
<第一種奨学金の利息>
〇平成17年3月以前採用の場合=滞納6ヶ月ごとに延滞金が増える。
①平成10年2月以前に貸与が終了して、その後年1回払込用紙で返還している場合:a.滞納してから6ヶ月後が平成26年3月31日までの場合⇒5% b.滞納してから6ヶ月後が平成26年4月1日以降の場合⇒2.5%
②平成10年2月以前に貸与が終了している場合、またはその後口座振替で返還している場合:a.滞納してから6ヶ月後が平成26年3月27日までの場合⇒5% b.滞納してから6ヶ月後が平成26年3月27日までの場合⇒5%
〇平成17年4月以降採用の場合=滞納1日ごとに年率÷365日の日割り計算で延滞金が増える。
a.平成26年3月27日までの場合⇒年10% b.平成26年3月27日までの場合⇒年5%
<第二種奨学金の利息>
①平成10年2月以前に貸与が終了して、その後1回払込用紙で返還している場合:滞納1日ごとに年率÷365日の日割り計算で延滞金が増える。a.平成26年3月31日までの場合⇒年10% b.平成26年4月1日以降の場合⇒年5%
②平成10年3月以降に貸与が終了している場合。またはその後口座振替で返還している場合:a.平成26年3月27日までの場合⇒年10% b.平成26年3月28日までの場合⇒年5%
何だかとても複雑ですが、これは日本学生支援機構が平成27年度から、奨学金の延滞金を安くしたためです。

 

 

減額してもらえる方法はあるの?

全く支払えない訳ではないが、ある程度毎月の支払額を減らしてもらえれば可能、という方は減額返金制度を利用しましょう。これは元本や第二種奨学金でかかる利息分を下げるものではなくあくまで「返済期間を延長する」救済措置です。減額返金制度を利用できる条件はまず「返還期限の猶予制度の条件」をクリアしていなければなりません。その上で次の条件にあてはまることが必要です。
・願出及び審査の時点で延滞がないこと
・口座振替で返済をしていること
・現在の支払い方が月賦の返済方法であること(年払い・半年払いは適用外)
・個人情報の取扱いに関する同意書が提出済みであること

 

 

「今はどうしても返済できない」時に猶予してもらう方法

奨学金の返済が困難になった時に利用できる「返還期限の猶予制度」があります。返済金額の機嫌を伸ばしてもらう制度で、猶予した期間分返済完了が先延ばしになりますが、この制度のメリットは利用期間中に利息がかからず、したがって返済総額も変わらないことです。ただしン願出の時点で延滞している場合はこの制度は利用できません。また猶予期間は通算で10年です。また猶予の申請は毎年必要です。申請に必要な書類は下記のとおりです。
・奨学金返還期限猶予願、チェックシート(ホームページでダウンロード可)
・所得証明書・市県民税証明書・住民税非課税証明書のいずれか1点
この制度により元本や利息は免除されません。

 

返済猶予には条件ある

返済猶予が認められるには、条件があります。
・病気で働くことが困難である
・生活保護を受給中である
・失業中である
・産休、育児休暇が必要
・入学準備中である
・災害に遭遇した
・海外派遣または海外で研究中である
・経済的に困難:会社員などで給与所得300万円以下または自営業で収入ー経費=200万円以下の場合

 

 

奨学金の延滞と住宅ローンの関係

前述したように奨学金の滞納を3ヶ月以上連続していると、ブラックリストに載ってしまいます。このいわゆるブラックリストは個人信用情報機関に滞納者の情報が登録されるということで、この登録が始まったのが平成20年11月からです。これ以前に奨学金契約をしている人たちにも「個人信用情報の取扱いに関する同意書」が、郵送されていますが、現在のところは任意提出のようです。だからといって油断は禁物です。滞納が続けば民事訴訟法に基づいて法的措置をとられてることになるでしょう。ですから奨学金の契約を平成20年11月以降にした人はもちろん、以前の人でも個人信用情報機関に滞納者の情報が登録されていたり法的措置をとられるようなことになれば、ローンを組むことはできません。住宅ローンも例外ではありません。ブラックリストに登録してから、5年~10年は住宅ローンは組めなくなるのです。奨学金も借金のひとつと認識してください。

 

 

最も多い延滞の理由は?奨学金延滞率ランキング

誰しも好きで延滞しているわけではありません。その理由のをランキングにしてみました。
1位:本人の低所得
2位:奨学金の延滞額の増加
3位:本人親の経済困難
4位:本人の借入金返済
5位:本人が失業中

 

 

返済に行き詰まったら弁護士に相談できる

前述したとおり奨学金は借金の一種です。ですから返済猶予制度も減額制度も利用できない、行き詰まったととなったら、法的手段をとるしかないでしょう。その場合のデメリットは「新たに借金ができなくなる」こと。素人ではこの先どうしたらいいかわかりませんし、選択肢を間違えたら大変です。やはりここはプロの弁護士に相談してみることをお勧めします。選択肢の順番は①任意整理⇒②個人再生⇒自己破産となります。どれを選ぶかはあなたのその時の収入や借金の状況次第です。弁護士に手続きを頼めば、もちろん費用がかかりますが、実際自己破産の手続きをするには、素人には難しい手続きや大変な手間がかかるので、弁護士や司法書士である専門家に依頼する場合がほとんどです。

 

 

もしもあなたに奨学金の返済で延滞する不安があったら

もしもあなたに奨学金を延滞するかもしれないという不安が少しでもあったら、できるだけ早めに奨学金の救済制度を利用することを検討してください。1ヶ月延滞すると、当たり前のことですが、翌月に2ヶ月分返済しなければなりません。誰でも毎月の収入と支出はだいたい決まっているでしょう。収入に余裕があればいいのですが、ぎりぎりで返済している人にとっては、それは大きなつまずきになりかねません。減額するか期間の猶予をぜひ検討してください。