ギャンブルの借金を債務整理したいけど、自己破産はできないの?

ギャンブルの借金を債務整理したいけど、自己破産はできないの?

ギャンブルが原因で借金すると債務整理できないって本当?

法的な手続きで借金を減額したり帳消しにする債務整理は、その多くが借金の原因を問いません。しかし、中には借金の原因がギャンブルなどの遊興だと、裁判官から免責(借金を免除してもらうこと)が下りないこともあります。特に、借金の理由が厳しく問われる自己破産の場合には、注意が必要です。

 

 

ギャンブルの影響はどの債務整理をするかによって違う

ギャンブルが原因だと自己破産ができない?

自己破産とは、裁判所に申立てをして免責決定を下してもらうことで、借金の支払義務を免除してもらう手続きのことです。借金がすべて帳消しになるので、手続きした後も月々数万円ずつの返済義務が生じる個人再生や任意整理など、他の債務整理とは性質が違います。自己破産をすると借金を免除してもらえる代わりに、住宅や自動車、預貯金など20万円以上の価値のある財産は、処分して返済に充てる必要があります。自己破産をすると誰でも閲覧が可能な「官報」に自分の個人情報や破産した旨が掲載されるので、他人に破産したことを知られる恐れがあります。また、弁護士や司法書士、税理士などの士業には就くことができません。警備員や保険外交員なども一定期間就業不可になります。また、信用情報機関に事故情報が5~10年間残るため、その間は新たなローンを組んだりクレジットカードを作ることができなくなります。一番のデメリットは債務に保証人が付いていた場合、自己破産をするとすべての返済義務が保証人に移ってしまうことです。保証人が家族や友人だと、迷惑をかけてしまうことになるのです。自己破産には効果が大きいぶん、いくつかの厳しい条件もあります。それが「免責不許可事由」です。自己破産の際は、破産手続きと免責許可を同時に進めますが、免責するかどうかの基準となっているのが免責不許可事由です。以下に該当すると、破産はできても借金が免除されない可能性があります。
・財産を隠し持っていたり、債権者に害を与える目的で財産を減少する。
・特定の債権者にのみ返済したり担保を設定する。
・返済する気もないのに新たな借入をする。
・賭博やショッピングなどの浪費、豪遊行為。
・債権者に嘘をついたり、財産について虚偽の申請をする。
・免責許可を受けているのに、7年以内に再度免責許可申請をする。

 

ギャンブルが原因の借金は自己破産のとき免責不許可事由になる?

上記の例でもわかるように、パチンコやパチスロやスロット、競馬や競艇などで作った借金は免責不許可事由にあたります。では、ギャンブルが理由で自己破産手続きをしても、本当に借金は免除されないのでしょうか?実はギャンブルが原因の借金でも、免責は可能です。何故なら、「裁量免責」が認められるためです。裁量免責とは、「自己破産手続きで、たとえ免責不許可事由にあたる借金があったとしても、全体的な事情により免責を許してもよいと裁判所が判断した場合は、裁量によって免責を認めることができる」という制度です。通常は、よほど酷い行いがない限り、1回目の自己破産なら借金の原因にパチンコなどのギャンブルがあっても、免責が下りると思ってよいでしょう。ですので、賭博で借金したからといって、自己破産を諦める必要はないのです。ただし、2回目以降の自己破産の原因にもギャンブルがある場合は、免責が下りない可能性が高いといえます。一度ギャンブルが原因の借金で自己破産をして、7年以内に再度ギャンブルが理由で自己破産を申立てた場合、審査は1度目よりずっと厳しくなり、免責を受けることは難しくなります。

 

ギャンブルが原因の借金でも個人再生はできる?

個人再生とは、借金を大幅に減額してもらい(5分の1ほど)、原則として3年間で完済を目指す債務整理手続き方法です。手続きから住宅ローンを外すことができるので、マイホームを手放さずに住宅ローンを支払いながら債務整理ができます。個人再生のメリットのひとつに、借金の理由が問われないことが挙げられます。個人再生なら、ギャンブルやショッピングや海外旅行や飲み代で作った借金でも、理由に関係なく手続きが可能です。また、職業の制限がないため、資格職に就いているかたは個人再生を選ぶのがよいでしょう。個人再生のデメリットは、条件が厳しいことにあります。個人再生は自己破産と違って、借金が帳消しにはなりません。住宅ローン以外の借金は3年間で返済していかなければならないため、一定の継続した収入がある人のみ利用可能な方法だといえるでしょう。住宅ローンは減額されないので、住宅ローン自体の返済に困っているかたには不向きです。また、住宅ローンを除いた借金が5000万円以下でなければ利用できません。個人再生は、自己破産と同様に、官報に個人情報が掲載されます。さらに、事故情報が残るため、5年~10年間は新たなローンが組めなくなります。

 

ギャンブルが原因の借金でも任意整理はできる?

任意整理とは、貸し手である債権者と借り手である債務者が、任意によって話し合いをして借金の減額などについて取り決める手続き方法です。任意整理が決定すると、今後支払う予定の利息はすべてカットされます。また、借金を利息制限法で計算し直すので、その際に利息を多く払いすぎていたことが発覚すると、過払い金返還請求をすると返してもらえます。任意整理も個人再生と同じく、借金の理由は問われません。制限も少なく裁判所を通さなくても手続きできる気軽さから、債務整理の中でも利用する人が多い方法となっています。しかし、やはり借金が全部無くなるわけではないので、返済能力のある人に限られています。さらに、過払い金の返還を渋る業者が相手だと、なかなか合意に達しないケースもあります。特に、借金した本人が任意整理を願い出ても、交渉に応じてくれないことがほとんどといってよいでしょう。官報には載りませんがブラックリストには載るため、5~7年間はキャッシングをしたりクレジットカードを作ることもできません。

 

 

ギャンブルが原因の借金を解決するには専門家へ

債務整理には、専門的な知識と高い交渉力が必要となります。そのため、債務整理手続きは弁護士や司法書士の先生に依頼するのが一般的です。ギャンブルが原因で借金をした場合、他人に借金相談するのに気が引けると感じるかたもいらっしゃるでしょう。しかし、借金問題を扱っている弁護士や司法書士は人のトラブルを解決するプロなので、相談の際には必ず秘密を守ってくれますし解決方法を一緒に考えてくれます。もしどうしてもギャンブルがやめられない場合は、専門医や自助グループを紹介してくれます。ギャンブル依存症は、治療可能な心の病気として認知されはじめています。まずは、気軽に無料相談を利用してみましょう。弁護士事務所のウェブサイトでは、ネットでの借金相談に応じてくれます。いくつかの事務所に無料で相談して、自分の話を親身に聞いてくれる先生を選びましょう。費用を心配するかたもいますが、借金相談をする人はお金に困っていることなど最初からわかっているため、ほとんどの法律事務所が分割払いに対応してくれます。専門家に依頼して受任通知が送られると、しつこかった督促はピタリとやみます。専門家に自分の問題を打ち明けることで、精神的な負担も減ってずっと楽になるはずです。まずは弁護士の知恵を借りて、人生のやり直しを検討しましょう。