債権譲渡通知とは?内容証明郵便が届いたときの対応方法

債権譲渡通知とは?内容証明郵便が届いたときの対応方法

債権譲渡通知書が届いても放置で問題ない?

債権譲渡通知書とは、債権者が債権を第三者に譲渡したことを知らせる書面で、そのほとんどは内容証明郵便で送られてきます。

 

ここでは、あまり身近にはない債権譲渡通知書が届いたときの対処法や法律上の取り決めなどを分かりやすく解説していきます。

 

 

債権譲渡通知書とはいったい何なの?

読んで字のごとく、債権を持つものがその債権をよそへ譲渡しましたと知らせてくる書面で、消費者金融やクレジットカード会社などが返済が滞って回収が難しくなった債権を、回収を専門とする債権回収会社(サービサー)へ譲渡するケースが一般的です。債権を譲渡したためにこれからの返済相手が変わります、あなたが負う債務の相手が変わりますと通知してきた書類なのです。更改といって契約を結びなおして債権者の変更するものとちがい、債権譲渡は当該債権の元々の内容を損なうことなく債権者を変更できるものです。

 

なぜあなた宛てに債権譲渡通知書が届いたのか

債権譲渡通知書が届くということはあなたに対する債権が今現在でも残っており、その債権を債権回収会社に譲渡したので、今後はその債権回収会社があなたに対する債権を回収しますという意味になります。債権回収会社は債権の取り立てのプロであり、債権譲渡通知書が届いたということはさっそくその債権の回収業務を開始しますということです。債権回収会社は法務大臣により許可された特定金融債権の管理や回収を行う株式会社(法人)ですので強引な取り立てなどは行いませんが、債権譲渡が行われるということは一定の期間以上の滞納があり、それにつれて延滞金も相当膨らんでいる可能性があります。さらに滞納しているために一括返済を迫られる可能性が高く、訴訟といった裁判による手続きによってその債権の回収を迅速に行う可能性は否定できません。

 

 

債権譲渡通知書が届いた時には必ず確認を!

債権譲渡通知書は法律の規定に則った書類ですし、効力も当然ながら有しています。しかしその有効性を逆手に取るかのような詐欺が横行しているのもまた事実です。特に注意していただきたいのが、書類の差出人が誰なのかという点です。債権譲渡通知書は債権を有しているものが債権者に対して、有している債権を第三者に譲渡したことを通知する書面です。なので差出人は元々債権を持っていたものです。消費者金融でお金で借りていて、その債権が消費者金融から債権回収会社に移すことを通知してくるのですから、差出人は当然あなたがお金を借りた相手である消費者金融です。差出人が債権を譲り受けたものであったり、借金をしたこともない業者の名前である場合は架空請求や詐欺の可能性が非常に高いのです。また重要な通知であるため内容証明郵便で送付されることが一般的です。ハガキや普通の手紙で送ってくることはほとんどなく、内容証明で届いていなければ本物なのか疑ってみる必要があります。

 

 

債権譲渡の承諾をすぐに行ってはいけません!

あなたに対しての債権(借金)を譲り受けましたと通知が来たとします。そしてあなたはそのことを承諾(回答)しました。でもよく考えたらあなたはその借金の返済は終了している(弁済)ので、承諾はしたものの返済を拒否ましたがそれが通りませんでした。実は元の債権者(譲渡人)が騙して弁済済みの債権を譲渡したのでした。新しい債権者は(譲受人)はそのことを知らない善意の第三者(事情を知らない人)だとします。すると無かったはずの債権・債務が発生してしまう、つまりは新しい債権者に対してあなたは債務を弁済する義務を負ってしまうのです。漠然と承諾してしまったことが原因なのです。これが住宅や土地など不動産ならば登記によって記録することで防ぐことができるのですが債権には登記や届出といった制度がなく、たとえ架空の債権だとしても承諾すれば善意の第三者の権利は保護されるために返済しなければならなくなるのです。このように承諾をすぐしてしまうのは危険を伴うことなのです。

 

債権譲渡が成立する条件を見てみましょう

債権は物権のように移転することができますが、債権譲渡が成立するための条件を見ていきましょう。債権を持つものを消費者金融とし譲渡されるものを債権回収会社とします。消費者金融は債権回収のめどが立たないので債権を債権回収会社に売却して譲渡されました。そして債務者のもとへ債権譲渡通知が行われる手順となっていました。つまり債権を持っていたもの(譲渡人)と債権を譲り受けるもの(譲受人)との間で合意すれば、原則として債権譲渡(債権の帰属)は成立します。そして債務者の承諾は必要がないのです。ただし債権者と債務者との間で債権の譲渡を禁止する特約が結ばれているといった事由がある場合には、譲渡人と譲受人の合意のみでは成立しません。

 

債権譲渡に対して対抗するための要件を知ろう

対抗要件とは、成立した契約など法律関係を当事者以外のものに対抗できるための要件をいいます。民法467条には次のような条文が書かれています。1、 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ債務者その他の第三者に対抗することができない。2、前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ債務者以外の第三者に対抗することができない。まず1ですが、債権を譲渡する場合には譲渡するものが債務者に通知を行います。これが債権譲渡通知にあたります。または債権の譲渡により債権者が変わったことを債務者が承諾します。このどちらかの行為を行った債権者は、私が本当は債権を持っているのだと主張する第三者に対して対抗できるのだという規定です。譲渡人と受渡人の間の合意が書面ではなく口頭であったり、債権譲渡通知書ではなく譲渡人から債務者への通知が口頭で行われた場合、実は問題なく認められるのです。ただし民法の条文の2には確定日付のある証書が無ければ対抗はできないとなっています。契約だけを考えれば口頭でも有効となるのですが、先ほどの私が債権を持っているのだと主張する第三者に対しては対抗できず、その第三者のほうが有利になるのです。対抗するためには確定日付のある証書が必要となっていますが、確定日付は公正証書や登記所または公証人役場で作成した書類のほかに、内容証明郵便が確定日付のある証書であると民法施工法に定められています。債権譲渡通知書や債務者の承諾が内容証明郵便以外で送付されると確定日付がないために対抗ができなくなるのです。なお確定日付の優劣は最高裁の判例で到達時を基準としています。

 

 

債権譲渡通知が届いたらどうするべきか

債権譲渡通知とは債権を譲渡したことを通知するもので、金融業者が債権を回収業者に譲渡するケースが多いです。債権譲渡の成立条件や対抗要件など難しいですが自身で知識として持つ必要はあります。債権譲渡されるということは借金がかさんで支払いが難しいことも多く、消滅時効の援用・過払い金の返還・任意整理・個人再生・自己破産を検討することも含めて、弁護士や司法書士に依頼したり行政など公的機関に相談することが解決の近道になるかもしれません。