内容証明郵便を受取拒否したら何が起きるのか?

内容証明郵便を受取拒否したら何が起きるのか?

内容証明郵便を受け取らないと大問題に発展するかも

あなたや家族宛に内容証明郵便が送付されたとき、よくわからないからと受け取り拒否をしたらどうなるのでしょうか?

 

この記事では、内容証明郵便とはどんな郵便物なのか、受取拒否をするとどういう結果になるのかについての知識を詳しく説明しています。
正しい対応をしなければ訴訟などの裁判沙汰になりかねない内容証明郵便の取扱いや手続きについて、さっそく見てゆきましょう。

 

 

内容証明郵便とはどのようなものなのか?

内容証明郵便とは「いつ・どんな内容の文書を・誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明する郵便」です(参考:郵便局ホームページ)。謄本とは内容文書の写しのことで、差出人と差出郵便局が保管します。書留郵便との違いは、書留郵便では郵便物が配達されるまでの記録が残るだけで内容を証明することができないという点です。内容証明郵便には内容と差し出した日時を記録した証拠としての効力や、差し出した相手に心理的な圧力を与える効果があるため、契約の解除やクーリングオフなどの契約関係のほか、離婚での慰謝料や養育費および損害賠償などの請求関係、債権の放棄や時効の中断などの債権回収の送達にしばしば用いられます。一般的によくみられる内容証明郵便としては支払督促状が挙げられ、これをうっかり放置してしまってトラブルになることは珍しいことではありません。

 

 

内容証明郵便の受け取り拒否で起きる問題は?

内容証明郵便の受け取りを拒否すると、どんな問題が起きるのでしょうか?実はあなたが受取を拒否してもしなくても結果は同じものとなります。どういうことかというと、内容証明郵便は受取人が受け取りを拒否しても、その段階でもう「到達」したという取扱いになってしまうからなのです。つまり受取人が受け取りを拒否して郵便物が返送されていても法律的には相手に到達したものとされるので、受け取りを拒否しても意味がないということになるのです。しかし内容証明郵便を受取拒否すれば書面の内容を知らない状態で到達扱いとなるので、あなたにとって不利なことになるという点で問題があるといえます。

 

 

長期不在で受け取れなかったケースの判例は?

内容証明郵便は郵便受けに配達しておしまいではなく、受取人に手渡して受領印をもらわなければ配達したことにはなりません。相手が不在だった場合には不在者通知書を投函してその郵便物はいったん持ち帰ることになります。その後相手が不在者通知書を見落としてしまったり、受け取りに行かなかったりして再配達の期限を経過してしまった場合には差出人のところに転送されることになるのです。このような場合内容証明の郵便は相手に到達したことにはなりません。ところが実際の判決には、不在の場合でも受取り拒否とみなして到達したと認定された判例と、到達していないと認定した判例の両方があるため結果がどうなるのかを予測することは難しいのです。

 

 

内容証明郵便は受け取り拒否しても届いたことになる?

内容証明郵便は受取拒否でも届いたことになる理由は、民法97条に示されています。内容証明郵便によって示された意思表示は相手方に到達した時から効力が生じるのです。意思表示とは,一定の法的な効果が発生することを意図しているという意思を表示する行為のことです。このような意思表示は、相手方に到達しなければ効力はありません。これを到達主義(民法97条1項)といいます。注意したい点は「到達」とは相手がその意思表示された通知を受け取ったり内容を閲覧したりしたときではないということです。受取人が受け取り拒否をしたということは、その通知の存在を了知し得る状態にあったということになります。このような状態にあれば受取人に到着したことになるとされているのが、内容証明の意思表示なのです。

 

受取人本人でなく家族の受け取り拒否はどうなる?

内容証明は配達員が手渡しで配達しますが、郵便物に記載された受取人本人でなければ受け取れないものではありません。同じ住所に住んでいれば、家族や同居人でも受け取れるのです。同じように受取人本人以外の家族や同居人が受け取り拒否をした場合も、本人が拒否したことになってしまいます。したがって、先ほど説明した意思表示の到達が成り立つのです。実際に、受取人不在で連絡が取れないことを理由に内縁の妻が受け取り拒否をしたケースで、内縁の妻による受取拒否の時点で到達したとする判例があります。

 

 

内容証明郵便の書式には規定がある

内容証明郵便は普通の手紙と違って書き方に規定があります。このルールに反していると受理してもらえません。ここからは正しい内容証明郵便の書き方を説明しましょう。
・用紙
使用する用紙の種類やサイズには特に決まりがありません。
・枚数
何枚書いてもOKですが、複数枚にわたる場合にはホチキスで綴じたうえ、ページの繋ぎ目のすべてに割印を捺さなければなりません。
・用紙1枚あたりの文字数
1行あたりの文字数や1枚あたりの行数について、制限が設けられています。
縦書きの場合:
1行に20字以内、1枚につき26行以内
横書きの場合:
1行に26字以内、1枚につき20行以内
1行に13字以内、1枚につき40行以内
1行に20字以内、1枚につき26行以内
・文中で使用できる文字
文中で使用できる文字には次のような制限があります。
ひらがな・カタカナ・漢字・数字・一般的な記号・句読点
アルファベットは人名・地名・会社名・商品名などの固有名詞でのみ使用可能
記号や句読点は1字として数えますが、「」(かっこ)は合わせて1字として数えます。
① や(1)は2文字として数えますが、文中で序列を示す場合には1文字として扱います。
・タイトル
なくても構いませんが、「通知書」「催告書」などと書かれたものが多いようです。
・差出人と受取人の住所・氏名
差出人と受取人の住所・氏名は必ず記載しなければなりません。原則として、受取人が個人であれば自宅住所、法人であれば本店の住所宛に送ります。
・必要な費用
基本料金+一般書留の加算料金(430円)+内容証明の加算料金(430円・2枚目以降は260円増)となります。
注意したいのは、内容証明郵便では「相手に差し出すもの」「郵便局の保管用」「差出人の控え」と、同じものを3通作らなければならないことです。手書きの場合なら同じ内容3通書かなくてもカーボンやコピーでも大丈夫です。パソコンで作成すれば3部印刷すればすむので簡単です。また内容証明郵便には資料などの手紙以外のものは同封できません。内容を訂正するには書き損じた部分を二重線で消し、そこに正しい文字を書き加えてください。訂正後に欄外が文末に余白に「○行目○字削除、○字加入」などと書き込み、差出人欄にと同じ印鑑を捺します。内容証明郵便に必須の記載事項は、年月日と差出人・受取人の氏名と住所です。一般的に縦書きの場合には、本文の後に「年月日」「差出人の住所・氏名・印鑑」「受取人の住所・氏名」。横書きの場合には、本文の前に「年月日」「受取人の住所・氏名」「差出人の住所・氏名・印鑑」の順で書きます。

 

 

内容証明郵便は受け取り拒否しないのがおすすめ

内容証明郵便が届いたら、受取拒否をするのは得策ではありません。家族や同居人に頼んで受取拒否をしても同じことです。また留守中に不在者通知が投函されていたら、やはり再配達を依頼するか郵便局まで出向いて受け取ることをおすすめします。内容証明郵便は、できるだけ速やかに受け取って問題を解決することが最も安全だといえます。内容を知らないまま、ある日突然裁判所から呼び出しを受けることになるよりはよほど身のためなのです。よくわからないときには、弁護士や司法・行政書士事務所に連絡して問い合せするとよいでしょう。