公共料金の滞納で電気・ガス・水道は止まる?ローンに影響出る?

公共料金の滞納で電気・ガス・水道は止まる?ローンに影響出る?

公共料金は少々滞納しても止められない

電気・ガス・水道といった公共料金ですが、少々延滞しても止められる心配はないとよくいわれます。
ライフラインというほど生きていくためには必要な設備ですので、すぐに止められることはないのです。

 

では実際にはどのくらいの延滞によって止められてしまうのでしょうか。

 

そのほかにも、
・公共料金の延滞で、カードローンや住宅ローンの審査に通らなくなる?
・前の家で公共料金を払っていなかったけど、入居審査で影響は出る?
・公共料金には「時効」ってあるの?
など、公共料金に関するな疑問ついて説明していきます。

 

 

公共料金を滞納して止められるまでの期間をみてみよう

公共料金を滞納してもすぐに止められることはありません。人が生きていくうえで必ず必要な設備だからです。しかし、いつまでも止められないわけではありません。電気は検針日の30日後が支払日となっていますが、支払日の20日目以降に止められます。この場合でも送電停止のお知らせが郵送されてからですので、電力会社によってはさらに1週間ほどの猶予があるようです。水道は本来の納付期限の1カ月半から4カ月後に止められるようで、自治体による差が大きいようです。ガスは電気と同様で検針日の30日後が支払日で、支払日の20日目以降に止められるようです。なお電気は完全に止められてしまうのではなく、100Wの電球を灯すことができる1A程度の通電は確保しておくようです。

 

電気・ガス・水道を止められた体験談をみてみよう

電気の体験談では、先月支払い分の電気料金が未納のため来月11日までに支払うように、そして未納の場合には15日に電気を止めるとの通知。11日になっても支払わなかったが電気は止められず、今度は16日までの期限と18日に停電との通知。16日までに支払わなかったがまた止められず、今度は19日が期限で20日に停電との通知。19日までに支払わなかったら、今度は20日に本当に電気が止められた。数日後に振込用紙でコンビニ支払いを行うと、東京電力の遠隔操作により1時間程度で電気が復旧したそうです。ガスの体験談では、料金滞納から1か月後に先月分を今月14日までに支払うように通知を受ける。この時に今月分を支払わずに先月分だけ支払えば、閉栓は1カ月延びるそうです。先月分を期限までに支払わなければ、翌15日に止められます。滞納した料金をコンビニで支払えば、ガス会社の社員が自宅に来てガス栓を開く作業を行うことで解決したそうです。水道の体験談では、支払期限を過ぎると10日後くらいに督促状が送付されてきます。ただし次回の支払期限が書いてある程度のものです。この期限にも支払えなかった場合には再び督促状が送られてきます。この期限を過ぎても支払わなかった場合、家に水道局員が訪ねてきて給水停止予告書をおいていき、そこには最終支払期限が書いてありその期日を過ぎると2営業日以降に給水停止となるそうです。水道が止められると閉栓完了通知が投函されます。また閉栓に来た職員にコンビニなどで料金を払った領収書を見せると、止められずに済むようです。

 

 

公共料金の滞納が信用情報に登録されてブラックになる

クレジットカードやカードローンなどを滞納すると信用情報に傷がつき、このことをブラックリストになるなどとよく言われます。公共料金である電気・ガス・水道の料金を延滞したときにもブラックリストに載るのでしょうか。信用情報会社であるCICなどは、住所や氏名、勤務先のほかローンなどの割賦販売の支払い状況を登録している会社です。ところがこれらの公共料金は割賦販売やローンではありませんので、延滞したことが信用情報会社(CIC)に登録されることはありません。これらの公共料金を滞納してもブラックリストには掲載されません。

 

カード払いで公共料金を払っていて滞納するとブラックに

公共料金を払込票で支払っていたり銀行口座引き落としで支払っている場合、滞納しても信用情報会社に登録されてブラックになることはありません。ところがカード払いの場合は、公共料金を含めてカードの返済が滞った場合には信用情報会社に登録されます。そして滞納が続けばブラックリストとなってしまうのです。公共料金をカードで支払うということは、カード会社が公共料金を支払って、そのカードの利用料金をあなたが支払う形になるのです。間接的ですが、公共料金をカード払いで支払っていて滞納した場合には、ブラックリストに掲載されることがあるのです。

 

 

公共料金を滞納するとローンの審査に通らないのか

カードローンや住宅ローンの審査に通らないとき、数カ月前の電気代の滞納が影響しているのではないかと勘繰ってしまうこともあるでしょう。ローンの審査においては、信用情報会社の個人情報を参照して審査の合否の判断の一つとしています。電気やガスなどの料金を滞納した場合ですが、口座振替や払込票で支払っている場合には個人情報に記録されないので、ローンの審査には関係がありません。ただし公共料金をカード払いしている場合に、カードの利用料金を滞納すれば審査には多大な影響を及ぼします。カード払いでなければ、公共料金の延滞が原因でローンの審査に通らないということはありません。

 

 

公共料金の滞納分を時効で逃れることは可能なのか

電気・ガス・水道といった料金は、使用分に対する対価であり事業者や自治体からみれば債権になります。債権には消滅時効があり、電気・ガス・水道料金の未払い分に対しても時効が適用されます。以前の民法では電気・ガス・上水道の消滅時効は2年、下水道は5年で時効を迎えるとなっていましたが、民法の改正によりこれらの公共料金の時効は5年で成立することになりました。この時効の5年ですが、最後に料金を支払った日を起算日として数えます。つまり最後に料金を支払ってから5年が経過すれば消滅時効が成立することになります。ただし時効は援用といって、債権者に対して(今回の場合は電力会社やガス会社)時効が成立したので支払いませんと申立てなければいけません。援用をしなければ5年以上が経過しても債権者から請求されることになります。ただし下水道料金については時効援用は必要がないとされていますが、上下水道の料金を合わせて水道局から請求されるため、一括して水道局に対して時効の援用を申し出ることになります。

 

公共料金の時効が認められない時効中断事由とは

消滅時効には時効の進行が止まって日数の計算を一からやり直す時効の中断があります。時効の中断事由には裁判上の請求、裁判外の請求である催告(催告のあと6カ月以内に訴訟や支払督促を行わなければ時効の中断とはならない)、差押えや仮差押え処分や仮処分、債務の承認があります。公共料金の時効中断事由として多いのは債務の承認です。公共料金の未払いがありますと、債権者である電力会社やガス会社などに認めてしまうとそれまでの時効の経過をリセットして、その認めた日から時効が新たに進行するのです。たとえば水道局が一括での返済が難しければ分割で払ってくださいといわれて応じるとか、6年前の1カ月分でも収めてくれれば開栓するといわれて支払うなど、こういった行為が債務の承認にあたるとして時効中断事由になるのです。

 

 

公共料金の滞納があると入居審査に影響がでるのか

公共料金を滞納したからといって、どこかの情報機関にそのことが登録されるようなことはありません。電力会社やガス会社内のデータであったり、水道局を管轄する自治体のデータには記録されていると思われますが、他の会社などからその情報を確認することはできません。つまり不動産屋をはじめ家賃保証会社や大家が公共料金の滞納を知ることはできません。ですので公共料金の滞納が入居審査に影響を与えることはりません。ただし、公共料金をカード払いにしていて、カードの利用料金を滞納した場合には信用情報機関に登録されます。そして家賃保証会社の中には信販系の会社があり、入居審査で個人信用情報を参照します。つまりクレジットカードでの支払いに滞納があり、家賃保証会社が信販系の場合には多大な影響がでることがあります。

 

賃貸物件の入居審査で重視されるのはここです

家を借りるときに最も重視されるのは、家賃を毎月きちんと支払う能力があるのかということです。このために勤務先と勤続年数や年収が最も重視されるのです。ついで連帯保証人の返済能力や転居の理由があげられます。家賃や公共料金の滞納が理由で転居する場合、バレればもちろん入居審査は落とされます。家賃滞納者のデータを共有する全国賃貸保証業協会などいくつかの機関があり、家賃保証会社はどこかの機関に属しています。このため家賃の滞納をして家賃保証会社が代位弁済した場合、転居先の家賃保証会社が前回代位弁済した家賃保証会社と同じ機関に属しておれば、審査では落とされるでしょう。ただし公共料金の延滞履歴についてはデータは共有されていません。そして家賃保証会社が信販系の場合には、個人信用情報を入居審査としてたいへん重視しています。カードやローンの滞納があるいわゆるブラックの状態になっていると、信販系の家賃保証会社が入居審査で落とすことは目に見えています。公共料金をカード払いにしていてカード利用料を滞納したことがある場合には、信販系の家賃保証会社の入居審査では確実に落とされます。ただし信販系ではない家賃保証会社は個人信用情報を参照できませんので、ブラックであることが入居審査に直接影響することはありません。

 

 

滞納している公共料金があるけど転居は可能なのか

公共料金を滞納したまま転居する、いってみれば公共料金の踏み倒しですが転居自体は可能です。転居先で電気・ガス・水道が使えるのかについては、転居した先がどこなのかによります。同じ市内での転居の場合、電気・ガス・水道のすべてが同じ事業者であることが多く、未払い情報があれば新たな契約は難しいです。それまで住んでいた地域を管轄する電気・ガス・水道の事業者とは違う地域へ転居すれば、転居先ではふつうに使用することができます。ただし、転居先を調べて請求書が送られてくることが多く、また転居したからといってそれまでの延滞料金がチャラにはなりません。

 

 

滞納した公共料金を支払う方法と分割払いの可否について

公共料金を滞納している場合、支払いを求めるお願いの手紙とともに振込用紙が同封されていることが大半です。この振込用紙を使って金融機関や、コンビニ払いに対応していればコンビニで支払うことで清算できます。また営業所などの窓口での支払いができる事業者もあります。滞納した料金は一括での支払いが原則です。電気料金に関しては分割での支払いを認めていない事業者が大半ですが、まずは相談してみることをおすすめします。ガス料金の分割払いですが、電気と同じく滞納分の分割払いには応じていません。滞納分を一括で支払わなければ開栓にも応じないようです。水道料金の滞納分の分割払いですが、基本的には一括での支払いを求められますが、多くの水道事業者では分割での支払いに応じてくれます。ただし、分割払いに応じるかわりに誓約書や支払計画書といった書類の提出を求められる事業者もあります。

 

 

公共料金を滞納するといつ止められどのような影響がでるのか

電気・ガス・水道といったライフラインと呼ばれる公共料金は、滞納したところですぐに止められたりはしないといわれています。たしかにある程度の期間は待ってくれるようですが、電気やガスは50日程度、水道は1カ月半から4カ月程度では止められないようです。これらの公共料金を滞納してもローンなどではないために、個人信用情報に記載されることはなく、他のローンの審査には影響しません。ただし公共料金をカードで払いにしていて、そのカードの利用料を滞納すれば個人信用情報に登録されて、ローンの審査に影響が出てきます。また公共料金といえども債権ですので、時効の援用により支払いから逃れることも可能です。

 

 

公共料金が払えない場合には生活福祉資金貸付を利用する

国が行っている福祉の一環で生活福祉資金貸付制度というものがあります。低所得者世帯や障害者世帯、高齢者世帯がその対象で、連帯保証人を立てられれば無利子、連帯保証人を立てられない場合は年1.5%という低利で融資が受けられます。滞納している公共料金の建て替え費用としては、最大で60万円まで借りることができます。居住地にある市区町村社会福祉協議会で受付を行っています。

 

 

国民健康保険料を滞納すると病院にはかかれない

国民健康保険料を滞納した場合ですが、いま手元に保険証があれば今まで通り3割負担で病院の受診ができます。保険証の更新時期に滞納している場合、普通の健康保険証ではなく短期被保険者証という3~6カ月間有効の保険証の交付を受けます。短期被保険者証でも従来通り3割負担で病院を受診することができます。ただし、有効期間が短いために頻繁に役所へ行って保険証の交換を行わねばならず、さらにそのたびに滞納のことについて聞かれますので、かなりのプレッシャーを感じることでしょう。短期被保険者証の交付を受けて1年程度が過ぎると、被保険者資格証明書という証明書が交付されます。国民健康保険に加入していることを証明するだけで、病院では10割負担となります。