期限の利益の喪失通知が届いた!これって何?

期限の利益の喪失通知が届いた!これって何?

借り入れをするなら知っておきたい期限の利益

お金を借りようとしている人や借りている人は、期限の利益について知っておきましょう。

 

期限の利益は誰のためのものかというと、主にお金を借りる側の人にとっての利益です。
ですので、期限の利益の喪失というと、お金を借りている人にとって不利益が生じるということです。

 

というわけで、今回は期限の利益の喪失について詳しく解説していきたいと思います。

 

 

期限の利益とは?

「期限の利益」という言葉を聞いたことがありますか?期限の利益とは、お金を借りる人(債務者)が定められた期限まではお金を返さなくてもよいという利益のことをいいます。逆に、お金を貸す人(債権者)にとっては、期限までは利息を得ることができるという利益のことをいっています。金融会社との金銭消費貸借契約書などに記載されているので、目にしたことはあるのではないでしょうか。そして、期限の利益の喪失については、民法第137条にもはっきりと定めがあります。

 

期限の利益損失条項について詳しく教えて!

第137条(期限の利益の喪失)
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
(1)債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
(2)債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
(3)債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
つまり、一定の喪失事由により期限の利益を失ってしまい、債務者が期限の利益を主張することができないということは、債権者にとってはすぐに返済を求めることができるということでもあります。この条文に示されている喪失事由は、あくまでも典型的なものだけですので、契約書には実態に合った明確な喪失事由を定めて記載しておく必要があります。また、期限の利益の喪失によって、自動的に期限が到来するという意味ではありませんので、契約書には期限の利益を喪失した場合には契約を解除できる等の条項が入っているのが一般的です。

 

 

期限の利益を喪失すると通知が届くってホント?

期限の利益を喪失すると、債権者から期限の利益喪失通知が届きます。たいていの場合、内容証明郵便で届くことが多いです。では、契約書に定められている期限の利益が喪失するケースにはどのようなものがあるのか、期限の利益を喪失したら分割返済はどうなるのか、期限の利益を喪失しないためにはどうしたらよいのかといったところを、詳しく見ていきましょう。

 

期限の利益が喪失するケース

期限の利益が喪失するケースは、民法第137条に記載されているものだけでなく、契約書に明記されています。たいていの金銭消費貸借契約書には、以下のようなケースで期限の利益が喪失すると記載されているはずです。
・返済日までにお金を返さなかった場合
・契約内容に違反した場合
・契約内容に虚偽があった場合
・自己破産や民事再生手続きを開始した場合
・弁護士に債務整理を依頼した場合

 

期限の利益を喪失すると一括返済しなければいけないの?

期限の利益を喪失した場合には、それまで分割返済していたものを債権者は一括返済するよう求めることができます。喪失事由に該当した場合に、直ちに期限の利益が喪失する当然喪失と、債権者の請求により喪失する請求喪失があり、これも契約書に定められているはずです。契約書の定めに従って、債権者は期限の利益が喪失したら一括返済を求めることができるというわけです。ただ、契約書で当然喪失を定めていても、実務上は、請求喪失同様の債権回収がすすめられるケースがほとんどです。

 

期限の利益を喪失しないためには?

では、期限の利益を喪失しないためにはどうしたらよいのでしょうか?通常、期限の利益喪失通知書には、指定した期限までに支払わない場合に期限の利益を喪失しますよという、最後通告が記載されているはずです。通知書に記載された期限までに支払いをすれば、期限の利益を喪失しなくて済みます。どうしても支払えない場合は、債権者へ連絡をして支払い方法について相談しましょう。相談する際には、いつまでにいくらの支払いができるのか具体的に支払い計画を示す方が有効的です。

 

 

債権譲渡されたら期限の利益喪失日はどうなるの?

債権譲渡されたとしても、期限の利益喪失日は変わりません。債権譲渡されると通知が来るはずですので、債権譲渡通知書を確認してみてください。期限の利益喪失日が記載されているはずです。

 

 

期限の利益の喪失について理解は深まりましたか?

今回は、金銭消費貸借契約書の中でも重要な条項となる、期限の利益の喪失について解説しました。期限の利益というのは主に債務者にとっての利益のことをいい、これがなければそもそも分割返済はできません。期限の利益の扱いを契約書上で明らかにすることは、債権者にとっても債務者にとっても重要です。お金を借りているけれど期限の利益の喪失に関する条項なんて知らないわという方は、今一度契約書を確認してみて下さい。