家族に借金が!家族の借金は肩代わりしなきゃいけないの?
原則、家族の借金に返済義務はなし でも例外が!
家族の借金をあなたが代わって返済しなければならないという法的な義務は一切ありません。ただし、いくつかの例外に当てはまる場合は、返済義務が発生します。この点を知っておかなければ、身に覚えのない借金をかぶるハメになります。しかし、知識さえあれば返済義務を免れることができるケースもあるのです。
家族の借金を肩代わりすべき3つのケースとは?
基本的には家族の借金に対して返済義務はありませんが、以下の3つのケースは例外で、返済義務が発生します。その例外とは、
①借金の保証人または連帯保証人になっている場合
②未成年である借主の法定代理人になっている場合
③借金を持つ家族が亡くなり、自分が相続人である場合
あなたがこれら3つに当てはまっていれば、家族の借金を肩代わりしなければならなくなるのです。これらについて詳しくみてゆきましょう。
①保証人または連帯保証人になっていれば、返済義務から免れることはできません。まさしく地獄の底まで付いてきます。たとえ恩義のある相手であっても、夫婦・兄弟であっても、保証人・連帯保証人にはならないことです。②あなたが未成年者である借主の法定代理人になっている場合も、返済義務を背負うことになります。この場合、債務は未成年者である子供ではなく、親であるあなた自身に発生するのです。③については、後ほど詳しく説明しています。
保証人と連帯保証人どこがどう違うの?
保証人と連帯保証人の違いをご存知でしょうか?字面だけみれば、大した違いがないように見えるかもしれませんね。詳しくみてゆきましょう。あなたが家族の借金の保証人になっている場合、家族が借金を返済できなくなれば、保証人であるあなたに支払義務が発生します。しかし、支払いの優先順位は借主が先です。貸主があなたに返済を迫ってきたとしても、先に借主に請求したり(民法・催告の抗弁権)、財産の差し押さえをするように(民法・検索の抗弁権)、貸主に対して要求したりすることができるのです。一方、あなたが家族の連帯保証人になっている場合、あなたは家族と連帯して支払義務を負わなければなりません。連帯保証人には催告の抗弁権も検索の抗弁権もなく、貸主から返済の請求があれば、拒否することはできないのです。このように、連帯保証人は保証人よりも責任がはるかに重いのです。「保証人・連帯保証人だけにはなるな」とよく言われているのは、このような理由からなのです。
家族が勝手に!身に覚えのない保証人にされたらどうする?
保証人または連帯保証人の契約には、本人の署名・押印が必要です。実印や印鑑証明書の提示が必要な場合もあります。家族や親族ならあなたの印鑑などを勝手に持ち出せる可能性はあります。あなたが知らないうちに、勝手にあなたが保証人にされてしまうことはありえます。しかし、このような契約は無効となるため、心配はいりません。もし、貸主から請求を受けた場合の対処法は、「保証人になった覚えはない」と主張することです。ここで一部でも支払ってしまえば、自ら保証人(連帯保証人)だと認めたことになるので、注意が必要です。保証人や連帯保証人は、安易に引き受けないことが身のためです。借主が自己破産したために、保証人や連帯保証人が犠牲となり、住宅や自動車などの財産をすべて失ってしまったという例は、あとを絶ちません。借主より保証人や連帯保証人のほうが、借金に対する責任は重いのです。
親の借金を肩代わりしないためには、早めの手続きが必須!
家族が死亡すると財産を相続することになりますが、通常は現金や不動産とともに、借金も相続することになります。マイナスの財産を相続したくないなら、相応の手続きが必要となるのです。この手続には「相続放棄」「限定承認」「単純承認」の3つがあります。相続放棄とは、すべての財産相続の権利を放棄することです。この手続をとることで、被相続人であるあなたは、親の借金を肩代わりする必要がなくなります。相続放棄の手続きは、自分が相続人であるとわかった日から3ヶ月以内に行わなければなりません。手続きには2週間ほどかかり、費用は必要書類の発行手数料や収入印紙、郵便切手などで2千円から3千円程度です。限定承認とは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて相続するというものです。マイナスの財産のほうが大きければ、支払義務が免除され、プラスの財産のほうが大きければ、余った財産を相続できます。亡くなった家族の借金とプラスの財産のどちらが多いか不明な場合、この限定承認を選択することをおすすめします。ただし、限定承認の手続きには、相続人全員の合意が必要となりますが、相続放棄を選択した人の同意は不要です。限定承認の手続きも、自分が相続人であるとわかった日から3ヶ月以内に行わなければなりません。複数の相続人がいる場合は、自分が相続人であることを最後に知った人を対象とします。手続きに要する期間は2週間程度で、費用は必要書類の発行手数料および収入印紙や郵便切手など2千円程度です。単純承認とは、財産全てを相続する方法です。相続人全員で遺産分割を協議の上、遺産の分割・処分を行います。単純承認の場合、裁判所での手続は不要なので、期限や費用はありません。相続放棄以外の場合は、借金を相続することになりますが、債務整理のひとつである過払い金返還請求を利用できる場合ができます。また、借主がローン利用時に団体信用生命保険に加入していれば、遺族の債務はなくなります。通常、借入をした本人以外が借入状況を知ることはできませんが、本人の死亡後であれば、信用機関に対して相続人が情報の開示を請求できます。相続の際には、故人の預金や借金をしっかりと把握することが先決です。また、遺産に不動産が含まれると、故人が主債務者あるいは連帯債務者となっている場合や、借地権がある場合など、大変複雑な手続きが必要です。
家族の同意なしに借金を調べる方法は実質ありません!
家族に借金があるかどうか調べることは、大変困難です。たとえ配偶者や家族であろうとも、第三者が個人の借金に関する情報を、本人の許可なく内緒で手に入れるのは違法だからです。信用情報機関には、借金に関する情報が保存されていますが、開示請求が出来るのは本人、または本人から委任された人だけとなっています。借金をしている金融機関や消費者金融業者がわかっている場合、代理人として情報開示請求を行うことは可能です。しかし、この場合も、債務者の委任状が必要となり、開示請求があった旨も本人に連絡されます。したがって、夫婦であろうと家族であろうと、本人にバレることなく、借入の有無や額を知ることは、難しいのです。
借金している人によくある怪しいポイントとは?
同居している家族の場合、借金をしていればなんとなく怪しい気配を感じるものです。よくわからない会社から不審な電話が掛かってきたり、請求書のような郵送物が届いたりして、借金が発覚したという体験談もよく聞きかれます。本人に尋ねると、とぼけたり、不機嫌になったりしたというコメントも。また、大した額でもないお金を家族に借りたりすれば、相当怪しい判断してよいでしょう。借金をしている人に共通するポイントは、だらしなくなること。カードローンの審査は即日で完了し、誰でも手軽にキャッシングできるようになりなりました。大抵の場合、最初は数万円から始まります。だんだんと利息が膨らみ滞納するようになると、真面目だった人も場当たり的になり、生活全体に管理が行き届かなくなります。また、パチンコなどのギャンブルに手を出すようになったり、宝くじを買ったりするようになることもあります。一攫千金でまとまったお金を手に入れ、借金返済を一気に済ませようと考えるからです。真面目だった人が濡れ手に粟を狙うようになると、借金問題はかなり深刻になっていると思われます。
家族の借金問題、専門家に相談して早期解決を!
借金返済でタブーなのは、返済のために借入をすることです。ヤミ金でない貸金業者からの借金には総量規制があり、借入額に上限が設けられています。しかし、銀行系ローンにはそれがなく、大手の会社に勤務していたり、持ち家があったりして借主に信用があれば、かなりの額を借り入れることが可能です。また、クレジットカードでのリボ払いなどでのカード破産もよく見られるものです。こうなる前に、弁護士や司法書士などの専門家に依頼を検討して、債務整理を行うことをおすすめします。なお債務整理を依頼には、本人の同意が必要になります。本人を説得して一緒に相談に行くのがよいでしょう。任意整理を利用することができれば、保証人や連帯保証人への迷惑を少しでも軽くできるのです。
家族の借金解決のため、あなたができること
原則として、家族の借金への返済義務はありません。家族の借金が発覚しても、あわてることはないのです。しかし、大きなトラブルになる前に、解決策を講じる必要があります。借り入れた本人が自力で返済できず、高金利のヤミ金などで借金してしまう前に、何とか本人を説得して債務整理を始めるべきです。借金を肩代わりするのは何の解決にもなりません。本人の責任において借金問題を解決せずにすんだ場合、ほとんど2回、3回と同じトラブルを引き起こすことになるのです。
もうこれ以上家族に借金をさせない方法はある?
家族の借金を防ぐ方法として、貸付自粛依頼という制度があります。貸金業者に対して家族の貸付申込に応じないよう求める制度です。登録期間は5年です。申請できるのは本人、法定代理人、または条件を満たした配偶者および2親等以内の親族などとなっています。この条件がかなり厳しいため、本人を説得して申し込みさせることが必要となります。また、貸付自粛依頼が登録される情報センターは、(株)日本信用情報機構と(株)シー・アイ・シーの2社で、これらに加盟していない業者からの借入を防ぐことはできません。借金は癖になる傾向が強いものです。本人がもう借金はご免だとつくづく懲りるしか、根本的な解決法はありません。本人が自暴自棄になって深みにはまったり、最終手段を考えたりする前に、適切な解決方法があることを教えて、債務整理の後押しをしてあげることが、本人を借金地獄から救い出すために、家族ができる一番のことではないでしょうか。
「友達からの借金は断るべき」というのは永遠の真理
お金を貸すとロクな事がないというのは本当です。昔からお金の貸し借りはいけないと言われ続けているは、実際にお金の貸し借りは良い結果をもたらさないからです。もし、友達から借金の依頼を受けたら、貸さないことです。なんとか力になってあげたいと思う相手なら、いくらかのお金をあげるのがよいでしょう。「あなたの力になりたいけれど、わたしにできるのはここまでです」と伝えた上で、場合によっては真っ当な金融機関での借入や、専門家への相談を行うなど、しかるべきところで解決するようすすめてあげましょう。人が良いのが相手のためになるとは限りません。友達が、気軽に周囲の人から借金を重ねてしまうようなダメな人間にならないように、見守ってあげるのがよいでしょう。