過払い金請求をしたいけれど業者が廃業している?!請求できる?

過払い金請求をしたいけれど業者が廃業している場合は請求できる?

過払い金請求する相手が廃業していたら?!

過払い金は、過去の取引が対象になるため請求をする時点で相手先となる貸金業者が倒産したり廃業したりしていることがあります。
そういった場合でも、過払い金請求をすることは可能です。

 

廃業といっても、様々なケースがあります。
請求先となる会社が廃業した理由や状況によって、過払い請求をどのように行うかが変わってきます。

 

随分頑張ったのに、ほんの少ししかお金が戻ってこなかった、なんてことになる可能性もなくはありません。
業者が廃業している場合に、どのように過払い金請求をすればよいか解説します。

 

 

法的に保障されている!相手が廃業していても請求可能

過払い請求をしようと思った時に、利用していた貸金業者が廃業してしまっていることがあります。廃業していたとしても、法律的には「みなし貸金業者」として、一定期間は、過払い金請求に応じる義務があります。平成28年4月1日付で施行された貸金業法第四十三条によると、貸金業者は所在地がある都道府県の登録をしなかったり、登録が取り消されたり、破産申し立てを行って廃業したりしたとしても、「貸金業者であつた者又はその一般承継人は、当該貸金業者が締結した貸付けの契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお貸金業者とみなす。」とされています。この「みなす」の部分を使って、こういった業者は「みなし貸金業者」と呼ばれています。みなし貸金業者への過払い請求は法的に保障されています。

 

 

現実的に倒産・破産した業者に請求するのは困難

過払い金は業者側から見ると負債に分類されます。貸金業者がいわゆる倒産状態になるというのは、負債と資産を清算して資産が残らず負債が残ってしまう状態です。破産手続きに入ると、裁判所によって指定された管財人によって管理されることになります。会社の破産清算が終わってしまっていると請求自体をすることが難しくなります。破産してしまった業者を訴えようにも、どこにいるのか所在をつかむのも難しいかもしれません。過払い金請求と密接な関係がある武富士の倒産事件を覚えておられるでしょうか。武富士は平成10年9月28日付で東京地裁に会社更生法の適用を申請しました。平成6年1月に利息制限法の規定を越えた利率での返済を無効とする判決が最高裁判所から出されました。その後、改正貸金業法が施行され武富士の業績は急速に悪化し倒産にいたりました。倒産すると清算した後、返済に使える資産を債権者で分配することになります。武富士の場合、倒産時の債権者数は200万人、過払い債権は2兆円を越えていたといいます。この際の過払い金の返済率は約3.3%でした。分配されてしまうと、本来得られるはずだった過払い金に比べるとごくわずかなものになってしまいます。

 

相手先が倒産していたら債権者届出を出す必要あり

貸金業者が倒産すると、破産管財人が指定され業者の資産状況を調査します。資産には、現金や不動産などのプラスの資産と負債などのマイナスの資産があります。貸金業者の負債の中には、過払い金も含まれますから過払い金が発生する方は債権者となります。破産管財人の調査で債権者と認識されていれば、裁判所から破産債権届出書が送付されてきます。過払い金を請求できる何万人もの債権者がいる貸金業者の場合には、リストから漏れていることも考えられます。その際は債権届出期間内に、債権者届出を出す必要があります。

 

 

会社が変わった時の承継問題と過払い金請求

利用した貸金業者が合併したり、取引した債権を譲渡したりすることがあります。返済が続いている状態であれば、相手が替わっても返済を続ける義務があり、譲渡を受けた譲受業者に払っていけば問題ありません。問題は返済後に過払金返還が債務として相手先に引き継がれるかどうかという点です。これを過払金返還債務の承継問題と言います。どのように債権が移譲されたかによって、承継の状況も変わってきます。
・会社が合併した場合:債権を譲渡した業者と受け取った業者は合併して一つになっているので、合併前の債権に対する過払い金を合併後の会社が引き受ける義務があります。過払い金の返還交渉は合併後の会社に対して行っていきます。
・営業譲渡:営業譲渡とは、合併して一つの会社になるわけではなく営業部分のみを別の会社に譲渡する形になります。営業の全般が譲渡されるため、譲渡前の取引に関わる債権や債務も引き継がれます。ただし営業譲渡契約の内容次第で、過払金返還債務を譲渡先の会社が引き受けていないこともあります。こういった約定が入っている場合、最高裁判所は承継を認めていません。
・債権譲渡:債権譲渡の場合、譲り受けた会社は債権のみを引き受けているため、過払金返還債務は負っていないことになります。この場合譲渡先に過払い金返還を申請しても認められないかもしれません。

 

過払い金返還債権の承継の見極めは専門家でないと難しい

貸金債権が元々利用していた貸金業者から移動している場合、過払金返還請求ができるかどうかの見極めは非常に難しくなっています。合併や譲渡の際に結ばれた契約の条項を確認する必要もあります。廃業している場合には、相手先がどこにいるのかを探す必要もあります。そのため本人が過払い金返還請求をするのは非常に難しくなっています。弁護士などの専門家の助けを借りることをおすすめします。

 

 

まとめ:廃業した業者に過払い金請求をする!

利用した貸金業者が廃業していたとしても、過払金請求は可能です。貸金業法によって廃業していても「みなし貸金業者」として継続しているとみなされるからです。ただし現実的には、貸金業者がいわゆる倒産、破産している場合は残債務を整理した後に債権者で分配するため受け取れる額は目安とした額よりもかなり少なくなります。合併したり営業譲渡されたりしている場合に、譲渡先に過払い金請求をできるかどうかは契約時の条件によっても変わってきます。そのため廃業した業者に過払い金請求をするのは、専門家に相談することをおすすめします。

 

 

過払い金請求は早くした方が良い理由

過払金は最後に取引をした日付、ほとんどの場合最終返済日から10年間は請求が可能です。ただし相手先となる貸金業者が別の企業に営業を譲渡してしまったりすると、実質過払い金請求ができなくなってしまうことがあります。相手先が破産した場合には債権者として分配金を受け取ることができるかもしれませんが、金額は自分で計算して算出した目安の額に比べるとかなり少なくなってしまう可能性があります。そのため過払金の請求はなるべく早く行った方がメリットが大きくなります。

 

 

相手先の消費者金融業者が廃業していても取引履歴の開示請求はできる?

過払金を請求する際には取引履歴が必要になってきます。相手先となる消費者金融業者、または消費者金融会社が廃業している場合、法律上はみなし貸金業者として過払い金請求もできますし取引履歴の開示請求も可能です。取引履歴は10年は保存する責任がありますが、現実的には廃業した時点で記録を廃棄している業者も多く、取引履歴の請求をしても対応してもらえないことがほとんどのようです。法律事務所などに依頼して開示請求を継続的に行っていくと、取引履歴を出してくるところもあるといいますが費用がかなり掛かってしまいます。取引履歴がない場合、推定計算をして過払金請求をする方が現実的かもしれません。