【自己破産による制限】選挙権がなくなるってホント?

【自己破産による制限】選挙権がなくなるってホント?

自己破産すると選挙権がなくなるってホント?

借金の返済が厳しくなり、自己破産を検討しているものの、選挙権を失うと聞いて躊躇している人もいるのではないでしょうか。

 

結論からいうと、自己破産をしたことで選挙権が剥奪されることはありません。

 

今回は、どうしてこのような噂があるのか、実際に自己破産で制限されるのはどんなことなのか、解説していきたいと思います。

 

 

選挙権がなくなるという噂の真相

自己破産をしても、選挙権や被選挙権を失うことはありません。なぜそのような噂が広まってしまったのでしょう?それは、他に選挙権を失うようなケースがあるため、自己破産の場合もそういったもののひとつに該当すると勘違いされたからではないかと思われます。選挙権を失うようなケースというのは、犯罪を犯して禁錮以上の刑が言い渡され、執行中の人やまだ執行されていない人(執行猶予期間中の人は含まれない)などが該当します。公職にある間に収賄罪を犯して実刑判決を受けた場合については、実刑期間経過後から5年間(被選挙権は10年間)を経過しない場合や、執行猶予中の場合も選挙権は認められません。選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられた場合や執行猶予中の場合についても同様です。公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権や被選挙権が停止されている人、政治資金規正法に定める犯罪により選挙権や 被選挙権が停止されている人にも、選挙権はありません。

 

 

自己破産による制限にはどんなものがあるのか教えて!

自己破産により選挙権がはく奪されることはないということはわかりました。しかし、自己破産をすることで制限されることはないのでしょうか?もちろん、自己破産をしたことで一定期間制限されることはあります。それは、借り入れの制限や職業の制限、資産の没収などです。

 

新たな借り入れができなくなる

まず制限されるのは、当然のことながら借り入れについてです。自己破産の手続きをした後は、一定期間、新たな借り入れをすることはできなくなります。クレジットカードやカードローンによる融資というのは、いわゆる信用貸しですので、自己破産をして支払いができなくなるような信用のおけない人物に、お金を貸してくれる人はいないということです。

 

免責許可がおりるまで就けない職業がある

また、自己破産をしたことで職業にも制限が出てきます。どのような職業に制限が出てくるのかというと、資格が必要な仕事や貸金業者などです。なぜなら、自己破産はそれらの職業の欠格事由に該当してしまうからです。例えば弁護士や司法書士、土地家屋調査士といった、いわゆる士業の場合、法令により、破産手続き開始決定後、免責決定が出るまでの間は、弁護士登録等をすることができなくなります。資格そのものが剥奪されるわけではありませんので、復権すればまたその職業に就くことが可能です。公務員の委員長や公正取引委員会などは、在任中に自己破産をすると罷免されたり解任されたりということもあります。想像に難くないですが、自己破産者が貸金業登録することはできませんので、貸金業を営むこともできません。他にも、生命保険募集人や質屋を営む人など、お金にルーズな人には任せられない職業ばかりだということがわかりますね。

 

資産を没収される

自己破産をする際に資産を持っていれば、それは破産財団となり没収されてしまいます。しかし、生活のために必要な家電などは差し押さえが禁止されていますし、資産価値のないものについても没収されることはありません。現金や預貯金、保険の解約返戻金、自動車といったものについては総額99万円までは自由財産といって、自己破産をしても残せる可能性があります。

 

 

自己破産は公表されるってホント?

自己破産をすると周りの人に知られてしまうのではないかと心配している人もいるのではないでしょうか。しかし、自己破産の事実は一般の人に大々的に公表されるものではありませんので、それほど心配する必要はありません。

 

自己破産の事実は住民票に記載されてしまうのか

自己破産をすると住民票に記載されてしまうと勘違いしている人も少なくないようですが、自己破産の事実は住民票にも戸籍にも記載されることはありません。

 

自己破産は職場や近所の人にまで知られてしまうのか

自己破産をすると官報公告されるというのは本当ですが、これは一般の人が目にする機会の少ない媒体への公告です。そのため、職場の人や近所の人に大々的に公表されるようなものではありません。

 

自己破産の官報公告

自己破産の事実が公告される官報というのは、国が法律や政令・条約などを公布するための広報誌のようなものです。紙面とインターネット版があり、紙面については有料ですので購入しなくてはいけません。インターネットの場合は無料でも閲覧できますが、無料での掲載期間は30日間のみです。つまり、一般の人が目にする機会はとても少ないということになりますね。

 

自己破産によるブラックリスト入りとは?

自己破産をするとブラックリストに登録されるというのもよく耳にしますが、ブラックリストとは一体何なのでしょう?実は、ブラックリストというリストそのものが存在するわけではありません。金融機関が利用する信用情報機関の情報に、自己破産などの債務整理の事実や延滞の事実が一定期間載ることを、俗にブラックリストに登録されるというのです。

 

 

自己破産による制限に関するまとめ~選挙権~

自己破産手続きをすると、選挙権がなくなってしまうという噂がありますが、それは勘違いです。選挙権を失うようなケースというのは、犯罪を犯して禁固以上の刑に処された場合などで、自己破産をしても選挙権はなくなりません。自己破産による制限は、新たな借り入れの制限や職業の制限、それに資産の没収や官報への公告といったものです。さまざまな制限はありますが、決して選挙権を失うわけではありませんのでご安心ください。