年齢制限なし! 未成年でも自己破産できる

年齢制限なし! 未成年でも自己破産できる

自己破産手続きには年齢制限がない

自己破産を検討している人の中には、年齢的に成人として認められていない人もいるでしょう。
大半は成人かもしれませんが、ギャンブルをはじめ様々な理由で未成年でも借金をする状況はあり得るので、当然返済不能に陥る状況も起こり得ることです。

 

すると、必然的に自己破産を検討するようになりますが、ここでまずポイントとなるのは「自己破産手続きには年齢制限があるのか?」という点です。
これは逆に考えると「未成年者は借金ができるのか?」という話になってきますが、この点は後で詳しく説明していきますが、一先ず未成年者でも自己破産手続きを開始することは可能であるということを知っておきましょう。

 

 

自己破産以前に未成年者の借金ってありなの?

未成年者に関する法律の中に「未成年者は法定代理人の同意がなければ法律行為をすることができない」(民法5条1項)というものがあり、このことから親(法定代理人)の同意なしに個人で借金をすることができないことが分かります。ただ、未成年者はいかなる状況においても借金が認められないということではなく、次項で示すような条件があれば有効となるものもあります。あくまでも基本的な決め事として認められていないということで、未成年者や高齢者などに限定した場合は一定の条件が揃えば認められる場合があることをよく覚えておきましょう。

 

未成年者でも親(親権者)の同意があればOK

基本的には認められない未成年者の借金ですが、法律上から見ても「然るべき人間による許可、許容があれば認められる」ということが分かります。通常であれば親がそのカギを握るわけですが、親権者や法定代理人でも同様です。あくまでも未成年者個人が独断で借金をすることができないということで、法定代理人などの許可があれば正式な契約として認められます。

 

既婚者なら未成年者個人でも借金が可能

また考え方として「未成年者でも結婚した場合は成人と同等に扱う」というものがあり、仮に18歳だとしても結婚している場合は普通の成人と同じように扱われるようになるため、個人で借金をすることも可能です。本来は認められていない権限だとしても、すでに配偶者や子がある状態でいちいち法定代理人に判断を仰いでいたのでは何かと不都合なことが出てきてしまうことによる措置といえますが、あくまでも状況的に認めざるを得ないというものです。ただこのような状況であればカードローンや銀行から個人の意思、および返済能力などの判断で借金をすることができるため、返済不能になれば当然ながら相応の対処が求められます。

 

年齢詐称や偽造など事実を偽った借金も有効

未成年者が未成年であることを公表しながら行った契約、しかも法定代理人の許可を得ていないものに関しては効力がないと判断されますが、本人が年齢を詐称したり書類を偽造してあたかも契約能力があると思わせて行った契約は有効と判断されます。分かりやすい例としては、未成年者が年齢を偽って行った契約ですが、あくまでも身分証明書などを詐称して行った契約に限られます。単に本人が年齢を公表せずに行っただけでは有効な契約とは認められません。

 

親の同意がない未成年者の借金は無効だが注意点もある

以上の理由から法定代理人の同意がない借金は無効であることが分かりますが、もし仮にこれがあるかのように状況を偽って行ったものに関しては有効と判断されます。要は、未成年者本人が自身では契約することができないことを認識した状態で意図的に相手を騙すつもりで書類を偽造した場合は有効となるわけです。このような状況ではあくまでも契約者本人に返済義務があると判断されますが、契約上で法定代理人が連帯保証人などに置かれている場合は債務を負うことになる可能性が高いです。通常であれば本人確認などを行ったうえで契約を締結するので「いつの間にか…」という状況はありませんが、状況次第ではこのような状況が起こり得ることは覚えておく必要があります。

 

 

未成年者の自己破産手続きとは?

未成年者が自己破産する場合において、通常とは異なるさまざまな制約が存在することを知っておく必要があります。多くは「自分だけではできない」という状況に対するものですが、これは同時に周囲のサポートがなければ本人を救うことができないということでもあります。弁護士や司法書士に頼って解決方法を相談するだけでも法定代理人のサポートが必要になることをしっかりと理解し、自身がどれほど社会的に無力なのかを理解させなければいけません。これは自己破産のみならず債務整理(民事再生、任意整理、その他)を利用する場合も同様です。では具体的な内容を見ていきましょう。

 

申し立てには法定代理人が必要

未成年者が破産申し立てを行うためには法定代理人が必要不可欠です。これは、民事訴訟法31条によって訴訟能力が制限されていることによりますが、契約はもとより基本的には権限はないと思った方が良いでしょう。オーソドックスな自己破産申し立ての流れとしては、①弁護士や司法書士に相談をする②正式に依頼をし、弁護士などから債権者に受任通知を送る③書類などを準備作成して裁判所に申し立てる④破産手続きが開⑤管財人面接や債権者集会を経て免責許可決定、および決定の確定となり債務が免責されます。これは少額管財の場合の流れで同時廃止や管財事件となる場合は異なる部分がありますが、ポイントはこれら一連の流れはすべて法定代理人が行うという点です。弁護士や司法書士に相談をするためにも法定代理人の同意が必要で、裁判所への申し立ても法定代理人が行わなければいけません。弁護士などへの相談は最終的に契約に発展しますが、未成年には契約することが自体ができないので法定代理人が必要不可欠です。また、法律行為も制限されているために申し立てることができず、これもまた法定代理人に頼ることになります。

 

すべてにおいて法定代理人が必要

裁判所へ申し立てを行う場合も法定代理人が必要になりますが、これは弁護士や司法書士などに問題解決を依頼する場合も同様です。未成年者の場合は契約能力がないと判断されるため法定代理人を連れて、もしくは正規の依頼であることを確認できる状況で契約する必要があります。

 

詐称、偽造など自己破産が認められない場合もある

本来返済不能な借金を負った場合など、自己破産によって一切の債務を免責できる可能性があります。見事にこれができれば返済の必要性がなくなるので心配は解消できますが、もしもその契約が偽造や詐称など相手を欺こうとする意図を持って行ったものであれば無効化できない可能性があります。破産法252条1項5号には「詐術」に関する免責不許可事由の記載があり、これに該当する場合は自己破産による免責が認められません。しかし、ここに規定されている内容は年齢を偽る行為に対するものではなく、到底返済の可能性がないにも関わらず収入および返済能力が十分であると偽って借金をする行為に対してです。ただ単に年齢を偽っただけではなく、加えて返済能力その他を偽って相手を信用させた場合は自己破産が認められない可能性があります。

 

 

自己破産後はどんな影響がある?

自己破産を行うと、いわゆるブラックリストに載った状態になります。正確には官報というものに掲載されるので、知ろうと思えば誰でも破産の事実を知ることができる状況になることに加え、取り引き(借金)があった貸金業者などが独自に設定する取り引きを敬遠するべき顧客のリストによる影響は考えられますが、それを除けば「信用情報機関に異動(事故)情報が掲載されるだけ」です。この情報はその時点から7年継続し、この間は新たな信用契約を結ぶことは難しくなりますが、ローンを組めない以外は特に取り立てたデメリットはないと言っても良いでしょう。ただし、弁護士、司法書士、税理士や会社役員などの一部の職業は業務停止となる可能性もあります。

 

一定期間は信用契約が結べない

いわゆるブラックリストというのは、要するに「要注意人物リスト」です。これは業界内に広く出回るというよりも各社独自に作成、管理しているもので、あくまでも特定の業者との取引が制限される程度の効果しかありません。たとえば自己破産後、信用情報機関に異動情報が掲載されている間はどこも契約してくれない可能性が高いですが、中には契約してくれるところがある可能性はあります。また、異動情報が消えても直接取り引きを行っていたところは独自のブラックリストを持っているので取り引きを断られてしまう可能性が高いものの、それ以外のところでは問題なく契約できる可能性があります。直接的に不便だと感じる可能性として、たとえば車や不動産を購入する場合があります。また携帯電話などを購入する際の割賦契約も拒否されてしまう可能性があるので、これらを検討する場合は現金一括で支払うつもりで店頭に伺いましょう。

 

個人信用情報機関に破産の事実が記録される

信用情報機関に登録されている情報の中には、個人名、住所、電話番号、勤務先、その他の情報がありますが、これはあくまでも信用情報機関が独自に把握および管理してる情報です。一般的に公表されている内容は氏名と取引情報の一部くらいのもので、それ以外は一切口外されません。間違っても信用情報機関が独自に外部へ情報を発信することもないので、万が一にも自己破産をしたからといって学校に知られてしまうようなことはまずないといって良いでしょう。ただし、すでに紹介している通り官報に掲載されるため、これを見ていた場合は学校内で事実が知られてしまう可能性はあります。官報は見ようと思えば誰でも見ることができるので、万が一にもそういう状況が起こる可能性をリスクとして考慮しておいた方が賢明です。

 

 

最大の焦点は「生活再建」

どのような理由であれ、未成年者が確かなプロセスで作った債務には返済義務が存在します。返済不能であれば早期に自己破産や債務整理などを検討すべきでしょう。まずは「本当に返済義務がある債務なのか」を確認する必要がありますが、この点が問題なく、なおかつ返済義務も存在する債務を負ってしまった場合は早期に両親など法定代理人に事実を打ち明けるべきです。そのうえでどのような手法で解決を目指すのかを相談し、少しでも早く問題が解決する方法を選択していきましょう。