自己破産の流れ~手続き完了まで半年かかる?費用は?~

自己破産の流れ~手続き完了まで半年かかる?費用は?~

自己破産の流れは一つじゃない?

弁護士に依頼してから破産の申立てに至るまでの準備期間はおよそ3か月程度がかかります。この期間中に裁判所に家計簿をつけたり提出する必要書類の準備をしたりします。裁判所に申立てをした後1週間~1か月で破産手続開始決定がなされます。開始決定の際に自己破産を同時廃止とするか管財事件とするかが決まります。同時廃止の場合は約2か月で免責が決定しますが管財事件の場合は3~6か月、長ければ1年くらいかかることもあります。

 

 

自己破産の種類とは?

同時廃止とは、資産価値のある財産がなく債権者への配分がない場合や免責不許可事由の疑いがない場合に開始決定と同時に破産手続きを終了する方法です。
管財事件とは、資産価値のある財産がある場合や免責不許可事由の疑いがある場合など財産処分や調査が必要となる手続き方法です。この場合破産管財人が選任され財産に関しては競売などにより換価され配当者に平等に配当されます。免責不許可事由の疑いがある場合には、債務者の身辺調査や一定期間の収支をチェックされるケースもあります。管財事件には普通管財事件と少額管財事件があります。通常管財事件は期間も費用もかかってしまうため一部の裁判所では手続きの簡略化などにより少額管財事件が取り扱われています。この場合は同時廃止に比べると期間も費用もかかりますが普通管財事件と比べると半分くらいで済みます

 

自己破産に共通する手続きの流れ

自己破産の申立書類は以下の通りです。自己破産手続申請時に提出をしなければなりません。
・破産手続開始及び免責許可申立書
事前に裁判所で申立書をもらい氏名、生年月日、本籍、住所、連絡先、家族構成、収入、生活の状況、借金の額と借入時期、所有している財産などを記入しておきます。
・本籍地の記載がある住民票の写し
市区町村の役所で「本籍地の記載があるもの」「世帯全員が記載れているもの」を発行してもらいます。
・陳述書
負債の総額や債権者の数、借金の借入状況を記入します。また最初に借り入れをしたきっかけや何に使う目的だったのかなどの記入も必要です。
この書類は裁判所が免責を決定するための判断材料の一つとなります。作り話などの虚偽の申告は絶対にいけませんが、借金に至った経緯がやむを得ない状況だったことや借金の原因がギャンブルや浪費の場合でも反省していることが読み取れる内容にします。
陳述書には収入を証明する給与明細書や源泉徴収票、不動産を持っていれば登記簿謄本、賃貸契約であれば賃貸借契約書を添付しなければなりません。
・債権者一覧表
借入をしている貸金業者や銀行、クレジットカード、延滞している公共料金や携帯料金をまとめた一覧表です。
この表に記載漏れがある場合は免責不許可事由になってしまう可能性がありますし、そのまま免責が決定されても記載されていない債務については免責されませんので漏れがないよう慎重に記入します。
・財産目録
査定をして20万円以上の価値があるものや預貯金、生命保険の解約返戻金の額を記入します。またそれを証明する書類として通帳全ページのコピーや車検証のコピー、保険証書のコピーを添付する必要があります。
・家計簿
収支のバランスを確認するために最低2か月以上つけたものが必要です。

 

必要書類は個々の状況に応じて変わります。申立てまでの準備期間中に手続きを依頼する弁護士に確認しておきましょう。
また陳述書は免責審尋という裁判官との面接の時にも使われます。免責審尋では借金をして自己破産に至る経緯や反省の度合いがチェックされますので当時の状況を聞かれた時にすぐに答えられるようにしておきましょう。自己破産後の生活についても同じ失敗を繰り返さないためにどうすればいいかなども考えをある程度まとめておきましょう。

 

少額管財の自己破産手続きの流れと期間

管財事件には通常管財事件と少額管財事件の2種類があります。通常管財事件の場合何度も債権者集会が開かれ、裁判所への予納金も最低50万円以上が必要ですが一部の裁判所では期間や費用の簡略化を図るため弁護士が代理で破産の申立てをした場合に限り、少額管財事件が取り扱われるようになりました。破産管財人と代理弁護士が協力して破産手続きを進めることで手続きの迅速化が可能となります。そのため本人申立てや司法書士を代理とした場合、少額管財事件は適用できません。
少額管財事件は破産手続開始決定がなされると破産管財人が選任され破産者の所有財産処分が始まります。財産を処分し終わると債権者集会で換価された財産について話し合いが行われ、それぞれ平等に配当された後、破産手続きが完了します。破産手続開始決定から3か月~6か月以上がかかります。債権者集会が一回で完結しなかった場合は何度か行われることになりますが、債権者集会はおよそ3か月置きに開かれるため債権者集会に回数がかかるとその分期間も長くなります。

 

同時廃止の自己破産手続きの流れと期間

同時廃止事件の場合は破産手続開始決定後、そのまま同時廃止決定がなされます。開始決定後、官報に掲載され2か月程度債権者からの意見申述期間が設けられます。債権者から異議申立てがなければ免責審尋が行われます。裁判所に直接出頭して裁判官との面接があり特に問題がなければ1週間後くらいに裁判官により免責許可決定がなされ借金についての債務が全て免除されます。開始決定から免責確定までには2~3か月が必要です。

 

 

自己破産に掛かる費用はどれくらい?

裁判所に掛かる費用

自己破産の手続きに必要な費用は、収入印紙代が1500円程度、郵便切手代が数千円程度必要です。これに予納金が必要です。予納金は同時廃止事件の場合1万円程度ですが、管財事件の場合は通常管財事件が最低50万円以上、少額管財事件の場合20万円以上が必要となります。予納金は破産管財人の報酬も含まれています。
全て自己破産手続の申請の時支払います。管財事件で高額な予納金を分割で支払う場合は債権者集会などの日程が延びてしまうデメリットとなる可能性もあります。

 

弁護士に依頼した場合に掛かる費用

弁護士費用に関しては弁護士事務所が自由に決めることができ、弁護士費用の内訳も着手金、弁護士報酬、成功報酬など項目が分かれており事務所によって様々です。例えば着手金が20万円、成功報酬が10万円というところもありますし、着手金は無料、弁護士報酬が30万円という場合もあります。ですが大抵はすべての合計が20万円から30万円が相場となっているようです。同時廃止と管財事件の違いについても同じ金額のところもありますし、同時廃止は無料で少額管財事件の場合は10万円というように違いがあるところもあります。弁護士費用については依頼しようと思っている弁護士事務所に初期相談の時点で確認しておきましょう。

 

 

自己破産後の生活

手続き申請中の生活は?

自己破産手続中は様々な制限が設けられます。破産者名義の財産を変更する行為や新たに借入を受ける行為は禁止されています。自己破産を申し立てた後は全ての債権者に対して財産を平等に配当することが原則となるため個別に一部の債権者だけに返済をすることも禁止されています。
また破産者には裁判所や債権者に対しての説明義務が課せられ、裁判所は破産者の居場所を把握しておく必要があるため長期の旅行や引越しには裁判所に許可が必要となります。
更に一部の資格が制限されるため職業によっては仕事に差し支えるケースもあります。制限される職業は弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、生命保険外交員、宅地建物取扱主任者、警備員などがあげられます。該当する職業ではないか事前に確認しておきましょう。

 

破産手続開始決定後も残る債務とは?

自己破産をしても国や地方自治体が請求する税金、健康保険料などは免責の対象となりませんので免責確定後も支払義務があります。
駐車違反の罰金や賠償請求額、婚姻の際に取り決められた婚姻費用、離婚慰謝料、養育費なども法律により保護されているため免責されません。
利息や督促の観点から貸金業者への返済を優先しがちですが、税金の滞納が膨らんでしまうと自己破産では免除されないので優先的に支払っておいた方がいいかもしれません。