自己破産すると連帯保証人に一括請求が届く!人に迷惑をかけない解決方法

自己破産すると連帯保証人に一括請求が届く!人に迷惑をかけない解決方法

自己破産すると連帯保証人に一括請求が届く!人に迷惑をかけない解決方法

自己破産をすると一括返済を保証人がしなければならない?

債務者(借りた人)に連帯保証人がいる場合、債務者が自己破産をすると、その連帯保証人に返済義務が発生します。
連帯保証人が親や兄弟などであった場合、当然、残された借金を代わりに返済しなければいけません。

 

そして、債務者が自己破産することで「期限の利益」が無くなるため、連帯保証人に対して「一括返済」が求められることになります。

 

保証人がいる債務を自己破産する場合は、このようなデメリットもあることをしっかり理解しておきましょう。

 

この記事では、主に次のような内容について解説していきます。

 

自己破産をすると連帯保証人に一括請求がされる?

先述のように、債務者が自己破産をした場合、返済義務は連帯保証人へと移ります。

 

ここでのポイントは次の2つです。

「期限の利益喪失」によって、保証人が一括返済するよう請求される
一括返済ができない場合、保証人も債務整理をする必要がある

 

1つずつ詳しく見ていきましょう。

 

「期限の利益喪失」で保証人に一括請求される

期限の利益とは?

債務者のための法律で「定められた期限がくるまで請求されない権利」のこと。

「期限の利益」によって返済までに一定期間を設けられ、債務者は余裕を持って返済ができるメリットがあります。

 

一方で、返済されるまでの期間が長くなると、債権者としては返済されなりリスクを背負うことになります。
そこで登場するのが利息です。「利息を取る代わりに待ちましょう」ということですね。

 

民法では、債務者が自己破産をした場合、”期限の利益を喪失する”と定められています(民法137条1項)。

 

自己破産の場面でいうと、債務者が失うのは分割返済の権利となります。
つまり、「債務者の自己破産後は、分割返済ができなくなりますよ」ということになります。。

 

これは主債務者だけでなく保証人にも適用されます。
保証人と主債務者の債務は別個の契約なので、主債務が自己破産しても関係ないと思われるかもしれません。
しかし、保証人の契約は主債務を元に作られているので、主債務に起きたことは関係があるということなんです。

 

そのため、”「期限の利益」を喪失することで、保証人に対して一括返済が要求されてしまう”ということになります。

 

連帯保証人が一括返済出来ない場合

では、保証人が一括返済できない場合はどうなるのでしょうか?

 

一括返済できない場合、基本的には次のような流れで対応していくことになります。

  1. 一括返済を分割返済にしてもらえないか交渉する
  2. 保証人も債務整理をする

 

①一括返済を分割返済にしてもらえないか交渉する

自己破産後、保証人に対して一括返済を要求してきますが、分割払いにしてもらうよう示談を申し込むことができます。

 

銀行などの金融機関も保証人が急に支払えないケースを想定していますので、分割払いの交渉をすれば対応してもらえる可能性があります。
保証人にも破産されることで回収できる債権がほとんど無くなってしまうため、債権者側が分割払いに応じてくれるケースは多いです。

 

仮に、これに応じてもらえない場合は、次の手段をとることになります。

 

②保証人も債務整理をする

分割支払いが認めてもらえない場合、保証人自身も債務整理せざるをえません。

 

債務整理には、4つの種類がありそれぞれの資産や経済状況・生活状態に応じた方法を使う必要があります。

 

債務整理の特徴

任意整理
・分割で返済可能な場合で、債権者と合意によって、利息を法定利率に引き直し減額してもらう方法。
特定調停
・任意整理に裁判所が加わってくれる方法。
個人再生
・債務が5000万円以下の場合に原則3年間で返済できる程度に減額する方法
自己破産
・返済不可能な場合に全額免除を裁判所にお願いする方法

 

任意整理と特定調停は利息しか減額することができませんが、個人再生と自己破産は元本の減額・免除が可能です。

 

もっとも、債務整理をすると連帯保証人も信用情報機関のブラックリストに載ってしまいます。
数年間はキャッシングカードやクレジットカードを作れないだけではなく、ローンも組めなくなってしまいます。

 

どの手段をとるかを、ご自身で判断することは難しい場合も多いのが現実です。
多少の知識を確認したあとは、弁護士など専門家にお任せすることをおすすめします。

 

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自己破産の前に一括返済すると影響はある?

状況によっては、自己破産手続きをする前に「ある債権を一括返済して解消する」といったケースになることがあります。

 

例えば、次のようなケースです。
「自己破産で携帯の分割払いができなくなるから、今のうちに残金を払っておこう」
「子供が自己破産をするけど、奨学金だけでも捻出して完済してあげよう」

 

この例のように特定の債権者に対して一括返済などをすると、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」として扱われるリスクがあります。

 

偏頗弁済と、”偏った返済”という意味で、「債権者平等の原則」に反することになります。

「債権者平等の原則」によって全ての債権者に対し、平等に弁済すべきことが法律上定められています(民事再生法229条1項)。
特定の債権者だけが得をすることを防ぐという目的があります。

 

そして、この偏頗弁済が原因で自己破産手続きをしても免責が認められない可能性も出てくるわけです。

 

そのため、自己破産手続きをする前は、うかつに返済をしないほうが無難といえます。
もし、どうしても端末料金や奨学金などを解消していおきたい場合は、必ず専門家に判断を仰いでから行動するようにしましょう。

 

個人再生で一括返済はしても大丈夫?

では、個人再生の場合はどうでしょうか?

 

個人再生の場合、3年間で返済する合意ができているはずです。
これを早期に一括弁済することは、債権者にとってもメリットがあります。

 

しかし、個人再生の場合も自己破産と同じように、「債権者平等の原則」が働きます。
そのため、各債権者に対して平等に返済ができない場合は、一括弁済するのは難しいでしょう。

 

個人再生での一括返済の注意点

個人再生開始後に一括弁済する場合、注意点があります。

 

具体的には、「早すぎる返済」です。

 

個人再生の申請をするということは、経済状況がかなり厳しいという状況が前提になります。
そのため、債権者はやむを得なく減額を受け入れることになります。

 

仮に、個人再生開始後、2、3ヶ月で「全額一括返済します」と伝えたとします。
そうなると債権者は、「そんな早くに返せるなら、減額した分も返済してほしい」と思うことでしょう。

 

もっとひどい場合は、「財産を隠匿していたのでは?」と債権者に疑われてしまうケースもあります。

 

財産を隠匿していた場合は、不正な個人再生手続として、詐欺再生罪(民事再生法255条1項各号)になることもあります。
仮に詐欺再生罪を課せられると懲役刑や思い罰金刑も課せられる可能性があります(民事再生法255条1項1号・2号)。

 

以上から、個人再生の早期弁済には注意が必要です。
誤解を避けるためにも、あまりに早すぎる弁済は避けた方が賢明といえるでしょう。

 

任意整理で一括返済はしても大丈夫?

任意整理後、まとまったお金ができ、「この際一気に返済してしまおう!」と考えるかもしれません。

 

では任意整理の場合では、和解後に一括返済は出来るのでしょうか?

 

結論からいうと、債務の一括返済は可能です。

 

任意整理は債権者と債務者と合意によってなされるものです。
裁判所の関与もないので、特にわずらわしい手続などもなく、双方の合意のみで一括返済に変更することができます。

 

法律上、早期弁済を禁止する規定はありませんし、債権者にとってもメリットしかありません。
任意整理後の分割弁済には利息がつかないので、債権者としても早く債権を回収したいと思うのが通常であるからです。

 

以上の理由から、任意整理後に双方の合意によって一括返済をすることは可能です。

 

任意整理後に一括返済する注意点

任意整理の合意後、一括返済をする際には注意点があります。

 

以下の2点に注意してください。

① 先に担当弁護士・司法書士に連絡すること

一括返済をする際には、必ず担当弁護士・司法書士に連絡しましょう。
担当者としては、返済期日に返済する合意をしたと考えているため、後々に無用なトラブルが発生する可能性もあります。

 

②ブラックリストからの削除が早まるわけではない

早く返済したからといって、 ブラックリストからの削除が早まるわけではことを理解しておいてください。

 

早期に借金問題を解決したいのはどなたでも同じだと思います。
しかし、一括返済の際には、上記のような注意点があることもしっかり確認しておきましょう。

 

保証人と連帯保証人との違いは?

まず保証人も連帯保証人も主債務者が支払えないときに備えて契約し、代わりに債務を弁済するという点においては変わりません。

 

しかし、保証人と連帯保証人では負担の度合いが異なり、連帯保証人の負担が重いといえます。

 

具体的な理由・違いは以下の通りです。

 

①催告の抗弁

保証人には、「先に主債務者に請求してください」という権利があります。しかし、連帯保証人には、この権利(催告の抗弁)はありません。
そのため、連帯保証人には主債務者と同時に請求して良いことになっています。

 

②検索の抗弁

保証人には、主債務者に資力がある場合、「先に主債務者の財産に強制執行しなさい」という権利があります。
一方、連帯保証人にはこの権利(検索の抗弁)はありません。

 

主債務者に支払える経済力があったとしても、連帯保証人は弁済をしなければいけないのです。

 

③按分返済

保証人は、他に保証人(連帯も含む)がいる場合、「全員で割った額だけ支払います」ということができます。
しかし、連帯保証人には、分割分だけ支払う権利はありません。

 

このように、保証人と連帯保証人には、主に上記3つの違いがあります。

 

自己破産の一括返済まとめ

ここまで、「自己破産 一括返済」に関連する内容について解説してきました。

 

内容を簡単にまとめると、次のようになります。

  • 自己破産をすると連帯保証人に返済義務が発生する
  • 破産後は保証人に一括返済を要求されるが、交渉次第では分割返済も可能
  • 分割返済が認められない場合は、保証人も債務整理をする必要がある
  • 自己破産手続きの前や個人再生開始後の一括返済は、「債権者平等の原則」が働く

 

以上のように、自己破産をすることで保証人にまで迷惑をかけることになります。
任意整理や個人再生で対応できるのであれば、保証人に迷惑をかけずに解決することができます。

 

自己破産をする前に、今一度「自己破産をするのが正解なのか」を振り返ってみるといいでしょう。

 

そしてなるべく1人で考え込むのではなく、周りの人や専門家などに相談することをおすすめします。
ネットで簡単に診断してくれる無料ツールもありますので、そういったサービスを利用するのもいいでしょう。

 

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