借金・多重債務

住宅ローンの返済で苦しくなったらどうすべき?

経済全体の影響からか、最近では戸建てやマンションの住宅ローンを払えない人が増えているようです。
ローンの支払いができなくなれば最悪は自宅を明け渡すことになります。

 

折角の財産を手放してしまうことになりそれまでの努力が無駄になってしまうことでしょう。
ここではそういう住宅ローンで支払いができなくなった場合の対処法等について説明しています。

 

 

住宅ローンを払えない人が増えている!

住宅ローンを払えない人が増えていると言われていますが一体何が根拠となっているのでしょうか?大きな理由としては日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会が2014年に発表した統計数字のようです。 「2014年破産事件及び個人再生事件記録調査」と題されたもので負債原因が2002年から3年毎にパーセント表示されています。その中で住宅購入という項目があり2002年が9.35パーセントであったのが2014年には16.05パーセントまで伸びています。もちろん住宅購入した人の中でも自己破産や個人再生を行いなおかつ弁護士に依頼をした人が対象でしょう。言ってしまえば限定的な中での数字でもあります。しかしこの調査によれば失業・転職が2011年に19.77パーセント2014年に19.84パーセントと天井が見えたと解釈でき、なおかつ給料の減少が16.13パーセントから13.47パーセントと減っています。一般的に住宅ローンが払えなくなるのは失業や給与の減少が原因であり、割合が減っているのに住宅ローンで苦しくなってしまうのは無理なローンを組んでいる人が多い可能性が高いと読み取ることができます。現在頭金なしで住宅ローンを組めることが当たり前のようになっています。そのため十分な資金がなくても住宅を持てると考えてしまいがちです。将来を考えるのであれば頭金をしっかり揃えてから住宅ローンを組むのが無難とも言えるでしょう。

 

 

住宅ローンの遅延が続けばどうなるか?

住宅ローンの遅延が続けば最悪は立ち退きとなります。ではどのような経緯でそうなるのでしょうか?まず住宅ローン返済の滞納が1から2ヶ月以内であれば、契約者への電話による督促が主な請求方法になるでしょう。そうして2ヶ月以上になると督促状や催告書等が郵便で送られてきます。あるいは支払いのための来店依頼状等も届くようになります。3ヶ月以上でも督促状や催告書、あるいは依頼状や電話等もありますが指定信用情報機関に金融事故歴が記載されます。いわゆるブラックリスト入りであり一度記載されれば約5年間は記録が残り、その間は住宅ローンばかりでなくカードローンやクレジットカードの新規発行等ができなくなります。さらに半年後になるとローンの一括請求がなされるようになります。一般的には期限の利益の喪失という通知があり、分割払いでの利益が切れたという意味になります。それでも支払いをせず7ヶ月が過ぎれば保証会社が代わって支払いを行い、以降保証会社との間に債権者と債務者の関係が成立します。それでも何もしないのであれば、10ヶ月目辺りから保証会社による競売申し立てが行われ、1年を過ぎた頃に裁判所が現地調査に入ります。現地調査は法律で認められた強制的な裁判所の権利と言えます。そうして競売入札開始の連絡があり、落札されれば強制立ち退きとなります。以上、住宅ローンが払えなくなってから強制立ち退きまでの流れとなっています。ただし上記のことは何もし続けないあるいは何もできない場合のことであり言葉を換えれば原則的な流れです。実際は途中で交渉等の余地があり、遅延からの期間も短くなったり長くなったりし、当然自宅を失うことなく無事解決したりすることがあります。

 

最終的には自己破産か?

住宅ローンが払えなくなった時借り換えなどの処置もありますが最終的には自己破産になるでしょう。これは法的処置である債務整理の1つで、裁判所に支払い義務の免責許可を受けることで住宅ローン自体がなくなります。また指定信用情報機関に金融事故歴が記載され、約7年間は新たなローンを組むことができなくなります。ローンは住宅ローンばかりでなくカードローンやクレジットカードの新規発行も含まれます。つまり金融取引の信用を約7年間失ってしまうことでもあります。こういうことからローンの返済負担が一気になくなるとはいえ、住宅ローンばかりでなくほかのローンにおいても自己破産は最終手段と言えるでしょう。

 

保証人まで返済不能になったら?

住宅ローンの保証人は一般的には連帯保証人と考えられます。本人の契約とは別な契約となりますが、本人の契約を連帯して保証するという内容になります。つまり契約者本人が返済できない時は連帯保証人に請求がなされるということです。単なる保証とは違うため、まずは契約者本人へ請求して欲しいと抗弁する権利はありません。では連帯保証人が支払いできなくなったのであればどうなるのでしょうか?契約者本人と同様な方法が考えられます。借り換えを行ったり、あるいは債務整理をすることで負担を減らしたりすることができ、最悪は連帯保証人自体が財産を失ってしまうことがあるでしょう。ただし連帯保証には求償権が認められ住宅ローンを肩代わりしたのであれば、その分の金銭を契約者本人に請求することができます。

 

 

売却してしまうのが得策?

住宅ローンの返済ができなくなった場合すぐに売却を検討すべきでしょうか?一般的に考えれば得策ではないでしょう。折角手に入れた自宅であり資産でもあります。安易に手放すことは後々大きな後悔をするかもしれません。ではどのようにすべきなのでしょうか?住宅ローンの返済ができなくなってしまった理由や状況には収入減あるいは離婚等様々なものがあるかもしれません。でしたら、まず最初に行うべきは銀行等の金融機関への相談です。住宅ローンのような長期返済型のローンであれば金融機関でも相談窓口を設けています。真摯に相談しあうことで返済計画の見直しを一緒になって考えてくれたり、あるいはもっと金利の低いローン商品を提案してくれたりするかもしれません。しかしローンを組み換える場合でも当然審査があり通過しなければ借り換えなどができなくなります。そうなって初めて売却という手段が出てきます。なお住宅ローンの返済が苦しくなった際、別な金融機関の相談窓口を利用する方法もあります。また役所などでは住宅相談窓口等があり、予約制ですが無料で利用できるのが一般的です。ちなみに住宅ローンの滞納の限界は3ヶ月とのことです。

 

任意売却という選択肢がある!

住宅ローンが厳しくなり自宅を売りたいと思っているのであれば、競売よりも任意売却の方がメリットが高いケースがあります。競売は裁判所が介在するもので市場価格よりも安価で売却されることが一般的です。しかし任意売却は債権者との合意により行われるもので市場価格とあまり変わらない価格で売ることが可能です。しかも競売では公開で行われるため、知人等に知られる可能性が高いですが、任意売却においてはそのようなことはなくプライバシーを守りながら自宅を売ることができます。さらに大きな違いといえば、競売に掛かれば自宅に住むことはできず引越費用を捻出しなければならないことがほとんどであり、立ち退き命令後に居住すれば不法占拠者扱いになります。けれども任意売却であれば親戚や投資家などが購入し、賃貸料を支払うというのであれば住み続けることもできます。このように住宅ローンの返済に困り自宅を売りたいのであれば、任意売却の方が競売よりもメリットが高いと言えるかもしれません。ただし任意売却でもローンの残金があれば支払いを続けるようになりますが、競売のような一括返済ではなく分割払いが可能となっています。

 

 

債務整理でも自宅を残せる

住宅ローンが払えない理由も様々でしょうが、中には住宅ローン以外の借金返済が苦しくなり返せなくなったというケースもあるでしょう。一般的には複数の金融機関から少額融資を受けたことが原因であり、多重債務状態と言えます。仮に複数の少額融資などがなければ住宅ローンの支払いに困ることはないかもしれません。実は債務整理を行うことで住宅ローンの支払いに困らなくなることもあります。債務整理は「自己破産」「任意整理」「過払い請求」「個人再生」の4つでありいずれも法的な借金整理となります。そのうち個人再生は住宅ローン以外の借金を整理する方法であり、自己破産のように住宅を失ってしまうことはありません。概ね住宅ローン以外の債務を5分の1まで減らすことができ、弁護士などの法律専門家に依頼するのが通常です。しかし継続した安定収入があり、再生計画を立て債権者に認めてもらう必要があります。また指定信用情報機関に金融事故歴が記録され、いわゆるブラックリスト入りとなるため約5年から10年は新たな借金ができなくなります。いずれにせよ個人再生であれば自宅を手放す必要がなくなります。返済の負担軽減を行うためにも選択肢の中に含めてもいいかもしれません。

 

 

住宅ローンで困っても注意すべきこと

住宅ローンで困っている時にやってはいけないと言われていることが2つあります。1つは独立や転職です。多くのケースで独立や転職をすると現在よりも給与が下がってしまいます。もちろん長く働くことで所得が上がってくる可能性もありますが、それまでの間かなりの負担が掛かってきます。このため住宅ローンで困っている時は独立や転職をしないことです。またもう1つが支払いに困っているからといって他社のローンなどに手を出してはいけないことです。確かに一時的に凌げると言っても借金で借金を返す行為は多重債務に変わりはありません。しかも住宅ローンは長期間返済し続けるものであり、一時的なことで負担軽減できるものではないでしょう。できれば子供の教育費のためにローン等も組まないようにすることが大切です。以上のほか、住宅ローンの繰上返済やボーナス払い等も見直すべき点であるとも言われています。住宅ローンがあると言っても家計のやり繰り等で貯蓄もできるようになります。理想的なあり方でしょうが、住宅ローンを組む際にはこういう点等も十分考慮しておくべきでしょう。

 

 

遅れている時どこで相談したいい?

住宅ローンの返済が遅れ解決策に困っているのであれば、まずは金融機関へ相談すべきでしょう。現在相談窓口などが設けられているため、低金利ローンの組み換えにより返済期間の延長等を話し合えるかもしれません。当該金融機関ばかりでなく、他の金融機関でも相談窓口があるのが一般的です。また親戚や友人知人等の第三者に相談することも大事なことです。一時的なことかもしれませんが立て替えが聞く場合もあるでしょう。さらに連帯保証人がいるのであればきちんと相談すべきです。返済不能となった場合、連帯保証人が請求を受け、最悪のケースでは連帯保証人自体が財産を失いかねません。それを回避する意味でも連帯保証人には話をするのが適切でしょう。以上のほか、役所にも住宅ローン相談窓口が設けられています。予約制ですが無料で利用できるようになっています。また各種消費者センター等でも住宅ローンに関する相談を受け付けていて、アドバイスを受けることで今後の選択肢が増える可能性があります。さらに法律的な処置を考えているのであれば、法律事務所等への相談が一番でしょう。弁護士や司法書士等が担当し現在では無料メール相談のサービス等も行われています。

 

 

住宅ローンが苦しくても対応は冷静に

住宅ローンの返済が苦しくなっても冷静に対応することが大事です。自宅を失う可能性があることはもちろん、指定信用情報機関への金融事故歴が付いたり連帯保証人に迷惑を掛けたりすることもあります。まず苦しくなって来たのであれば、当該金融機関へ相談しローンの組み換えなどを模索すべきでしょう。しかし組み換えローンの審査にも通らず負担軽減ができないのであれば、法的処置である債務整理や任意売却等を行うのが適切な方法かもしれません。