保証実行通知書が届いたらどうすべき?対処法を紹介
身に覚えのない会社から保証実行通知書が届いた?これはどういこと?
銀行のカードローンなどを利用していた人の元に、ある日身に覚えのない金融会社から「保証実行通知書」なる書面が届くことがあります。
おそらく大抵の人はこのような書面を目にした機会がないはずですので、どうしたらよいのか分からずに途方に暮れてしまうのではないでしょうか?
そこで今回は、この「保証実行通知書」について詳しく解説してきます。
保証実行通知書とは一体どういったものなのか?
届いた時の正しい対処法は?
自己解決が難しい場合には法律の専門家に相談するのがおすすめな理由
など、借金でお悩みの人の解決の糸口となるような有益な情報を紹介していきますので是非参考にしてください。
保証実行通知書って一体何?その内容とは
ここでは保証実行通知書という書面が一体どうのようなモノであるか、その内容にまで触れて紹介します。保証実行通知書というのは、現在あなたがお金を借りている金融会社(銀行など)からの借金を、保証会社が代理で返済したということを知らせる書面です。より簡単に内容を説明すると、「返済が滞っていたあなたの借金を、代わりに一括で返済してあげたから、今後は私(保証実行通知書の送り主の保証会社)にお金を返してくださいね」という内容を知らせる書面ということになります。そして、カードローンやキャッシング(保証会社の保証を付けた)などを利用した人が、なんらかの理由により返済が困難になってしまった時に、保証会社が返済を肩代わりして新たな債権者となることを「代位弁済」といいます。※保証実行通知書という名称は金融会社によって異なります。他には、保証債務履行通知書、代位弁済実行通知書などさまざまな名称がありますがその内容はほとんど同じです。
なぜ身に覚えのない会社から一括請求の督促が来るのか?
住宅ローンなどの有担保ローンの場合には、金融機関は万が一に備えて信用力のある人物を保証人に立てることを条件とすることがほとんどです。仮に融資を受けた人がなんらかの理由によって借金を返済することが困難になってしまった場合には、金融会社は債務者に代わって保証人から返済を受けることができるからです。これに対して銀行のカードローンなどの場合は、より手軽に利用できるように基本的には無担保で保証人不要と規定されているケースがほとんどです。しかし、完全に無担保で保証人も不要としてしまうと万が一カードローンの利用者が返済困難となった場合には貸倒れとなってしまう可能性が高くなります。そのような事態に対処する為に銀行のカードローンなどは、契約している保証会社に一定の保険料を支払うことでカードローンの返済を保証して貰っているのです。また、銀行のカードローンなどの場合は、契約している保証会社が銀行に代わって審査を行っている場合がほとんどです。仮にカードローンの申し込み者の返済が滞ってしまうような時には自分達が返済を保証しなければならないので、保証会社はその分慎重に審査を行います。そして実際に銀行のカードローンの利用者が長期間に渡って借金を滞納してしまった場合には、保証会社は債務者に代わって銀行に返済を行い(代位弁済)新たな債権者となるのです。銀行に代わって新たな債権者となった保証会社は、債務者に対して保証実行通知書を送付することにより代位弁済を行ったことを知らせ、借金の一括請求を要求してきます。借金をしている本人は銀行からお金を借りているつもりでいても、求償権(借金を返済してもらう権利)は銀行から別の保証会社に代位してしまっているのです。これが身に覚えのない会社から一括請求の連絡がくる理由になります。
保証実行通知書には一括で返済するように書かれているけど分割返済のはずでは?
銀行から借りていたお金は分割で返済していたはずなのに、なぜ保証実行通知書には一括で返済するように記載されているのかについて説明します。まず私たちが銀行などの金融会社からお金を借りた場合には「契約書に記された期限が到来するまでは債務を履行しなくてもよい」という債務者にとって利益のある「期限の利益」という民法上の取り決めがあります。簡単に説明すると借金を分割で返済することのできる権利です。しかし保証会社などによって代位弁済が行われた段階で、この「期限の利益」は喪失されます。期限の利益を喪失するということは、借金を分割で支払う権利を失うことになるので保証会社からは残りの借金を一括で返済するように請求されてしまうのです。
一括返済なんてとても無理!このまま放っておくとどうなる
保証実行通知書が届いてもなにもせずに放置した場合にはどうなってしまうのでしょうか。保証会社から請求された一括返済が難しいからといって放置していると、所有する財産を差し押さえられてしまうことになります。差し押さえの対象となる財産は、給料(手取りの1/4まで)、自宅などの不動産、車、預貯金や換金価値のあるモノなどです。しかし代位返済を行った保証会社も、借金の一括返済が難しいことはよく分かっています。保証実行通知書が届いた場合には、一括返済することが難しいからといって放置せずにすぐに保証会社と連絡を取りましょう。一括での返済が難しいという理由をきちんと説明すれば、分割での支払いに切り替えてくれるケースも珍しくありません。
代位弁済が行われた場合の時効の起算日とは
借金にも時効があります。銀行や消費者金融からの借金の場合には、商事債権(商法522条)となるので最後の返済又は、弁済期から5年が経過すると消滅時効が成立します。それでは、保証会社による代位弁済が行われた場合の時効の起算日はいつになるのでしょうか?最後に銀行に返済を行った日。代位弁済が行われた日。のどちらでしょうか?答えは後者の「保証会社が代位弁済を行った日」になります。そのため現実的にはほとんどあり得ないケースですが、最後に銀行に返済した日から5年が経過しているからといって下手に時効の援用をしたりすると、実はまだ時効期間が経過しておらず逆に裁判を起こされてしまうという可能性も0ではありません。借金による時効の援用を考えている人は、時効の起算日は代位弁済が行われた日であるという点によく注意してください。
どうしても借金が返済出来ない場合は債務整理を行うという手もある
病気や失職などなんらかの理由によって、どうしても借金を返済することが困難となってしまった場合には、債務整理を行うという方法もあります。ただし一般の人にとっては債務整理という言葉はあまり耳慣れたものではありませんよね。ここでは債務整理とはどのような方法なのか。どんな種類があるのか。どのようなメリットやデメリットがあるのかなどについて詳しく紹介していきます。
債務整理は大きく分けて3種類 それぞれの特徴とメリットデメリットとは
債務整理の方法は任意整理、個人再生、自己破産の3つの種類があります。それぞれの方法の特徴やメリットやデメリットをまとめると以下のようになります。
・任意整理とは
任意整理は、司法書士や弁護士といった法律の専門家が、債権者と借金の返済方法について交渉を行い返済期間を延長したり利息を軽減して貰ったりする方法です。任意整理がおすすめな人は、月々の支払い額の負担が軽減されれば借金を返済する目途が立つ人です。大きなデメリットもなく周囲の人に借金の存在が知られてしまうといったリスクも少ないので、最も多くの人に利用されている債務整理の方法です。ただし、任意整理を行った場合には、今後5年間は新たな借り入れができない(金融ブラック入り)、個人再生や自己破産と比較すると借金を減額させる効果を得られない、任意整理に応じない業者が増加しているといったデメリット面もあります。
・個人再生とは
任意整理で返済期限を延ばしたり、借金の利息を軽減したりした程度では借金の返済は難しいが、現在安定して定期的な収入がある人には個人再生がおすすめです。個人再生を行うと原則として借金の額が5分の1に減額されます。その残りの額を3年から5年をかけて返済していく方法です。借金を大幅に減額することができるにも関わらず、自己破産と違って一定の条件を満たせば車や自宅といった財産を手放さなくてもよいというメリットがあります。しかしデメリットとし、今後5年から10年は新たな借入ができない(金融ブラック入り)、安定収入がないと利用できない、住所や氏名が官報に掲載されてしまうといったデメリットがあります。
・自己破産とは
任意整理や個人再生では借金の返済が難しいといった場合には、最終的な手段として自己破産という方法があります。自己破産は借金を全額帳消しにすることができるといった大きなメリットのある方法です。しかし自己破産には次のような数多くの大きなデメリットがあります。自己の所有するすべての財産を手放す必要がある。官報に住所氏名が掲載される。5年から10年は新たな借入ができなくなる。一部の職業に就けなくなる。保証人に取り立てが及ぶ可能性がある。などです。
債務整理は自分でも出来る?専門家に任せたほうが安心な理由とは
じつは債務整理は法律の専門家でなければ出来ないということはありません。じっさいに自分で債権者と交渉行ったり、裁判所に足を運んで必要な手続きを行うことで個人であっても債務整理をすることは可能です。しかし現実的には保証会社などを相手に金利や返済方法の交渉を行うことは非常に困難です。また金利の計算、裁判に必要な書類や手続きなども、とても素人が借金に追われながら出来る作業ではありません。特に借金で苦しんでいる最中には、それだけでも本人にとっては大変なストレスが掛かっています。その上に、自分自身で債務整理を行うということは心身共にさらなる負担がかかってしまい健康にもよくありません。自分自身で債務整理を行うことのメリットは、弁護士や司法書士に支払う費用が浮くという面くらいです。しかし、その費用を支払ったとしても法律の専門家に交渉や裁判を任せたほうが、より有利な条件を引き出すことが可能です。以上の理由から債務整理は自分で行うことも可能ではありますが、より有利な借金返済の条件を勝ち取れるという点や、心身の負担の軽減することができるという点からも法律の専門家に任せたほうがメリットも大きく安心んだといえます。
保証実行通知書が自宅に届いたら適切な対処をして自分の財産を守ろう!
あまり耳慣れない保証実行通知書について詳しく紹介してきました。保証実行通知書が届くということは、なんらかの理由により借金の返済が滞ってしまっている状況です。とてもじゃないが一括で返済することなんて不可能だからといって、保証実行通知書を無視してしまうことのないようにしましょう。保証実行通知書を送付した保証会社もそのことは十分に理解しているのです。最善の方法は保証会社とすみやかに連絡を取り、借金返済に向けて相談を行うことです。実際に保証実行通知書が自宅に届いてしまって途方にくれているというような人は、今回このページで紹介した内容をよく理解して、適切な対処を行うようにしてくださいね。