時効10年のグレーゾーン金利!時効後の請求は可能?

時効10年のグレーゾーン金利!時効後の請求は可能?

グレーゾーン金利には時効がある?延長の可能性は?

「グレーゾーン金利」と「過払い金請求」―この言葉はテレビのCMなどでも盛んに宣伝されているので、聞いたことのあるかたも多いと思います。しかし、グレーゾーン金利には時効があることをご存知でしたか?「じゃあ時効が過ぎたら過払い金を返してもらえないの?」と驚かれるかもしれません。ですが、過払い金は期限を過ぎても請求できるケースもあるので安心してください。

 

 

最後の取引から10年までにグレーゾーン金利の返還請求をしよう

グレーゾーン金利による過払い金請求の時効は、完済した翌日(最後の取引日の翌日)から10年間です。その期限を過ぎてしまうと、過払い金請求をすることはできなくなります。また、借入先が倒産している場合は時効前の過払い金があっても過払い金返還請求ができないこともあります。

 

グレーゾーン金利時効の時期は何年頃?

グレーゾーン金利が完全に廃止されたのは、2010年です。そのため、2017年~2018年がグレーゾーン金利時効のピークといわれています。グレーゾーン金利の廃止は段階的に行われたため、2007年頃にはほとんどの金融業者が金利の見直しをして、金利を大幅に引き下げました。そのため、2008年以降に新規借入をしたかたの場合は、過払い金が発生している可能性は低いといえます。2008年以前に借入したのであれば多くのかたが既に完済しており、それ以降に過払い金請求の対象者が発生していることはほとんどないため、2017年~2018年を境にして過払い金請求の件数が大幅に減るのは間違いないとされています。

 

 

時効が過ぎたグレーゾーン金利でも過払い金請求は可能?

では、すべての人が2017年~2018年以降過払い金請求ができなくなるのかというと、そんなことはありません。過払い金返還請求権の時効の起算は完済時からなので、2007年以前から借入契約をして、その後も継続的に同じ金融機関から何度も借入を繰り返したかたなどは、まだ過払い金請求をすることができます。例えば、2006年に借入を始めて2010年に完済した場合、消滅時効の成立は2020年になります。

 

時効の停止で期間を延長!

「過払い金が発生していることがわかったけれど、10年の時効までギリギリ!どうしよう!?」―そんなケースでも大丈夫です。時効は裁判上の請求によって、一旦停止させて再度ゼロからスタートすることが可能です。裁判上の請求とは、「訴訟の提起」「支払督促の申立」「民事調停の申立」などです。しかしこうした裁判上の手続きには時間がかかるため、消滅時効の期限が迫っている場合だと、間に合わないということもあります。そんな時には、「催告」の手続きをします。催告とは、内容証明郵便などの書面を送付して過払い金請求をすることで、消滅時効期間をストップさせられる制度です。

 

 

グレーゾーン金利によって利息の払い過ぎになっていた理由

グレーゾーン金利とは、利息制限法によって定められた上限金利と出資法によって定められた上限金利の間の金利のことです。二つの上限金利には11.2%もの差があり、利息制限法の金利は超えているので法律違反になっていても出資法の上限は超えていないので違法ではないという曖昧な形式だったので、グレーゾーンと呼ばれるようになりました。アコムやアイフル、レイクやプロミスなどほとんどの消費者金融やクレジットカード会社では高いほうの金利を請求していたので、2007年以前に借金をしていた人は利息の払い過ぎが発生していたのです。

 

徹底解説!利息制限法と出資法の違い

借金をする際には借りた金額(元金)に金利(利息)を付けて返済します。しかし、利息を貸し主が勝手に決めると借り主から不当な利息を取り立てるなどの障害が起こる恐れもあったことから、利息に上限を定める法律が生まれました。これが、利息制限法です。利息制限法では、上限利息を超えた利息の貸付をしても、罰則が設けられていないという問題点がありました。利息制限法の上限利息は次のようになっています。
・借入額10万円未満=上限利息20%
・借入額10万円以上100万円未満=上限利息18%
・借入額100万円以上=上限利息15%
出資法は、正しくは「出資の受け入れと預かり金および金利等の取り締まりに冠する法律」といいます。出資法の上限金利は、2010年6月17日までは、元本の金額がいくらに関わらず29.2%になっていました。この利息を超える金利で貸付をした場合、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金が科せられました。金融業者を監督するための法律「貸金業法」では、利息制限法を越えた金利であっても出資法に違反しない範囲でいくつかの条件を満たし、かつ債務者が任意で利息を支払った場合はその利息を受け取ってもいいことになっていました。

 

法改正でグレーゾーン金利が撤廃

29.2%といえば、大変な高金利です。もともとカードでキャッシングをする人はお金に困って借入をしているのに、金利が高額だと返済のためにさらに別の消費者金融から借金を重ねるということもありました。それが原因で自己破産に追い込まれる人が急増し、テレビ番組や週刊誌で取り上げられて社会問題にまで発展したのです。そのため、2000年代から法律の見直しが検討され、2006年には最高裁判所の判決により利息制限法を超える貸付の金利はすべて無効となりました。このことで状況が一変し、2007年頃にはほとんどの金融機関が利息の見直しをして、大手消費者金融には倒産する会社も出始めました。その後、貸金業法と出資法も改正され、2010年にはグレーゾーン金利は完全撤廃しました。

 

 

自分にも過払い金がある?グレーゾーン金利を調べる方法

10年近く前に貸金業者から借金をしていた人は、過払い金が発生している可能性があります。特に、長期間に渡って借入をしていた人や、金利が20%以上と高額だった人、取引金額が100万円以上だったかたは、過払い金があるかどうか調査したほうがよいでしょう。まずはいつ、どの業者からいくらの借金して、金利がどのくらいだったのか調べてみましょう。取引のあった業者に問い合わせると、取引履歴を教えてくれます。もし借入先が多すぎて、どこにいくら借りていたのかもわからなくなっているかたは、信用機関に問い合わせてみましょう。実際の過払い金の計算は自分でやるよりも、ネットで過払い金計算ソフトなどをダウンロードして入力すれば計算できます。過払い金計算ソフトは、弁護士や司法書士などの法律事務所のホームページのサービスからダウンロードできます。貸金業者から、「一定期間以上の取引履歴は廃棄している」といわれたり、信用情報機関への照会方法がまったくわからないかたは、債務整理などの借金問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめいたします。

 

 

グレーゾーン金利の時効:注意点まとめ

・過払い金請求には時効がある
・時効消滅期間は、最後の取引の翌日から10年間
・グレーゾーン金利とは、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の間の金利のこと
・グレーゾーン金利は、2006年の最高裁の判決によって決定づけられ2007年頃から金融業者で見直しされるようになり、2010年には完全撤廃された
・2007年以前に借入をしていた人で、長期に渡って高額な借金をしていたり、高金利を請求されていたかたは過払い金が発生している可能性が高い
・過払い金は法律事務所のホームページサービスなどで計算できる
・借入先や借入金額がわからない人は、弁護士や司法書士などに相談して依頼したほうがよい