金融業者から減額和解提案書が届いたらどうすればよい?

金融業者から減額和解提案書が届いたらどうすればよい?

滞納により金融業者から減額和解提案書が届いたら?

借金の返済を滞ると、督促状などで催促が来ますが、それでも無視して借金を長期延滞し続けていると、金融業者から「減額和解提案書」が届くことがあります。

 

今回は、この減額和解提案書が届いた場合にどう対応したらよいか解説していきます。

 

 

減額和解提案書とは?

減額和解提案書というのは、カードローンやキャッシングなどによる借金を長期間滞納したまま返済出来ないでいる債務者宛に、消費者金融などの金融業者から送られてくる書類です。長期間滞納していると、遅延損害金も加わり借金はどんどん膨れ上がり、とんでもない金額になっていきます。そこで、金融業者から、「まけてあげるから、とにかく少しでも支払ってちょうだい」という内容の手紙が届くわけです。金融業者としてはこのまま現実的に債権回収出来ない状況が続くよりも、減額してでも回収した方がよいということです。

 

減額和解提案書の具体的な内容

では、減額和解提案書には実際どのような提案内容が書かれているのでしょうか?

 

例えば、アイフルからの減額和解提案書には次のような内容のものがあります。

  • 大幅に減額する内容の和解書を提案するから一度連絡してほしい旨
  • あらためて現状に合わせた一括・分割返済プランを提案するから連絡してほしい旨
  • 一括返済できるなら利息全額免除するという一括返済案の提案

 

 

減額和解提案書にすぐに回答してはいけない理由

さて、金融業者からこのような減額和解提案書が届いたら、いそいそと連絡してしまってよいものなのでしょうか?答えはNOです。減額してくれるならと思うかもしれませんが、すぐに応じてはいけません。なぜなら、時効援用できる可能性があるからです。

 

時効の援用をさせないために行う時効の中断手続きとは?

借金をしたまま一定期間返済をせずにいると、消滅時効を迎える可能性があります。消滅時効を援用して認められると、債権者の債務者に対する貸金債権は消滅してしまいます。つまり、貸金業者は借金の返済を求めることができなくなってしまうのです。減額和解提案書は、その時効を中断させるために送られてくるものでもあるのです。なぜかというと、債務者がその減額和解提案書に応じれば、借金の存在を認めたことになり、この「債務承認」により、時効期間の進行を止めることができるからです。他にも時効中断の手続きがあり、裁判上の請求(貸金返還請求の訴訟提起や支払督促の申立など)をされたり、差し押さえや仮差押え仮処分を行った場合も時効が中断されます。

 

 

減額和解提案書が届いたらすぐにやるべきこと

では、減額和解提案書が届いたら、まず何をしたらよいのでしょうか?減額和解提案書が届いたら、その内容をしっかりと確認してください。すでに時効が成立していないか、いつ時効を迎えるものなのかなどを調べる必要があるからです。貸金業者からの借入は、通常5年で時効を迎えます。すでに5年を経過している場合は、これまでの間に時効の中断がなかったかどうか確認しなければいけません。もし時効を迎えていたとしても、このまま放置しておいたら時効は成立しないので時効の援用手続きが必要となります。

 

減額和解提案書が届いた場合のチェックポイント

・借金から5年以上たっていないか?
・過払い金は発生していないか?
・提示された和解案で返済できるかどうか?

 

 

時効を迎えていた場合はどうしたらよい?

もし5年以上たっていて時効を迎えていたらどうしたらよいのでしょうか?これは弁護士に相談して時効の援用手続きをしてもらうことをおすすめします。自分でやったらダメなの?と思うかもしれませんが、時効の援用手続きをするということは借金がチャラになるということです。間違ったやり方をしてしまって時効の援用ができなくなるといったことがないよう、たとえ弁護士費用がかかったとしても専門家の手を借りる方が賢明です。それに過払い金が発生していて、むしろ返還請求できるというケースもあるかもしれません。

 

 

減額されても返済できない場合はどうしたらよい?

時効も迎えていないし過払いもない状況で、減額された和解案を確認してみたところ、減額されても返済できる見込みがないという場合には、弁護士や司法書士に債務整理を依頼することをおすすめします。債務整理による解決方法としては、任意整理・個人再生・自己破産といった方法があります。
・任意整理・・・借金総額の減額や利息制限法による引き直し計算などを交渉し、月々の返済額を減らして正常に返済できるようにする手続き。過払い金が判明することもある。
・個人再生・・・裁判所を通して、借金を減額してもらい、3年~5年程度の分割払いで返済していく手続き。住宅などの財産をそのままで借金の整理をすることができるのが特徴的。
・自己破産・・・裁判所を通して、法律上借金の支払義務を免除してもらう手続き。財産がないことを裁判所に認めてもらうため、住宅や車などの財産は処分する必要がある。

 

 

減額和解提案書が届いた時の対応に関するまとめ

今回は、減額和解提案書が届いた時の対応について解説しました。長く延滞していた借金は、時効になっている可能性もありますので減額和解提案書が届いたからといって直ちに債権者へ連絡するのではなく、まずは内容をよく確認しましょう。時効を迎えているのであれば時効の援用手続きをしなければいけませんし、そうでない場合も提案された額で返済できる見込みがないのであれば債務整理を検討しなければいけません。減額和解提案書が届いたら、内容を確認して弁護士に相談することをおすすめします。